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人狼と少女 垣根の上を翔ぶ女 亜依音  作者: 冬忍 金銀花
第七章 激情から狂気へ

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第67部 襲撃……級友と澪お姉さま……


「うん良かった……大地。……抱っこして、」

「こいつはまたかよ、病院がいいかな。」

「ドロだらけだからさ、風呂がいいな。」

「そっか、脱がしてもいいかな!」

「うん、いいよ。」


 私とカムちゃん、それに明子姉さんと私の妹の双子ちゃんは救急車で搬送された。


「なんだよこれ、据え膳かよ。」

「リップサービスだよ、大地。」


 警察の応援で男の十一人と女は捕縛された。全員のマスクを剥ぎ取るとそこには間抜けな顔しかなかったから何処かの暴力団らしいと判断される。外国人は?


 「尻尾だな。」と言うのは刑事さんだろうか。一同、襲撃と誘拐が防げて喜んでいたのだった。病院で迎えに出た杉田の祖父母もとても喜んでいた。


 謎の敵は襲撃予定が三箇所だった。私が実家に賊が入ったと感じたのは、恐らくは泣き叫んでいた妹たちの念が伝わってきたものと思う。病院への襲撃には私が居たし、それに杉田夫妻も居るものだから少し段取りが変わってしまい襲撃されなかったみたい。病院に居るのは母なのだが意味は何だったのかがイマイチ不明のまま。


 だけどもクラスメイトと澪お姉さんへの襲撃は、予定通りに進められたのだった。抵抗出来ない身重と女子高生なのだから私一人が抜けていても問題は無かったらしいのだ。


 今日のお天気は土砂降りの荒天だったから、馬事公苑のクラスメイト襲撃の連絡が大きく遅れていた。部室に居る部員の女の子は暴漢に全く耐性が無いし、唯一の澪お姉さまは耐性はあっても身重で力も無い。ほぼか弱い女の七人だったから直ぐに澪お姉さまは拉致されてしまう。



 カムイコロさんはまたもや集中治療室送り。私と明子姉さんと実妹の双子ちゃんは嬉しいかな、お母さんと同室だった。むずがる赤ん坊のオムツを替えてお乳を含ませるとあっさりと眠ってしまった。


 私、気を失っているから分らないはずよね、本当かうそか!


 私はというと大地から服を脱がされて……パンツもだよ、そして病院のパジャマ姿で寝せられていた。大地の様子を穴の空くように見つめる明子姉さん、対する大地は恥ずかし過ぎて額には冷や汗の粒。明子姉さんも大きい二つの乳房を惜しげもなく晒しているから大地はとても緊張したと言う。


「大地くん、いいからやっておしまい。ウフフ、」

「いや、これは、そうですよね、亜衣音に風邪を引かせる訳にはいきませんから不可抗力ですよね……。」


 もう安心したのか明子姉さんには笑う余裕もあった。慌てふためく大地が可愛いのだろうね、色々と恥ずかしい事を言っていたらしい。でも事実は逆なのかもしれないよね、だって若い明子姉さんが赤ん坊を抱いて襲われたのだから、なんとかして気を紛らわさないと精神が持たないだろね。


「ほらブラもよ、下のパンツも、あら可愛いクマさんの柄だね、ウフフ、」


 もう~お母さんは横で見ていたのでしょうが、夢でもいいから教えてよ、ねぇ。


 もう~あり得ない。


 私たちが病院に来てから小一時間はとうに過ぎていたはず、お父さんやホロお婆さまに警察の方々は大会議室で事件の摺り合わせが行われていた処に、飛び込んできた警察官。


「た、た、大変です、馬事公苑でも襲撃です、女子高生の六人と身重の女性が、さ、攫われたようです。人数は未定ですがいつもの女子高生でしたらその数と付合いたします。」


「何だって、身重の女性は澪霧か!」

「いえ、あ、確認してきます。」


 直ぐに馬事公苑の事務員と騎士の人が警察官の人に連れられて入ってきた。


「な、君、黒木澪霧か! それに部活の女子の六人なのか。」

「はい員数は分かりませんがそれ位はあったと思います。黒木さんは元同僚で見かけておりましたので、間違いなく攫われています。」

「うわ~なんたって……そんな~……。俺は生徒の両親に何と言えばいいのか。」


 お父さんは項垂れて机に突っ伏してしまった。


「直ぐに追跡の捜査に移行してくれ、だがな~この雨では何も分からんか、」

「そ、そんな……、」


 そんな時に続報が入った。


「警部、女子高生の六人が解放されたようです。港区の交番へ助けの駆け込みがありました。」

「子供だけか、大人は居ないのか!」

「はい六人だけですが、学校のお姉さんが攫われたと言っています。」

「わ~澪霧~……、俺はなんと言って報告すればいいなだ~。」


「穣さん、ワシがクロに乗って追ってみます。ですが、この土砂降りでは見つける事は出来んじゃろ。ここは捕まえたあいつらに訊くしかないだろう。」


「ホロお婆さん、あいつらは何も知らされていません。ただ金を積まれて誘拐をしただけですが、穿った考え方をすれば明子さんの襲撃は囮だったという事です。本命は澪霧さんだったのでしょう。」


「そないな事言うてもな、……どうしたもんかね~、」

「また、沙霧のように全国を探すのでしょうか、もう無理なような気がしてきました。」

「きっと亜衣音と大地が探すさ~、今日は澪霧の無事を願って亜衣音の回復を見守るしかないかのう。」

「そうですね、俺、みんなに報告して来ます。」


「穣さん、辛いだろうが気をしっかりな。」

「はい、黒木さんは怒るでしょうね、」

「あ、徹くんと智治にはワシから伝える、穣さんは明子にお願いね、」

「そうですか、黒木さんには柔らかくお願いします。」

「任せておきなされ……。」


 ホロお婆ちゃんの結果は見えている。事情を聞かされて動揺する徹お兄さんはホロお婆ちゃんに詰め寄れば……、


「ほぇ、なんじゃろか。智治……スイッチ!」

「まぁまぁ徹くん落ち着いてくれないか。」

「何ですかお義父さん、澪は攫われたのですよ。嫌ですよお腹の子がモルモットにされるとか。」

「す……すまん。ほら……お義母さんも謝って下さいよ、誰が説明を買って出たのですか!」

「儂じゃな、儂が必ず探してみせるだて、……行ってくる。」

「絶対にですよ、ばんえい十勝の重りにしますからね。」

「ホ~ッホッホ~……軽いでな役立たずだべさ。」




*)馬事公苑のクラスメイトと澪お姉さま……


 時間は遡る。


「凄く降ってきたね、イヤよね~。」

「そうね、誰かな馬事公苑に行きたいと言ったのは。」

「居ませ~ん。ただ今、病院でしょうか~、」

「部長は休みだから違うよ。」


「ほらほら今日は部室でガールズトークですよ、気も晴れるからさ。」

「先生、飲み物の差し入れ希望~です!」

「んもう~少しだけですよ。私だってお産に費用を貯めなければなりませんものね。」

「はい、半分こ致します。」

「よろしい、誰か付いて来て、」

「おい一年生さま!」

「翠、可笑しな言い方ね。遠慮はいらないのよ、こうガツンと、」


「コンコンコン。」

「部長はノックしないから誰かな。はいは~い、」

「邪魔するよ、」

「え”!……なんですか、」

「いやね、チョイとそこのお姉さんに来て貰いたいだけさ、それと、亜衣音という女も居るだろう、どいつだ、」

「ここには居ません、病院です。」

「ウソはいけませんね~病院には居ないそうですよ、ですのでこの中に居ますよね。」

「こら、お前の悪い癖だ、さっさと連れて行くぞ。」

「ですが、どれを選ぶんですか。」


「胸触って訊いてみろ、白状するだろう。先ずはお前からだ、」

「いやよ、本当に部長はいません。信じて……下さい。」

「次、言え!」

「居ません、言いません。」

「言ったじゃないか、本当はお前か!」

「キャッ!」

「貴方たち、ここに亜衣音は居ません。帰ってくださ、キャッ、」

「お前は必要だが、そうか、誰も顔を知らないのか。」

「そうですよ、ボス。」

「全員連れて行きましょう、待ち合わせ場所に行けば面が分かるのでしょう?」


「仕方ないか騒がれる前に連れだそう。二人ずづ連れ出すぞ一人は車に残れ。」

「分かりました、ほれ行くよ。お腹の子が大事ならば全員大人しく付いてこい。」

「貴女たち大人しくして、……こら、アホ、亜衣音が居ないと判ったら解放しなさいよね。さもないと騒いで人を呼びます。」

「元気がいいお姉ちゃんだ事、俺の嫁に死体よ。」

「ぼす、また漢字が違ってますが、」

「いや~お前もだぜ。俺には学がないからな~って、黙れ!」

「だから言ったろうが、アホ!」

「あ、そうだった、向こうで捕まえているかもしれんから分れば解放したる。」

「きっとだよ、いいね。」

「お前はダ~メ、」

「ボス、次、連れて行きます。」

「また二人な、多すぎては目立つよな。ほれ立て、」

「キャッ、触らないで、汚らしい……。」

「騒ぐと胸触るからな、黙ってろ、」

「うぐぅ~。」

「おいこいつだ、これが口癖らしい。」

「いや違うから、私、違うよ~、」


「残りも行くか、」

「はい、ボス。」



 未来たちには両脇にしっかりと男が付いて離れないのだった。電車でお尻を触られる以上に気持ちが悪いのだが騒いでも何も出来ない。


「ごめんなさいね、貴女たちを巻き込んだようです。ここは大人しくしてこれ以上嫌な思いをしないようにお願いするわ。」

「白川先生~、」

「うん直ぐに解放してくれるわよ。……黒木です。」

「直ぐに姉妹と双子に会わせてやるよ、今日から二人と双子と隠遁生活だな、ガハハ……。」


「あんた、まさか自宅も襲って明子と双子も攫ったのかしら。」

「あんな小さな家は十人で襲撃すれば警察も手出しはできんだろう。今日はいい稼ぎになったよ、」

「このう~畜生めが!」


「黒木先生、大人しくしましょう?」

「あ、ホンとですね、取り乱してごめんなさい。」

「うぐぅ~。」

「やっぱ、こいつ!」

「違います、」


 未来たちは港の倉庫に引き摺り降ろされて一人の男の前に連れて行かれた。そして悲惨な言葉を頂いた。これ、日記に書いておきます。


「全部違う、全員海に泳がせろ!」

「いや、私、泳げないのよ~、」

「へい、大ボス。」


「ボス、もう行きましょう。向こうは失敗していますから長居は厳禁ですよ。」

「そうだな、おう引き上げるぞ。」


「貴女たち、早く交番へ駆け込んでね、」

「白川先生……、」

「いいのよ、気にしないでね。黒木です、……」

「先生……ごめんなさい。」

「うん、黒木です、……」


 こうして六人は解放されたと言う。もう私はこの六人には頭が上がらないわね、大地。


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