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人狼と少女 垣根の上を翔ぶ女 亜依音  作者: 冬忍 金銀花
第四章 退屈な高校生は反転、超楽しい……

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第45部 初めての……デート 


 1969年1月1日


「なぁ、本当にあいつらを巻き込んでも大丈夫かい。」

「私がいいと言っているから良いのよ。どぉ今日、実行する?」

一日ついたちが仕事始めだとは思わなかったよ、そうよな、お前から初詣に行こうと誘われた時点で疑うべきだっか。」

「あの子は振り袖で気合い入れているのだからさ、とてもいい写真が撮れるわよ。シン行こう!」

「あいよニキータさん。」



*)初めてのデート


「待ったか!」

「ううん、一時間前から立っていただけよ。」

「……今年もひねくれ人生は全開かよ!」

(私、全然素直になれていない! 気をしっかり持って……最初からよ。)


「た、田中くん。あ、あけましておめでとう。」

「亜衣音、おめでとう。」

「ねぇ…どうかしら……この振り袖は。」

「……うん、綺麗……、」

「え~聞こえないよ、もっと大きい声で、」

「もう一度とか、言えるか!」

「うん聞こえてた、ありがとう。」

「えぇ? なんだって、聞こえないよ。」


「意地悪……。ありがとうございます、これで聞こえたよね。」



 烏山神社(旧・白山御嶽神社)私達は二人だけの再会を約束していた。他の女子の四人には翌日の二日の十五時と約束しているのでもう完全なフライングだ。


「なぁ、本当にこの時間は大丈夫だよな。」

「う、うん、昨日電話して予定を訊いていたのよ。だ~からみんなは自宅でテレビを見ているとい、言っていたわ。」


 ウブな私は人を疑うなんてこれっぽっも持ち合わせていないよ、況してや女友達も自分と同じだと思い込んでもいたしね。ここは無自覚だから真意は定かでは無い。



「じゃ、亜衣音はどうなのよ。」

「お爺ちゃんの家に遊びに行くと答えたわよ。」

「ふ~ん……どうして彼奴らを疑わないんだ、俺は違うと思うぞ。」

「そ、そんなことないモン。」

「口を尖らかして言うな。」

「もちよ、親友だし信じているものね。」

「餡蜜掛けるか?」

「ヤ、」


 しかし現実では当然の如く三組に別れていた六人は、参道で鉢合わせするのも僅かな時間差だった。


「ゲ……!!」


 私は赤くなってとっさに田中くんの後ろに隠れた。最初は立花の双子ちゃんだよ参るな~、いやここで参るな明治神宮へ行け!


「おう立花姉妹。」

「なによ、あんたたちは……。」

「いつからなのよね、もう水くさいったら。」

「うぐぅ~。」

「教えなさいよね。さもないと退部しちゃうぞ。」

「え~それを言わないで、お願いしますから。」

「綿飴、」

「リンゴ飴!」

「うぐぅ~。」

「お前らがそうやってせびるからこいつが無一文になるのだろうが。そうなるとこの俺が金を出すのだから迷惑なんだよ。」


「田中くんお願い……出してあげて!」

「命令かよ……しゃ~ないな。あいつらには教えるなよ。」


「アイアイサー……。でも遅いみたい。」

「ゲゲッ!……見られていたのか。」


「もう~四人で~いつから居たのよ。」

「あ~今偶然に会っただけだよな。」

「そうそう。」

「違うよ、ね~~!」x2


 烏丸神社は私のテリトリーなのになんで四人が烏丸神社に来るのよ、餡蜜確定じゃない……んも~。


 此処からは未来vs私と田中くん。


「ふ~ん、そう……なんだ。」

「未来、気にしたらだめよ、ダメなんだからね。」

「ほほう亜衣音ちゃんは何か隠しているようですな。それで田中くん。」

「なんだよ。」

「貴殿は此処からは遠い地方にお住まいだと聞いていましたが、何処かな~。」

「やめてよ、未来の意地悪。」

「亜衣音さまは近くですよね~、こうも偶然に会ったとは言わないよね~。」

「うん……はい、で、デートしてました。」

「……。」x4


 私があからさまに自白したからからかう未来には衝撃が走ったようだ。とりたてて女四人が田中くんを奪い合うような事実は無い。立花の双子ちゃんはお金……所謂、生活費を稼ぐのに精一杯で藍ちゃんはなぜかしら男には興味が無いというのか、色気も無いという性格だし、未来は……二次元に恋するのだとこの後に聞いて驚いた。



 藍ちゃんが眼を細めて私に迫るの、……やめて~!


「あらま~とても仲がよろしいようで、何よりですね。」

「うぐぅ~。」

「ははは、綿飴はもう買わないぞ。」

「あ~ぁあ、藍ちゃんが出てきたから綿飴とリンゴ飴を逃したではありませんか。」

「翠、気にしたらダメ。ここは二人の為に祈りましょう。」

「碧、この二人は生きていますが、よろしいのですか?」


「わ~ヒド~い。よっくも私達を天国送りにしたな~!」

「なによ、二人の幸せを祈ってあげるのに文句はないよね……ありませんよね。」

「はい、です。」


「お前らで亜衣音を苛めるなよ。」

「わ~王子さまが怒った!」

「うぐぅ~。」


 この時「きゃ~!」と、参道で多数の悲鳴があがった。


 突風が……起きたのだ。一瞬で参道を駆け抜けた突風は亜衣音の前で消滅して、亜衣音の後ろでは誰の着物も髪も揺れてはいなかった。目の前の女の四人は髪が揺れて乱れていて、着物の裾もめくれる位に強い風だというのに。


 五人は大きく目を見張りそして私を見つめるものだから私は観念したのだ。


「うん、私だよ、驚かせてごめんなさい。」

「そうなんだ、私たちは忘れていましたのね。亜衣音さん、からかって悪かった。ごめんなさい。」x4


 異口同音に四人は私に謝ってくれて、そんな友人の心がとても嬉しくて逆に私が謝るしまつ。


「え、いや、いいのよ。私は気にしていないのよ。ただ、嬉しいだけだから、そう心配しないで……。私こそ、ごめんなさい。」


 田中くんは心配して私の顔を覗き込む。少し、少しだけ素直に答えた。


「亜衣音、お前は……、」

「うん……巫女なの。でもこれ以上は訊かないで欲しい。」

「何処でバイトしているんだ、ちゃんと俺に教えろや。」

「…………?」x4

「亜衣音ちゃんはここで巫女のバイトしているんだ。」

「未来、多分だけれどもね違うと思うよ。」

「何処でもいいわよ、おみくじで占うから引きに行こう。」


「だから詮索はよしてって!」


 私は大きく叫んでいた……。


「頃合いよシン。行くよ!」


 五人いや六人には長い沈黙が訪れた。下を向いて項垂れていた私に後ろから誰かがぶつかってきて、私はよろけて田中くんの腕に抱かれた瞬間……紅潮する。



 そこには老紳士が立っていて横には女の人も居る。


 未来vs不審な二人のやり取りが続き、未来の素が出た。


「ちょっと~お詫びくらいは言えないのかよ、ジジイ。」

「(ジジイ……?)シン、この子らに謝りなさいよね。」

「あ、ゴメン。ついカメラを覗いていたからさ、気が付かなくて。」

「シン、それだけなの? あんまりじゃないのかしら。」

「あ、あ~、では初詣の写真を贈るよ。それでどうだい。」


「でも私たちはお二人を知りませんよね、だから要りません。」

「あ~そうだよね~。」


「で、お爺ちゃんは覗きですか!」


「こら未来。言葉が悪いよ。」

「あ~そうかも知れない。……ちょ~っと待って!」


 未来は身動きもせずに何か考え込んでいたので藍が未来の袖を引くが、


「どうしたのよ未来ちゃん。」


 ややあって、


「あ、あ、あ~この人よ、亜衣音ちゃんの写真を沢山くれた人だわ!」

「え~~!!」x5


「シン、どうすんだい。バレたよね。」

「仕方ない、たこ焼きで買収するか。」

「おじさん……写真もですが、綿飴とリンゴ飴と焼きそば、それに~、クレープ。」


 可愛い小悪魔の未来は今までおくびにも出さないような事を、ポンポンと悪びれた様子も無く色々と要求するのだった。これは所謂……おじさんを好きな女学生の中二病だと判った瞬間だな。あ~これっていい言葉うかんだよ、それは「集る」だ。未来のお小遣いは秋葉原で散財されるのだから初詣では二十円のおみくじだけに使われるのかな。とおしゃいせん(お賽銭)。


「あんたは中二病かえ、こりゃ~あの婆さん以上だね。」


 あの婆さんとはホロお婆さまの事だが誰も気づくはずはない。キョトンとしてる私らを置いて未来は暴走した感じになっている。


「お兄さん! 亜衣音さんの写真をもっと下さい。とてもいい被写体でしょうが。」

「そう……ですね……あは~、」


 若くて綺麗な女子高生に言い寄られてタジタジになる、元生活安全課の木之本署長の新之助であった。


「綺麗で乗馬も上手くてとてもいい絵になっています。私、好きなのです!」


 それから未来は弾んでしまって、さらには私の両手を掴んでさらに弾む。ぴょこんピョコンと……。


「亜衣音ちゃんバイト先が見つかったね、これからはモデルさんとしてデビューしようね。良かったね~!」

「え~~~~!!!」


「そう言う事だからお兄さん、バックには沢山入っていますよね。」


 未来は凄んで目の前の男性に迫った。未来の男性への呼び方が段々と変化している。

ニキータは女として妻としてこの若い女の子は恐怖と感じたのか、


「これは不味い展開だわ、シン逃げるよ。」

「ホイきた!」

「馬事公苑で待っていま~す!」

「あ、ハンサムさ~ん……チェッ、……逃がしたか!」


「それで亜衣音ちゃんはいつまで田中くんに抱きついていますの?」

「あ、いや、これは、不可抗力です、はい。」

「邪魔したわね、うふふふ……。」


 ラノベのオタク博士のような未来みくに敵う者はいない。


「みんな二人の顔は覚えたよね。部活の時は要注意だよ。」

「未来……あんたは偉い!」

「藍ちゃんありがとう。褒めてくれたのよね。」

(違うんだよね~!)


 それから二人一組になってガラガラを鳴らし、六人が横並びになった時点でお参りをした。



 馬事公苑には白川亜衣音さま宛てに多数の写真が届いていて、未来と田中くんにはお宝へと昇格して……。


 未来はこれらの写真を見ながらラノベを書き出した。タイトルは……そう『垣根の上を翔ぶ女 亜依音』だった。未来みくの未来が決まった瞬間か。


「売れたらいいな! キュンキュン!!」


 お賽銭……ルーツは五千年の歴史を持つ中国に発祥し代々受け継がれてきたもの。貨幣が無い時代に貝を奉納して自身の穢れをあの世に持って行ってもらい、無病息災を祈願したもの。性と生に通じる貝に意味があり、決して願掛けが成就する為の代価では無かったのだ。だから幾ら払っても願いは成就しないのだな、努力せよとおみくじには書くべきだと思うな。


 貝に穴を空ける、これはこの世からあの世へと通じるものだと信じられていた。


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