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人狼と少女 垣根の上を翔ぶ女 亜依音  作者: 冬忍 金銀花
第四章 退屈な高校生は反転、超楽しい……

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第40部 クロとの再会……馬事公苑


 1968年10月10日(昭和43年)


*)ドジ……


 今日は昨日着いたクロに会いに行くんだ、四人の女の子と田中くんを連れて。馬事公苑までトボトボと歩いていくのだから実際は自分が金魚の糞だったかもしれないな。私は授業が終わって脱兎の如く走りだそうとしたが、教室の出口に待ち構えた双子の妨害に遭って、


「ちょ~っと亜衣音さんお待ちなさいな。そう慌てなくてもクロちゃんは逃げなくてよ。」

「いや、直ぐに行きたい。どいて!」


「みんな~前のドアから出て頂戴ね~ここは私達の修羅場になるからさ。」

「アハハ……面白い事になってる。」


 教室からは方々で笑い声が立ち上った。なんで双子が~と考えたら双子は廊下側が席になっていて、運動神経がいいこの双子に対して私はあっさりと捕獲されてしまったのだ。


「亜衣音ちゃんカバン、忘れているよ。」

「え……ウソ!」


 私は一瞬カバンを忘れたかと思い、自席を見つめたが直ぐに右手が重い事に気が付いた。これで私の猪突猛進の勢いが止まった、いや止められたのだ。


「掃除当番でしょうがサボらせませんわよ。さ、今日はお外の清掃よね。」

「う~今度私が一人で掃除するから許して。」

「ダ~メ、これからはいつも馬場に通うのでしょうが、だから今度という日はもう二度とありません。」

「亜衣音……行くよ、」

「藍ちゃん……許して!」


 私は双子から無理矢理にカバンを取り上げられて、藍ちゃんからは無理矢理に手を引かれて、校庭では明神さんから無理矢理たか箒をカバンの代わりに持たされて、そうしてショゲテしまった。


「今日は十分で終わりますよ、ガンバ!」

「うん……。」


 私はここで応援されているのに気が付いて顔が笑顔になった。しかし……私の視線の先は校門へと続いている。


「掃除……終了!」


 すると突風が吹いて女子の黄色い悲鳴とガシャーンとガラスの割れる音が校庭に響いた。


「…………だよね~、」

「あ~またかよ~、」x2


 揺らめくスカートはどうでもいいような感じで、長い髪を振り乱した藍ちゃんが私を見つめている。私は小さく、


「あ……、」


 もう遅かった、私はしくじったのだ。


(みんな、ごめんなさい。)そう思って私は掃除を続けて、藍ちゃんは手を休めて髪を整えるのだった。バツが悪くて掃除の十分が二十分に延長されてしまう。そればかりか更に三十分も追加させてしまった。又してもガラスを割っていたのだ……もう私は最低だ。素知らぬ振りで用務員さんに割れたガラスを届けて又しても喜ばれるのには、やはり気分は重っ苦しくて慣れない。


「お前だけだぞこうやって掃除してくれるのは、な!」

「いいえ~どうしても気になるので掃除しています。」



 事情を良く知る双子と事情を知らない明神さんと田中くんは笑うか怒るかの両極端だったが、藍ちゃんだけは黙っているのだなこれが。


 どうしてか藍ちゃんはなにも言わないのだ、どうしてだろう……。


 みんなは仲良くワイワイと騒いでいるのよ、でも私はバツが悪いから関東農業大学付属高等学校から馬事公苑まで無言で歩いたんだ。



*)母が手を振り、そして私はドジった……


 我が高校より大凡四百メートルで到着するのだが私にはとても長く感じられた一時ひとときだった。馬事公苑の玄関で母が待っていることは昨晩での打ち合わせだったし、とても大きい建物だから行けば判る……はず。今まで行かなかったのは、ここで走る馬を見たらクロを思い出してしまうから足を向けなかったからよ。走る馬を見たら泣くのは目に見えているわよ。


 居た! 遠目に写る私のお母さんを見つけた、私の顔は明るく元気な笑顔に擬態したのだ。


「ちょちっ! 亜衣音ちゃん速く歩かないでよ、もう汗だくなのだからね。」

「え~今日は暑いと思うのよね。……三十三度?」

「いいえ二十八度です藍ちゃん、未来の温度計を見てきたようなウソはダメです。」


 明神さんがキツいと言ってきて、すかさず藍ちゃんは気温の数字を言ってきたが私は反論した。


 母が口に右手を当てて私を呼んでいるから私は追従の五人を振り切って走り、そして私は禁句を叫んだ。


「お母さ~ん……クロはどこ~!」

「馬場の出入り口に居るよ~皆さんが揃っていますからね~。」

「うん!!」

「あぁあ……亜衣音のドジ、バカ!」

「え? なんで……。」

「私はお姉さんでしょうが……友達に聞かれたかな。」

「あ~やっちゃったよ~どうしよう。」


 私は大声で叫んでいたから声は四方に届くから聞かれたはず。いくら離れていたから聞こえていないとは到底思えない距離だ。


「私、知~らない。亜衣音ちゃんがどうにかしてよね。」

「う~お母さん……、」

「ダ~メ、」


 暑くて真面目に走らない五人だったが私に追いついた様子が変だ。いつもの笑顔は消えていて、今は不可思の顔になっていた。私はとっさに謝る。


「ごめ~ん、急に走ったからお化粧が崩れたかな。」

「……、」x5

「沙霧お姉さまですよね、いつもお世話になっています。」

「いいえ~いつも面倒を押し付けているのでしょう? ごめんなさいね。」


 口火を切ったのは藍ちゃんで、以前からこの子は何だか薄々気が付いているような感じがしていた。母の名前を疑問形にしたせいで、明神さんと双子は気に止まらなかったようだが時期に悟るわな。


「お姉さま、いつも亜衣音ちゃんにはお世話になっております。」

「いいえ、亜衣音ちゃんと仲良くしてくれてありがとうね、明神さん。」



 お母さんはどうして明神さんの名前を知っているのよ。こっちはこっちで綺麗なお母さんを見て目つきが変になった男が一人、


「すげ~とても……(綺麗な人)」

「あ、お姉ちゃん。この男子が田中くんですよ。いつもお父さんが言っているでしょう?」

「あ~はいはい田中くん。まぁ~いつも亜衣音がからんでいるようですみませんね~。」

「お姉ちゃんは私をどのような扱いにするのよ、違うわよ。」


(いつも口にしているのは亜衣音でしょうが)と考えている母、母娘だから私にも判るよ。


「い、いえ大事ないです……。」

「ふふ~ん、そうなんだ。お転婆ですけどよろしくね!」


 母の鋭い観察眼が田中くんを射貫いた。(器量、容姿、みんなOKよ!)


「ペコペコ。」x2 これは双子だ。


 このやりとりの陰では女達の鋭い眼光が光る、私は汗タラタラで気が付かない振りをするしかなかった。


「ねぇ藍ちゃん。あのお姉さまって、亜衣音ちゃんは確か『お母さん。』と呼んでいましたよね。」

「明神さん、う~んそうなんだけれども、若くて綺麗だから信じられないよね。」

「でしょでしょう。どうしたらあんな綺麗な人がお母さんになるのかな。」

け~よな~俺も知りたい。」

「私達も!」x2



 母は父が私達を呼びに来る姿を見たせいか、私のお腹辺りのブラウスを軽く抓んで引き寄せて耳打ちした。


「あんた、あれをどうする気よ。」

「う~んもう万事休すかな。正直に話せないよね、どうしよう。」


 私と母が小話中に父は私の後ろに到着して声をかけた。


「おい、どうした。」

「わぁ、……父さん。私ドジっちゃつたよ。どうしよう。」

「なにがだ、あ、あぁん?」

「うん、お母さんが若いからお姉ちゃんと呼んで紹介していたのよね、でも今日はついうっかり……。」

「なんだそんな事か、俺に任せろ!」

「え!」


 私はさらりと受け流す父を見つめた、次は母を……眼が笑っている。(え~なんなのこれは……。)


「あ~君たちも来てくれたのか。もう乗馬の用意も出来ているのだが……どうしたんだね。」

「え、あ、教頭先生。」

「はい、あのう~とても奥様がお綺麗なので、それに亜衣音ちゃんはどうしてか『お姉ちゃん』と呼んでいますから、」


「ブヒヒ~ン!」

「あ、クロ!」


「ハハハ勘ぐっているのか。あれは私の女房だよ間違いなくね。」

「でも、どうして……。」

「俺の教え子なのだよ気になるか。ま~後妻とも言うかな、アハハハ……。」

「な~んだ、そうだったのですね。悩んで損しましたわ。」(んな訳はありません、お顔がソックリですから信じませんよ。)

「アハハハ……そうだろうな。(やはり無理だ……すまん亜衣音。)」



 私は父の甲高かんだかい笑い声を後ろに聞き流して走っていた。……「クロ!」待っているよね、「クロ!」……。


「おう亜衣音、今日は……貸し……だからね……もう居ないのか。」

「穣さん、あの子ならもうクロに乗っかっているかもしれませんよ。」

「俺の苦労も知らずに、く~!!」

「親の心子知らず、ですわ。」

「んだな……。」




*)疾風迅雷


「もう私達だけですよ、さぁ行きますか。」

「んだな……。」

「きっとクロも嬉しいのでしょうね、とても言い声で啼いていますよね。」

「んだな……。」

「ねぇ穣さん、」

「んだな……。」

「今晩もお寿司でいいですよね。」

「んだな……。もう見えなくなったよ。」

「そう……ですね、可愛い娘ですよ。」

「んだな……。」


 私は校長先生にいの一番に挨拶をして次にホロお婆さまにカバンを預けて、最後にはクロを輸送してくれた麻美お母さんに抱きついてお礼を述べた。その頃になってクラスメイトが馬場に到着したのだ。 


「疾風迅雷!……クロ!」

「ブヒヒ~ン、ブヒ!」

「クロお待たせ……乗せて!」

「ブヒ!……ブヒヒ~ン、ブヒ!」


 ……突風が……。


「きゃ~!!」x4


 私はスカートのまま風を起こしてそのまま白いモノをちらつかせながらクロに乗馬したのだった。周りの者は息が出来ないように、呼吸を止めて私の雄志を目を見張りながら見つめていた。そんなのは気にも眼にもしなかった私。


「え!……うそ、だよね。亜衣音ちゃんが宙に浮いて馬に乗ったよね!」

「俺もそう見えた。印象的だよな~。」

「バコ~ン!」


「クロ! 行くよ、」

「ブヒヒ~ン!!」

「それっ!!」


 クロは最初から全力疾走を行って馬場のトラックに入って、私とクロが走った跡は突風が吹き抜けている。僅かに伸びた草の葉は大きく揺れるし、木製の柵は少し倒れて傾く。馬場の外周の桜の樹は沢山の葉っぱを散らしていた。


「わ~クロ、速い、速いよ、わ~凄いよクロ!」


 私の声には答えないクロ。代わりにより速く走って応えてくれるクロ。


「わ~凄いよ、クロ、わ~、速いよ、速い、クロ! クロ。」


 馬事公苑の外周はどれ位だろうか優に一千メートルは越えているようだ。私とクロの走りを見て驚きながらギャラリーが沢山集まってきた。麻美お母さんが馬場まで出てきて大きく手を振っているが、私は気にしない。周回を過ぎて三度目かな麻美お母さんの声がやっと聞こえた。


「亜衣音ちゃん~一分よ~凄いよ~……。」


 え? 名前と一分が聞こえたがその後はもう聞こえないのだ。この一キロの外周を一分で走ると考えたら鳥肌だ立ってきた。


「ホロお婆さまありがとうございます。よく亜衣音の心を読んでありましたね。」

「ほ~っほっほ~なんのこれしき。クロを全力で走れるように調整しておいただけじゃよ。儂の若い頃のようだわい、なぁ麻美。」

「麻美さんはまだ馬場ですよ。」

「あ~沙霧さんだったか。もう儂もボケたかのう。」

「いいえ全然ですよ。お芝居になっていませんわ。」

「うほ~さすが儂の孫だわ。上手いのう~。」

「孫は私です、亜衣音はひ孫ですよ。」

「おぉ?……そうじゃったかなのう。」


「馬鹿ババァ!!」

「なんじゃと~!」

「ほら、やっぱり聞こえている。」

「ふん!」



「亜衣音ちゃんは凄いね、あんな大きい馬に乗れるなんて……。」

「あぁホントだな、白くて綺麗だな~(うっとり!)」

「ごら~田中。何処見て喜んでいる。」

「あは~俺、好きかも……好きになったかも……。」


「藍ちゃん、田中くんはもう洗脳された状態のようだわ。もうの字だよ、なにを言っても無駄だと思う。」

「そうね、あの双子だって眼がキラキラと光っているわよ。あんたはどうなのよ明神さん。」


「私? 私は見学して~馬を見て触って……ラノベの主人公にします。」

「そうだね。私、そら~買うからね。」

から~買うからね??……そう言ったよね、そう聞こえたわよ。」


 クロのあまりの速さに私のスカートは腰に纏わり付いていて、その下には白くて綺麗な二本の足が男共の視線に晒されていた。浮き上がったお尻のスカートは激しく波打っていて、そこでも白いモノを晒していたという。



「きゃ~亜衣音!」x3

「亜衣音ちゃん……」x4

「亜衣音~~、」


「疾風迅雷!……クロ!」


 そう言って私は力が尽きて落馬してしまった。


 ……突風が……。


 私は風に守られてかすり傷一つも無くて芝生に転がった。気絶していたというからそのまま近くの大学病院へ運ばれて数日を過ごすことになる、南棟の402号室だ。401号室には記憶喪失で入院している女性がいたのはまだ知らない。


 その夜はクロと私のオンパレードの夢を目が覚めるまで見られて幸せだった。だが朝になっても私は目覚めなかった。脳も検査して貰ったと言われても十三日に目覚めたら何ら痛くもなくて私は「周りが騒ぎすぎよ、」と言うのだった。念のためと言われて十五日の火曜日まで入院させられて「あ~退屈……。」


「わ~とても良い香り……百合の花の香りね。」


 私は百合の香りで眼が覚めたのだった。だからお母さんにお花のお礼を言ったら、誰が見舞いに来たのかが判らないのだと告げられて驚いた。


 毎日悪友たちが見舞いに来ていたから、お母さんは入院の経過報告をしていたと言う。みんなも私の事はお母さんから色々と聞かされたと言うしね。


「亜衣音ちゃん、今日か明日かと心配して毎日お見舞いに来たのだからね。」

「藍ちゃんありがとう。でも死ぬのが今日か明日かと思ったのかな。」

「ば、バカ言わないでよ。縁起でもないわよこのお調子者が!」

「わ~ごめんなさい。」


 私と藍ちゃんのやりとりで次は明神さんと私。


「これは田中くんからお見舞いね。それにこれ、これは私がもの凄~く欲しいのよね。」

「なによ明神さん、勿体ぶらないでよね。」

「これね、ほんの先ほど馬事公苑に出入りする記者さんから頂いたのよね、いい?……ジャジャ~ン。亜衣音ちゃんとクロの写真だよ。もう惚れ惚れしちゃったな~焼き増しを頼んだから代金を払ってね、オリジナルは私が貰ってやったからね感謝しなさい。」

「ブッ! もう笑わせてくれるわね。早く見せなさいよ。」


「ふふ~ん、どうかしら。もう神がかっているわね。」

「え~どれどれ……わ~これが私なのかな……でも不思議~。」


 それは私が落馬した瞬間の写真だった。私はまるで宙に浮いているような錯覚を覚える瞬間でもあった。


「亜衣音ちゃん、まだあるのよね。これは全部亜衣音ちゃんの写真だよ。」

「キャッ、……パンツ丸見え……。」

「ね、ね、ね。これは田中くんには一万円でも売れるわよ、どうする?」

「うん、タダでいいよ。私の不徳とする処だもの。……でも、もしかして私は競馬新聞に載っていたの?」

「あれは~事故のようなものだからさ、きっと画像も悪いし、そのう、ね?」

「ふ~ん田中くんは喜んでいるのね、も~最低。」


「で、気になる見出しはなによ。」

「天災美少女、馬事公苑に現る。よ。」

「それ、ウソよね。天才美少女よね。」

「落馬しておいて、それはないでしょうが、」

「うん、それでもいいわ。」


 以上、私と明神さんの会話。


 私の写真は全部で十二枚だった。残りの十枚は取り立てて恥ずかしい写真は無くて、全部が私の活き活きとした顔が上手に収められていた。うちの一枚はクロの神がかりのような正面から写された一枚だったから私は鳥肌モノになった。


「ちょっと亜衣音ちゃん。……泣いていますの?」

「グスン……とても嬉しい。会ってお礼を言いたい、どのような人でした?」

「くたびれたおじさんだったよ、それと奥さんも居たと思う。」

「ふ~ん、そうなんだ。あ~そうそう、この百合の花は誰かのお見舞いか知らないかな。お母さんに尋ねても知らないと言われたの。」


「変ですね~……。お母さまでしたよ……ねぇ藍ちゃん。」

「えぇ、確かにお姉さまでしたわね。ねぇ立花さん。」

「おね~母様でしたわよ、妹。」

「うん、おねおかあさんだったよ。」


「なんなのよそれ、お母さんは知らないとハッキリ言ったんだよ。」

「不思議だよね。」

「う~ん。」

「あの女性はこの病室を出た時に私達に気づいてさ、横向きだったかお辞儀されたしね。」

「そうそう私達を知っていたよね。」


 若くて綺麗な女性で確かに沙霧さんの横顔と後ろ姿だったと四人は証言した。


 その、くたびれたおじさんと奥さんはナースステーションで頻りに尋ねていた。


「なぁ君。南棟の401号室に入院していた植物人間は何処に転院したのだい。」

「?……あぁ、あの患者さんは奇跡的に回復されて~確か十二日でした。翌日には入院費用を一括で支払いされましたが、それが何か!」


「そうか目覚めたのか、そりゃ~良かった。」


「シン。良かったのかい? なにも言わなくてさ。」

「枕元に写真を置いていたからさ、きっと気が付くさ。それとお前の下着と着物な、痩せているからきっと似合うだろう。」

「ふ~ん、お前さんにしては上出来だよね。(あれは下着ドロの上前だがよ。)」

「茶化すなよニキータさんよ。」

「茶化してはいないよ。シンが入院費を払ってやったんだろう? 古紙で一千万円をさ。」

「古紙で一千万円?……あれは日本銀行が泥棒の被害に遭った金額と同じじゃないか。」

「今からでもしょっ引くか?」

「無粋なまねはおよしよ。」

「いいだろう? どうせ穴を三カ所も空けられてさ後は焼却されるのだから。それに証拠はどうするのよ。」


「馬脚を現すかもしれね~クロを逮捕する。」


「バカだね……本当にバカだよ。気持ちがいい程ね。」

「確か被害は二千万円だったよな~?……ニキータさんよ。」

「ケッ、知るか!」

「どうせ競馬で当てた金だ、有効に使えて聖徳太子も喜んでいるだろう。」

「馬事公苑への紹介状を書いていたが面接を受けてくれたかな~。」

「三室程度だが寮もあるからきっと就職するだろう、ニキータさんにしては上出来だったよ。」

「あれな~……クロが連れてきた女だったからさ、直ぐにピーンと来たね。」

「俺には来なかったぞ、もう歳かな~。」

「下がだろう? 女子高生には手を出すんじゃないよ。」

「写真撮るんだ、手と変わらんさ。」

「今からでもしょっ引くか?」

「無粋なまねはおよしよ。」

「戻るなよ、今晩は何処に行きたい?」

「亀万に偵察行くか?」

「そうだな、あそこは有用な情報がドンドンと漏れてくるから最高さ。」


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