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人狼と少女 垣根の上を翔ぶ女 亜依音  作者: 冬忍 金銀花
第四章 退屈な高校生は反転、超楽しい……

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第38部 馬事公苑での出来事……


 1968年9月16日(昭和43年)東京


*)これから始まる再スタート


「おはよう!」

「おはよう!」

「オハー!」

「…………よ~亜衣音、もういいのか、」

「うん。田中くん今まで学級委員を代わっていてくれてありがとう。」

「?……なんでだ。もう俺が学級委員なんだぜ。」

「?……どうして、私だよね。」

「ハハハ……お前は一学期だけなんだよ、二学期は新しく選任だぜ、バ~カ!」


 私だけがずれていたので他のみんなは声を掛けられなかったようだ。私がクラスを見回したら誰もが私を注目してるだけだ。……ただ、ほんの数名だが。



「ちょ、ちょ~っち亜衣音ちゃん。……なんで今日は早いの?」

「あ、藍ちゃん。昨日はありがとう。」

「藍、俺がクラス委員だと教えてやってよ。こいつ、ボケているからさ。」

「そうね、そうかもしれない。私が重々(おもいおもい)言い聞かせておきます。」



 臨時の全体集会が行われて父さんが教頭に就任したという紹介であった。父には六畳間程度の個室と職員室の端に机が用意されていたのよね~窓際だから校庭も見渡せるのよね~凄いよね~。


 父の紹介は氏名と簡単な履歴だけであって、私との親子の関係はなにも触れられていない。だから私はクラスに戻ってもなにも言わなかった。


 父さんの最初の感想がこれだという。笑える! 私の為にありがとう。


「感触は、官職が閑職……になった、家族の為にグッと我慢だ!」


 だが実際には校長代理としての重要な仕事も振られた。校長が何処かしこへ出張とか、やれ教育委員会とか言って出て行くらしい。とても重要な仕事とは……私の後始末だった訳で……私には謝ることしか出来なかった。



 おっとっと、その前に……。それから一気に十月まで飛ばします。


 私にとっての重大なニュースが舞い込んで翌々日にはクロも来た。私には知らされずにクロは苫小牧の牧場を出発していた事に気が付いたのは十月に入ってであった。


「亜衣音、クロが呼べるようになったぞ。それもこれも校長先生が骨を折ってくれたらしい!……喜べ、」

「わ~やった!」


 高校の直ぐ横にある馬事公苑は1940年(昭和15年)9月29日に開園して、1964年東京オリンピックの会場にもなっていた所で、ここに間借りが出来て馬場も利用出来るという。私は馬術部の発足に尽力した。最悪、私の独りででも構わないのだよね。クロはとても大きいから見る者集まる者、皆は……怯えてしまう。とても残念なのよね、可哀想ながら例の四人が私の餌食になる。


 どうしてか田中くんも入部して来た、まだ無い馬術部に。


 だからだろうか十月に入って一頭の老馬が遅れて派遣される事に決まった。


「亜衣音ちゃん、肉になるよりもましだべ!」

「うん、ありがとう。……プっ!」


 麻美さんの言い方も可笑しかったが、他の部員用に用意されたからとても嬉しかったのだ。麻美さんの横に校長先生が立って私に一言が添えられたものだから、私には併せて大笑いにさせられた。


「この広い一画を蝶の舞うキャベツ畑にしても良いのだよ、人参もいいか!」

「はい……頑張ります……。」


 この高校は関東農業大学付属高等学校と言う。主な試験栽培の野菜はクロたちのエサに転用されることになる予定だ。


 その夜は祖父と肩を並べた校長先生と麻美さん。『母の醜態だ~!』と明子姉さん、それに意外なホロお婆さま。居間では私と両親と祖母の四人がひっそりとお酒を飲む。私?……梅酒の水割りだよ。


「ねぇねぇお婆ちゃん。お爺ちゃんと校長先生の繋がりがあったのですか。」

「それはねぇ、ひ・み・つ。」

「ふ~ん、八百長で検挙した検挙されたとか、だったら秘密だよね~。」

「東京競馬場の事かえ?……そんな事があったような……。」



「こら! 亜衣音。そんな事はないぞ。」

「はい、麻美さん。」

「おい婆さん、」

「はいはい……これは冗談で御座いますよ。」


 と、二人から怒号が飛んできた。これだから年寄りの地獄耳は嫌いだしどうして居間の会話がお座敷に聞こえたのだろうか。それからホロお婆さまが居間に合流してきた。


 もしかしてホロお婆さまが? はやり惚けはウソだったんだね。それから約一月もの間、ホロお婆さまも私と一緒になって父さんの車に乗って馬事公苑へと通勤? したのだった。クロへの想いが嵩じただけだろうか。 


 馬事公苑では時の老人ひとと揶揄されることとなっていた。


 そうして……、


 祖父母の家にホロお婆さまがそのまま帰らずに同居するようになった。その理由はホロお婆さまがおおよそ三週間を過ぎた頃に、一人の新人さんで若い事務員さんを馬事公苑で見つけたからだ。なんでも十月十一日に面接で翌日の十二日に入社してきたとか。この事件もクロのお陰なのかも知れなかった。




*)二十四歳ほどの? べっぴんさんが……


 勿論、二十四歳ほどのべっぴんさん……だ。まだ私も両親さえも知らない事だった。そう、私が馬事公苑に入り浸りになるまでは……。


 十月二十日から馬事公苑で部活が開始される運びとなった。直ぐにホロお婆さまから私は一人の女性を紹介されたのだ……った。祖母は涙を浮かべて紹介してくれたのだ。


「亜衣音さん、こちらは……。」

「え!……****?……、」


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