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人狼と少女 垣根の上を翔ぶ女 亜依音  作者: 冬忍 金銀花
第四章 退屈な高校生は反転、超楽しい……

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第36部 9月14日、級友の訪問を受ける


 *)九月十四日に私は級友の訪問を受ける


 私は午後から級友たちの訪問を受けた。今日は土曜日で半ドンなんだな、もしかしたら君たちはお昼ご飯抜きで来ていませんかね? 亀万のお寿司狙いだったら今日は外れだよ~お父さんが居ないからね。

*)半ドンとは、オランダ語と日本語の合体した言葉で主に九州で良く使われていた。博多どんたくのどんが語源になっている。半は半日の半だよ。土曜日は半分がお祭りだ~という意味ね。


「こんにちは~。」x4

「は~い、上がって上がって。」

「いいかな、」x2

「お邪魔しま~す。」x2


 私には級友が訪問してくるのがわかるんだな、だから玄関で待っていた。それも偶然を装わないといけないのね。それで四人は勝手知ったる亜衣音の家、とばかりに靴を脱いで二階へ勝手に上がっていくんだよ。


 おいおい……今日は手土産は無しかよ。お母さんと明子さんは買い物に行って留守だし、オマケにあの悪女たちを持てなす物がなにも無かった。水……でいいかな?


 私たちの笑い声を聞いてか、先ほどまで留守にしていた母が私の部屋にやってきた。



「あらあら楽しそうじゃない、いらっしゃい。」

「こんにちはお姉さま、お邪魔しております。」

「あら~、うれしいわ~……?」

「お姉ちゃん……、黙っていて。」

「あら、どうして?」


 母はうっかり「自分が母だ~」と言いそうだったから私は大声をだした。母の容姿では到底私が娘だとは認識されない。近所でもそうだったから全てを姉に統一する事になった。人魚の肉を食べて不老不死はあり得ない、世間の眼からして明らかに異物扱いにしかならない。


 私の怒った言葉に友人はドン引きか! 眼が大きくなって身も引いている。こちらの「ドン」は放送業界で使われている用語だそうだ。


「わ~ごめんなさい、つい大声を出しました。お姉ちゃんありがとう。」


 母はお菓子とジュースを持って上がって来てくれていた。母はニコッと微笑んで下がってくれたが後で謝らなくては。お菓子は蓄えが無かったはずだから急ぎ買い物にも行ってくれたんだ。歩いて三分くらい先に小さな駄菓子屋さんがあるから。急に甘い物を食べたくなったら買い物に行っている、その駄菓子屋さんに行ってくれた。


 またはお母さんが藍たちを見かけたので寄って買って来たのかもしれないや、ありがとうございます。



「亜衣音ちゃんさ、まだ学校出て来ないの?」

「うん、この前に悟ったんだ。歩けないとね、アハハ~。」

「そうね、駅からの二十分の徒歩には疲れるよね。」

「家からも同じく二十分だよ、この難関は厳しいよ。」


 女子高生の徒歩で二十分とは一キロメートルほどになる。車を避けて通るし信号だって幾つも在るのだし、ましてやまだ暑い季節に汗まで掻いては歩けないよね。


「亜衣音ちゃんは少し太ってきたみたいだね。」

「うん、そう。この前北海道の田舎からお客さまが来たんだ、あれから元気が出てきたみたい。」

「良かったね……。」


 等々、私は夏休みの出来事や新学期の出来事を聞かされて過ごしていた。


「う~ん女子会か~いいな!」


 と、ノックして入って来たのが明子お姉さんで今度はアイスバーが渡された。


「ありがとうございます。えぇ~と……明子さんですよね、亜衣音ちゃんには、」

「お世話をありがとうね。何か悪いことをしていたらさ、こそ~と教えてね。」

「う、逆なんですよ私たち。いつもノートを見せて貰うとか、後は~、」

「翠、それから先は御法度よね、忘れたかしら。」


「いいですよ、喫茶店くらい、たかっちゃいなさいよ。」

「え~ご存知なんだ、凄~い。」

「だってお互いが暇なだけですので、私がぁ根掘り葉掘り聞いていますのよ。だって亜衣音ちゃんはとても面白いんだもの。」


「お姉さまは亜衣音ちゃんをからかっていますよね。だって亜衣音ちゃんは口は堅いのですよ。」


「貴女たちは亜衣音ちゃんに騙されていますことよ、アハハハ~。」

「え~お姉ちゃん……ウソ言ったらダメです。私は淑やかでとおっているのよ、お姉ちゃんも追い出される口かしら。」


「いいじゃない、私も、ね?」


 それからの明子さんは場を和ませて引き上げるのだった。


「うわ~有ること無いこと全部バラされた感じがする。」

「いいじゃん。」

「良くはないよ。無い事も信じられたら、それは本当の事にされてしまうもん。」

「そうだね、全部本当だったのか。うんうん実に亜衣音らしいわ。」


「そうよね~!」x4


 いつものメンバーだから四人だね。


「ねぇねぇ……いつか海鮮もんじゃを食べに行かない?」

「未来、その情報は何処から仕入れたのよ、ま~たラノベかしら。」

「あったり~そうなんよ、そこのお好み焼きが美味しいと評判がいいのよね~。」


 と、うっとりするような表情で両手で頬を包み込んでいる。


「何処にあるのよ、ね~未来。」

「お~い戻ってこ~い!」

「……。」

「こりゃ~ダメだわ。」

「ね~他に美味しいお店はないの? 近いという条件が付くのだけれどもね。」

「それって……もしや、」


「いいわよ私がスポンサーで。でもちゃんと私を庇ってくれないと倒れちゃうからね。」

「未来~近くに在ったよね……ほら、なんて言うお店だったかな。」

「あ?……あ~あの具だくさんのラーメン屋かしら。」

「そうよ、それ。でもこの子には~……。」

「無理よね~。」x4

「え~どうしてよ、美味しいのでしょう?」

「量が半端なく多いの、今の亜衣音ちゃんには無理かな。」

「おにぎりだけでいいからさ、連れてって、」

「あ~私、賛成だわ。」

「そうね、一番高いやつ、あれ食べたい!」

「ゥグ~……少し分けて頂戴ね。」

「うんうん。」x4


 色気が全くない、食い気ばかりの会話が続いている。



「明子さんは早く帰らせる為に二階へ行ったのよね、もう降りてこないね~。」

「そうですね、もうご自宅に帰したい時間ですもの。でしたら泊めますか!」

「そうね、それもアリだわ。」

「お客様はあのままお義父さんの家に留まらせて、」

「私たちは楽が出来る。」x2


「だったら直ぐに決行よ、二人で説得に行くわよ。」

「はい、」

「あ、待って、穣さんに今日は帰宅出来ませんと連絡しないとね。」

「お母さん、落ち着いて下さい。そんな言い方だとお母さんが帰らないと意味が取れてしまいます。」

「そ、そうよね、ハッキリと言わなくちゃ、帰って来るなと。」

「はいはい、ウフフ……。」


 それから直ぐに明子さんとお母さんは笑いながら入ってきて、そうして私に鉛筆と紙を要求した。不思議な笑顔が逆に怖いくらいだから私は意味も分らずに従うのよね。


「亜衣音ちゃん、紙。」

「亜衣音、鉛筆。」

「なによ二人して、今用意するね。」

「そのまま友達の電話番号を聞き取って頂戴な、」

「え……はい?」


「ほら藍、電話番号教えなさい。」

「う~ん、いいよ。泊まってく。」

「え~、」x3

「次は明神さん、教えて。」

「いいわよ、xxーxxxxよ。」

「双子!」

「どうしようかな~。」x2

「早く、」

「うん、xxーxxxxだね。でも誰も出ない、二人だけだから。」

「ではお食事はどうしているのよ、教えなさい。」

「下宿が定食屋さんなんだ。土曜と日曜のお手伝いと毎晩のお手伝いで、タダ!」

「え~いいな。私も姉妹で下宿だけれどもね、自炊しているの。」

「可笑しいわ、もしかして妹さんに押し付けてはいないよね。」

「ピンポーン、正解。でも今日から妹は両親の元に出かけたから居ないわ。」

「へ~凄いね、北海道の田舎まで一人で行くんだ。」

「ううん違うわよ父の部下が迎えに来ていたのよ、あまりいい男では無かった。」

「藍ちゃん、イケメンの男が好きなんだ。」

「ち、違うわよ。そっちじゃないわ。もうお仕舞いよ。」


 

 お座敷にテーブルを出してここで夕食、フットワークが軽やかな連中だから台所とお座敷の往復は全部任せておいた。あ~楽ちんだわ~と私は座して待つ。


 夕食の献立はお客様の為に買ってきたもので十分だった。お母さんと明子さんは台所で飲み会になる。もっとも飲むのはお母さんだけだ。ま~暢気に過ごす事が出来て幸せだろね。反対にお爺ちゃんの家では急な買出しに走る面々が大変だろうが、こちらの女どもは知らんふりを決め込んでいる。



「亜衣音ちゃん、お風呂を沸かしたわ、勧めて頂戴。」

「うん、ありがとう。適当に入れておきます。」

「お湯もちゃんと面倒みるのですよ。」

「は~い、」


 お風呂も沸かせば後は勝手にどうぞ、と言うお母さんだった。でもね、お願いがあるんだよ。


 それから私は持っていないからね、


「お姉ちゃんたち、貸してくれるよね。」

「え!……そうね、貸してあげるよ、パジャマね。」

「うん、ありがとう。」


 母は電話を掛けてくれて無事に外泊許可を貰えた。二カ所に電話しただけだが母という肩書きはこういう時にとても良く発揮するものだ。これが父親だったら直ぐに娘を家に帰せとなるのかな、どうだろうね。



 夕飯から翌朝まではお座敷で過ごしたが恋バナは無かったな。


 今度、洋服を買って貰う時にはネグリジェも沢山欲しいからお強請りしよっと。


 翌朝の四人と一匹の朝食は明子さんがトーストを焼いてくれたのだ。それも沢山具を載せたトーストがだよ、これは中々に美味しいのよね~大好きなんだ。


「これは北海道のタマネギよ。」

「わ~美味しそう、」

「これは北海道のチーズよ。」

「わ~美味しそう、」

「これは北海道のミルクよ。」

「わ~美味しそう、」

「これは北海道のジャガイモよ。」

「わ~美味しそう、」

「これは北海道のチーズとタマネギよ。」


「私だけ、わ~ありがとう。」

「亜衣音ちゃんのはまだ作っていません、今トーストが焼けるわよ。ケチャップでいいかしら。」

「……はい、ありがとうございます。」

「モーニングコーヒーは用意出来たかしら。」

「う~……。」

「なんばしょうるとね、早くお湯を沸かさんかい。」

「はい、」

「……?」x4


 言葉のでない四人だった。明子さんは生理でもないのに機嫌が悪いのかしらね。あ~妊娠中だったか。


「亜衣音さん、貴女にはお台所の制空権は剥奪されましたのだわ。」

「え~うそよね、」

「あ~私たちもそう思うな。」x2

「藍~……、」

「……小姑には勝てませんわよ。」


 それから銘々でお皿やカップを片付けてくれるのだが、昨晩の事を思い出した。立花の姉妹は職業がらなのだろうか、お皿は重ねて台所に運んでいたのだけれどもね、未来はそう重ねずに一枚一枚を大切に持って運んでいたんだな。それが今朝になって明子さんの所作と重なったんだ。


「う~んこの二人は器に多大な優しさを持っているんだな。」

「どうしたのよ難しい顔をしてさ。」

「藍ちゃん、貴女は器はどうやって運んでいますの?」

「……聞かないで、」

「それって教えたとものと同じよ。」

「あ、しまったな。」

「アハハ……面白い事を言うのね、ウソでしょう?」

「妹よ、あれが片付けてくれるわ。」


「お母様、お邪魔しました~。」

「は~い、また来て下さいね、何時でも歓迎なんだから。」

「ちょっとおか、お姉ちゃん。」

「亜衣音ちゃん、また学校でね。」

「あ、待って、少しだけ送って行きたいから一緒に出るわ。」

「亜衣音ちゃん、気をつけるのよ。」

「はい、行ってきます。」


 翌朝四人はとても不可解な事を言って元気に帰っていくのだが、それは藍の口を衝いて出た言葉が意外だったから私は驚く。


「実は、担任の先生が交通事故であの日の翌日に亡くなられたのよ。」


 あの日、これはとても万能な呼びかただな。読み手が勝手に想像してくれて何ら違和感も湧かないのだから。藍が言うあの日とは、私たち母娘が杉田先生から車で送られて日とは限らないのよね。でもでも、藍が相手にしているのはこの私であるし、前回藍と会ったのもあの日に違いないかもしれないや。



「えぇぇ、ウソ!」

「詳しくは判らないのよね、ニュースにもならなくてね。」

「うん、教えてくれてありがとう。」

「とにかく面白い先生だったよね~。」

「明神さんは好きでも無かったでしょうが?」

「そうだけれどもね、名前が私の好きなラノベの名前と被っていたからね。」

「出た~ラノベおたく。」


 私はもう少し聞きたくて靴を履き四人を少し先まで送る事にした。明神さんの話しは出たら最後止まらないのだ。もっともオタク友達が近くに存在しないのが悪いのか、少しでも彼女に話題を振れば話しもブレてしまうのは普通。そう、オタクの方にだね。


「この前、面白いラノベを見つけたから一気に読破しちゃった。」

「一冊くらいは私だって読めるわよ。」

「藍ちゃん十九冊だよ。とこどこが分厚くてね私の希望する本の厚さに平均してみたら、そうね~二十冊にはなるかな。」

「ちょいとあんた、それを何日掛けて読んだのよ。」

「ん~……十日間くらいかな、寝不足ぎみだね。」

「もしかして、寝ながら読んだとか!」

「もち、……授業中もね。」


「中間考査の前でなくて良かったね。」

「う~そうだね。もし試験前だったら落第点を冠しているわね。」

「バッかじゃないの?」x2


「藍ちゃん、後任の先生は決まったのかしら。」

「暫定かもしれないのだけれども、今は木之本先生が代られているのよ。あの先生は二年生の受け持ちだったと思っていたのよね。」

「なんか変だね、あの杉田先生が死ぬ訳ないじゃん。」

「きっと何かの陰謀よ、新任の先生がいきなり二年の担任とか、それで杉田先生が死んだからいきなり一年A組の担任に下ろされるとか、あり得ない。」

「どうして下ろされるのよ、上げられた方でしょう?」

「あ、あぁ~、もしかして亜衣音ちゃんは階段のことを言っているのかな。」

「二年生は二階で一年生は三階よね。」


「ふ~ん確かに二階から三階へ上がっていますわね……。」


 ここまで聞いて明神さんと立花の双子が大声で笑い出した。私はこの前の学校の件を思い出すと割り切れない。では三年生は何処にいるのかな? 学校は普通三階建てよね? 俺らの時は一年生が木造二階建ての旧校舎だったか、二年生が三階で三年生が二階だったわな。


 杉田先生は私にある重要な事を言ったので殺されたのかと、ふと思った私が怖くなった。きっと左遷させられただけだよね。


 私は決めた。


「私も明日から通学開始よ!」

「えぇ~……。」x4

「なんで?」

「うん、明日は月曜日だもの。」

「違うよ……もしかしたら亜衣音さんは……、」

「そうね、毎日が日曜日だったかしら。」

「そうなんだ、明日は楽しみにしている。」

「藍ちゃん、ありがとう。」


「亜衣音ちゃんもありがとう、もう駅に着くから帰って。疲れてるよね。」

「あ、いや、それほどでもないよ。」

「だってお顔が暗いよ。熱いしお日様も当たって気分が悪いよね。」


「そ、そうね、倒れないうちに帰るよ。みんな、お見舞いをありがとう。」

「うんうん、」x4




*)お父さんを利用したフリースクールなの?



 私は皆を見送って帰路に就いた。家に帰るなり私は台所のテーブルに着いていて、とても疲れた顔をして居たのだろうか、母が水を出してくれた。私はコップを見つめながら、(ジュースじゃないんだね。)


「ねぇお母さん、この前の担任の先生を覚えているよね。」

「そうね、何だか気持ち悪い感じを受けたから良く覚えているわ。」

「あの先生が翌日に交通事故で亡くなったと聞いたの。ねぇ、何か変かな。」

「……亜衣音ちゃん考えすぎだよ、あり得ないと思うわ。」

「そうだよね……でもさ、父さんの教頭就任までは言ってなかったけれども高校への就職が決まったのよね、これはどうなんだろう。」


「お義父さまの口利きだったらどうかしら、どうも校長先生の繋がりがあるみたいな口ぶりだったよね。」

「それだったら転勤でもいいのに、どうして死亡説が流れるのよ。」


「亜衣音ちゃん、校長先生ってどんな人なのかしら。」

「え”……知らないわ。ただね、競馬が好きで馬刺しが好きなお年寄りだったかしら。」

「麻美お姉さんはそんな人を何処で引っかけてきたのだろうね。」

「謎だわ~、」x2


 教員免許を有さずに教育が出来るフリースクールを作るのかしら。


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