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人狼と少女 垣根の上を翔ぶ女 亜依音  作者: 冬忍 金銀花
第十三章 リフレイン……可逆の籠絆(ろうはん)

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第214部 新婚旅行……エーゲ海の島巡りへ!


*)アテネからの来訪者……一人の日本人男


 クリミア半島は領土問題でウクライナかロシアの二つを冠している。今はロシアによる実行支配となりロシアによって強引に併合されてしまった。


 今は1971年だからソビエト連邦の時代になる。そのウクライナ地方都市キーウに一人の日本人が滞在している。やや年老いた顔の深い皺にも関わらず背筋を伸ばした年齢を感じさせない動きをしている。


 名前は井上史朗という人物だ。人狼の巫女の歴史を辿ればバイカル湖よりも更に遡る地方だと分かったとか。案内係に現地のロシア人を雇用していたが無意味な? ガイドだったらしくて、現地で解雇してしまったとか。


 この男はクリミア半島の中央に位置するロシアの施設が在る、ヴェショロエと言う街に来ていた。此処でロシアの軍施設に行って新たにガイドを頼んでいた。


 一応はソビエト連邦と提携している人狼の研究において、伝手を頼り赴いたという。ある意味では無料のガイドと足になる車を調達したと言う事だ。見返りは人狼の情報だろうか。


 ソビエト連邦の人狼研究の第一人者は日本で不幸な結末で、天国か地獄か将又はたまた人狼の祖国が在るという異世界に転生している。その後継者が育っていないから人狼の研究は頓挫していて、今では文献のみが残っている。


 ウクライナはいい意味ではないが、政治が腐敗しているらしい。偏にソビエト連邦の血を脈々と受け継いだだけだろうが。軍の上層部に袖の下に押し込んでしまえば、こちらの意のままに動く傀儡となってしまう……らしいのだ。


 井上史朗が若い時に洋行して知り得た情報だ。日本も遜色はないのかも知れないが。井上はそこで年老いた一人の兵と若い車の運転手を確保している。


「中尉、トラックの準備が出来ました。ガソリンもドラム缶で用意しております。」

「ありがとう。では大佐、荒れた土地だと聞き及んでおりますが案内をよろしくお願いします。」

「中尉お任せください。かつては自分の庭のような土地ですわ、ア~ッハッハ~。」




*)私たちの新婚旅行……船旅へ


「ケッ! 尻の痛くなるバイクにはな、そうそう乗れるものではないよ。船だ船で旅に出る。」

「バイクを海に捨てていくの?」

「இஇஇ……。」


 私の言う事に何も言い返さなくなるマイケル。トンチンカンな私にホトホト? 呆れたご様子。こんな私を相手にするだけで疲れるマイケルではないと思いたい。


 綺麗な街のアテネからフェリーに乗って、一路……南に向けて船は走り出す。何処まででも碧く澄み渡るエーゲ海に畏怖さえ感じてしまうのは、泳げない私の心がそうさせるのだろ。港から出て直ぐに船室に引っ込んだ私を無理矢理に引き出すマイケル。


「お前……船が怖いのか。ミコノス島から渡って来た時は俺は何も感じなかったがそうなのか?」

「あんた、あの時は私の大きな胸ばかり見ていたじゃないの。ちゃんと知っているのよ、ば~か!」

「そぅだったかぁ~?」


 何時にもまして気の抜けた返事をするマイケル、今は何を考えているのやらね。多分だがこれからの旅行が新婚旅行になるから喜んでいるのよ、きっとそうだわと思いたい。


 で引き摺られて連れて行かれた処とは船の二階で少し広いデッキだった。此処に二人がけのテーブル席が七席も在ったのだ。白いテーブルには真っ赤なバラの花が飾られていて、つい先日のマフィアたちの行いを思い出してしまった。


 でもね……。


「この席だ、キープの名札も置かれている。」

「……わぁ~マイケル、ありがとう……ございます。とても嬉しいです!」


 これは夫のマイケルへのリップサービスだ。ヘン! こんな事で喜ぶ私ではないや。赤ワインを運んで来ても喜んでやるものか!


「綺麗なバラ、それに……?」

「あぁそれな、ありすへのプレゼントだな。開けてもいいぞ。」

「うん……何かな~……ペンダント?」

「あぁそうだ、無色透明な綺麗なガイアクォーツだが、巫女の魔力を込めていけば真っ赤になって光輝くという特別品だ、どうかな。」

「わ~ありがと~マイケル。嬉しいわ~……。」


 前世では前の奥さまの形見だったはずだが、何時まで経ってもマイケルからプレゼントの気配が無かったから、少しは心配して気を揉んでいたかな。


 私は大事そうにこのペンダントを両手で包んで……、


【エアー・インパクト!】

「おいおい、ここで魔法かよ!」

「はい、これだと直ぐに船が沈んで……違うわよ、ガイアクォーツは光るのだからね、見ていて。」

【エアー・ドライヴ!】 

「うわ~船が沈んでしまう~……。」


 周りの人たちは一人で喚いて騒ぐマイケルを見て喜んでいるよ、恥ずかしくはないのかな、このバカは。


「何ともないのか、船は……?」


 私は両手で包んでるペンダントを、両のの親指の隙間から覗き込んだ。そこには赤く光るガイアクォーツがあったのだ。


「うふ~ん、これ……どうなったと思う?」

「いや、無職透明だと思う。俺は無職だからな~。」

「バコ~ン!」「グワ、イテ!」

「真面目に答えなさいよ、どうなのよ。」

「そうか……もう赤くなったのか。良かったよ。」

「え~どうして分かるのよ、も~~~~意地悪。」

「意地悪と言われてもな、困るよ。それは先祖代々に伝わる地球ガイアの水晶でな、正統な巫女が持てば赤くなると言う国宝級の逸品だな。」

「うん、ありがとう。大事に次の巫女に託します。」

「そうして欲しい、俺も寄る年波には勝てぬ。だから俺を先に死なせてくれ!」

「バコ~ン!」 「グワ、イテ!」

「冗談は名前だけで十分よ、何よ縁起でも無い。今ここでエーゲ海に落としていいのよ、そうする?」

「ゥェイ、ゥェイ、待ってくれ。俺が悪かった、謝るから……悪かった。」

「そう、私……新婚なのよ、分かる?……解りますかな、このオタンチン!」

「ゥキョ~~~!!」


 私のひと言が周りの女性の観光客を大いに喜ばせてしまった。対して男の方は島に着いて直ぐ薬局にバイアグラを買い求めに行ったそうだ。


 バイアグラは単価が八千円ほどで薬局に売られている。ま、マイケルには必要はないよね?


「花嫁は大事になさい、逃げられても知らないわよ。」


 そう考えた瞬間、人狼の王子様ってこの世に何人存在しているのかと疑問に思う。


「はい、大事に致します、致しますとも。一寸、売店まで。」

「私も行ったがいいかな、海に落ちるとか考えないのかしらね。」

「なに大丈夫だ。ここは一番奥だからな。」


 ここは二階のデッキにある席だ。手すりを乗り出して落ちても一階のデッキや通路になっている。大きくジャンプして飛んでもやはり同じだろう。


「一緒に行きたい。」

「分かった、行くか。」

「うん、」


 マイケルは私の気を紛らわせる事に専念していたのだ。だから私の心は晴れてエーゲ海の碧と同じになったし、晴天も同じく碧だ。


(女は単純、単純?)マイケルの心ではそうなのかもしれないが、それでもいいのよね、女の方はね!?


 船は一度シフノス島という小さな島、観光地を訪れる。ここでも白くて綺麗な教会が在って、見えている車の多さからみて、今正に結婚式が行われているかな。


 マイケルとしては赤ワインを飲んで船酔いにもなったらしくて、大いにゲボゲボとワインクーラーに顔を埋めている。この一見して高そうなワインクーラーはもう弁償するしかないかな。


「あ~私が買った椎茸の串焼き十本が効き過ぎたのね、ごめんなさい。」


 赤い鷹の爪も振り掛けすぎたのよね? 男を潰すのにはとても効果がある椎茸と赤唐辛子は、多すぎると即効性の死に到る食べ物だ。こんな事を高校の体育科で教える先生がいた。


 焼津の半次が街中で奥方の相談に乗って椎茸と唐辛子を亭主に食べさせろ”と言って、翌日に亭主が死んだとクレームを受けている。今も存命の品川隆二さん。


 私は仕方がないので客船のチケット販売所に行って、今日は降りますので明日の船に乗せて下さいと、依頼したのだった。受付の大きい女性は快く手配をしてくれて有り難かった。ホテルに行った。


「船酔いが酷いのでお世話になります。」

「あ~娘の紹介のジョウナンさまですね、はい、ご案内いたします。」


 何の事はない受付嬢にしてやられていたのだった。宿泊費は普通に高い? 金額までは聞いてはいなかったから。


「ぅわ~大変、マイケルのバイクを降ろすのを忘れたわ!」

「なに~……、」

「もう戻らないわね、バイクは。」

「そんな~……いや、そんな事はない。明日の船で行けばまだ間に合う。」

「次はね、三日後だって。だからここで新婚旅行を楽しみましょうよ。」

「இஇஇ……。」


 翌日のマイケルは寝込んでしまい、私は独りで島の観光巡りをして楽しんでみた。


 【陶芸教室】という看板が眼に入った。今日この日から船が出る時まで通うのだ。思う存分に土を捏ねて器作りに挑戦したが、途中は大きな何やらを創って楽しむ。周りからは拍手喝采を受ける自分が恥ずかしい。


「マイケルって、これ位だったかしら。」

「キャ~……素敵ー……アハハ……。」x?

「あら私ってマイケルの何を作っているのかしら。右手を作っているんだけど。」


 何の事はなかった。カッコイイハンサムマイケルが私の後ろに立って見学をしていたのだった。


「おいおい、随分と人気があるじゃないか?」

「キャ……マイケル~、驚かさないでよね、お陰で作品が潰れたじゃないのよ。」

「ありすが急いで隠すからだろう。それとも何か? 故意に潰したのか?」

「あ、いえ、それは~……。そう言えばさ、どうやって私を見つける事が出来たのよ。私は行き先を告げていなかったわよね。」

「匂いで分かるさ、何処に居たって俺はありすを見つける事は出来る。」

「へ~そうなんだ。」


 さっきは私の後ろで此奴は、きっと可笑しな顔を作っていたに違いないわね。だから周りの人が笑っていたんだ。


「狼の臭覚も犬なみなのね。」

「茶化すなよ、朝出かけるありすを追いかけていただけだ。」


 私も人狼の巫女だ、マイケルの尾行なんかは直ぐに気がつくのよ、絶対だよ? となると、マイケルは私に嘘を吐いた事になるのかな。後で聞き出そうね。


「でも今はもうお昼よ?」

「だから迎えに来たよ、お昼に行くぞ。」

「あ、そうね、お腹はペコペコかしら。それでどちらに?」

「Camaron……地中海料理と熱々のピザが美味いんだよ。」

「そうね……マイケルはカロリーを控えてね。お腹が出すぎよ。」


 Ag. Marinaの街中を散歩するようにして歩いていくと、あちらこちらにも焼き物のお店が並んでいた。朝一に通った時はこんなに沢山の器なんて並んでいなくてある意味、新鮮に思えた。マイケルはこんな風景を私に見せたくて、色々な街を見て探していたのだろう。心優しいマイケルに、ついホロッとなってしまった。


 でもね、マイケルの尻ポケットに観光案内のパンフレットが差し込んであったのよね……、これどう思う?


 マイケルからプレゼントを首から掛けていたから、ガイアクォーツのペンダントは少し土が付着していた。随分と乾いていたからきっと昨日に付けたものだと思うのよね。すると……あ~これを見つけて私の居所を推察していたんだね。


「マイケル。」

「あぁ、どうした。」

「うん、何でも無いよ。もう着いたかな。」

「着いたな、あそこに見える茶色い瓦のお店だ。」


 三階建ての家々が並んでいて、何処も青い窓枠に手摺りも青ときた。そのコントラストは異国情緒が出ていて綺麗だとは思うが、街並みは日本みたいに飾り立てが無いし植木類も無い。緑が無いのがこんなにも寂しいものだとは知らなかったな。


「ここにブーゲンビリアが在るだけね、でも大きくはないな。」

「仕方ないさ、雨が降らないから木々も育たないだろう。ありすが考える、その水やりな、水道水を遣ればいいのだが水の代金は高いのだな。」

「そうなんだ、日本は贅沢に水やりしているものね。断水中にも関わらずにね、大量の水を庭に撒く人が多いのよね。」

「今でも日本は水がタダだと考えるんだろう。贅沢だよな。」

「そうね……、表のテーブル席でいいかしら?」

「いや、屋内も凝っているから一見の価値あり、中に入ろうぜ。」

「うん、そうだね。」


 私は陶芸教室で夫婦茶碗を作っておいた。今日はこれで陶芸教室も終わるとするかな。マイケルは私にまだ何かを隠している雰囲気が漂っているな~。何かな?



「うわ~店内は緑で溢れているのね、素敵~……。」

「だろう? だから一見の価値ありなんだよ。得にあれがな!」


 マイケルの視線を辿れば……色々なウイスキー瓶が並ぶショーケースに行き着いた。私にお酒の相手をして貰いたいのだね、いいわよ受けて立つからね。


 このお店にくだを巻く夫婦、後にホテルに帰る事もままならず。直ぐ先の浜辺で夜を明かす、


「ほら、今日が満月なんだぜ!」

「バコ~ン!」「ぐわ……イテ~、」


 事にはならなかった。浜辺の夜はロマンチックだと思っていたが、湖みたいに波がないからBGMが無くて淋しい。何処まででも静かな夜だった。いや私が怒るまでだがね。


「ごら~ホテルに帰るぞ!」

「はい~直ちに~……。」


 タクシーなんて通らないから歩いて帰る羽目になる。もう一度ぶっ叩いてやりたいマイケルの頭。


「こんな静かな夜は大歓迎よね、マイケル。」

「そうだな、マフィアたちがいないと淋しいな~。」

「バコ~ン!」「グワ、イテ!」


「お姉ちゃん、もうホテルに帰ったがいいよ!」

「え”……誰?……誰よ。」


 確かに後ろで女の子の声が聞こえたと思って振り向いたが、そよぐ風もない月夜の真夜中、子供が居る方が不自然なのだ。


「マイケル。幽霊が出たよ、怖いからホテルに帰ろう?」

「今帰っているだろうが、……?」

「どうしたの? マイケル。」

「いや、何でも無い。きっとご先祖さまが出て来ただけだろう。」

「ギ・キャ~……冗談でもそんな事は言わないで、お願いだから。」

「随分と怖がりだな~……ほら、辺りには誰も居ないよ。」


 マイケルの視点は違った。車ドロボーの目つきをしていたのだ。直ぐにマイケルは一台の車を動かした。それも直結が出来るような古い車をだ。


「ま、いっか! そうなるわね、うん。」

「帰るぞ!」

「は~い、安全運転でお願いね?」

「だったら降りて歩いて帰る事を勧める。」

「そ、そうだよね、うん、歩いて帰る。」

「亜衣……ありす、待ってくれ。ちょ~スローで帰るからさ。」

「私の名前、言いかけたわね。いいわよ好きに呼んで。さっきはハッキリと名前呼んでいたわよ。」

「あ!……そうだっか? 知らないな~。」

「いいわよ、べ~だ! ウグ、グググ……。」


 私は強引に口を塞がれてしまった。マイケルの問答無用は初めてかしら。


 そんな私たちの横を一台のパトカーが通り過ぎる。なんだ、これが目的だったんだね、感動した私が悪かったわ。


「帰るぞ、今度こそな。」

「はい、シャワー浴びたい。」

「もう遅いからお湯は出ないだろうな。海に投げ落としてやるか?」

「それ、私の方が得意よ。マイケル……?」

「冗談です、すみません。」


 ホテルの玄関は閉じられて鍵さえも下ろされていた。怒ったマイケルを私は宥めてドアの破損は免れる。ドアを数回叩いていたら迷惑そうなボーイさんが出迎えてくれたのだ良かった。


 火照る身体に水のシャワーは冷たい。冷えたらマイケルに温めて貰えば……貰えば、貰えればいいのだが。ウルサイ鼻に指を突っ込んで黙らせて悶々として眠る。



 翌朝のガイアクォーツはひときわ明るく輝いていたのは何故だろうね……マイケル?



 今日はこの島を訪れて三日目になる。陶芸教室に行って夫婦茶碗を受け取る約束だ。割れずにお渡しが出来る確率は八十%だと聞かされているが、心配だ。陶芸は土を捏ねるだけでは作品にはならない。だがしかし、素人でも出来上がるような粘土をあらかじめ用意している。割れにくい、空気を含まない粘土を用意しているのだと考えている。


 だって小学校で作った器は割れていた。中学ではカップのつまみを私の目の前で先生が外してくれた。これで評点が上がったのは言うまでもないが、五十点中の? 四十五点だったか。中学の美術の先生の試験は、半分を筆記試験にして残りの半分は命題を出して絵を描かせていた。上手な絵は切り取られていて上の筆記試験の紙が返されていた。偶に私も返されない時があった。絵っへん!……絵変?


 陶器の釉薬はお店で掛けてくれる。焼ければ二十%は縮小すると言われていた。


「嬢ちゃん、出来ているよ。上手だね~。」

「わ~……これがお湯のみか~。何だか可愛いな。」

「この大きい方が俺のだな、ありす、ありがとうな。」

「いいわよ、図柄も良いでしょう。気に入ってくれて嬉しいわ。」

「当たり前だろう……。」


「ゴッホン!」


「あ、すみません。夫婦の世界に溺れていました。」

「手に取ってみて下さい、旦那さん。」

「あいよ、これはいい……あの~接着剤は売っていないのかな。」

「இஇஇ……。」


 陶芸教室の主人は丁寧に扱うので、ひびが入っていても割れてしまわないのだろうか。いいえ馬鹿力のマイケルが悪いのよ。


「マイケルは触らないで……あの~接着剤は何処で売っていますか?」

「ゲラゲラゲラ・・・、」

「இஇஇ……。」


 ノグチゲラが大口を開けて笑っている。ここぞとばかりに私は大きく開いた口に唐***を突っ込んでやったわ。赤い爪のような、テカテカと光る……あれだ。


「ありがとうございます。大事に使います。」

「ごめんね、割れたのも俺のせいだからね。」

「いいえ、家の亭主が悪いのですよ。気にされないで下さいませ。」


 二つの湯飲みの破片を組み合わせて新聞紙で丁寧に包んでおいた。何処かで接着剤を買って合わせておこうか。


「ありす、もう用件は済んだかな。後二時間だろか。」

「そうね、近くのレストランへ寄って時間を潰しましょうか。」

「俺は酒は飲まないからな。」

「当たり前です、もう飲ませませんよ。」


 前十五分になってフェリーに搭乗した。桟橋を渡るのが少し怖かったが誰かに笑われるのも癪に障る。我慢して手摺りを触りながら登った。


「おい、そっちは港浚渫の作業船だぞ……ガッハハ~……。」


 緊張の余り船を間違えてしまったらしい。目に付いた登りの足場に歩いて向かったのだと思うわ。登り切った処で声を掛けるなんて、私に喧嘩を売るに等しいわ。


「マイケルの意地悪!」


 私は意外にも抜けているのだと……思いたくないな。船員さんも笑っていたな。


 更新が遅れておりますので推敲はいたしておりません。誤字は笑って放置して

下さい。このまま暫くは亜衣音の新婚旅行にお付き合い下さい。

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