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人狼と少女 垣根の上を翔ぶ女 亜依音  作者: 冬忍 金銀花
第十四章 亜衣音の幸せな……β世界線

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第205部 宴の後から日常へ ……藍に実母が?


 1975年5月4日 東京



 うちの家族はだらしない。だって皆してお酒を飲むものだから、日頃の夕食はいいのだが今回のような特別の宴席では食い倒れ””である。お座敷はお酒臭いしお銚子やお皿は放置したまま。翌日になって片づけるのが常なのだから。


 私は自主退院の日を間違えたか、土曜日だという事を気がつかないでいた。明日はというか既に明日の日曜日になっている。誰もが起きない、唯一は陽葵と凜が起きてお乳を催促してくる。


 私と子供たちは二十一時には自宅に帰って休んだ。マイケルは放置あるのみ。きっとヒグマと尻を並べて寝ているはずだ。だから朝になって母屋へマイケルを起こしに行く。


 事件が起きていた。お座敷や台所には沢山の器が散乱している……いや、綺麗に片付けられていたのだ。


「うわ~律儀な藍ちゃんだわ~。ここまでして私に忠誠を尽くす必要はないよ。会ったらお礼を言わなくちゃね。」

「わっ、酒臭っ!」


 この場はこれでお終いにして私はマイケルを探して、見つけた尻を蹴飛ばす。早く起きてくれないと陽葵と凜にお乳がやれない。それにさ、夕陽と理沙にも朝ご飯を出してあげないとね。


 藍の書き置きがあった。冷蔵庫に子供たちの朝食を用意しているから「温めて食べさせてね」と書いてある。それから冷蔵庫を物色していたら家の奥からゾロゾロとゴキ……いや妹たちが出てくるではないか。


「お姉~ちゃん……お腹空いた!」x?

「やべ! 私一人では太刀打ちが出来ないわよ。あ~んマイケル~……。」


 食器棚を見たら子供用の器が並んでいた。流石は藍ちゃんだ助かる~。先に牛乳を出しておいて食パンを焼いてあげた。一度に二枚しか焼けないので一枚を半分にしながら順次食べさていく。おかずは多少冷たくてもいいや、食えれば文句は出ないからね。


 そう言えばマイケルの尻を蹴飛ばして起こしたが、うんうんと言っていたにも拘わらず未だに起きてはこない。恐ろしい程に飲んだに違いなかった。


 酒瓶は勝手口に置いてある木製ケースの中に収められている。これも全部が藍と田所さんが片付けてくれたのだろう。どんだけ酒屋さんには寄付をすれば済むのか考えたくもない。一番の上お得意様だと思うね。


「そんな事はどうでもいいから早く陽葵と凜を連れて来なくては!」


 妹たちだけに朝食を出す訳にはいかないのだ。自宅に置いてきた四人も母屋へ連れて来なくてはならない。だってマイケルが起きてくれないからね。


「私だってお腹が空いたかも!」


 食パンの耳を囓っていたらまだ食べたいという妹がいて、私に上目遣いでねだって来るのだ。もう敵わない……だって可愛いモン!


「藍がいたら助かるのだが今朝は起こせないな。二人の事情は分らないがゆっくりと休めたらいいかなと考える。」


 泣きじゃくる陽葵と凜にやっとお乳をあげられれて、それに今では妹たちの全員が保育室で遊んでいる。お父さんのこの発案は素晴らしいわ。


 冷蔵庫の上に古ぼけた写真が在ったのを手に取って眺める。藍が忘れたのだろうか、これを見て昨晩の七五三という話題にようやく繋がったよ。


「これは一大事だよ、藍ちゃんにお母さんが二人もいたなんて。」


 子供はどことなく藍の面影が残っているし、母親の方は今の藍にソックリという程ではないが、良く似ている。初見だからだろうか、何度も見ていては似てるとか思う第一印象とかはないからね。


「そっか、道理で藍ちゃんが両親に阻害されていたわけだ。怖い妹さんがいるけどお父さんと行動しているらしいのよね。」


「お母さんか~……良かったね藍ちゃん。」


 母娘の事は私には口出しは出来ない。なるようになるさ、ねぇ藍ちゃん。写真は元の場所へと戻しておいたよ。


 この後、難問が降りかかる。そう……お昼になっても起きては来ない家族たち。保育室からは漏れなく、これまたゾロゾロと妹たちと兄妹も出てくる。


 やってられないよ~。それで私が取った行動はね……沢山のお菓子をお座敷にばらまいてやったわよ。後は知らないよ~だ。


 そう言えば昨晩帰宅したが、居間に家具が一つも置いてなかった。ただ一つ、ソファが在ったがどういう意味だろうか。



*)藍の実母……


 自宅に帰っても何も出来ない。食材を探すも冷蔵庫は空っぽでありこれでは昼食は作れない。仕方なくシアハウスのリビングルームに行って冷蔵庫を漁っていたら藍が起きてきた。……良かった~。


「おはよう、気持ち良く眠れたかな。」

「ふぁ~……亜衣音ちゃん、オハー。」

「藍ちゃん。朝は助かったよ、ありがとう。」

「え、何が?」

「子供たちの朝ご飯よ。もう誰も起きては来ないので一人でパン焼いてやったわよ。それにさ、昼になればま~たゾロゾロと湧いて来たのよね。」

「アハハ……可笑しい。それは大変だったわね同情してやってもいいわよ。それで何しているのかな……大家さんは!」

「え”、あ、そうね、ドロボウさんかしら。買い物にも行けないし自宅の冷蔵庫は空っぽでね、仕方なく……。」

「ふ~ん、だったら何か作るわ。田所さんの宿泊のお礼ね。」

「ありがとう~。私もお腹が空いているのよね、お乳を出すのも大変だよ~。」

「そうね、あ~私にも白馬の王子さま……居ないかな~。」

「玉子料理出来ないかな。」

「王子……玉子? 嫌な人。バ~カ!」


 私は田所さんの事は敢てスルーした。藍ちゃんが話すまで待つ事に決めたのだ。


「遅めのお昼ご飯になったわね、チャーハンでいいかな、ご希望の玉子も入るからいいよね。」

「はい、上等であります……アハハ……、」


「ごめ~ん、ご飯が無いや。」

「あじゅ!」


「これからが大変だね、私は暫く買い物も出来ないし……。」

「あ、そうそう昨日ね、スーパーに買い物に行ったらさ、獣人族の女の人が居たのよね~少し驚いたかな。」

「ウッ……そ、居る訳ないでしょう……いくら異世界の物語がさ流行っていても。」

「居るわよ、少し長いスカートの裾から茶色いシッポが出ていたのよね。タヌキみたいな色合いだったな。」

「獣耳は無かったのかな。」

「残念! 定番の帽子を被っていたわ。だから獣人族に間違いないわ。」


 偶々スーパーで買い物してレジに並んだ、先の人が女の獣人だなんてあり得ない。シッポがタダの飾りよね……? 久しぶりに見たかなシッポをね。


 スカートの裾ばかりを見ているのか、と責めないで欲しい。だが不思議と言えば不思議だね、突っ込みは無くていいからね!


「シッポとかいいからさ、今日からの買出しは誰が出来るかな。ソフィアには無理だし藍ちゃんは忙しいよね。」

「そうね、どうしようかしらね。お手伝いさんの採用は難しいよ、いっそ智子に頼んだらどうよ。」

「あれは~無理だよ。だって自炊が出来る性格ではないよ、八百屋の親父にさ捕まって沢山買わされそう、」

「言えてる~。眞澄もね、そんな感じかな。お魚をトロ箱で買ったりしそうね。」

「似たものが連んでいるからね、」

「連れないな~。」

「アハハ……、」x2


 とある朝市に行って鯖を二尾購入しようとしたが、こんな数では売れないからと奥から更に四尾の鯖を出された事があった。でも直ぐに奥にとって返して更に両手には二尾の鯖を掴んで来たよ。漁師の奥さんだったのかな、今は小ぶりの鯖なのだがあの頃は大きいのよね、参っちゃった。全部でね八尾だったかな? 重たいのに買いましたよ、えぇ買いましたとも。


 小さな通りに大勢の買い物客で賑わっていたわね、日曜日の朝市。


 これぞ、眞澄の性格そのものだよね。あ、そうよ、丁度同じ1975年5月位だ。だって私が都会に出て来ての買い物だったな、それも姉と一緒なのよね。


「へ~実話だったんだね。」

「そうよ、悪い?」

「いいえ、全然よ。それで買い物よ、誰に押しつけるかよ、委員長は殆ど来ないし海斗は才能なしの盆暗ね。」

「うわ~誰もいないじゃんかよ。」

「仕方ないわね、この女実業家の腕に任せんしゃい!」

「は~い、よろしくお願いします。」


「ちょっと行ってくる。」

「買い物?」

「違うわよ朝風呂よ、入っていないのよね。あんたは赤ん坊を入れていたわね。」

「うん、どうにかなったという感じだよ。マイケルはまだ起きてはこないからさ、どうしようかと悩んでいたのよね……藍ちゃん。」

「やめてよ、でも夕飯の材料は昨日の買い物で間に合うように買っておいたわよ。お礼を言うのね。」

「ありがとう~~ございます。」


 私のご飯なんて初めから作る気も無かった藍ちゃん。私に背を向けてお風呂に入りたいからと自室へ戻るというのよね、バカ藍が! まんまと乗せられた私がバカなのか。


 お腹がグ~と鳴いたから、それで理解できたわ。……人参を洗って囓る。これが私のお昼なのだから叶わないな~。


 人参を囓って家に戻る。マイケルも起きて二人を連れて戻っていたが、ソファで二度寝の体たらくだ。足下にはゴロゴロと兄妹が転がって遊んでいるのだ。そのうちに夕陽がソファーの背もたれに登ってマイケルの腹に飛び降りていた。いや落ちたのか。


「ぐゎ・・・!」

「キャッ、キャ!」

「あら、起きてきたの。お腹は空いていないよね。」

「ウグググゥゥ……、あぁ大丈夫だ。夕食まで我慢出来る。」


 私が作れば食べる気満々のようで、怒っている私はマイケルを放置する気が満々。この腐れ亭主に夕食の材料の買い物を頼もうとは思わない。頼んでイライラすると思えば幾分かは気が楽に思えるから不思議だ。


 夕陽はマイケルに抱き上げられて、マイケルの胸の上に跨がり顔をペチペチと叩いて遊んでいる。理沙は床の転がってオモチャで遊んでいるか。


「あ、そうだった、買っておいたぞベビーベッドを。」

「え”ホント! 何処に置いているのよ。」

「まだ組み立ていない、昨日帰って用意するつもりでいたが忘れた。店に置いたままだな。」

「う~早く用意して。このリビングルームに置きたいのよね。此処ならば家の中心だから何処に居てもいいのよね。」

「分った、直ぐに用意する。」

「マイケル、この部屋から家具を出したのはどうしてなの?」

「ディスマスが色んな物を飛ばすから全部移動させたよ。何も無ければ家も傷むことはないだろう。」

「な~んだ質屋に売ったかと思ったじゃない。」


 その後マイケルは胸の上の夕陽を、ソファーに寝ながら両手で高い高いしている。流石に理沙も楽しそうな夕陽を見ては自分も自分もとせがんでいる。だからか、理沙もソファーの背もたれによじ登った処で私が掬い上げて、マイケルの顔に落としてやった。


「で、何時になったらベビーベッドを持って来るのかしら!」

「あ、やべ! 忘れていた。」

「も~役立たずが!」


 私が少々大きな声を上げてもすっかり動じなくなった馬鹿マイケル。二日酔いの所為もあってか動作が緩慢だ。


「夕飯抜きね、」

「はい、直ちに!」


 マイケルはすぐさまベビーベッドを持ってきては組み立てる。見ていたら早いのよね。流石は男と見直す。だがマイケルは人狼としての魔力は持っていないのに、夕陽は何故か巫女の魔法が使えるのが常々不思議に思っていた。お母さんに訊いてみても人狼には魔法使いは居ないというのだ。こう考えるとうだろうか。夕陽は女児として産まれる予定が、あら不思議女の子の姿に変身しているわ!


 こんな事をマイケルに話したら馬鹿呼ばわりされたわ。


 大概で疲れたと寝にはいる。朝から体力全開で動いていたからか、いや長期入院で体力が無くなった所為だろうね、もう立っているだけで精一杯になった。パンの耳だけでは足りなかったようだ。人参だったか?


「マイケル。母屋に行って食べ物を貰ってきてよ、もう腹ペコで限界灘よ!」


「そうか、今晩もお世話になるか。」

「இஇஇ……。」  


 この後、藍ちゃんから昼食のお誘いが入った。藍ちゃんのお母さんも腹ペコだというから作ったのよ、とは言うが見たら力いっぱい、とても豪華だよね、藍ちゃん。


「エヘヘ・・・。」


 夕食も兼ねている。ソフィアや智子、眞澄らは自前で用意していたが、母屋から声が掛かって飛んで行った。


 で、シアハウスに遅く帰った処で奴らに訊いたら、


「うん、後片付けを条件に餌付けされた!」と言う。今宵も宴会だったらしい。明日は月曜日だから食器も今晩中に片付けたかったのだろう。


「藍ちゃん、今年こそは大学を卒業するのよね?」

「それね、もうどうでも良くなった。会社が忙しいのよね。」


 学費だけは納めているというが勿体ないな~。何か考え出した雰囲気である。


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