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人狼と少女 垣根の上を翔ぶ女 亜依音  作者: 冬忍 金銀花
第十四章 亜衣音の幸せな……β世界線

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200/417

第200部 陽葵と凜


 1974年12月31日 東京



*)二度目の出産……


 その内に私の妊娠が両親に伝わる。喜ばれる以前にマイケル同様の、


「言いたくはないが、文句文句・・・・・・。どうして黙っていたのよ。……おめでとう……。」


 悲壮な笑顔でそう言われても嬉しくはないのよね、お母さんに。お父さんはまた娘が産まれるのかと楽しみにしている。私の次の出産予定日は1975年4月の上旬らしい。家族はともかくだ、藍とソフィアもとても楽しみにしているのが、何が目的なのだろうかとついつい勘ぐってしまう……性格。


「ねぇ穣さん、あの子に出産のお祝いは要らないわよね。」

「そうだな、俺がなんとかするさ。」

「お爺ちゃん抜きでお願いよ、でないと、何を言われるか予想の……、」

「斜め上と言いたいのだろう? 分っています沙霧さん。」


 私の両親の密話……ミツワ……聞こえていないわよ。 




「どうして双子なのよ、晃!」

「それが面白そうだから。」

「フン、バ~カ!」

「そんな態度をとっていいのか!」

「べ~だ!」

「お前の閨……あんなこと、こんなことを事細かく書いてもいいのだぞ。」

「あ、いや、やめて~……。」

「仕方なか~……。」


 と、脅迫してくる晃に渋々了承した。


「とてもグッドな名前を考えておくぜ!」


 そんなこんなで年末の大晦日になった。晃からはいい名前は届いてない。自分で考えろということか。マイケルに相談しても横書きの名前しか言わないので諦める事にした。セルジオスとかバシレオスと言うのだ。どれも男の子の名前であって、軍曹とか王様という意味なのだが、こいつは男の子を産むと思っているらしかった。絶対に女の子なのだからね。男が産まれる事はもうあり得ないよね。


 陽葵ひまり=太陽のように明るくという意味だ。次女の名前に決めている。これはディスマスこと夕陽を支えて欲しいという母の願いを込めている。本人からしたらいい迷惑だとは思うが、成人するまでコンコンと言い聞かせて夕陽のお嫁さんにしたい。いや無理か。


 三女はりんと考えているが流動的だ。りりしいさまを表している文字だ。他にはすさまじいとかさむいと言う意味があり、産まれる前から過激な性格を予測している。きっと冷静な判断が必要とされる魔法使いの名前にピッタリだと思う。冫は冷たいという意味があるから、きっと氷使いの魔女になるかもしれないな。


 三女につける第二第三の名前候補が浮かばなければ決定となる。とにかくだ産まれてから子の顔を見て、その子の名前を考える幸せは欲しいものよね。


 お酒を飲んでほろ酔い加減のマイケルを伴って、夜の九時から神社の参拝へと出て行く。勿論、二人の子供は抱いて連れてだよ。だって暖かいからね。私としてはまだ飲みたいというマイケルに子供たちを嗾けるのだ。


「パパ、お参りに行くよ。」x2

「飲み過ぎて夕陽を落としたらダメだからね。」

「へいへい、帰って飲みます!」


 一番可愛い盛りだからマイケルだって「うん、」と言うしかないのだ。それに明日もどうせ酒を飲むのだからね。我が眷属たちはそれぞれ実家に戻っているがそれでもこの家に居るのが四人も居たとは……。


 碧と翠、海斗と夕霧の四人に対して、私の妹たちも連れて行けとせがむのだから連れて行くしかなかった。こんな遅くまで起きているのが不思議だ。これは母姉妹による作戦だろう。昼過ぎて長~くお昼寝をさせておいて、夜に出て行く私に面倒をみさせて、それで自分らはひっそりと酒を飲みたいのだろう。上の妹たちの六人も漏れなく付いてくるのだから、なんともいやはや……小銭が飛んで行く。


 離れて付いてくる男のボディーガードとしては、もう誰もが飲んべ~なのだから居ないのだった。ホロお婆さまとカムイコロさんを引き連れて行く。以外とお尻が大きいのに軽いのか二つ返事で了承された。


 参道では夕陽をホロお婆さまに奪われたマイケル、残念な顔をして指を咥えて見るしかない私。そう……マイケルとカムイコロさんはお手々を繋いでラブラブな様子で……悔しい。それででかい方の尻に蹴りを入れたらヒグマだった。


「この~、」

「お、痛て~な~……何だ亜衣音じゃんか。もう返してやんないよ~だ。」

「ママ~、きゃ、きゃ・・。」x2

「ウキョ~……。」

「バ~カ、前を歩いていろ。」

「べ~だ、」


 無事に家に帰り着き、妹たちの服を確認してそれぞれの親に戻しておいた。これは食べ物のシミを沢山付けておいたからだ。謂わば、勲章か! また、ポッケには壱万円+神社のお守りを入れておいた。今の三万位という金額だろうか。


 大卒初任給が七万八千円、現在は二十万円ほどだ。高級三椏で作られているから洗濯しても溶けたり崩れたりはしない。三椏みつまたとは本当に枝先が三つ叉になっていて可愛い黄色の花が咲く。しかも葉っぱが一枚もないとは面白い。手で折ってみたら樹皮が強いので折れはするが、又裂きで引きちぎる事さえ不可能だった。


 藍ちゃんとソフィアは他の社員らと温泉に行ったというではないか。何だか私、差を付けられた感じがした。これをマイケルに話すも、「俺たちには縁がない。だとさ。事実である、子連れで行けるには後何年かかることか。


 帰宅してお風呂に入って休んだが、マイケルはそのままバイクで出かけてしまい寂しくなった。まさか……カムイコロさんを連れて行ってないわよね。


 明けてのお正月。お魚屋さんからの鉢盛りが素晴らしい。どうしてか我が家はお魚料理が多い。お爺ちゃんが亀万の出前を取り寄せる所為だろうが、この高い鉢盛りの代金は誰が支払ったのか考えさせられた。おせち料理は母らが作っていたが、文化の継承には繋がらない、だって嫌なものは嫌だからね。これで白川家の伝統は消えてなくなる。否、妹たちがいたので安心して幾ばくかの金額をお母さんへ渡しておいたのだ。嫁に行った娘には何も教える気もないらしい。


 夕食は親から引き留められたが自宅へ帰った。お土産は鉢盛りの残り物だ。これがあれば十分なのよ。他は北海道からの贈り物……有り難い。お返しはまだ出していない、だって何を送るのかが決まらないのだからね。


 残る仕事といえば二人のお風呂だ。私が先に入って身体を洗い、それから二人を呼んで仲良く入る。三人で上がって二人をフキフキしながら追いかける幸せ、笑いながら逃げる夕陽にマイケルが立ちはだかるのだ。うん、楽しい我が家だ。


 だがマイケルは明後日の方向に飛ばされて転がる。最終的に捕まえるのは理沙というのが変な話か。パジャマを着せるのが楽しい……。これが家族というものかな。兄妹の間で巫女の魔法を掛けようとしても効果は無いようなのよ。それでかは分らないが、子供たちが私に魔法を発動させても効果は無いみたい。まだ小さいから大きくなって自分で考えられるようになったら訊いてみるわ。


 マイケルはバカなのか、夕陽にコロコロとされるばかりだ。窓の外に飛ばされないだけでも良しとしなければ、ね、マイケル。



 秋にしっかりと紅葉すれば冬に雪は積もらないと言う細君。的中した。


 東京に降る雪は少ないが高い山には例年通りに雪を頂く。この雪の上を北風が通過して里に吹き下ろす……とても寒い。それが二十年も過ぎれば雪なんて見る影もない。だが都会にも大雪になったりする。



 雪が少しでも積もれば裏山には小さな靴跡が多数並んで見える。マイケルは板を買ってきて器用にソリを作っていた。悲鳴を聞きながらマイケルは子供の背中を押して笑う。親たちは高い処は苦手らしくて、専ら下でソリを受け止める役に徹する。大きな声を出して笑うだけで身体はポカポカとしてくるから楽しい。


 男の子が一人でも居れば遊ぶ内容が変わってしまう。どちらかと言ったら女の子と男の子の差がないのだろうか。じゃじゃ馬のやんちゃに育ってくれて嬉しい。


「沢山転んで服を汚していいのよ、お姉ちゃんが直ぐに作ってあげますからね~。」

「わ~い、ありがとう。」x6


 藍である。いつものように私に買わせる気でいるのだから嫌になっちゃうよ。街では……町内とも言うが、子らの斬新な服には注目を浴びている。それが宣伝にもなるし、人に見せて反応を探るのも立派な仕事の内だ。今では白川家の子供というのが丸わかりしている。




 1974年4月10日 東京


 埼玉県で資産家のご令嬢が誘拐されたと新聞記事に出ていたが、これには誰もが気づいていなかった。と同時に、ソフィアの様子がおかしく思われたが直ぐに何時もの態度に戻っていたので、これも誰も気づいていなかったのだ。


 この誘拐事件は直ぐに名前も伏せられて、公開捜査にされなかった所為もある。だが、夕刊には小さな見出しがあったという。



 ソフィアが藍ちゃんに仕事の提案をしていた。産婦人科へのセールスなのだが、産着の売りが出来ないだろうか、という提案だった。可愛いベビー服を見本として格安で卸せないか……というのだ。


 ガーゼ生地なので思うようなデコレーションは出来ないが、着色と形は自由に出来るからというのがその理由だそうだ。藍社長としては簡単な服でもあるからソフィアに一任したというではないか、太っ腹……だよ、藍ちゃん。


 ソフィアの行動範囲内の産婦人科へのセールスをかける。でも思うような反響が無かったので私が入院する病院へ数着が納入された。可愛いベビー服のピンクとレモンイエローの二種類だった。ただし、私にはレモンイエローを着せるよう頼んでいた。これらの事は私も藍も知らない事だった。いや藍は忘れていたのかも。



 四月上旬という出産予定日が過ぎて今は十五日になった。もうすぐ産まれるという女の幸せをかみしめながら産まれる日を待つ。


 今年には四歳となる妹たちが六人と、もうすぐ二歳となる妹の四人と私の子供を合わせて六人。総合計で十二人とは大層な子供の数だ。俺の分校時代が十一人だったような?


 こんな大勢が裏の公園で桜の花の下で騒げば近所迷惑とはならない、良き時代。母屋や保育園用の部屋や私のシアハウスのリビングでは泣き笑いが激しい。全員にオモチャを平等に……とは出来ないのだった。気移りする子らの全員を満足させる事は不可能なのだから。


 誰かが転んで泣けば名前を呼んで起こすのだが……名前は大いに錯綜して、今では名前を呼ばないようになってしまった。ただし、夕陽は男の子で分るし理沙はマイケルの子供だから、日本人離れした面立ちだから分るのが利点だったりする。


 双子の母姉妹の子に至っては見分けが出来ないらしい。色濃く母親の血を引いているのだからね面白いよ。今では四歳の妹たちが二歳の妹たちの面倒も見てくれるのが有り難いのよね。だって私は大きなお腹を作ってしまったから床に座れば立ちたくはないのよ、いいえ立つことさえ出来ないのよね。


 私が動けば腹を蹴られる、いつもの事だが……痛い。


 二歳の子供たちの自己主張が強くなりだしたものだから大変よ、直ぐに泣けばね構って貰えると思うようになったからね。少し成長が早い気もするが、どうなんだろうね。……甘ちゃんめが。


 予定日を過ぎているらしい。これではお腹の中で大きくなり過ぎると大変だからと気を揉み出す家族。私?……もうどうにでもなれっていう感じかしらね。


 お爺ちゃんはもう産院の部屋を貸し切りにしているという。これって、


「亜衣音さん、もう入院して産気づくのを待てば……?」

「そうよ、私の時もそうしたのよね、直ぐに荷物を纏めてさ……。」


 と、うるさい外野だよ。早く私を追い出しする目的は何かしら?


「亜衣音ちゃん産着は任せて! 男女区別なく着られるデザインにしているからね安心して産みなさい。」

「うわ~ありがとう。お願いしたよ。」

「うん、任されました。」


 今回も双子だ、出産予定日が遅れても予想の範疇だろう。そうだ! 家事もしなくていいのなら、さっさと入院しちまえ!


 四月の誕生日は誰かいたかな……。家族全員の誕生日を決めたがいいのか。


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