第185部 新しい私の眷属?……急な成長?
1972年8月25日 ラフィーナ
*)新しい私の眷属?
「ピンポ~ン!」
「はいは~い、誰かな。」
「こんにちは、」
「まぁ~ソフィアちゃんじゃないの、入って入って!」
つい嬉しくなってグシュングシュンと鼻で泣いていたら、あら良い匂い!
串焼きの残りが~~と言いながら、ソフィアが届けに来てくれた。あんなに遠いのに良く出来ましたと褒めてあげたいくらい。再会を喜んでいたらさ、
「ブッブー、」
「じゃかましい……。」
と、私はついイラッとして下卑た声で叫んだ。同時にソフィアは目を瞑って肩を上げたのよ、どうして?( >゜|゜<)
表で車のクラクションが鳴らされた。近所迷惑はいいの、でも子供にはうるさいかしらね。ここでソフィアが下を向いて口を開いた、
「タクシーで来たからお金を払って!?」
このクソガキ! 私に金を払わせやがって、この~。と、頭をグリグリとしてやったわ。都合、百ドルが飛んでいった。
「え~ん、ごめんなさい。串焼きで許して下さい。」
「どちらが高いか、ソフィアちゃんには理解出来るよね~?」
「はいタクシー代です。私が働いてお返ししますから、ここに置いて下さい。」
「え~……、家出したとか?」
「うん、ママと喧嘩して追い出された。ここに行け! と、これだけの串焼きを持たされました。」
「うわ~ありがとう。タクシー代なんてケチ臭いこと言ってごめんなさい。」
「いえ、私が悪いから。でも、どうして喜ぶのよ。」
「あんた、お手伝いさんに売られたのよ。私は二百ドルを払ったから、もうあんたは私のものだからね。」
「百ドルでしょう?」
「二百と言ったら二百です、追い帰すからね。」
「理不尽です!」
私はこの子を三階の空き部屋に案内した。私の隣の部屋になるのがやや勿体ない気もする。第一にマイケルの隣室というのも納得しがたいのよ。それから、
窓にはエーゲ海からの風が吹いている。
南に向いている窓を開放した。気持ちが良い風がカーテンの埃をまき散らしているから、これを引きちぎりソフィアに身体に巻き付けた。それから勢いよく引っ張るとソフィアは踊るようにして回るのだった。
「女の恋はまだ知りません。」
「う~女は海だと言うらしいが、こやつはまだガキだな。」
「はい、まだ子供ですよ。」
「この部屋を使いなさい。掃除は自分でしてね。私と子供が隣だから静かに。」
「まだ大丈夫です。」
「そ、まだ用件を押しつけてまだ大丈夫なのよね、だったら家の家事全般をなさい。それから空き時間には子守もね。」
「う~……はい、喜んでお手伝いさせて頂きます。このお部屋、気に入りました。でもお家賃は払えません。」
「いいわよ無料で、食費もタダでいいわ。でもね、夜伽だけは厳禁です。よろしいですね!」
「ありがとうございます。」
串焼きのお婆さんが私に寄越してくれたものかと考える。口減らしではないだろうし、マイケルが購入したとか? とかあり得ないかな。この子に夜伽は出来ないだろうとは思うのだけれどもね、もしかして……パパ活するとか?
翌日になってソフィアの荷物が届いた。口減らし……決定ね!
「可愛そうだから家に置いていいぞ。」
「飾りじゃあるまいし。あの子が可愛そうだから置いてもいいなんて、情けをかけ過ぎではありませんか?」
「いや、そう言う訳ではないが、なぁソフィア。」
「はい、マイケルさま! 精進いたします。」
「頼むぞ。」
この子は本当に良く頭が働くのか、マイケルの意図を直ぐに汲んでいる。私は……理解出来なかったのよ、この時はね。それでつい感情的になって、
「わ、私の下僕なら許しますが、嫌なら出て行きなさい。」
「ありす、ソフィアはここで働くと言っているじゃないか。それもありすと双子の為にさ。だが、学校へは行かせるからな。」
「へ?……学校? あんた幾つになったのよ。」
「まだ……十五歳です、身体が小さいので良くジュニアと思われています。」
「マイケル、私もハイスクールに行きたい!」
「バコ~ン、今更無理だな、却下。」
「お姉さま、代わりに私が高校へ進学いたします。」
も~……こんな家庭は私の時と同じよね、お母さんの気持ちが良く理解出来ました。
「あ~い、う、きゃ、きゃ・・。」x2
産まれて直ぐに笑うとは、この子たちは神に拾われた存在かしら。
家のお箸立てにマイケルのお箸と私のお箸……に、二人のスプーンが増えた。ガラスのコップを代用するスプーン立て、お腹を壊さないように清潔にしないといけないね。マイケルの哺乳瓶は黒カビを入れておいても大丈夫みたいなんだよ、だから……追加で下剤入れちゃぉ!?
「え~……私のナイフとフォーク立てが無いのは寂しいです。」
「ブタ活には、そこの銀のトレーでいいでしょうが、それとも……お箸の特訓をしたいのかしら?」
「う~……豚薔薇をバカにしないで! 焼き鳥屋の定番なんだからね!」
ブタ活……どうもブタ肉を沢山食べましょうという意味かしら? 大きな看板になっていましたので取り入れておきました。(場合により……私のお国がバレそう……。)
ソフィアはブタ肉を薔薇の花のような形にして、お皿に作るのが得意だそうだ。不要な特技だよね。これは料亭で働かせたらいいかも!
私の可愛い双子、物が飛ぶだけのうちは良かった。段々と悲劇が起きてくる。飛ぶ物が水になったから、とても往生した……。お母さん姉妹の遺伝を受け継いだのだろうか。だって私は水魔法は使えないと思うのだが。
ディスマスはよく物を飛ばしてくれるが、リサはその~水……オシッコを私の顔に掛けるようになっている。泣くのでオムツを替えようとしたらだよ、私の顔を狙って発射してくる。普通は遠くにまで飛ばないのにね、六十センチは離れていても届いてしまう。本当に困ったちゃんだ。
「こら!」
「あ~い、う、きゃ、きゃ・・。」
「リ~サ、いつもいつも狙っているのでしょう。次はオムツを替えません。」
「おんぎゃ~おんぎゃ~……。」
「も~……はいはい次も交換してあげますよ。」
「あ~い、う、きゃ、きゃ・・。」
二人には私の言葉が分るらしいのよ、だって長い間……も? 聴いていたなんて想像しただけでも恥ずかしくなる。胎教なんて無駄とは言えないのが良く理解できたというか、なんというか。
ディスマスのオムツ交換の時はついつい指で弾いてみたり、喜ぶのよね、流石はマイケルの子だよ。
リサは私のオムツ交換で奮闘しているのが面白いらしのよ、いつも笑って喜ぶんだよ。もうフェイントで応戦するのがとても上手になった私。オムツを外したと思わせて直ぐにオムツを当てるのよね、すると飛んでこなくなったよ。
「ソフィア、二人のオムツ交換をお願~い。」
「はい、いいですよ。……ウギャ~!」
次からは、
「え~やだ、リサは私を苛めるから嫌い!」
「おんぎゃ~おんぎゃ~……。」
「も~ソフィア、リサを泣かせたらダメでしょうが。」
「だって泣くんだもん、知らない。」
こんな二人のやりとりも楽しく思えるこの頃だ。私の身体の事は産婆さんが往診に来てくれるから助かった。でも決まって晩ご飯まで食べて帰るあたりは流石と言うべきかしらね。
泊まりたいらしいがそれをマイケルが許さない。必ずマイケルが飲酒運転して送り届けている。最初はそう思っていたら実は子分に運転させていたとか、後になって話してくれたんだよ。今までず~っと心配して損したな。
私の家族の過去があるだけに、私も周囲に注意を払っている。いつ魔の手が攫いにくるのか心配で堪らない。でもマフィアはマイケルの下になったらしくて襲撃も何も無い。逆にこのラフィーナの街を守らせているとか、やる~……マイケル。日本とは違いとても平和に過ぎていく。
事件事件と……う~ん何も起きないよ~。
この日の朝、ソフィアは私に、
「今日は産婆さんの回診日ですよ、お買い物に寄ってから帰ります。」
「あ、そうね、お願いするわ。」
「あの~お金……。」
「はいはい、これから払っておいてね。」
「ごっつぁんです!」
ソフィアに友人が出来たのが嬉しいようで、帰宅途中でお店に寄り道するのが嬉しいようだ。今では公認となってしまったのよ。
「バカ言わないで早く戻りなさいよ。」
「ふぁ~い……行ってきます。」
マイケルを送り出してからソフィアを学校へ送り出す。寂しくは思うが偶にはマイケルが早く帰宅する時もある。その逆も多々あったりするからね。
夕方になりソフィアが帰宅して、待ってましたとばかりに話しかける。議題は昼に考える事が多いのよね、今日は帰国について……。
「何時になったら帰国出来るのかな~。」
「ありすさま、私も日本へ行きたいです、いや寧ろ連れていって下さい。」
「そうね貴女にも随分とお世話をお願いしているし、家族で帰国して無事に実家に収まる事が出来るとも思えないのよね。離れて暮らすのならば同行もお願いするのもいいかな。」
「はい、私も家を追い出されましたので帰れません。」
この子はこの子で多くの問題もあるのだろう、国外へ行けばもっともっと問題が生じるはずだよ、そう言葉とかね。
「う~ん、だったら日本語を教えておかないとね、日本は差別が強い国だからいじめにも繋がるんだよね。」
「へ~そうなんだね、このギリシアとどっちが住み安いのかな。日本ですか?」
「そうね、東京だったら下町は人情に篤いのだけれどもね、人を食い物にする
輩も多いわ。」
「人さらいなのでしょう?」
「う~ん、少し違うけれども日本は世界でも人身売買は多い方なんだ。」
「何処に売られて行くんでしょうか、分りません。」
「何も知らないで東京に出て来たお嬢さんを見つけて、アンダーグラウンドに売るのよね。東京で若いイケメンには要注意だね。」
「マイケル以上のイケメンが居るのですか?」
「居るわよ……マイケルにさまを付けなさい、呼び捨ては私だけだからね。」
「あ、ついつい奥様のまねをいたしました、すみません。」
「奥様だって……いや~ん!」
(チョロイ若奥さんだこと!)
取り敢えず帰国して二人の戸籍を作る必要がある。だったら早い方がいいのには間違いない。アテネの日本大使館に問い合わせしたいが多分、人物照会とかされたら問題も起きる可能性が否定出来ない。ならばいきなり帰国……とは出来ないらしいのよね、この二人のパスポートが必要らしいのよ。
「あ、産婆さん。帰国したいのだけれどもね、二人のパスポート申請をどうしようかと考えていたんだ。」
「ウッヒッヒ~……、俺をご希望ですかな?」
「忘れていましたわ、遅かったですね。」
「そう寂しい事は言うもんじゃないよ。幸せが逃げていくからの~。」
「そうですよね、で、今日はどんな指導でしょうか?」
「もう大丈夫じゃろて、もう何もないわ。顔を見たらそれでいい。」
「回診料は払えません。」
「要らんわ、今まで貰ったことは無い。でじゃが帰国のパスポートだよな。何なら俺が世話してやるよ、任せな。」
「代金……高いですよね? 払えるかな~高いと払えないな~……。」
「う~安くしておく。俺も大使館へ行くから準備の準備じゃ。」
「二人の可愛い写真をお願いね!」
「இஇஇ……。」
この日、ババァを送り出してやっと静かになったと安堵していたら、久しぶりに六人目の妖精さんが出て来てくれた。三人ともお風呂を済ませて今は自室で横になっていたところだ。もうマイケルもソフィアも部屋には来ない時間になっていた。
「ねぇねぇ亜衣音ちゃん、」
「あら、誰かしら、初めてよね。」
「そうだよ、六人目の最後だね。もうすぐ帰国するよと聞こえたから挨拶に出て来たんだよ。」
「そっか~もうお別れになるのだよね。あの公園も行ってお別れしなくちゃね。随分とご無沙汰だしね、散歩に行きたいかな。」
「うん出ておいでよ、皆で待っているからさ。」
「はい、帰国前には出て来ますよ。あ、それからね、あの鏡の妖精さんは居ないのかしら?」
「もう出ては来ないだろうね。公園で揃った時が最後になる予定だから。」
「そうなんだ、残念かな。実家の鏡に飛んで行けたらと思っていたんだな。」
「あ、あれね、無理みたい。もう期待しないでね。」
「貴女たちはどんな妖精さんなのでしょうか。もう教えてくれてもいいのにな。ね~ってば!」
「それはね、……、」
公園の妖精 鏡の妖精 家の妖精 風の妖精 迷いの妖精 光の妖精の六人だそうだ。昔の子供が云々という説明には理解出来ない。そうよ、この精霊か妖精かが不明だものね、嘘っぱち……?
「君たちの子供に祝福を与えたいんだよ、神祖さまが誕生したからね。」
「え?……神祖? ディスマスが神祖なのかしら。」
「そうだね。マイケルも神祖だから、次の神祖が産まれたんだ。」
「そうらしいわね、未だに説明もしてはくれないから分らないかな。ねぇ教えてくれないかしら!」
「う~ん、ダメ。マイケルから聞いてよね。私は光の妖精なんだ。千億の星から千億の光が届く……そう~後光が差すような……。」
「まぁ~お釈迦様!?」
「違うよ、九つの世界を支配する力を指導するのが私の仕事なの。三百年ぶりに神祖が誕生したんだから感激だよ。」
「三百年ぶりって……マイケルは三百歳なの?」
「そうなるかな。暫くは男性の神祖さまが二人だから何処かで神祖の巫女が産まれているのかもしれない。」
「私が遠い祖先の神祖じゃないんだね、良かった。」
「暫くは私たちが二人に入って導くから安心していていいよ。」
「いや、寧ろ不安だよ。もう襲われたり攫われたりはゴメンだからさ。」
「この世界ならば大丈夫さ。安心して日本に帰るといいよ。」
「そ、そうなんだ、信じてもいいのね?」
「もちろんさ、公園で待っているからね。」
「あ~い、う、きゃ、きゃ・・。」x2
「そうなんだ、二人も嬉しいのかな、ディスマス、リサ。」
何処かで神祖の巫女が産まれているかもしれないとは、これってマイケルのように巫女を探す旅に出よ! とか新しいクエストでない事を祈るわ。
「もうだめ、おやすみなさい……。」
「あ~い、う、きゃ、きゃ・・。」x2
この夜、私は飛行機に乗って帰国する夢を見た。私の周りにはディスマスとリサが居て、マイケルとソフィアが少し離れていたような気がした。周り……それは二人が浮遊しているとても不思議な夢だった。え~私も浮いていたりしたのかな。
マイケルの仕事もついに終わりとなるのかな、アテネの統一……。
マイケルの仕事はアテネのゴッドファーザー……らしい。所謂上納金の最上部に位置するだけだから雲の上の存在だとう言うらしい。だから私たちの帰国の代金なんてチョロいのよね。でも、外為法違反で十分なお金は持ち出されないと、とても残念な結果に終わるのよ。それは機会があればね!
翌日になってマイケルは、小さなレコードを聴けるステレオとペールギュントのレコード盤を買って帰ってきた。初めて聴いた優しい音楽に心が癒やされる。
この組曲はまるで私の人生のような意味があるのかなと、考えながら解説を読んだ……いや眺めることしか出来なかった。
「ソフィア、お願いよ、読んで……。」
「え”……読めないのですか!」
「う~……だって異国人だもの、意地悪!」
「奥さまには意味が分らない方がよろしいです。」
「年老いた夫を見送る……そんな感じですね。」
「ふ~ん……、」
私は別段気にもかけずにソフィアの解説を聞いていた。私の未来の事なぞ考える事が出来ない若さだったから……。マイケルも二人の子供もず~っと一緒に居るものだと信じて疑わなかった。
五人でレコード鑑賞だったのに、何故か長男のディスマスが興奮してしまい音響機器とレコードも庭に飛ばしてしまった。ペール・ギュントの帰郷から後半が聴けない。
可愛い子供だけに怒る訳にもいかず、私は静かにディスマスを抱きしめる。
「あ~い、う、きゃ、きゃ・・。」
「もう~この子は……どうしましょ!」
「あ~い、う、きゃ、きゃ・・。」x2
産婆さんの手引きと裏金の準備も出来たというので、いよいよ帰国に向けて私たちは動き出す。私はソフィアに無理なお願いを出した。
「ソフィア、お願いがあるの。聞いてくれたら嬉しいな。」
「はい?……相談にもよりますが、どのような?」
「二人の子守を少しの間……お願いしたいの。マイケルの前の奥さまのお墓参りをしたいだけなのよ、いいかしら。」
「お帰りは何時になりますか?」
「明後日の夜には帰ります。」
「却下……。」
「おいありす、子供を置いていく必要は無い。一緒に連れて行くよ。」
「うん、でも二人で行きたいのだよね。」
「奥さま、島まではみんなで行きませんか? それからはお二人でいちゃつけばよろしいでしょう。」
「も~この子は妙に色気づいちゃって~、」
「帰国の予行演習にどうだろうか。アテネの大使館にも行かねばなるまい。」
「う~……最後に二人でデートに行きたかったのに、あ、そうだマイケル。公園までならば二人ででも良いよね。」
「ソフィア、どうだろうか。そんなには時間は取らせないよ。」
「はい、マイケルさま。……よろしいですわ!」
早速私はマイケルを連れだってあの公園へ散歩に行った。妖精さんとの約束もあるし、とても気に入った公園だもの最後くらいは見納めしたいじゃん。でも、妖精さんたちは現れてくれなかった。その代わりではないが公園にあった小石を六個ポッケに入れてきた。
「可愛い小石だこと、これに絵の具で色を付けて……?」
「ありす、それに妖精の顔を描きたいのだろう?」
「え、そうよ。よく分ったわね。」
彩色するという意味で口から出た言葉なのだが、何処か違うような……?
「もう随分と日本語を話していないからだろう。忘れて当然さ。」
「違うわ、マイケルが日本語を話せないのが問題なのよ。だって日本人の国籍なのでしょう?」
「いや、これは……死んだ人と入れ替わって……戦後だったから問題も無く、いや、これは……勘弁してほしい。」
「ぶ~だ、」
「べ~じゃないんだね。」
「これ、重たいからマイケルが持ってね。」
「もってね~……。」
「?……。持てないのならばいいわよ、代わりに私を持ちなさい。」
「べ~だ。」
「ウキョ~!!」
「明日はミコノス島に行こうな。」
「うん!」
私は最後になるであろうミコノス島への訪問を嬉しく思った。二人の出産の報告がラフィーネさんに出来るからよ。喜んでくれるといいな。
簡単な石を積み上げたラフィーネさんのお墓に参詣を済ませた。ここで長くしゃがみ込んで、あれからの出来事を夫婦して報告したよ。
ミコノス島のあの教会にも訪れて、私たち母娘の三人とソフィアの計四人で入ってみる。天井から降り注ぐ小さな光の筋に二人は喜んだ……大いなる巫女の力まで授かるとは思いもしなかったし、ソフィアにまでもが巫女へと覚醒した。
「う、きゃ、きゃ!!。」x2
「ソフィア……あんた、幾つになったのよ。」
「え~十六歳になりました。私も巫女だったなんて……ステキです!」
ソフィアは大きく成長したよで、二十二歳位に見えるから不思議だ。私も二十三歳位にはなったような? 二人の子供はそのままで変化は無いのが救いだろうか。
「うぎゃ~……うぎゃ~……うぎゃ~……うぎゃ~……お化け~!!!」
叫んで逃げるマイケル。私は巫女の魔法を使ってホールド!
「エアー・ドライヴ……。」
う~ん私の巫女の魔法も健在だったな! 五年もの間、私たちはβ世界線で暮らしていたとは思えない。
帰宅してアングラにパスポートの偽造を頼み、家も売却したら……買い主が産婆さんとか、あり得ないよね。私のお金が戻ってきた気分になっただけだよ。
「ホ~ッホッホ……これは都合が良かったわい、そうじゃろう?」
「はい、家の家財片付けが不要になりました、助かりますよお婆さま!」
「ワシも得したわい。早う~帰れ、早う~日本へ行け!」
どことなく違和感のあるお婆さまだった。
「ソフィア……あんた、実家に報告とかよかったのかしら?」
「もう生きてはいませんよ、あれは妖怪ですから今頃は退治されています!」
「そ、そうなんだ……なんか凄いのね。」
まだ私たち家族が居るにも関わらずにお婆さんが越してきた。
「金払うたからもうこの家はワシのもんじゃ。ほれ、お前さんたちの家賃を早う払わんか! 一泊二十ドルじゃ!」
「ウキョ~!!」
「この、妖怪ババァ~……とっとと出て行け~!」
「あ~い、う、きゃ、きゃ・・。」
「マイケルさん……ステキです!」
私が驚いてマイケルが罵り、子供は喜びソフィアはマイケルに惚れてしまう。う~……どうしてソフィアは成長してしまったのよ~。
「謎ですね~……?」




