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人狼と少女 垣根の上を翔ぶ女 亜依音  作者: 冬忍 金銀花
第十三章 番外編  人狼と少女 亜衣音……β世界線

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第178部 私の入院……


 1972年1月17日 ラフィーナ


*)マイケルの全身の毛が……


 私はマイケルに抱かれて気絶した。マイケルは私にしがみつかれて気絶していたらしい。お互いは自己弁護の為に気絶していたなんて言えはしないのだからね。


 でもね私、この夜の夢が、不思議な夢を見たようなんだ。そう、マイケルの過去よ、これが私にとっての最重要課題なのよね。マイケルが幾つで、奥さんは今まで何人居たのか、もっと重要なのがその子供が居たのか居ないのか。


 あ、横にずれたかしら。私が見た夢の断片がね、マイケルが泣いていて横には奥さんらしい人もいて二人で四角い箱の前で泣いていたのよ。その四角い箱は白だった。そう思うとこれは棺になるのかな、では中の人とは……親? 子供?


 また、夢に出てくるマイケルは同じ顔なのは置いておいても、横の奥さんらしい人は皆別人だと言うことよ。この女性の数だけ子供が死んでいたとしたら、次は私の番という事に繋がる。でも私の妊娠をマイケルは喜んでくれた、この事実から導き出される答えは……私の思い過ごしと夢の見過ぎだと。


 今でもマイケルは東洋系の鼻の穴をしている。鼻毛が出るのは東洋だと決まっているもの。第一に私のお父さんはひげそり機で伸びた鼻毛も剃っている。鼻の穴にひげそり機を当てるだけだから簡単なのだ。たばこは吸わないのだけれども職員室の男どもが吸うから煙たくて鼻毛が伸びるのだとか。


 あ、横にずれたかしら。数行を書いている間に書きたい事を忘れてしまう。あ、そうそう、マイケルは日本国籍だというのはパスポートで分った。本物かどうかはまた別の次元だね。マイケル曰く「俺はクオーター」とは信じられなくなってきたな。


「おいありす、起きているのだろう?」

「うん、マイケルの事を夢見ていたんだ、どうして起こしたのよ。今正にHをしようとしていた処だったのにな、あ~残念。」

「だったらリアルでどうだ!」

「ノーサンキューよ。バカ言わないで早く朝食の用意をなさい。」

「……? 今朝は俺の番だったか?」

「コーヒーとトーストを十枚でいいかしら。お野菜も多めに入れておきます。」

「ハムエッグにウインナーも頼む。」

「このばか・チ~ンが!」

「俺のは食えないよ。」


 そんなバカな朝食に昨日のアンチョビとチーズをパンに載せて焼いてあげた。それを喜んで食べるマイケル……好きよ!


 朝食の会話が冴えない、二人とも夢見が悪かった所為なのだが兎に角マイケルがぶっ飛んだ提案をしてきた。私は……至極真っ当な提案だよ。



 気絶した翌日の事、私はホテルへ退避しようと提案した。マイケルは反対している。何でも悪魔払いの儀式を行えばいいのだとか。この現代で悪魔払いの儀式はないよね~。


 どちらの案にも有効という事が百パー無いのだと考えもしない、いや出来ないと言う方が正解だろう。


「俺はタロットカードを買ってきて家中に貼る!」

「それが悪魔払いの儀式になるとでも言うのかしら?」

「あぁ勿論さ、あの不気味な文様で幽霊を追い払う。」

「あんなインチキカードで何が出来るのよ。」

「占いを売ることができるぜ。」

「売らないでいいわよ、私は買わないわ。辻占いなんてここ十年は見ていないもの。」



 とある街に夜に出てくる辻占い。今はどうなっているだろうか、気になります。


「今は無料でいいぜ、どうだお一つ……。」

「ノーサンキューよ、バカ言わないで早く朝食を食べなさい。」


 自分で自分を占うタロットカード、良く当ると紹介してあったが、これこそがインチキであろう。だって自分自身の解釈を、どうにだって言えるのだもの。



「なぁ~……。」

「アニメの世界だけで十分よ。それよか、あの幽霊をどうにかしてよ。柱時計は今日にでも処分しておきます。」

「海に捨てるのは良くない、だってこの海は綺麗で底まで見えるのだから。」

「あ!……この前の自転車、錆びが多いと思っていたらそうだったのね。あれは私が乗ったら壊れたから捨ててしまいました。」

「ありすが重いだけだろう、そのうん十グラムでさ。」

「バカにしないで! 女に歳と体重を持ち出すのは禁句です。」

「胸は!」

「ギャベ!」

「なんだ、作りオッパイか。道理で触ると小さい訳だ。」


「我は、マイケルに命ずる。イサナキオ! 頭に鉄槌を与えん。ボコ。」


「ガ~ン!」

「フライパンで俺を起こすのか! もう起きて居るだろう。」


 桜子お婆さまの若い時の、双子を起こす時の呪文を聞いていたので思いだして使ってみた。その呪文に効果があったのならばマイケルは夢でも見ていたのかな。


 私は右手にフライパン、左手に起こし金具を持ってマイケルを叩いていた。と言う事は、私の方が夢をみていたのか。マイケルのデカパイ好きには困ったものよね、この私のHカップでは不足だとさ。それともマイケルの手が大きいのが悪いのよね、きっとそうだよ。



「ウフフフ……、アハハ……、」

「ボ~ン、ボ~ン、……。」

「ねぇ……遊ぼうよ! ウフフフ……、アハハ……、」


「ウッギャ~……、」x2


 私たちに夢を見させる事が出来る幽霊って何よ!


「私、バイトの初日から遅刻だよ!」

「お~れなんか、大金を食いっぱぐれしそうだ、早く出かけるぞ!」


 どうも悲鳴と幽霊は関係が無いのだと、判明した。それで悲しがる精霊ちゃんが……、


「ぅえ~ん、今日も遊んで貰えないよ~、グシュン!」


 夜の食事で顔を合わせる二人に精彩が無い。ここは良妻賢母で私の旦那さんを迎え撃つ。


「あら~どうせが、些事なのでしょうが、大丈夫ですよ。」


 これは夫をより早く轟沈せしめるべきに掛ける言葉である。暗に「しくじりやがって、この野郎!」という意味になる。これでマイケルの心はズタズタに引き裂かれたはずよ、次はなんと言って攻めましょうか。だって私もさ、マイケルに何を言われても言い返せない事実があるからね。


「ありす。すまない……今月の給料が逃げてしまった。」

「ドジ、ばか、間抜け! マイケル。」

「何と言われても言い返せない。今月はありすの給料だけが望みになった。」


「え”……!」


「だから、ありすのお給与が命綱だと……言いたいのだが、許して頂けない?」

「も、勿論よ。明日には別の仕事をしてきなさい。出来ないのならばマグロ漁船に売り飛ばします。」

「う~……分った、何とかします、ありすさま。」

「よろしい、頑張りたまえ!」


「で、ありすの初仕事はどうだった?」

「うっ……。」

「で、どうだったんだい?」

「……ごめんなさい、お皿割りすぎてお小遣いで弁償しましたし……。」

「そうかい、随分と苦しんだんだな、うん分るよ……勿論明日も行くのだろう?」

「いえ、家に居ます、クビを頂きました。」

「な~んだ、クビなのか、残念だったな。可愛いメイド服が着られなくなって。」


「う~ごめんなさい。私がカツオ漁船に乗ります。」

「ガハハ・・・~! もう無理するな。ず~っと家に居ればいいさ、な?」

「うん、マイケルの為にご飯作って待っていますから。」


 それから私はビールをだして、その後にそ~っとお皿を出す。その皿の上は?


「……? 今宵はこれだけか?」

「はい、お小遣いを全部、お皿の代金に回しました。今晩は猫の缶詰で許して

 下さい。」

「せめて……犬の缶詰にしてくれないか。今宵はウルフズムーンなのだから。」

「ウルフムーンです、」

「おや、それはだな俺ら二人だから、ウルフズムーンなんだよ。」

「う~ん、ダーリン。好きです!」


 猫の缶詰や犬の缶詰とか、犬と猫を缶詰にしたものではなくて、犬猫が食べるエサの事なのです。日本語にはなっていませんが意味が通じるのはなぜでしょう。魚の缶詰……やはり使う言葉ではないですね。なんだかごちゃ混ぜしたような肉の料理は猫の餌のようにも見える。


「だったらとっておきの魚の缶詰……アンチョビです!」

「இஇஇ……。」



 今宵の私はマイケルに嫌われてしまったらしいのよね。どうしよう……。あんな胸毛が沢山だなんて、私も嫌いよ。サバ缶を独りで食べたのがバレたとは思えないから、さて、どうしてかしら?



 マイケルの全身の毛が……お風呂で剃られてしまった。今宵からは寒いだろうに風邪を引かないでね。マイケルの暖房は……私だった。


「おい、寒いから邪魔するぞ。」

「いいわよ、今宵は眠れないわよ、覚悟しなさい。」

「いいぜ、大歓迎だよ嬉しいよ。」


 マイケルは久しぶりに私とHが出来るのかと喜ぶのだが、実は私が許さない。もうお腹に子がいればHなんてどうでもいい、しなくていいのよ。眠れない理由は直ぐに現れた。


「ほら、これよ。一晩中続くから眠れないわね。」


「ウルフ……、アハハ……、」

「ボ~ン、ボ~ン、……。」

「ねぇ……遊ぼうよ! ウルフ……、アハハ……、」


「マイケル、正体を突き止めなさい!」

「ウォ~……おぉ~お~~……ゲボゲボ……。」

「なんだ、満月を見ても遠吠えも出来ないんだね。毛むくじゃらにはなるくせにさ、なんでよ。」

「出来るものか、ん十年もしたことがないんだぜ。でもよ声の主はありすに用があるようだが、友達か?」

「マイケルの昔の奥さんでしょうが,もう白状なさい。」

「やだ、ミステリアスな男なのだよ俺は。」


「ウルフ……、アハハ……、」

「ボ~ン、ボ~ン、……。」

「ねぇ……遊ぼうよ! ウルフ……、アハハ……、」


 夫婦の会話を邪魔するようにどこからともなく声が聞こえてくる。これでは眠れるはずはなかろう、いくら強者のマイケルだって……、あじゅ!


「ゴ~、ゴ~、ビシュ、ゴ~……。」

「こいつ鼾かいて寝やがった、またお鼻に詰め物をしようかな。」

「ブヒ!」


 今はすっかりとモジャのマイケルになっていた。だって一月のマイケルなんて初めてだものね知らないのは当然だよ。


「あらあらミントの香りがしているわね。私、入れた覚えが無いのだけれどもどうしてかしら。」


 小さな青い光が私に向かって飛んで来た。私は時季外れのハエ叩きを持って呼吸を止めている。その光はお人形さんほどに膨れて宙に浮いている。今……手を止めることが出来た。



「うん、あたいが入れておいたよ。今夜がウルフムーンだからね。」

「え”……だれ、とても小さい子。」

「あたい妖精なんだ。お母さんと遊びたいんだ、だから出て来た。」

「出て来たって、いったい何処からなのよ。私はお母さんではないよ。」

「うんと遠い過去からだよ、他にも五人は居るはずさ。」

「ふ~ん、遠い過去とはまたどうしてなのかしら。」

「私たち、マイケルの娘だった……と言えば分るかな。」

「分るかど分らないわよ。ね、ね。マイケルの事を教えてよ、ビスケットを沢山上げるからさ、ね、いいでしょう?」

「うん、いいよ。でも何も知らないんだ。みんな……お腹の中から出て来られ無かったんだよ。だから知らないよ。」

「だって……どうしてよ、マイケルと奥さんたちは白い棺の前で泣いていたよ?」

「あ、あれね、どうでもいいよ。あたいたちは知らない。」



 「みんな……お腹の中から出て来られ無かったんだよ。」って、なによどういう意味かしら。


「だったら私のお腹の娘は出て来ないのかしら?」

「無事に産まれるから心配いらない、大丈夫だよ。」

「うん、良かった。この前の夢がとても心配だったんだ、嬉しい。」


 それから色々とお話をしていたはずなのだけれどもね、寝落ちして朝起きたら夢のような思い出しか残っていなかったんだ。でもね、


「お約束だよね、この窓辺にビスケットを供えておくから食べてね!」


 寝る前に六枚の、人数分を揃えて入れたバスケットは翌朝になると、一枚も残ってはいなかった。それから毎夜に供えるビスケット。あの、不思議な笑い声や柱時計の音が聞こえなくなった。



 同時に私のお腹の子が私を蹴って遊んでいるみたいにして、大きく動くようになったんだよ。寝返りを打つというよりか、叩くというのがふさわしいみたい。その蹴られるたびに痛いから顔が自然と歪むのよ。これを見てマイケルは、


「なんだ、俺が悪いように思えてならないのだがな。」

「ごめんなさい、この子が悪いのよね。マイケルに似たのかしらね。」

「お~それは良かった。で、何時が誕生日なんだか判っているのか。」

「知らないわよ、だって病院には行かず仕舞いだったから。」

「お金……稼いで来るしかないか。さて、アテネをアテにして行ってくるか。」

「またマフィアを苛めるのですか?」

「追加制裁も辞さないと言っておいた、行ってくる。」

「そうね、マフィアのあがりを全部頂いてきてね。」

「おう任せろ!」



 とても頼もしく思えるマイケルの返事に私の心は喜んでいて、頭では撃たれて怪我をしないのかと心配している。ま、矛盾はしていないだろう、理性はちゃんと働いているようだ。ハエ叩きでお尻を叩けば喜ぶから、きっと銃弾なんて胸板に当ればはじき返すわよね。


 また気になるのが妖精の事。「窓辺にビスケットを置くとなくなるのよ、」とね、マイケルに報告したんだ。するとね返ってきた返事は、


「あ、そう言えば何でもミルクを置いたがいいらしいぞ。無くなれば精霊で、」

「妙なところで切るのね、続きはなによ、言いたく無いわけ?」

「ありすが食べたか……ネズミが持って行ったかだね。窓は開けていないのだからネズミはないだろう。」

「そうなんだ、ミルクを置くのね。今日にでも買っておくね。」

「今までミルクも飲んでいなかったとか、そりゃ~いかんばい。」

「飲んでいました、時々ですが飲んでいますから十分です。」

「ほう……もしかして嫌いなのか?」

「好きよ……マイケル。」

「バコ~ン、」

「うぐぅ~……、」


 殴られて忘れてしまった次に気になる報告。あの精霊が私のお腹で遊んでいるのよ、と言いたかったんだよ。私に姿を見せてから姿を見せなくなった。意味不明だからさ相談したかったと言うのに残念だわ。


「明日にでも近所の奥さんに相談……やめたがいいわね。魔女裁判に訴えられそうな気がする。うぎゃ痛い!」


 私の腹が大きく蹴られてとても痛かった。夕ご飯が喉を遡って口にまで出てきて大変だった。プランターの肥やしには……あんまりかしらね。鼾の鼻の穴が一番良かったのかな、それともお口に?


 ミニスーパーで買うビスケットとミルク。私が半分食べて半分を気が向いた時に置いておく。するとお腹の蹴りが激しいのは何故よ。規定通りの六枚を置けばなんともないがミルクは減りもしなかったのよ。仕方ないから私が飲むの。そのミルクが古くなればマイケルのコーヒーに入れている。これはナイスアイデア?


 私の食は細くして醜女ぶおんなになるのを防ぐ。普通に食べると腹より蹴られて口から出てくるので堪らない。軽く食べても体重は増えるとは不思議だね。




 私は黙っていても、私には事件の方が黙っててはいなかった。



 初めて産婦人科に行ってみたら、どうして今まで放置していたのかと、婦長さんから怒られた。きっと暇だったからだね、お局様のような独身の婦長さんに当られたのよね。言った言葉が悪かったのかな。


「はい、暖かくなったから出て来ました。」

「もうひと月もないのよね、暑い日になってしまうから大変よ。」

「え、もう産まれるのでしょうか。」


「そうね~八月の上旬という感じかな。」


 婦長と同じ顔をした医院長がそう言うのが不思議でたまらない。何故……? 診察室に二人と看護婦の一人が居て寝転んだ私のお腹を見て目を丸くしている。


 こんこんと説教を垂れる婦長と、必死で私の診察をしている医院長の差が面白いから楽しく聞いていました。


 医院長はひと言、


「入院させましょう!」x2

「ギャボ!」

「はい直ぐにベッドの用意を致します。」


 う~……又しても入院だよ、昔のことが甦るから入院は嫌だな。


「通院は出来ますから、動けますから、その通院でお願いします。」

「ダメよ、いつ産まれてもいいのよね、双子ちゃんよ。」

「え”……? そんな、一人だと決まっていますから。」

「こんなに大きな腹だもの、三人とかもあり得るわよね?」

「う~……バタン。」


 私は失神した。医院長の顔がとても怖い表情だったからだよ。双子だ三つ子だと脅されたら私の常識が意識を勝手に遮断したのかもしれない。


「直ぐに運んで、夫にも来るように電話しておきなさい。」

「はい医院長。」


 かくして私は入院する羽目になった。理由は栄養失調ぎみらしい。私の肌色が悪いのがその証拠だと言われたらどうしようもない。次の診察は病室で行われた。


「貴女、今日から栄養のあるものを食べさせます。完食しませんと注射しちゃうぞ!」

「ギャボ~・・・!」


「うるさいわね、貴女、今まで何を食べていたのですか。」

「え~とビスケットにサラダに少しのお肉とパンでしょうか。」

「இஇஇ……。」

「子供は順調よ、問題は母親になる貴女の体力を早く付けさせないとね、出産で貴女の命が尽きるかもしれないのよ。これは大変な事ですよ、理解して下さいな。」

「はい、死にたくはありません、よろしくお願いします。」

「婦長、私の夫にも連絡をお願いね、直ぐにでも来るようにと。」

「はい、姉さん。」


 このひと言で医院長が姉で婦長が妹だと判明した。姉妹で似ていたら双子だと考えるのだが、微妙に違いが見て取れるから双子ではないようだ。


「……医院長。」

「はい医院長……。」


 にらみ合う二人に割って入る勇気くらいはあるよ。


「あの~旦那様って、何処に、」

「アテネの国立大学に居るわ、名医だから安心なさい。」

「私、死ぬのでしょうか。」

「私が阻止してみせますから安心してご飯を食べていなさい。」

「はい、頑張って食べてみますが、よくお腹を蹴られて戻しますから無理かもしれません。」

「蹴られる前に消化してしまえばいいのよ、判った?」

「はい、分りました。」

「では寝ていなさい。」


 と、言いながら医院長先生が出て行く。個室を宛がわれたという意味はまだ理解出来ていなかった。


 夜になって、


 マイケルは怖い顔をしてすっ飛んでやってきた。だって夜になって電話で呼び出しを受ければ誰でもそうなるよね。


「おい亜衣音……大丈夫か!」

「はい、大丈夫よ、驚かせてごめんなさい。今晩は注意を聞いて帰ってもいいのよ、また明日来てよね。」

「あぁ向こうで色々と聞いて帰る。お休み私のありす。」


 久しぶりに私の本名を呼んでくれたマイケル、嬉しかったな。でもこの私に双子とかあり得ないかな、いや、お母さんだって双子を産んだし、桜子お婆さまだって、霧お婆さまだって双子だったな。澪お姉さまや明子お姉さまもそうだよ巫女の呪いは続くのよね。


 その後の私の様子と診察の結果、私の腹が割かれるとか、大きすぎるらしいと報告を受ける。信じる信じないは私の事だが真顔で迫られたら信じるしかない。



 家の照明が一瞬だが暗くなった。普通あり得ない。卓上の電気ポットを使えば照明と同じ延長コードだから、そうなるのだが使っていない。何か悪い予感しかない、だって家は八十アンペアまで耐える配線をしているからだ。二階の暖房は壊れたままだから細君が使うはずはない、今は午前五時……。


 怖くなったから次の章に行くわよ……晃!


「はい、喜んで~……。早く腹切っちまえ!」

「ヤダ!」


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