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人狼と少女 垣根の上を翔ぶ女 亜依音  作者: 冬忍 金銀花
第十三章 番外編  人狼と少女 亜衣音……β世界線

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第171部 悪女に……なった私だよ


*)私は……ガイアクォーツに助けられた


 熱い夜を残念に思いながら寝る事になってしまった。もう私の身体はヒートアップしているのよね、この身体を早く沈めてよ、鎮めてよ、静めてよ。


「その前にひと仕事終えてからな。」

「え~、私いつまで待てばいいのよ。」

「そうだね、胸の宝石が紅く光るまでだな。もう少しだろう?」


 そう言えばあまり気にはかけていなかったんだ。この宝石は頂いた時は無色透明で綺麗だった。それが翌日には少し白濁はくだくしていたんだな。それからは確かに白濁が多くなっていた。同時に私の身体が傷が回復していたと思う。


「え?……あ、ホントだ、少し紅が差しています。」

「ありす、君にも紅が差してきて綺麗になった。」

「まぁウソでも嬉しいわ!」

「では行ってくる。」

「お金、取り戻すのよね。」

「任せろ。」


 マイケルは自称、自営業で泥棒さんなのよね。確定申告はどうしてるのかな気になる。私が扶養家族って、うん嬉しいかも。


 私もこの綺麗なホテルを出てまた綺麗なあの激安ホテルに移動した。到着してフロントの机を三回ノックするの、それも左手でだよ。


 ボーイさんが奥から出て来て一瞬だが動作が止まった。


「はい……お帰りなさいませ、奥様。」

「鍵をください、……ありがとう。」

「いえ、何かホテルからサービスさせて頂きます。お部屋でお待ち下さいませ。」

「そ、そう、待っています。」


 く~~私、クールに決まったかな。この台詞は帰る途中で考えていたのよね。それにワザとらしく左手を見せるのよ。うん、もう最高~!


「コンコンコン。ルームサービスでございます。」

「はい、」

「これ、ホテルいいえ、私からの贈り物でございます奥様。」

「まぁ……美味しそう。」

「はい、ごゆるとお過ごし下さいませ。」


 イチゴの載ったショートケーキとコーヒーが運ばれてきた。これは私が日本人だいう事を知っての事だろう。


「でもでも、イチゴなんてもう半年は食べていないかも!」



 マイケルにお昼のことをね話したら、


「なんだ、五百円か!」

「ギャボ!」


 そういうとても残念な返事が返ってきたの、無粋だよ? 単純な私は五百円程度で釣られていたのか。



 唖然とする私にマイケルは優しくキスをして……くれないのよ。もうあったまにきちゃうわよ。でもねここは良妻を発揮するのよ、私だけを強調してはいけないのよね。先ずはマイケルを労るのよ。


「フンなにさ、どうせ私は五百円の安い女です!」


 あら~また逆の言葉が口を突いてでているわ。こんな口喧嘩の元を作ったあのボーイが悪いの。でも大人のマイケルは気にしてもいないよ。


「いい隠れ家を見つけてきた、ありすも俺の家業を手伝ってくれ。明日からは一緒に家業の練習を始める。」

「え! ホンとですの、嬉し~い。でも、私に務まるかしら。」

「ありすはO型の大雑把な性格だから、細かいことはいい。明日に教える。」


 と、言う訳で泥棒さんの鍛錬が始まった。日を重ねるうちに胸のペンダントは段々と紅く色づいてきているよ。


 そんな私とペンダントをマイケルは優しく包んでくれてキスしてくれた。毎回のキスで私は直ぐに「ポワ~ン。」となってしまう。


 そう言えば思い出した事があるわ。マイケルはいつも私の胸のペンダントを握り締めていたんだよ。そうして優しく声を掛けてくれていた。私は耳元で囁く声に痺れてね、マイケルがペンダントを握り締めていたのに気づいていなかったんだな。 


「こうやって俺の念力を込めている。紅くなるのはその証拠さ。」

「ウソよね、これは私の魔力で紅く光るのよね。」


 どちらも本当の事。前の奥さまの魔力はとうに消えている。今は私がマイケルにキスされてポワ~ンとなる時の溢れでる魔力をこのガイアクォーツに吸収させている。それとマイケルの力をね。


 山の中腹に在った石造りの民家を購入したそうだ。小さな家は、


「うっ、汚!」

「掃除するよ。」

「うん、初めての新居だもの、私がするから。」

「お、いいのか、サンキュー!」


 と、誘導に引っかかり自分だけで掃除をするはめに落ちた。


「う~これでは五百円ケーキと同じよ……私のバカ!」


 マイケルはマイケルで容赦なく家具を買ってきては、放置して直ぐに出かけるのね。うんと稼いで貰わないとね期待しているわ。造り付けの暖炉がこれ程暖かいのかと初めて知った。


 それから三十日は過ぎたか、私も以前以上に身体の体力も筋力も戻っていた。これならいよいよ二人で仕事よね!


「マイケル。今日はお仕事どうしたの?」

「明日からありすと二人で行く。その前にこの看板を作りあげる。」

「なによ、」


 大きい板には、なんと、「for Sale」と書かれてあった。


「え~この家売るの?」

「そうだよ。もうここではやることも無くなったから明日からは二人で仕事に出る。」

「そうね永住とは目的が違うの。寂しいかな売れるかな、売れればいいね!」


 直ぐに答えは出た。私の所為で……。




*)初仕事は……豪快に!



「うん、見張りはまかせて。」


 もう私も立派な女盗賊へと気分は上がり、身分は落ちている。車上荒らしがお仕事とは自分でも情けないとは思うが、これも生きて行く為には必要なことだ。


「あんベンツ、大きくてお金持ちよ。」

「あれな、直ぐに警報が鳴るからダメだ。狙うなら日本車のポンコツ。あいつらは隠れた金持ちだからな。それに警報も鳴らない。」

「へ~勉強になるよ、マイケルはね。」

「それにな、一番大事な点はハンドルロックが無い、エンジンも直結で始動出来るという事だ。どうだ覚えたか。」

「うん、分ったわ、でも、ガソリンはどうやって給油するのかな。」

「うっ……壊す……。」

「どうやってよ、」

「お前が切り刻むのだから、俺は楽出来ていい。」


「でも今日は車上荒らしだけだよね。」

「そうだな、あの車を狙うよ。」


「う~……逃げる準備はいいかしら。」

「いつでも、」


「エアー・スプラッシュ。」

「バァ~ン!」

「ほいきた、バッグのお財布を頂き!」

「ドーン!」

「おいおい、全部吹き飛ばしたら可愛そうだろう。」

「保険、下りるよね?」

「んなものは、ね~。全部自腹さ!」

「あ、今度からは窓ガラスだけにするから、いいよね?」

「俺はドアさえ開ければいいのさ、言わなかったか?」

「言っていませんよ、バカ!」


「次は……、」

「あのベンツ、エアー・スプラッシュ。」

「ウォ~~~……これはマフィアの車だぜ、逃げる。」

「え~@¥@お金在りそう@¥@……エアー・ドライヴ。」


「バコ~ン……ドーン!」


 空中にベンツの屋根が舞い上がり直ぐに車中より沢山のビラが舞い散る。


「ヤッター成功よ、マイケル。」

「もう早くしろ、マフィアが来る。」


「ほら、集めるわよ。少し降りるからよろしく。」

「大きい札だけにしろよ。」

「はい、まかせて!」


 四方に散らばるビラの束。これを両腕いっぱいに集めて回った。


「バババ・・・ン!」

「エアー・ドライヴ。」


 マフィアの男たちが奇っ怪な声を上げて吹き飛ばされている。同じくマイケルも可笑しな事を叫んでいた。右手の中指を立てているから、ここでは書けないら

しいのよ。


「私のあえぎ声は書くくせに、ホンと理解出来ないよ、晃って!」



「これならば……俺は要らないな。マフィアに対抗出来るって凄いと思うよ。ホンと第一に、妻と凄いの字が似ている。」

「もう狩ったわ。逃げよう。」

「儲かったの間違いだろう? なぁ……ありすさんよ。」

「そうかしら、これで服を買えるわね、それとマイケルのお酒も。」

「嬉しいよ、どうやって逃げ切るか、狭い道路に逃げ込むか。」


 ベンツを壊された腹いせいにマシンガンってどうよ。追跡の車も大きいベンツだからバイクには敵わないのよ細い路地ならばね。


「もうこの街にはいられない。服だけ買って最後の夜景を楽しむか。」

「お酒も買いましょうよ。私、マイケルと一緒ならば寒くはないよ。」


 愛の巣で夜の乾杯をしようという事に決まった。私のたってのお願いである夜空でのバーベキューなの。もう夜更けかな? 夜は超~寒かったな。



「今日は幾らだ、」

「う~ん、一万ドルかしら、ね。」

「く~……百ドル札かよ。」

「え”……これは百ドル札なんだ。だったら……十万ドルだよ、束を十個も掴んできたよ、私って最高!」

「二千万か……そうだな、最高だぜ、ありす。」


 別に私用に札束を三つ隠しておいたの。所謂女房のヘソクリというやつよ。


 お金に負けたマイケルは私によって陥落してしまった。


「俺の強い決意は何処に行った。」

「昨日のマフィアに食わせて来たわよ。もうマイケルは私のモノよ! ね?」

「うぐぅ~……、」


「おいで、ありす。」

「うん、嬉しい!」


 がった~、いの文字が無い。合体ができなかったのよ。


 直ぐに銃声が聞こえてきてね、


「パンパン! バババ~ン!」「もううるさい蚊だよ、直ぐに黙らせてくる。」

「俺は逃げる準備しておく。」

「うん、お願いね。」

「この女は強者だよな、銃声を気にも掛けない。」


 私は裏口から出て特大の魔法を放つ。方々で土煙が上がっていて、その間はうるさい銃声も途絶えていた。


「ヤッター成功よ!」

「良くやった。」

「パンパン!」「パンパン!」「バババ~ン!」

「まだか。」

「ありす、お前がこんなにも方向音痴なのがよく理解できた。偉いと思う。」

「そうだよ、凄いんだからね。」

「別に褒めていない、けなしただけだが?」

「う~そんな~。」


 私は明後日の方角に魔法を放っていた。それから石壁に多数の銃弾が当り独特の模様を作っている。窓は全部粉々になって飛散、私のお気に入りの家具はこれも薪と化していた。せっかくマイケルが私に買ってくれた服が、服がおじゃんになっていく。それを見ているのが悔しくて……。


「イヤ~……マイケル!!」


「いいぞ、乗れ!」「パンパン!」

「ブルンブルン、ヴインヴイン、ブ~~~~……。」「パンパン!」

「パンパン!」

「バイクの後ろは私だからね、盾はいやだ~~~!!」


 遠く離れてから振り返ると、


「イヤ~……マイスイートハウスが燃えている!」

「クソ、今度お礼参りしてやる。」


 夜は直ぐに明ける事にはならなかった。真夜中のカーチェイスが今始まる。どちらかと言ったら私らの方こそお礼参りを受ける身分だよ。それをマイケルが言うのはおこがましいだろう。


「マイケル、このバイクの名前は?」

「本田のフーガ!」

「で、追いかけて来る車はなに、」

「トヨタのチェイサー!」

「ふ~ん、何だか可笑しな名前だね?」


 フーガというバイクは無い。追うチェイサーに逃げるフーガ、もう運動会の駆けっこと同じよ、さながら天国と地獄だよね。朝までには逃げ切る。


 マイケルは紅く染まった私のほっぺたを見て豪快に笑うのよ、なんでよね!


「マイケル。家、燃えてしまったね。」

「あぁ金にならずに残念だ。今日はラフィーネに戻るか。」


 ラフィーネ? マイケルのラフィーナの言い間違いだが気になってきた。後で訊ねてやるわ。


「この前のホテルよね、そうねあそこが一番落ち着くかしら。」

「俺の隠れ家だからな。」

「Hの続きよね。」

「……。」

「だから、H!」

「分った、そうしよう。」

「絶対だよ!」


 私は何度でも後度ごどを突く。もうお預けはゴメンだからね。


 アテネからラフィーナのホテルには直ぐに着いた。百ドル札の幾枚かをボーイに握らせて直ぐの宿泊を頼み込む。早朝という事だから部屋の案内を断られたからだ。でもお金の力は偉大だよね。


「同じお部屋がよろしいでしょうか? 直ぐにご用意いたします。」

「おう、ありがとうよ。とても助かる。」


 私はボーイさんにレストランの席を頼む。


「夜はまたレストランの同じ席を予約したいのですが?」


「はい……承知いたしました奥様。ですが本日は個室をご用意いたします。」

「キャッ、奥様だなんて……。」

「バコ~ン、」

「キャッ!」


 準備には三十分は要したようだ。長く感じられてマイケルはお疲れムードでソファで寝てしまう。


「奥さま、その……ご用意が出来ました。」


 ボーイさんはニコリとして私に声を掛けてくれた。マイケルの腕を引っ張ってお昼寝から起こすと頭がテーブルまで落ちてしまう。見ていた人は笑いを殺して立ち去るのが面白かったかな。外国の人って素直だから見て見ぬ振りが出来ないのよ。日本人は厭らしい程に無機質でつまらない性格だと思う、マイケルの様子を見ても笑わないよ。


 やや不機嫌なマイケルの尻を押して部屋に行き、直ぐに食べ物の調査に入った私は、


「マイケル……この冷蔵庫には食べ物が沢山入れてあるわよ、超~ラッキー!」

「あの野郎、俺らから金を巻き上げる気マンマンだな。」

「え~どうしてよ、朝ご飯に丁度いいのよ。サンドイッチ。」

「ありす、お前が払え。多分十ドルくらいだろう。」


 十ドル、レートを二百円として二千円か。確かに高いと感じた。それが二つも冷蔵庫に入れてあった。他はフルーツの大盛り、ビールのおつまみ類が沢山も。


「いいわよ自分で払うから食べよう?」

「そうか、少し頂く。」


 十個のサンドイッチをマイケルは二つ掴んで私に差し出した。うんうんマイケルは優しいんだよ。で、マイケルはお皿ごと持って食べ出してしまう。


「いやよ、それ、あたいが食べるのよ!」

「また冷蔵庫から出せばいいだろう。」

「はい、次はフルーツの大盛り。これ私が食べる。」

「もう一皿在るだろう、出してくれ。」

「はいはい、サンドイッチ。」


 冷蔵庫から出してマイケルまで持って行く途中で二つを取り上げた。これを遮二無二奪い取るマイケル。泣くようにして騒いだら半分囓って戻してくれた。意地悪

なんだからもう~……。


「菜っ葉でも食っておけ。」

「ヤダ! いいもん、ビール飲むから。」

「あ、俺も……、」

「キャ……いや~ん、零れたじゃないの。」

「すまんな、昼寝のお返しだ。」



 それから直ぐにシャワーを浴びて、マイケルが喜ぶように丁寧に肌を磨き込む。


「あ、本当だ。すっかり痣や傷が癒えている。この石は五ドルではないよね。」


 六千円が六百円に一桁下がっているよ。最近のレートでは百二十円ほどか。



「マイケル。シャワーしておいでよ、お湯溜めておいたから。」

「おう、そうするか。」

「マイケル。そのビール持ち込んで飲むのかしら?」

「そうだが、風呂で飲むのは美味いぞ~。」

「へ~そうなんだ……。」


「早く上がってよ!」

「……、お代わり。」


 私は呆れてしまう。もう頭からビールをぶっかけてやったわよ。それでもビールを持ってこいと澄まして言うマイケル。


「お代わりは、私の活け作りだから味わいなさいよね!」

「バ~カ!」「ウキャ~~、」


 今度は私にお湯が沢山掛けられた。


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