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人狼と少女 垣根の上を翔ぶ女 亜依音  作者: 冬忍 金銀花
第十一章 ターニングポイント……分岐点……

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第155部 ミコノス島と……無人島


 ミコノス島国民空港、無事降りられたのはいいが直ぐに警察署のお部屋に入る。ここで半日は監禁されて出られなかった。飛行機の解体と撤去の費用はきっと私には請求が来ないよね、アメリカ軍が払うよね。


「ここ、日本と間違いそうだわ。」

「何処が日本と同じよ、緑は少ないし、家々は白くて綺麗だよ。」

「だぁ~って、道路を見ればここは日本と同じよ。路駐だって走る車だって、」

「あ! ホンと、日本車ばかりだね。ふ~ん、日本も異国で頑張っているんだ。」


 失神していた機長は起こされてあのまま宿泊になるんだとか。死んでなくて良かったよね。で、桜子お婆さまも同じみたいだよ、可愛そう……。



「亜衣音さん、あんたはボスから守られているのよ。少しは反省しなさい。」


「反省……って、なんで私が悪いのよ。誰かの攻撃よ、信じてよ、そうよロシアの巡航ミサイルが飛んできて当ったのよ。」



 巡航ミサイル……そうよ、熱探知機付きだから両翼のジェットエンジンに命中したのよ、と、言う私には誰も味方はいない。きっと明日には事故の検証が行われて結果報告がなされるのよ、今日は、明日までの辛抱だけよね?


「貧乏な国が一発、数億円もする巡航ミサイルを丁寧に二発も奮発するとは思えません。」

「ギャボ!」

「一発、二発、奮発よ!」

「だよね~藍ちゃん。夕霧さんの意見が可笑しいのよ。」

「だったら亜衣音、お前か!」

「ギャフン……。」

「そうだろう、もう何も言う事はないよな。」

「さいであります、はい。」




 夕食は、グチャグチャになったビックバーガーが運ばれてきたんだ。これをさらにグチャグチャにされて私の口へと運ばれた。スプーンで粉々にされたの。


「あ~~~ん、」

「もっと大きく開けなさい。」

「もっと小さくして!」

「珠子ちゃん。押し込んでやりなさい。」


「夕霧さん、交代して!」

「あら、交代したらこの子、窒息死しちゃうから、いいの?」

「フガ~……、」(いいことありません。)



 この後に私はトイレ・シャワーに行かされて海斗の前に立った。



「海斗、優しくして……。」

「あぁいいぜ、大人しくして、させろよ……。」

「うん、いいわよ、観念しているから自由にしていいのよ。」

「おう、ありがとうございます。」

「……?」



「夕日が綺麗だったので、私、海斗に期待していたのにな……残念だな!」

「そうね、今は皆して夜景が見える丘に散歩に行ってるわね。私と亜衣音ちゃんはお留守番、とても残念だわ。」

「私を恨んでる?」

「いいえ、私自身を恨みたいくらいだよ。」

「えぇ?? どうしてなの?」

「内緒よ、教えてあげない。」

「藍ちゃん、可愛いわよ……解いて下さらないかしら。」

「却下、珠子さんが簀巻きを解いたから落ちたのよね。」

「あれは違います。巫女の魔法が飛行機を落とすことなんて、考えられません。」

「でも、機内で叫んでいたよね、エアードライブって。」

「それはこの飛行機を守る為です。私のお陰でみんなは無事に飛行機から降りる事が出来ました。」

「それは……そうだけれども、違います。」

「この分からず屋、アホ、死ね!」

「道連れよ、ここは綺麗な海ですって。泳ぐ?」

「いいえ、結構です。」


 今回も……簀巻きにされたのだった。


「ねぇ亜衣音ちゃん、あの教授という人、どことなくお父さんに似てるわ。」

「ふ~ん、藍のお父さん、今は何処で何をしているのかな。」

「私が知りたいよ。クソ親父なんか、死んじまえ!」


 私は在らぬ考えを抱いた。あのスケベな教授は藍のお父さんなのではないかと。


「違うわよ、娘を前にして取り乱さない父親なんてこの世にはいませんわよ。」

「う~そうだといいのにな。私には優しいお父さんだったんだから。」


 典型的な洗脳が施されているのかしらね。桜子お婆さまも落ちているのならばこんな小娘なんか、イチコロだよね。さて、どうしたものやら……。




 翌朝、無事に解放された面々がホテルに着いた。桜子お婆さまが言うには、


「亜衣音さん、ごめんなさい。」


 だった。謎のジェット機にミサイル攻撃を受けていたという。でもあの藍のお父さんにはこんな芸当は出来ないはず。だったら藍のお父さんの裏にはロシアの国がバックについているのよね。教授が黒ならば飛行するルートは敵に筒抜けだぞ。うん、あり得るわ。


「皆、亜衣音さんをマッサージしてあげて!」

「お、オー!」x?


「亜衣音さんさ、私もおかしいとは思っていたんだよ。」

「そうよ、巫女の魔法が飛行機を落とせるはずないよね~!」


 そんな調子のいい面々は、私を簀巻きから解放してマッサージをしてくれた。確かに身動きも出来ない、縄の食い込みが痛いし、縄模様の跡がくっきりと胸に残っている。脚や腕にもだよ。これはこれで趣が~って、いいことないよ。


「う~~ー~ん、極楽、極楽。」


「でね、亜衣音。今度は高度……九千メートルからの生還できた理由を知りたいと言うのよ。亜衣音さん、今度は独りで行ってきてね?」

「ヤダ、……うん、いいよ。一人でいいのよね?」

「そうみたい。誰にも助けを求められないようにしたいのかしら。特に大地くんや海斗くんにはね。」

「相手も私たちを調査済みという訳ね。」

「そうでしょいうね、頑張って!」


「はい、独りで行ってきます。」


 何処までが本当なのか理解出来ない桜子お婆さまのお話。軽く言っている処から判断するに、私の意思は自由と言う事かしら。


「ほら、タクシー代よ。」

「ありがとう。少ないかも。」

「ごめんね、これだけしか無いのよ。カツアゲして稼ぎますから明日にでも貰いに来てね。」




*)逃……飛行……逃避行



「私、飛んで逃げるに決まっているじゃんか!」



「ホ~ッホッホ、やはり逃げられましたか。」

「そのようだね、出頭の催促が車で待っているが、どうしたものか。」

「でしたら私が身代わりで行きます。」

「ひ……かる? いいのかい?」

「はい、ご恩返しにでもなれば幸いですよ。」

「捕まってモルモットにされるよ?」

「お婆さまはそれが判っていて亜衣音さんを出していたのですか?」

「逃がしたまでだよ本当はね。上手く逃げてくれたらいいのだがね。」

「ここは島ですし隠れる場所がありませんし、飛行機は出来ないから船という選択しか残されていません。」

「もう港は押えているだろうさ、亜衣音……どうするんだろうね。」


「私たち、守られているばかりですので、少しでも逃げる時間が稼げるのでしたら、尚のこと、身代わりで行ってきます。」

「大地くん、無理をしてでも付いて行きなさい、お願いします。」

「はい、お婆ちゃん。」


「もうお前たちは、私の孫にするからね、いいかい?」

「いえ、その、」

「遠慮は要らないよ。もう亜衣音からも頼まれているし、両親にも確認をとっておいたよ、大地くん。」

「はい、行くところはありませんので、お願いします。」


「海斗くんと藍ちゃん。お願い、亜衣音を助けてやって!」

「はい、お母様。」

「ちょっと海斗。あんたは亜衣音を貰う気でいるのね?」

「もちろんさ、大地からの遺言は今でも生きている。」

「大地くんが生きているのならば遺言は無効よ。」

「藍ちゃん、男に二言はないのだよ。」

「随分と勝手ですね、そんなに亜衣音ちゃんの身体が良かったのかしら?」

「……! 無理言わんでくれ。ぞっこんなのは、まぁ間違いはない。」


「まぁまぁうふふふ……。」

「亜衣音ちゃんのお婆ちゃん。笑っていてもいいのでしょうか?」

「いいのよ、亜衣音も幸せになってくれれば私も嬉しいに決まっているじゃありませんか。藍ちゃんも頑張ってね!」

「わ、私がなにを頑張ればいいのかしら。」

「だって、海斗くんと二人旅ですのよ? ここで男を落とさなくてどうしますか、これはチャンスなのですよ。」


「はい、今日から攻めてみます。亜衣音ちゃん、ごめんなさい。」

「新婚さんみたいで、可愛いわよ。」

「……。」


 無言の海斗……。どう反応していいのか頭で思考中だよ。



 ここ地中海は1970年代以降、世界各国から観光客の集まる大リゾート地となって繁栄して行くが、このエコノス島も例外ではない。小さい島なのに空港も港も、それにリゾートホテルすら在るのだから。ここにも海水浴場が数多く存在する。産業は観光のみの神だのみなのか、漁港が無いようだ。マグロ漁……盛んに行われている地中海なのだが、ここには無縁なのだろう。



 家々はあるのに通行する人の影は観光客のみ。現地の人たちは仕事でいないのだろうか。


「藍ちゃん。可愛い服を用意しています。元々は亜衣音用に用意しましたが、藍ちゃんが着てくださいな。」

「あ、ありがとうございます。嬉しいです。真っ白なウエディングドレス!」

「バカ、何を言っている、頭チョップ!」

「キャッ、痛いよ海斗……。」

「もう俺を呼び捨てかよ。」

「だってさ、もう旦那さんに格上げだよ、お婆ちゃんにも了解頂いて、イタッ、もうなんで殴るのよ。」


「やかましい、黙れ。アンポンタン。」

萬金丹まんきんたん。」

「もうお婆さままでも……、」


 ウエディングドレスとは違うが、普通の洋風のドレスだった。アメリカで買い揃えられたもので、確かに……胸に余裕があるのはなぜだろう。


「藍ちゃん可愛いわよ、」

「海斗くん、藍ちゃんをよろしくね!」

「はい、お母様……。」



 周りの女たちは指を咥えるしかない。ひかるはもう大地と出かけている。大地はというと、


「女だけでいいのだが?」

「こいつ、逃げないように俺が付いて行きます。」

「そうか、逃げるとは思わなかった。捕まえてきたのか!」

「はい、随分と苦労して捕まえました。」


「おい、追い出せ、」

「オーケーボス!」

「おい、何をする、俺も乗せろ、護衛に……あ、待て!」

「あばよ~……、」

「クソが、走って追いついてやる。」


 昨日の警察署の部屋まで大地はたどり着くが、女など呼んだ覚えは無いとぞんざいに放られて大地は戻っていったらしい。そう報告した大地はホテルから出ていこうとして桜子お婆さまから止められる。


「ちょっと待ちなさい。」

「俺は、ひかるを追いかけます。」

「それで何処に行くのですか。」

「……何処にって、車を探しに行きます。」

「歩いて?」

「はい、ひかるをまた苦しめたくはありませんから。」


「お婆さま、この島は小さいですよ。歩いてでも島の反対側にも行けます。」

「そ、そうよね、では皆で手分けして探しましょうか。」

「はい、異議な~し。」




 そんな事は知らない私は、というと。



 田舎の空港は逃げ場も無いし、お金も使えないのがあるだけ。ここは密航しかないのね。私の頭の思考は弱いらしい。空がダメならば海よ、と、考えて西へ行くと決めた。桜子お婆さまが握らせたお金はドル紙幣、使えないよね。


「そう言えば、飛行機からは沢山の風車が見えていたわね。観光がてらに行ってみようかしら。」


 高度九千メートルからきりもみしながら落ちている飛行機から見る景色としては、想像する天国の風景しかない。または楽しかった思い出の風車……いや違う走馬燈というやつだわ、風車ではないわね。


 ホテルの窓からは果樹園らしき土地も見えていたが、何が栽培されているのかは判らない。きっと乾燥に強い作物だよね。


 そんなこんなの情報はホテルに飾ってある風景の写真のみ。これでは東西南北なんて判らない。ホテルの入り日が海側に見えていたから、海が西なのだと考えて南に進んだ。


「確か、この方角が港だったよね。高帚たかぼうきが在れば飛べるかな。あの黒い衣装の女の子は飛んでいたよね、黒猫キキと一緒にさ。」


 私は南に進む。本当は北に唯一の港が在ったのに、ホンと残念な私だわ。こんな方向音痴には男を欠かす事が出来ないのよね、どうして女って方向音痴ばかりなのかしらね。


 グチグチと愚痴しか言わない、極めて建設的な思考は頭に浮かんで来ない、これが私なのだと初めて気がついた。


「ホンと、大地が言うように私は残念な女だわ。」


 急に大地の顔が浮かんできたから、叫んでみた。


「もう~バカ大地!!!」


 本当はね、ホテルは高台に在るのよ。でも……坂を下りていたら間違えただけなのよ。だって北にある港は見えていたんだもの。独り言が続く。


「ドジだと言ってくれてもいいのよ。」



 こんな私の横を一台の日本車が通り過ぎる。道路の埃が凄い、乾燥地帯だからこんなんかな。とは思ってみても日本と代わり映えはしないはずよね。日本の国道が舗装されるのはまだまだ先の事なのだから。田舎の県は三メートルの道路が未舗装の国道だものね。東京暮らしには理解は出来ない。猿だって見付かる国道よ。牛や豚も放し飼いにされていて、道を歩いていたわね。事実である。



「あ、ヒッチハイク……。もうこれしかないわ。え~・・と、こうやって右手の親指を立てるのだったかしら。うん、決まってるわこのポーズは。」


 減速もしないで通り過ぎる。この薄情者め!


「こんな田舎娘を拾う車なんてないよね。」


 でも私は歩くんだ。時々後ろを振り向いては遠くに目をやる。でも見えないのよね、車なんて……。


「あ! 砂埃……、来たわ! 心を静めて顔は明るくして、


    ヘ~イ、……、             もうバカ~崖から落ちろ!」


「う~顔が悪かったのかしら、もちっとスカートの裾を上げるのかな。」


 そうやって一台をやり過ごす度にヒッチハイクのポーズを考えてみる私。段々と過激なポーズに進化する私だが、


「そうよね、女の運転手だけなのね、男は居ないかしら。あら来たわ!」


 今度こそスカートの裾をこうやって大きく捲くって……あ、止まって!


「このドケチが~……やはり女しか振り向かないのね、クソがバイバイしてやが? あれってひかるちゃんが乗っている? 確かにひかるだったよね。攫われたのかしら。う~……どうしようかしら。」


「ブップー……ヘイ、乗るかい?」

「あ、お願いします、前の車を追って下さい。」

「なんでもするかい?」

「う……はい、何でも言うことを聞きますのお願い、前の車の行き先まで私を連れて行って下さい。」

「オーケーよ、座りな。」

「ハイ!……、」


 うぅ……この痴漢野郎の右手が私の太ももに伸びてくる。島の車は左側通行だと思っていたが、この島は違う、本国のギリシアと同じ右側通行なのよ。


 どうして左側通行でないのかしら。


「あの~右手が這い出しておりますが……。」

「オーケー、気にしない。」

「私、気になります。」

「お前さん、スカートの裾を捲くっていた。だからその分までは了解なのだろう? 違うのか。」

「いえ、違います。目の保養まででございます。」

「ここは自由の国ギリシアさ。Hもいいのだろう?」

「はい、先に車の行き先までお願いします。Hはその後で!」

「オーケー。まかせておけ。」

「ハイ!」


 こんな優男、目的を果たせばおさらばだよね。うん、巫女の魔法で天国へ飛ばしてやるのだから。今は天国までのお駄賃、チ*コが出なければ我慢します。


「ダメですよ、まだ早いです。」


 もう、本当に出すとは思いませんでしたわ。優男……訂正します、野獣だと。


「早く追いついて下さい。」

「この道は一つ、Paralia Korfosまでは大丈夫。」

「で、そこの街で見失うなわないで下さい。」

「あんたの言葉、判りませ~ん。」

「んな訳ないだろうが、このボケ!」

「ボケ……、悪口ですね、このバカ。」

「なんだ理解できるじゃんか。」


 ひかるを乗せた車は街には入らずに海を右手にして北上している。このエロジジイはこの先も一本道だと説明してくれる。右手がしゃらしい……。いったいこの先、どれ位我慢すればいいのか。


「へイベイビー、着いたぜ。」

「ありがとうございます。ここで少し待ってて下さい。」

「……いいぜ、あいつらの行き先を確認するだけだろう?」

「はい、夜はまだ先ですわ。」

「オーケー。」


 ひかるは男二人に挟まれてご機嫌……斜めらしい。騒ぐ事はなかった。車から降りて歩けば直ぐに砂浜がある。その先には小さな島が在る。距離にして百メートルほどかな。


 一人の男がやや奥からボートを引き出している。もう一人はひかるの両手を掴まえて立っているだけだから、あの島に渡るのだと確信した。



「この距離ならば歩いて渡れるかしら。」


 でも中央付近は青く見えるから立てるような深さではないようだわ。それなら泳いで行くしかないが、服が濡れるのを我慢するか裸体を見せるか、悩む処だわ。こんな思考しか出来ない私に、


「あの船を置いていた丸太を使えばいいだろう。ただし、俺の目の前で脱いでくれれば手伝うぜ。」

「あ、そうですね。服は丸めて丸太の上ですね。」

「そうだ、それでいいだろう。俺はここで待っているからな。」

「はい、帰りもお願いしたいので待ってて下さい。」


 ホテルまでの距離は大したものではないが、何かの役に立てればと考えてみた。ホテルまでは歩いて、そうね六~七キロくらいかしら。女の私でも苦にはならない距離でもある。


「あの島には、聖ジョージ教会が在る。それに家も在ったかもしれね~な~。」


「ありがとうございます。確認してきます。」(おいおい、見えているよね!)


「今だったら俺も手伝うが、どうするね。」

「やはり隠れ家を確認したいです。他に何らかの情報も欲しいのですから。」

「じゃちょっと待っていろ。ロープを探してくる。」


 こんな何もない処にロープが在るはずはないと思っていたら、トランクを開けてなにやら物色しだした。どうも車に積んでいるようだ、それも敵の車を荒らしているよ、この男は。


「これは細いがもつだろうさ。」

「細いですね、私にも切れそうですわ。」

「お前には切れない。今試してみるか?」

「いえ、夜にお願いします。」

「いいぜ、直ぐに丸太三本を束ねてやるよ。」


 細いナイロンをった紐は強い。私には切ることも出来ない。


 ひかるに目をやればもう上陸していた。それからは歩きだから振り向くような事はないよね、今から上陸作戦開始だよ、待ってなさいひかるちゃん。


「はい、もう見付かりませんのでお願いします。」

「三分間待つのだぞ。」

「プッ、可笑しい。」

「これ、インスタントラーメンの宣伝だな。」

「じっと我慢の子だから、松山容子さんだよ。」

「あ~あの、えらいべっぴんさんの、」

「はい、食べたいですね。」


 小さな飲食店にもカレーのメニューがあるので頼むと、間違いなくこのカレーが出てくるという名物カレーだ。1973年のキャッチコピーなので今はまだ存在していない。


「できたぜ……。」

「……。」

「だから、出来たぜ。」

「はい、行ってきます……見るのですか、恥ずかしいですよ。」

「見せるのが条件だっただろうが。」

「う~……向こうを向いて下さい。」

「ダメだ、全部脱いでくれ……。」


「ウッキャ~……次の章へ跳んで、ワープ!」

「だめだ、スッポンポンになれ。」

「はい……、」


 私は目の前の男の視線を全部集めて服を脱いだ。


「この作者は変態よ、嫌いよ。」

「俺が晃だと、どうして知っている。」

「あら、ほんとうね……。」



 エコノス島の見物……だよ。


「海斗、助けて!」

「眼福、眼福。」




「ガチャン!」

「沙霧……大丈夫か。最近、器を割る数が多くはないのか?」

「えぇ……大丈夫ですが……亜衣音はもうこの世には居ないような気がして、すみません、直ぐに片付けます。」

「縁起でも無い、俺が片付ける。沙霧は子供たちと一緒に休んでいろ。」

「すみません、お願いします。……亜衣音……無事ですよね。」


「あぁ、もちろんさ! 今度の休みには食器の買い出しに行くしかないか! これで何枚目だ?」


 うちの奥さん、最近はお茶碗を盛んに欠いている。これ事実だよ。これも小説のネタにしているよね。


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