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人狼と少女 垣根の上を翔ぶ女 亜依音  作者: 冬忍 金銀花
第十一章 ターニングポイント……分岐点……

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第152部 CIAが瓦解したぁ?……急な帰国と青天の霹靂


 1971年9月9日



*)CIAが瓦解した?


「亜衣音、とにかくだ、今時点で判明した事を家族に伝えようじゃないか。」

「それって……智治お爺ちゃんが連絡するんだよね。」

「俺では不満かな。状況分析はトラクター修理にも通じる、大事な事で、」

「いいえ、お爺ちゃんは不適格ですよ。」

「おいおい、喋っている途中で割り込んで俺を黙らせるのか。」

「はい、そうです。連絡はお義父さんにお願いします。」


 お義父さん……北海道の田舎での育ての親だ。明さんの事だが、普通は照れくさいので呼ぶ事はない。


「どうして智治さんではいけないのかな?」

「だってお爺ちゃんのバックを考えてみてみてよ、直ぐに私の意図が分ると思うんだ。」

「あ~……なるほど、桜子!」x2


 この二人も、事、桜子お婆さまには手を焼いているので意見がぴったりと合致しているよ。周りが苦労していたのが良く理解できるというものだわ。ということで、この二人は見つめ合って笑ってごじゃる。


「なによ、気持ち悪いんですが?」

「あ、いやいや、とうに報告済みだよ。詳しくは報告していないよ。」

「お爺ちゃん……さすがだわ!」


「おい智治くん。という事は今頃は……明日は鳥肌ものだよ。どうしてくれる。俺は明日にでも帰国したくなったよ。」


「お義父さん……気のせいだよね?」

「いや、この予感は百%ホンモノだよ。今宵は酒を断っておくかな。」

「へ~この一大事でも飲むつもりだったんだね。」

「飲まないと何時まででも時差ぼけで寝れないからね。」

「そうなんだ……ジジくさ!」

「亜衣音~牧場の仕事は夜中から始まる事は知っているよね。」


「うん、もう忘れた!」


「この薄情者め!」

「アハハ……忘れてはいませんよ、いつもご苦労さまです。」

「あ、智治くん。草刈り機の調子が悪いんだ。今度来てくれないか。それに桜子さんとこの実家にも顔を出すべきではないのかね?」

「いや~すっかりご無沙汰はしております、はい。」

「この~忘れていたな!」

「ですが、桜を今更連れては行けません。本人は知りませんがね、どうも葬式もあげたようですしね。」

「あ、家と同じ。でも、私が拒否していたからお墓も無かったよ。」


「あれは……確か、名前を彫っていないだけだったと記憶しているが、本当は上げたようだよ?」

「いったい誰が……あ、お爺ちゃんだよね。」

「いや、実は……怒るなよ、俺なんだ。白川の爺さんは金を貰いたいのでアメリカ勤務だと、うそぶいていただろう?」


 うそぶいて= とぼけて知らないふりをする。ホンと、タヌキ爺だよね。


「すまなかったね、お母さんのお葬式を上げてしまって。」

「そうなんだ、子供だものね、そうよね。」

「判ってくれたか!」


「ぜんぜん、でもいいんだ。親子で泣いて話し合ったから……いいんだよ。智治お爺ちゃん……。」

「お、悪い、泣かせたな。」


 智治お爺ちゃんも、うそぶくのかな。私に知られたくなくてひっそりとお寺で上げたんだね。私をのけ者にされたとは思わないけれども、何だか寂しいな。でも悔しいよ……お父さん。



「お父さんは本当に死んだのかな。CIAが殺したとか、ウソだよね。」

「そうと思いたい。CIAの偽装工作という線も捨てがたいがね。」

「あぁ~そういう解釈もあるんだ。冷凍エビで鯛を釣りたいとか。」

「エビは亜衣音、お前の事か。そりゃ~ないだろう、干しエビでも可愛そうだよ。」


「生きの良いエビは始終CIAの見張りが付いているからでしょう? ならば周りからエサにするのが常套句だよね。」

「最後のエビで本命を釣り上げる気だろう、CIAのやりそうな事だ。」

「うぎゃ~……最後は私がエサのエビにされるんだ。覚悟しておくね。」


 明さんは自分が電話連絡するからと、寝ずに頑張るつもりらしい。でも、悪魔は許さないらしい。だって智治お爺ちゃんの手下げには瓶のワインが入っているのを確認済みなんだからね。


「深酒しないでね、」

「もちろん……あ!」x2

「へ~……だよね。」


 明日になればCIAもビルごと破壊されていたらどうしよう。私も器物損壊で逮捕されるとか、あり得な~い。



 翌朝、予想通りに、私にもお迎えのパトカーが来ている。三台が停車していたと海斗から聞いたが、私が起きて見たら二台だった。強面のマッチョ……素敵! いやいや、そうではなくて、いよいよ私も逮捕されるんだ。


「亜衣音、亜衣音、起きろ!」

「イヤよ、まだ疲れが取れないよ、まだ早い。」

「いいや、ここは起きて貰う。お前にお迎えのようだぜ。」

「え~お迎え……あ、いや、本当に来ているの?」

「あぁ三台だ、今は無線で打ち合わせをしている。居留守を使うか?」

「出来ないよ、二十四時間の監視でしょう? 出来ないわよ。」

「では、俺か大地でいくか!」

「それでお願い、まだ眠り足りない。」


「海斗、それ、大物だから平気なんだぜ。ドアを叩かれても起きないさ。」

「困ったものですね、お姫さまは、」

「そうだな、いつも苦労するよ。」


 暫くして隣からわんさかと押し寄せる可愛い女の子たち。もう寝てもおれないと起きるのだが。


「亜衣音ちゃん、起きてる?」

「うん、随分まえからね。」

「へ~……随分と眠そうだね。目やに、付いている。」

「え……うそ!」

「ほら直ぐに墓穴を掘る。早く顔を洗いなさい。」




 委員長も顔を出して酷い事を言った。


「首も洗っておけば!」


 ここはお返しよね。


「ギャピ!……委員長。ブラ、ズレていますわ。」

「え”!」……「バコ~ン!」


 私は寝起きの委員長をからかっていた。私の一言を気にするあたり、たまにはブラもズレているのいだろうか。本気で私の目覚ましを買って出るのだから、事実だよね。


「う~~痛い。」

「目が覚めましたかしら?」

「はい夕霧さん、おはよう。何だ、中身が無いんだね。」

「バコ~ン、」x3

「ギャボ!」


 と、二度三度叩かれてようやく目を覚ました。それから程なくして三人の警官が部屋を訪ねてきた。一言目からだよ、逮捕ですって。


「ミス亜衣音、arrestです!」

「ギャボ!」


「おいおいおい、あんたらは誰だい。警察とは違うだろう。」

「CIAの命令ですが、手錠が欲しいのなら出しますよ?」

「大地、いいのよ。直ぐに戻れるから大丈夫よ。」


「おい亜衣音、それを信じるほど俺はお人好しではないぞ。俺もこいつらを殴って逮捕されてやる。」


「ヘイ、ミスター。カモン!」

「このやろう……。」「バコ~ン、」x3

「お前はベッド行きだ、笑わせてくれるぜ。」

「大地、大丈夫?」

「平気さ、今こいつらを殴る。」「バコ~ン、」x3


「ボスが待っている。早く行こうぜ。」

「そうだな、もう一発、」

「もう時間がない。」

「ケ……ッ、おまけ。」「バコ~ン、」



「亜衣音、後で行くからな。」

「場所、違うと思うよ。」

「だったら直ぐに追いかけるから大丈夫さ。」

「海斗……。」



 CIAの本部は予想通りにボコボコにされていたらしい。何でも夜中に急襲に遭ったという。だからこの先はCIAの病院だという。


「お前の親の処だ、直ぐに着く。」

「あ、そうですか、それはご愁傷さま。でも私ではありませんよ、その襲撃は。」

「ホワイ~?」

「どうして私のなですか。」

「ボスから説明される。」

「……。」


「あれがCIAの本部だ、どうだ、あの傷跡は……。」

「あ……!」


 本当に私のスーパーストラッシュで出来たような、何だか鋭い金属で引っ掻いたような傷跡が多数見られた。内部はもっと酷いらしい。


「うわ~桜子お婆さまが……でも巫女でもないから違うよね。」

「あれはマシンガンでは出来ない破壊だ、違う。」

「では誰が!」

「奴らだろう……。」


 そんなこんな会話が続いていたら、このパトカーは空を飛ぶんだね。


「キャッ!」

「ヘイヘイ、ウ、ウェィ……、」


 車の上空にはヘリが飛んでいて、そこから下がる大きな磁石に私たちは、攫われたのだ。高く無い上がるから騒いだら落ちるよね。



「ぶっ放して落としてやる。」

「ヘイヘイ、ウ、ウェィ……、」

「私、落ちて死にたくないよ~、」


「きゃ~~~~……・、」


 二機目のヘリから麻酔弾が撃ち込まれて、万事休す。目が覚めると、そこは天国ではなかった。何処だろうか……。三人のマッチョマンは、マッチョとマンに二分されている。もう怖くて声も出ない、助けて……海斗くん。


「よう……久しぶりだな、」

「あ!……誰?」

「忘れたとは言わせない。思い出させてやろうか。」

「いいえ、思い出しました。あの時はお世話になりました。」

「そうか、思い出したか。良く生きておれたな。」


 あの男の手には鞭が持たれている。ここはウソも方便よね。生きていた? あ~あの、私を簀巻きにして血を抜いた野郎の一人だよね。


「亜衣音ちゃん、……なの?」

「ひかる……?」

「そうだよ、私も連れて来られたんだよ。亜衣音ちゃんは大丈夫?」

「うん、平気。頭は痛いけれどもね。」


「三発殴っておいた。逃げるなよ。今度は鞭がいいかな。」

「逃げません。だって歩けないのですものね。序でなら手も自由にして頂けませんでしょうか。」

「ふん、抜かせ。」

「ひかるは無事よね、どうして連れてきたのよ。」

「あいつはモルモットだからさ。病院でどんな治療を受けたのか、解剖して確認するまでだ。」

「こ、殺すの?」

「いや~~、私、死にたくない。子供だっているんだもの、ね、お願い、助けてください。」

「おいおい、孕んだのか……こりゃ~いいもんが手に入るかもしれね~。直ぐに

 兄貴に報告だぜ、いい土産が出来た。」


「ひかる、大地の子供なの?」

「はい亜衣音さん。ごめんなさい。」

「だって大地は、大地は……、」

「亜衣音さん、それから先は禁句ですよ。私を信じて。」

「え……そんな、私だって大地の子が欲しいよ。」


「お前らは仲良く出来るのならば一緒の部屋に入れてやる、どうだ。」

「お願いします。逃げたりは出来ませんから一緒に泣いていたいです。」

「泣く? それはいい。では二人で泣いて大人しくしていろ。」

「はい……、」


 この男は鞭を床に打ち鳴らして恐怖を与えてくる。鞭の音はテレビだけで十分です。


 私たちは空という、手も足も出せない条件で攫われてしまった。まんまとエビが食われてしまったのだろうか。


「CIAが黙っていませんわよ。」

「バカな野郎ばかりだ。力では俺らには勝てない。」

「それでこれから私たちはどうなるのよ。」

「日本へ帰る。暫くは海の上だからその内に自由にさせる。」

「え、そんな、船の上なの?」


 これはウソだったのだが、頭の悪い女たちはコロリと騙されていた。アメリカの東海岸だから船で帰るとはそれこそあり得ない。でも結果は同じなんだと後で説明を受けた。シスコまで空輸される予定だった。


「ねぇ、私の家族は何処なの?」

「知らね~……。」

「そんな……。」


「亜衣音さん、」

「ひかる大丈夫だからね。私が付いているから大丈夫よ。」

「うん、」



 私はひかるを落ち着かせる為に、まずは自分の経緯を話して聞かせる。それでひかるが口を開いてくれればそれでいいのだから。


 私とひかるは部屋が別だから、どうしてひかるが攫われてきたのかは判らない。私と同じように眠らせてから運ばれたものだろうとは推測が出来た。だが、誰がひかるに一服盛ったのか……。


「ひかる、あんたは誰かに薬を飲まされたのだと思うわ。誰か予想は出来るかしら?」

「無理、気がついて考えてみたけれどもね、友達は疑いたくはないのよ。それで外部からの侵入も考えたけれども、昨晩の侵入は絶対にあり得ないのよね。」

「どうして?」

「だって皆して……ごめんなさい、恋バナに酔いしれていました。」

「あ、……リビングに集まっていたんだね。」

「はい、私だけが早く休みましたが、リビング経由で侵入は無理だと思いました。」

「そうよね、そうなるわよね。だけどいつ飲んだとかは思い出せるでしょう?」

「そうなんですが、飲んだのは宅配のピザのコーラだけでした。」

「全員が大きなボトルで飲んだのよね。だったら皆が眠ってもいいのよね。」

「はい、そうなります。でも自分だけだしたし、謎です。」


「ピザを頼んだのは誰なのかしら?」

「えぇ~と、多分ですが、珠子さんでしょうか。」

「判らないのね、無理だよね。」


 珠子は、そう言えばいつも控えめで自分を出すような行動は無かったと思う。それでいて、なにがしかの世話を焼くような、縁の下の力持ちだったかな。


「そうなんだ、私たちは知らない間に飼い慣らされていたんだね。」

「なんで?」

「珠子がスパイなのよ、きっと今頃はここに来ているかも知れない。」




*)珠子と……妊娠キット


 お日様も覗かない暗い部屋に監禁されているが、今頃は夕方近くかしら。もう緊張の糸が切れたらしくて、お腹の虫が騒ぎ出している。それでいて胃がキリキリと痛むのはなぜだろうか。胃液が多く分泌されているとしたら、私は健康優良児かしら。


「亜衣音さん、部屋の外に誰か来たもたいです。」

「差し入れかな、もう夜になるのよね。」

「えぇ多分そうでしょうか。もう朝から何も口にしていませんから倒れそうです。」

「同じくよ、薬入りだったら勘弁して欲しいわね。」

「はい、」


 私にも声が聞こえてきた。女と見張りの男の声だ。何処かで聞いたような声、思い出すことは出来たが信用していいのかが判らない。


「コンコンコン!」

「誰よ、入れば!」

「そう怖い声を出さないでください。久しぶりかしら?」

「珠子……さん。」

「タマ……。」

「まぁ、猫ではありませんよ。ご飯を持ってきました。一緒に食べましょうね。」

「いやよ、毒味だけして出て行ってよ。」


「三人分よ、好きなものを先にえらんだで。もちろん毒は入れていないよ。」

「あんた、ピザに薬を入れてひかるに出したのよね。どうして私たちを、何度も何度も襲って苛めるのよ、面白いのかしら?」

「いいえ、全然よ。これも私の役目だから、いやいやながらも働いているだけよ。それにさ、学校も面白かったし、楽しかったわね。」

「それは良かった。もっと苛めておけば良かったわ、後悔してる。」


「……あんただ、あたいのおでこに踵落としを食らわせたのは。」

「あ~あれね、そうよ。私だよ。お仲間なのに残酷でごめんなさい。」

「もう、死ぬかと思ったわよ。」


「そうね、巫女の風魔法でごまかせたから、私って凄いでしょう。って、亜衣音さん、何をしているのよ。」

「身体に毒な部分をどかしているのよ。こんな不健康なチーズバーガーの二段重ねとか、塩分も多くて私の一日分以上だわよ。」

「パンと野菜だけでいいのね? それだと身体が持たないわよ。暫くは口に入れるものは届ける事が出来ないわね。」

「移動するとか?」

「そうよ、西のロスに飛んであとは海路で帰国になるわ。船に移動するまでは食事抜きになるわね。」

「はい、でしたら全部食べておきます。」


「食べたら直ぐに移動だからね。だから私もここで食べるわよ。」

「それ、そこのトマトをください。」

「あ、これね、いいわよ。お腹空いていたよね、遅れてごめんなさい。」

「あんた、謝るんだね。」

「これ位はタダですよ。あ、いけない、地が出て来たわね。コーラは全部飲んでね。オシッコが必要なのよね。」


「あんた、オシッコを飲みたいの?」

「叩かれたいのかしら、違うわよ。」



「ところで珠子、あんたは巫女なのかしら?」

「そうよ、亜衣音ちゃんと同じ位の力はあると思うよ。」

「へ~だったら酔いんだね。私は巫女の力はあんたがたによって、奪われたままだよ。力無いよ。」

「亜衣音さん、それ、ホンとなの?」

「ひかる、そうなんよ。何度も毒を受けたからすっかり巫女の力は無くなったわ。珠子はどうなのよ?」

「そうね、昨晩はCIAの本部を叩いてきたわ。あれくらいかな。」

「それは随分と多いわよ。私を殺さないでほしいな。あ、ひかるもよ。」


「あ、そうだったわ。すんでの処で忘れてしまいそうだった。キットを用意したから妊娠の検査をさせてね。人狼製造計画のよって、あんたたちはモルモットに選ばれたのよ、光栄に思いなさい。」

「や、よ。種馬にされるのは勘弁よ。」

「そうね、種馬に回されるのはイヤよね。だからさ、先に検査するの。あんたたちは特に淫らだったからね。」

「検査して妊娠していたら、どうなのよ。」

「仕方ない、そのまま産んで貰うわよ。それから任意の男に抱かれて頂戴な。」

「それもイヤよ、大地ならいいのよ。大地を連れて来なさいよ。」

「あの男はもう人狼の力は出せないわね。薬が効いたのね。もちろんあんたにも効き過ぎたかしらね。」


「ひかる、先にどうぞ。」

「うん、珠子ちゃん。私妊娠していると思う。もしそうだったら、男には抱かれないのよね。」

「そのはずよ、代わりに私が回されるのかしらね、私だってイヤよ。あんな獣臭い爺なんかごめんだわ。」

「うわ~私は妊娠していないわよ、海斗の子供を貰っておけば良かったな。」


「もう……あんたたち。余裕じゃありません?」

「空元気だよ。」

「ほら、亜衣音さん。あんたも口に入れて頂戴。シロップを付けていたから美味しいわよ。」

「それはどうも。これってお口に入れるの?」

「あら、そうだと思ってシロップを……、あら間違いでした。おトイレでお願いね。」


「ひかる、私の分もお願いよ。」

「いいわよ、でも許してくれそうもないよね?」

「無論よ、大人しく検査しないと、私の目の前で行って貰うわよ、外の男にパンツ脱がされたいのならばね。」

「うん、検査行ってきます。」


 オシッコを掛けるだけの簡単なものだ。これなら私にも出来そうだわ。でも何だか恥ずかしいよね。


「お手伝いの希望でも?」

「いえ、なんでもありません。行ってきます。」

「念のため、二本を使ってよ。外れたら大変だからね。」


 先にひかるが、直後に私が検査を行ったのだ。


「あらら……これって二人とも反応が出たわね。大地くんと海斗くんよね。」

「ひかる、おめでとうとは言えないや。私はどっちかな、大地がいいな。」

「ビッチ……、こんなはしためは男の敵よ。」

「う~……反省しています。大地とは相性が悪くて妊娠が出来ないから海斗に決まっています。」


「良かったね、あ~ぁ、これで私が男に弄られるのだわ。」

「いい気味、天罰だよ珠子ちゃん。」


「そうね、ところでタマ。私の父さんたちは何処よ。」

「知らないわ、CIAが隠蔽しているはずよ。私はあんたたち二人が欲しかったのだからね。でも手に入ったから早めに移動したいわ。付いてきなさい。」

「う~……脚が痛い。」

「外の男は好きですか? 鞭付きで癖になるかもよ。」

「癖にはなりません。女王様には癖になりそうですがね。」

「マゾ!」


「屋上にヘリを止めていますので、ここからは目隠しをさせてね。」

「う~頑張ります。」

「ひかる、手を繋いでおきなさい。私はひかるの手を引いて歩きますね。」

「はい、ゆっくりとお願いよ。私だってまだ調子は出ないから。」


 私は海斗の子を身ごもってしまった。強い海斗だったから一発だったのかな。昨年は未成年者の妊娠が多かったらしいわね、コロナで部屋にこもったのが、悪かったんだわ。ご多分に漏れず、私も妊娠か。無事に産めて育てればいいにね。



「引き離されてモルモットとか、イヤだな。」

「え? 何言っているの。転ぶわよ。ここから階段。ゆっくりと進んで。顔のマスクを外したら男の餌食だからね。」

「これ……あんたの趣味なのかしら?」

「いいでしょう……私のおパンツよ!」

「うわ~取りたい、直ぐにでも外したいわね。」

「ヘリから降りたらいいわよ。時間は長いけれどもオシッコは済ませたからいいわよね。」

「……。」


「機長、連れてきました。直ぐに出してください。」

「OK,直ぐに乗ってくれ。追っ手が心配だ。」

「大丈夫とは思いますが、そうですね急ぎましょうか。」


 ヘリのエンジンが始動した。会話を聞かせる為にエンジンを掛けていないのだった。随分と親切ですわね、タマ。


「ニャ~ン!」


 大きな衝撃音とともにヘリが舞い上がる。銃撃を受けているようだ。絶え間なく金属音は聞こえている。


「機長、すみません。ドジったようです。」

「防弾仕様だ、心配はいらん。無線報告を済ませておけ。十分でニューヨーク空港に着く。」

「はい、ありがとうございます。」


「こちら……、無事に保護……、」

「こら、英語で話すな、判らんだろうが……。キャッ!」

「パンツで聞こえないのね、取ってあげたわよ。」


「珠子……さん?」

「はい、無事に脱出出来ました。少し遊び過ぎたので、ボスには叱られるかしらね。」

「ボスって誰よ。」

「な~いしょ。さ、皆が待っているわ。帰りましょう。」


「タマ、」

「なにかしら。」

「あんたは、二重スパイだったの?」

「さぁ……どうかしらね、巫女さま。」


 ニューヨーク市の空港では皆が待っていた。直ぐに日本へ発つらしい。


 これこそ青天の霹靂だよね。珠子に雷が落ちていたんだな。序でにゲンコツも落ちたみたい。パンツとか純然たる珠子のイタズラだったとか、


「も~あり得な~い。」

「いいだろ、これが最後さ。」

「うん、ありがとう海斗。重くないかな。」

「飛行機の搭乗タラップくらいは平気さ!」

「そうなんだ、重いんだね。」


「そうではないよ、俺らだって襲われたんだ。足を撃たれた。」

「え”……それ、ホンと?」

「気にするな。誰も怪我は無いよ。」

「うん、海斗。ありがとう、報告があるんだよ。私、海斗の子を宿したみたい。」

「……それは本当か……。」

「さっきひかると一緒に検査をうけたんだよ。そうしたらね、陽性の反応が出たんだよ。きっと海斗の子だよ、私、嬉しい。海斗は?」

「俺だって嬉しいが、ウソだろう。また騙されたとか?」

「ギャビ……!」


「おい、お前ら、ちょっとこい。」

「なんで……?」x2

「え”!……なに、なんで珠子が二人も居るのよ。」

「ま~た亜衣音さんをからかったのか!」

「私たち、双子で~す。」x2

「パンツどころか、妊娠検査までしたとは、恐れ入る。」

「でも、間違いありませ~ん。」x2

「ウソ……。」

「まだ日が浅いから検査しても結果は出ないよ。生理はまだ先だろう?」

「う……知りません、海斗のアホ!」



「ギャビ!、ギャボ!」


 と、珠子らは海斗から頭ゲンコツを食らった。ただし、私とひかるは人工人狼の子を妊娠させられるという事は既定路線だったらしい。


「だったらひかる……も、ウソとか?」

「あれは、ひかるちゃんを守る為に先に入れ知恵しておいたのです。」

「へ~……どちらが本当の珠子かしら、しばいてやるんだからね。」

「私、帰国取り止めします。」

「私も!」

「海斗、二人を捕まえて!」

「優しく叩けよ、」

「いやよ、気が済むまでしばくのだからね。」

「ギャビ!、ギャボ!・・・・・・・・・・・・・・」




 機内で海斗はお酒を飲んでいた。ってことは海斗、そうとう動揺していると考えてもよさそうだよ。青天の霹靂だったかもしれないな。


「私、海斗の子を産みたい。」


 と、海斗にささやいたらね、海斗、目を回して気絶してしまったんだ。


「も~……海斗、遊んで!」

「……。」


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