第149部 我が二人の眷属vs大地
私は大地に肩を貸して歩いていたら、双子が私の肩代わりを申し出てきた。私の歩く後ろ姿を見ていたら今にも転けそうな感じがしたらしい。
「亜衣音さん、大地くんに冷たい飲み物と顔を冷やす氷をお願い出来るかしら。」
「それ位は大丈夫よ、用意してくるから大地のお部屋まで連れて行ってね。」
「翠、了解であります。」
私は直ぐに、ピ~ンとこなかったのよ、翠に騙されていたのだと。氷や冷たい物などは翠にも用意出来るのよね。
「大地くん、お風呂に入れておくから。」
「うん、お願いね……。」
その言葉の意味が恐ろしい意味を含んでいたなんて、この時には思いもしなかったな。私は疲れながらもプリンを5個と氷を買って大地の部屋に着いたらだよ、入口に入って直ぐに双子の喘ぐ声が聞こえたんだ。
「なに、あんたたち。大地から離れなさいよ!」
「あ、これはこれは教祖さま!」
「今良いところだったのにな、残念。」
「今、大地くんが大きくなったんだし、丁度いいわよ。」
「そうね、次は教祖さまをヒン剥いて裸にしましょうか。」
「ん、だね。」
「や、なによ、何を企んでいるのよ、や、ブラ外し……。」
「次は下もよ、碧、出来るかしら?」
「任せて、ねぇちゃん。」
「頼んだわよ、ねぇちゃん。」
「や、なによ、何も出来ないと思って……脱がさないで!」
「大地くん……いいかしら!」
「フガフガ……、」
「いいらしいわよ、では大地くんの上に教祖さまをすっぽりと収めてしまいますわよ。」
「オー!」x2
「スッポ~~~~~~ン!!!!」
「イヤ~~~ン!?」
私と大地が合体した瞬間だった。
「フガフガ……、」
「あらあら大地、拘束されていたんだね。あの姉妹……今度しばいてやるわ。」
「いいよ、俺に大きくなるように努力してくれていたんだぜ。」
「そうね、……嬉しいわ!?」
「俺、三拍子なんだ、もう情けないやら。」
「へ~……で、それ、何が?」
「候、表敬訪問、豚足……。」
「大きいから許すわよ!」
あとは……利用規約に反するので割愛……。
超、…短くて、中身の無い章でした……すみません。
私は一汗掻いた後でベッドに痛い脚を無視して正座した。
「大地、海斗くんとHしてしまいました。許して下さい。」
「いいよ亜衣音。俺が生きていたなんて知らなかったのだから。」
「うん、知らなかったし、とても驚いた。」
「海斗には俺が頼んだんだ。俺の代わりになってくれってさ。」
「大地はそれで良かったの?」
「いいや、お前を海斗に委ねたのは俺だが、だが、無性に腹がたって海斗に決闘を申し込んだ。」
「ボコボコに負けてスッキリしたのかしら?」
「だな、だから大きくなれたよ……俺は。」
(顔だけ大きく腫らしただけでしょうが!)
「大地……別れたい?……私と、」
「俺はお前にふさわしくない。海斗の方が良いだろう。強いし頭もいい。」
「ふ~ん、」
「まだ籍に入っていないよな?」
「そうだったかな~私が勝手に婚姻届けは出したかもしれないよ?」
「え”……ウソ!」
「ひかるちゃん、大地と同じ境遇らしいよね、大地はひかると結婚したい?」
「うん、……実はそうしたいと考えている。あいつも聞けば可愛そうなんだぜ。」
「同情から?」
「いいやそれは違う。」
「それでもいいのよ大地は。ひかるを守って上げてね、今度こそだよ。」
「うん、今度は亜衣音の盾になって亜衣音も守っていくよ。」
「そ……そうなんだ、私たち、今日でお別れしたがいいのかな。」
今度は大地が正座して深々と頭を下げて謝ってきた。私は思いっきり大地の頭を殴ってやりたかった。でも我慢したわよ、どうしてだろう……。私はベッドから下りて夜景に目をやった。車の駐車場で花火をしている人たちが見える。
「ファイヤースプラッシュ!」
「きゃ~……!」
「フン、ざま~みろ!」
だが、悲鳴とは裏腹に笑い声で満ちている。だって、ネズミ花火が破裂しただけだったからかな。だってチャイナ製の花火はよく破裂していたな~。日本の花火は繊細な線香花火だよね。浴衣を着てから楽しむ……。でもね、作るのはとても大変なんだよ、知ってるかな? 新聞紙を広げて更に白い紙を広げて黒色
火薬を置いてね、線香花火の赤い紙にほんの僅かな量の火薬を入れて捻ってね作っていくんだよ。家内内職で作られていたんだよ、知ってたかな? 手間賃は聞かなかったのだけれどもね、とにかく安いらしい……。今や全てが輸入になってしまった。
「私、バツイチになっちゃったな。」
「ごめんな!」
「うん、いいわよ。私、大地を忘れようと努力していたからさ、今更……今更大した事ではないわ。」
大粒の涙を大地には見せたくはなかったんだ。それからは一言も話さずにお風呂のシャワーを浴びて涙を流しきっていた。
「私、ひかるちゃんの部屋に行ってみる。」
「俺も行く。」
「ダーメ、私一人に行かせて。大地の事を頼んできたいのよね。」
「……あ、そうなんだ。……お休み亜衣音。」
「うん、また明日。」
「ひかる……ひかる? 居る?」
「は…ぃ…、」
「実はね……。」
ひかるは私と大地の事を理解してくれた。ひかるも大粒の涙を流しながら私の言うことを聞いていた。ヒクヒクと泣く声以外は頭をコクコクとしていただけだった。私の一方通行で喋りまくっていた。
「私、晩ご飯がまだなのよね。一緒に食堂へ行かない?」
「うん、行きたい。」
ひかるの初めての言葉だった。私がひかるちゃんの部屋に入ってきた時の顔はきっと夜叉顔になっていたんだと思う。だってひかるちゃんは怯えたようにして一言も話さなかったんだから。今はホトケの顔を上手に作れているかな、大地。
「ひかる……歩けない、肩貸して!」
「はいはい、お嬢様。」
「ひかる、最後のお願い。」
「はい……何でしょうか。私、転校いたしますが?」
「違うわよ、私の家に来て頂戴。大地と添い遂げても私の家に来なさい。命令ですよ。」
「そ、そんな……私、出来ません。」
「だって大地を放り投げる事が……私には出来ないのよ、お願い、二人で私を守って下さい。」
「守るって……私はひ弱で力は無いのに?」
「それでいいのよ、大地の好みなのだから。あんた、今まで虚勢をはっていたのでしょう?……その大きな身体を利用してさ。」
「はい、実は怖い顔を作って無理をしていました。お見通しだったんですね、
昔は大きいかったですが、今は……教祖さまが私以上ですわ!」
「ギャビ!」
「うふふ……、可愛い教祖さまです!」
「性格は早々には変わらないのもでしょう。私こそ、貴女にちょっかいをかけてしまってごめんなさいね。」
「えぇ楽しい時間でしたわ……。」
「そう……良かった。大地を大事にしてね。」
「はい……。」
この子、笑うととても可愛いのよ。こんな可愛い子だと確信していたのかな、大地。やっぱり私、大地を殴っておきたかたと後悔しだしていた。
「男に嫌われるって、きっとこんなんだね、委員長……。今ならば判る気がしてきたな。」
先の委員長との会話を思い出した。惨めになった気分だ。直前の会話は何だったかな、……そうだわ、
「……ごめんなさい、亜衣音さん。」
「嫌われたのは私なんだよ、謝らないで。これでいいのよ。」
この委員長は何処までが本音なのかが掴みきれていない私だ。今後もVSが続いていくのだろうか。
レストランに入り席に着いた……。
テーブルに着いて自分の左手の薬指を眺めている。この指輪は母から贈られたのだったかな? 思い出せないや。大地は私に贈る指輪を買っていたとの、藍の情報だったが、もう私の指には収まらないんだね、大地。
大地が買ったシルバーリングのように、私もゆくあてが無くなっていた。
今更……海斗には声も掛けられないよ、大地のバカ!
簡単な夕食で済ませた私、だって、だってお腹は空いていたようだったけど喉を通るものは少なかった。フォークでお皿の上を弄るだけで、手がフォークを口に持ち上げなかったんだから。
うん、私も脚が治ったらうんと運動して、痩せて……それから、それから、あれ? そうだよ、うんと大地を後悔させてやるんだから。藍の手料理が美味しいからとついつい、いつも食べ過ぎて太っていたんだね、大地。
「大地、太った子は嫌いなの?」
私の独り言……誰にも届かない、その独り言だった。大地への未練、断ち切れていないよ、大地。
私を現実に引き戻すひかるの言葉、
「亜衣音さん、もう食べないの?」
「ひかる……、」
「はい?」
「嫌い、出て行って……、」
「……うん、ごめんなさい。」
それから私は独りで閉店時間まで、起こされるまでテーブルに突っ伏したままだった。揺り動かされて顔を上げるとそこには白い歯の海斗が居た。
「……さん、」
「……海斗?」
「亜衣音、迎えにきた。」
「うん、……海斗。」
「もう閉店ですよ、お嬢さん。」
「え?……あ、閉店ですよね、直ぐに出て行きます。」
夢だった。ほんの数瞬間に見た私の夢、海斗を待ち望んでいる私の願望だったのかな。そこに海斗の姿は無かった。
「お勘定は済んでおります、お嬢さん。」
「?……はい、ありが……、」
「大丈夫ですか?……その……、」
「えぇ、一人で帰れます。」
痛む脚を推して病室へ歩いて帰る。
正座して右膝を腫らして痛くて、私、泣いたんだよ、大地。そう……乱れたベッドのシーツの上で……独り……。膝が痛んだだけだからね、大地のバカ!
人の温もりのないベッドほどつまらないものは無いのかな。これが淋しいと言うんだね。目を瞑り必死になって誰かを想って眠りについた。独りで居た時間に対して、他人の温かい温もりを知ってしまった今、また独りに戻るという意味
はあまりにも寂しい……。目の前の温かい温もりに縋りたくなるのも自然なのかとも、自己弁護を考えてみた。
「大地は寂しくはないよね、だってひかるちゃんが居るんだものね。」
「ギャビ……!」
翌朝目が覚めると、紫色になって腫れた膝が目に飛び込んできた。これでは暫くリハビリもお休みしなくてはね。洗面台の鏡には大きく目を腫らした自分が映っている。
「ギャバ!……誰よこの女!」
「そうよね、私の顔だと認識すべきだよね。」
もう私には独り言に対しても語り掛けられる相手も居なくなってしまったな。
「……もう私だけなんだからね、しっかりしろ!……私!」
鏡の中の私が微笑む錯覚に陥って、その後は救急看護室にて目が覚めた。
「お嬢様……気がつきましたか?」
「う~……全部が夢だったらいいのにな、私の右脚を切って!」
「はい……?」
「……昔に戻りたいのよ、お願い、脚を元に戻して下さい……。」
「ダメに決まっています。もう再手術は終わりました。大した事でなくて良かったんですよ。明日までこのお部屋で看護いたします。」
「ふん、あんたも嫌いよ、出て行って。」
「あらあらまぁまぁ……とても元気でよろしいですね。この写真はお子様ですか?」
「あ……それ、それは私の妹たちです。可愛いでしょう。」
「はい、綺麗に膝を治して再開をしましょうね?」
「はい、お姉ちゃんが泣いては変ですよね。うん、もう泣きません。」
私は寝落ちするまで妹の写真を眺めていたのだった。すると、
「そうね、元気が出て来たわよ、ありがとう。」
追々と書き込んでいきますので、さらりと読み流し……で!




