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人狼と少女 垣根の上を翔ぶ女 亜依音  作者: 冬忍 金銀花
第十章 エピローグ……新しい命の誕生……

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第145部 亜衣音改造計画……順調なんだからね!


*)お願い……何も言わないで!


 翌朝目が覚めた私だ、昨日のお風呂? シャワー&シャンプーが気持ち良くてついつい居眠りまでしたようだ。でも……黒歴史のレコードが出来てしまった。

 

「おはよ……亜衣音ちゃん、」

「うん、」

「よく眠れたでしょうね。」

「うん、」

「「オハー、」」x3


「暑いのに毛布被ってどうしたのよ、ね~亜衣音ちゃんさ。」

「いいの、構わないでね。だって、暑くないモン。」

「ねぇみんな、この部屋……何だか汗臭くないかしら!」

(ギャボ!)

「……クンクン……あら、本当ね。どうしてかな。」

(ギャボ!)

「私、走ってきました。」

「あらあら私もよ。」

「いや~実は私もなんだ!」

(ギャボ!)

「でもね、自分の汗は自分では分らないのよね、だって人の臭覚は臭いにはねセーフ機能がついていて、約五分で臭覚が麻痺するのですって!」


(ギャボ!)


「特に、この辺りからが臭うわよ。」

「ギャボ……!」

「あら、このシャワールームからだよ。」

「ギャボ……!ギャボ……!」

「亜衣音ちゃん、やっと起きたね、おはよう……。」

「うん、おはよう……、藍ちゃんは?」

「藍はね、今朝の血清の担当、あ!……、どうしよう……。」

「あ~ぁ、言っちゃたよこの子は……。」

「美保ホ、なによ、その血清担当とは。」

「あ、それね、血清をここに運ぶ担当なんだよ。だって黒いお姉さんも忙しいしね。これでも私たち貢献しているのよ、ね~~……。」

「はい、そうですよ~色々と協力しているんだな~アハ、アハハ……。」


 く~適当に言っていろ。昨日ことが忘れられない、ちょ~恥ずかしい。でも今朝は本当に身体も温まったせいなのか、おねしょもしなかったよね。だからお部屋が臭いとか、ないよね。大人のオムツ……考え物だな。女は色んな理由で難しいのよね。乙女なんてできっこない。


 それからというもの、みんなは昨日の事は話題に上げていないのよね、嬉しいな~。もっぱらのお話はね、テレビのアニメを話題にしている未来が引っ張っている感じだな。ドリトル先生の話題だった。


「ロバがね、左脚を後ろに蹴ると、お腹が痛いという意味ですって、あり得ないよね。ロバだよロバ。それにね、サルが左手で頭を掻くとウソだというのよ。」

「へ~面白いね。」

「カラスがカーと鳴くと腹減っただなんて。じゃぁ三回鳴けばね、どういう意味なのか、亜衣音ちゃんは分るかな。」

「三回、カーカーカーだね。」

「か~バカだね~この子は~……。」

「そうなんだ、バカたれ、という意味なんだね。」

「あらま~正解よ、人を小馬鹿にするときに鳴くのですって。アメリカの最先端カラスは違うのよね~。」


 未来の方がアメリカのアニメをバカにしているのかな。そう言えば未来は、オバケのQ太郎が好きなのよね。大地はゴルゴ13で、美保ホはアンデルセン物語だったかな。


「亜衣音ちゃんが好きなのは、天才バカボンよね。」

「違うモン、ルパン三世だよ。次元大介が大地に似ているのよね、だから好き!」

「きゃ~言ってくれるね~。」


「そういう事で亜衣音ちゃん、お勉強の本を持ってきました。幼児向けの本だからさ、楽に読めるよ。」

「え~……なにさ、勉強やだな~。」

「とにかく読んで、これがその本。ドリトル先生珍道中! よ。面白いわよ英語の勉強にいいわね。」

「私が読めないと言ったから、あの看護婦さんがあんたたちにチクったんだ。」

「そうなんだよ。でもね、この本は未来からの贈り物よ。読んで、」

「ヤ、」

「読みなさい!」

「だって、やだモン。」



 久方ぶりに主治医の登場なんだよ。皆は道を空けてくれたが先生の様子が変よ。どこで仕入れたのか、お話が日本語なんだよ。


「お嬢様。お久しぶりでございました。」(日本語)

「あ先生。お仕事だって聞きました、ハワイなんですってね。」

「えぇ向こうは医師が少ないのですよ。向こうは日差しが強いので、こんなにも日焼けをしました。」


 黒いお姉さまが包帯の交換と点滴を持って現れた。


「あら先生、お帰りなさい。マイアミに出張とは疲れましたか?」

「あ、君、それはハワイに行ったんだよ、ワイハだよ。」

「ウソですよね、イワハとは聞いておりません。」

「ドリトル先生、バカンスだと認めるとか出来ないのですか? だって左手で頭を掻いてありますよ。」


 この先生の名前がドリトルという。未来は本屋さんを巡ってあの本を探して来たのだった。


「うっ……いやいや昨日はシャンプーしたよ。あ、しまった!」

「シャンプーしたら痒いことありません! お注射しますよ!」

「アンナ、持って来ていないだろう。」

「この点滴の針があります。」

「いや、それは早くお嬢様に刺してくれ。さもないと朝食の時間が来てしまう。」

「先生、今日はAなのですか?」

「そうだね、Aだよ。もう少しで点滴も終わりになるからね、さ~今日も頑張ろうね~。」

「はいドリトル先生。」


「亜衣音ちゃん、また来るね。」

「うん、待ってる!」


「アンナ、昼からはお嬢様にマッサージの手配を頼む。リハビリに向けてのカリキュラムを作ったよ。」

「はい先生。腕によりを掛けてシゴイテやります。」

「痛いのでしょうか?」

「痛くはありません。眠る程に気持ちが良いですよ。」

「嬉しいです。よろしくお願いします。」



「お嬢様。今より足の点検いたします。電極は使いませんが、針は使います。よろしいですね?」

「その大きい針はいったいどのような……。」

「これで、あちこちを突いて痛覚の神経の繋がり具合を診察します。」

「もうそんなに良くなっていますか!」

「いやいや検査は今からです。いいですか~?」

「はい、……痛い、……イタ……?……、……?……痛い~!」

「ふむ~……もう少し糸で繋ぎますか。」

「え? 糸でなにを……。」

「糸で……アンナ、なにするんだったかな。」

「糸なんて使いません。患者さんを縫うのではありません。逆です。」

「そうだった、そうだった。糸を抜くのだったよ、忘れる処だった。」


「うわ~……適当……。」


 つい先日まで私の膝は紫色で見事なまでに大きく膨らんでいた。それが今ではいつもの膝のように戻っているよ、嬉しいよ。


「敗血症が治まりました、とても良かったです。それもこれもシトラスを食べ続けたからに他ありません。」


 へ~……柑橘類って、そういう意味で食事に出されていたんだね、知らなかったな~。


「アンナ、抜糸を始めます。消毒……。」

「はい、これで十分です。」

「ピンセット、」

「指で十分です。」

「アンナ、」

「冗談です、はいピンセット、」

「OKOK……順調、順調……。」


 独り言の多い主治医だった。


「先生、膝の内部にも糸で縫われていますか?」

「そうです、膝の神経を繋ぐにも使っていますが、溶ける成分ですので抜糸の必要はありませんよ。」

「良かった。先生、痛かです。」

「痛くて良かった良かった。」


 マジマジと自分の不細工な縫い目のついた膝。藍が見たらきっと顔を背けて笑う事だろう。だってこのDr、ドリトルは縫い目をねloveと書くように傷口を縫い上げていたのよ、も~笑える。


 チョコチョコと取り出す縫合糸だが、どれもこれも短い物ばかりなのだ。


「先生、どうして糸は短いのでしょうか?」

「あ、これね。体内の分は溶けているのだよ。だから表面の糸だけを取り除いている。どうだい面白いだろう。」

「はい、先生の手が不器用だと良く理解出来ました。」


「何を言うか、俺は神の手なのだぞ!」

「先生、ご趣味が悪いです。左手の甲に十字架のタトーだなんて流行りません。」

「あ、これ、絆創膏なのさ。良く出来ているだろう?」


「斜め上を行っています。」


 そう言えば昔、子共にもタトーが出来るシールが売られていた記憶が甦る。葉蘭のようなビニールに絵が描いてあってね、そこにツバを付けて皮膚に当ててただひたすらに擦って絵を転写するような? どうだったかな~あったような無かったようなそんな記憶がある。


 あ、葉蘭とはね、スーパーのお刺身に付いて来る緑色のビニールで出来たやつ。古風なお寿司屋さんはね、若い店員さんが只管に本物の葉蘭を切り刻んでいたよ。そのお寿司屋さんで食事をしたのか、しないのか、ご想像にお任せよ!


 私の時はね、焼きサンマのお皿になっていたんだ。だってさ、昔のサンマはね、大きくてとても長かったからさ、そんな大きいお皿なんて何処にも売っていないんだな。納豆だって自家製していたよ?


 葉蘭の説明は面倒だから、興味のある人は調べてみてよ。


「お嬢さま、閑話は済みましたか?」

「はい、思い出話をしてすみません。」


「アンナ、抗生物質は抜いてくれ。これで患部が腫れなければもう投与は無しだ、いいね。」

「はい、先生。」


「あんた良かったね~。痛むなら痛み止めをやるけど、どうするね。」

「もうこれからは我慢いたします。足が着いた感覚を知りたいです。」

「分ったよ、今日は十四時からマッサージに来るからね。シャワーを浴びて待っておくんだよ。」

「もしかして……クチャイ!」

「先生だって手が震えていただろう……。」

「え、そんな、そんなことはありません。もう乙女の匂いだけです。」


「も~ムキになって、面白いね~……ギャハハ……。」

「またしても、からかったんですね!」


 もう私の担当さんたちは冗談ばかりなのだから。抜糸作業と点滴が終わってからの朝食だった。だから自分一人が遅い朝食だったと思う。


 私は思う以上に膝の回復が早いので、ニコニコとして喜んでいたんだ。だって、もうすぐ歩く練習になるはずだよね、早く歩きたいよ。


 病室から見る空は、何処まででも遠くが見えそうなくらいの青空が広がっているよ。この方角は東京よね。それがもし百八十度も逆だったが結果は同じだよ。高層のビルなのか、鳥さんたちは飛んでこないんだ。



 この日の午後、私は腕自慢のような人に揉まれてヒーヒーハーハー言いながら耐えていた。これって、拷問かしら。気持ちが良くて眠れるなんてレベルではなかったわよ、それとも気絶するレベルで眠れるのかしら。


「お嬢さん、少し卑猥なあえぎ声が多すぎませんか?」

「え”……自重いたします、はい。」


 先ほど私をクリーニングしてくれた級友たち、クスクスと笑っていやがるよ、この~・・・! 仕返しをしてやりたいよ~。


 次章こそ……寛解よ!

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