第142部 亜衣音改造計画……クラスメイトの記憶
新しい命の誕生……だよね、と無条件に喜べるものか。これは父の思いだろう。だって戸籍は、住まいは、大人と娘の価値観と無知の違いによるよね。せっかく私に姉妹が出来たと喜んでみたらだよ。
「亜衣音、お前も入院な!」
「んな!」
「もう整形手術待ちの患者だぜ、俺と仲良くしようや。」
「いやよ、このオオカミ少年のアホンダラ!」
あらら~口が勝手言ってるよ~。これは私の本心じゃないからね。尻こだまを抜かれるどころか、妊娠させられてしまう~。
「亜衣音ちゃんさ、私らにはどう言っていたか、覚えているよね。」
「あら~麻美ママ。なんの事かしら~。」
今から妊娠していたら高校へは卒業前にお腹が膨らんで追い出されるよ。全国の高校がそうと決まっているわよ。妊娠したら教育は受けさせて頂けないと、新聞のニュースで読むわね。国の教育理念に反する教育者ばかりだものね。
「分ったわ。大地は鎖で繋ぐか、それとも、」
「それとも?」
「ヒグマの旦那さんにさせようかね。」
「おう、俺は大歓迎さ、な、大地。」
「俺がイヤだよ、クマは嫌い。」
「亜衣音ちゃん、私が白無垢の花嫁衣装を縫ってあげるよ。」
「珠子……助けてよ。これでは私、手術を受ける体力が無くなる。だって大地はもの凄く強いのよね。」
「大地くんが助かって、ひかるちゃんも助かって良かったじゃんか。他に何が必要なのよ。大地くんの事好きでしょう?」
「うん、でも嫌い。眼がギタギタしていて気持ち悪いよ。」
「ふ~ん、そうなんだ。だったら答えはこれしかないよ、みんな、あれ!……やるわよ、」
「さんせ~い!」
もう珠子&カムイコロさんが作った、ゴスペル衣装を着せられるのか。大地が気持ち悪いと言って、ドン引きしてくれないかな。
「無駄な抵抗は致しません。どうかお手柔らかにお願いします。」
「OKよ、藍ちゃんと未来ちゃんはお化粧を担当して、私と夕霧さんが衣装の担当でいいかな。他の人は、ムキムキしてやっていいわよ!」
「いや~大地、だずげで……。」
「ほら! かかれ~・・・。」
「ギャビ!」
大人たちは出て行く。きっと酒を飲みに行くのだろう。私は放置されたんだわ。明日からどうしよう……。
こんなに騒いでいるにも拘わらずに、一人、またひとりと姿が見えなくなった。
「あれ? 美保ホが帰ってこないよ。さっきは未来だったよね。」
「座敷わらしよ!」
「ここに座敷は無いよ。」
各人が六百ccも血を抜かれているから、戻ってバカ騒ぎも出来ないでいた。最後が私だったわ。でも二百ccで許された。明日は大地に一千ccは輸血だと生きていられるか自信無いよ。
最後の輸血が終わったよ、ひかる。
「亜衣音……あり・・と・。」
「いいのよひかる。元気になってね。」
「う……ん、生きられて嬉しい……よ、」
あんなに図体が大きかったひかるは、私よりも細くなっている。
「あんた……痩せた…………だ………ご…、」
「そうだよ、ひかる程でもないけれども、痩せたよ。」
数ヶ月もの間、身体いや口さえ動かしていないからか、何を言っているのかが分らない。ただ、うんうんと頷くしかなかった。翌日からは、入れ替わり立ち替わりに訪問を受けるから段々と口はまめるようになってきたね、ひかる。
昔の怒った口調は感じられない普通の女の子に戻ったかな。それからは部屋に鍵を掛けて空いているベッドで私も休んだ。それが嬉しいのかひかる、目尻が潤んでいるな。
血走ったオオカミ少年は病院内を彷徨し、咆吼していた。満月なの?
*)ひかる……
ひかるは夢を見ている。ぐるぐると回るような夢だから死ぬときに見る走馬燈かと思った。どれもこれも自分の夢とは思えない、小さな女の子が次々と現れては消えて行った。
「ねぇ、貴女は誰なの?」
「私、私はね、ポーランドのお姫様! どうかしらこの服、可愛いでしょう?」
「うん、とても綺麗よ。」
「良かった。ねぇ丘の上にお花が咲いているのよ。遊びに行きますよ。」
「はい、連れていって……。」
「ブルン、ブルン。」
「ねぇ、貴女は誰なの?」
「俺?……タダのロンリー族の女さ。であんたはどうしてここに?」
「はい、道に迷ったのかと、それで、天国へはどうやって進めばいいでしょうか。教えて頂けますか?」
「いやそれは流石に俺にだって分らない。だって行った事はないぜ。この国はニュージーランドなんだ。天国に一番近い国さ。」
「そうですか、ニューカレドニアなんですか! 今日は走馬燈がたくさん見られたものですから、」
「そうかい、だったら早く天国へ行けるように、俺の席と変わるか?」
「え・・よろしいですか! 是非にお願いしたいです。」
「いいよ、おい、兄貴。この女を天国まで、な。」
「いいぜ、ひかるちゃん。」
「はい!」
「車が動かない。お前はまだ現世に未練を残しているだろう。」
「えぇまだ死にたくはありませんもの。でも、海の上でも車が走りますか?」
「まぁ、ダイブだけだな、でも動かない。」
「キャッ!」
「こら、静かにしなさい。」
「ねぇ、貴女は誰なの?」
「ここは、心の図書館さ。で、何を借りに来たんだい?」
「はい、ある男の子を好きなりましたので、その、料理の本を借りたいなと。」
「生憎とこの図書館は、ライトノベル小説本だけなんだよ。悪いな他当って!」
「はい、出直します。」
「わ~とても綺麗な服ですね。」
「そうかしら、褒めてもらって嬉しいわ。」
「ねぇ、貴女は誰なの?」
「そうね、夢見る乙女かな。将来はね、ランウェイで散歩したいな。」
「え、そうなんですか、将来はパリコレ?」
「貴女、スタイルがいいわよ、今度声を掛けるね。」
「はい、是非お願いします。スーパーモデルかしら!」
「ねぇ、貴女は誰なの?」
「そうね、騎士になりたかった女の子かな。」
「白馬の騎士さま、私も憧れています。」
「でも、振られるのよね。」
「はい……多分。」
「このタヌキケーキ、美味しそうです。」
「可愛いでしょう。」
「ねぇ、貴女は誰なの?」
「パティシエの見習いです。」
「そうですか、未来はパティシエールさんですね。」
「いいでしょう……エヘヘ。え? パティシエールと言うの?」
「はい、女性ですから。」
「ねぇ、貴女は誰なの?」
「私は、男の子になりたかった女の子です。」
「残念でしたね、でもその服は……、」
「はい、学ランの男装です。男の子に混じって学生してます!」
「わ~いいな!」
「ねぇ、そこの貴女。」
「はい、……女優さん?」
「そうね、未来は確定しているわ。」
「ねぇ、貴女は誰なの?」
「それ、聞きたいの?」
「いえ、まだ卵さんでしたか。」
「う~、売れたら教えます。」
「ねぇ、貴女は誰なの?」
「私はこの大きなビルの社長しているわ。求人なの?」
「はい、まだ高校三年生ですが春には卒業いたします。」
「そう、綺麗だから営業に行けるわね。」
「ハニートラップ……得意です。」
「そ、そうなんだ、何処で使おうかしら。」
「枕……営業……。」
「だったら寝具売り場かしら!」
「おめでとうを言わせて貰うわ。」
「ありがとうございます。」
「黄泉がえり、おめでとう。」
「ねぇ、貴女は誰なの?」
「まだ言えません。秘密です。」
「どうしてですか?」
「どうしてでもです。私の事は忘れなさい。」
「はい、忘れました。」
「ひかるちゃん、挨拶は済みましたか?」
「はい、お母さん。それにお姉さま。教祖さまは?」
「あれは放置しています。でも良かったわ、これも亜衣音のなせる技のようですね。」
「はい、お母さん。」
「お母さんと姉、それに姉妹が出来て嬉しいよね?」
「はい、お姉さま。」
「大地、私、娘を産んだんだ。も~私にソックリよ。残念ね大地には似てもいなわね。とすると、誰の子かな~。」
「ほ~ら、オッパイを吸って、ひかるは早く大きくなるのよ。」
「亜衣音ちゃん、……亜衣音ちゃん、……。」
「ん??……あ、ひかるちゃんが起きている。」
「それに今は、教祖さまの赤ん坊になっています。」
「うわっ、わ、わ、わわわ……、私の赤ん坊がこんなに大きくなって、私の乳を吸っているわ!……夢よね。」
「亜衣音ちゃん、……亜衣音ちゃん、……。」
「う……ん?……ひかる! 私の乳にむしゃぶりつくなんて、百年早いわ。直ぐに降りなさい、苦しいわよ。」
「ですが……お腹が空いて堪りません。もう少しお乳を下さい。」
「だめよ、大地のものだからひかるにはやれません。」
「ホントに?」
「はい、もうダメです。娘が産まれた夢を見ましたが、ひかるちゃんだとはゆめゆめ思いもしませんでした。それで、たくさんの夢を見られたよね。」
「はい、皆さんの夢見ていました。亜衣音ちゃんだけがいませんでしたわ。」
「それで誰が居たの?」
「それが~……十人とお母さんとお姉さまが出て来ました。」
「そう良かったわ……。」
十人とは誰になるのかな。碧 翠 藍 美保 未来 智子 眞澄 珠子 夕霧の九人にひかると私は入らないので、誰だろう。それ以前に珠子と委員長は巫女の従者とも判断が出来てもいないのよね。はてさて……十人目とは居るのかな。
「ん?? 重たいな。胸が痛むし……?」
「チュパ、チュッチュー、」
「あ、こら、私のオッパイを勝手に吸うな、もうお終いよ。」
ちょっと考え事をしていた隙に、ひかるからまたしてもオッパイを吸われだしていた。
「えぇ~~い、バッコ~ン!」
「ギャビブ……べー!」
寒いです、とにかく寒い。ファンヒーターを三時間も点けているのに室温は
一度程度の上昇よ。昨日は雪降ってたし、そんな中で屋外作業なんて堪んない。
気温は0~3度の予報よ。こんな中外出だなんて嫌だな~。短い章ばかりですが
読んで下さい。
by……亜衣音。




