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人狼と少女 垣根の上を翔ぶ女 亜依音  作者: 冬忍 金銀花
第十章 エピローグ……新しい命の誕生……

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第141部 亜衣音改造計画……クラスメイトとの再会


*)元クラスメイト……悲しい再会


 私たちの隔離は直ぐに終わった。とりあえず、私さえ元気になれば良かっただけなんだよね。他の連中はもう海外旅行気分。そ、それはそうだけどもね。でもね、悔しいよ~私も街に出て遊びたいよ~……。


「亜衣音ちゃん、頑張ってね、」

「もうすぐ足が生えるのよね、マネキンの足で無い事を祈るわ。」


 万事がこんな調子なのよ。どうしてこんな薄情者を連れてきたのか、意味不明でお爺ちゃんに文句言いたいよ。



 お爺ちゃんは全員を集めて、少し悲しそうな顔をして説明を始めた。


「お前たち全員、最初は病院へ行って貰う。会わせたい人が居るのだよ。」

「へ~誰かな、大地くんならば一昨日に会ったよね。」

「お爺ちゃん、もしかして……、」

「そうだ、葬儀は空の棺で行っていた、唯一犠牲になった才賀ひかる君だ。」

「あ、……、」


「お爺ちゃん。ひかるちゃんがどうしてアメリカに来ているのよ。」

「大地の緊急輸血に、その、大地くんの命を救ってもらう為にだった。唯一の巫女だったかも知れないが、なんというか、もう死亡していたからという理由で、大地くんを助けて貰ったよ。」


「そ、そうなんだ。大地の命の恩人なんだね。」

「すまんじゃった、亜衣音、黙っておいて。」

「亜衣音、お前も足が無くなり塞ぎこんでいたし、それに大地くんだって既に死んでいたと言うか、見込みも無いと言われていたんで、」


「どうして大地が生き返ったのよ、お父さん。」


「ワシが答えよう、お前の右足に残った血じゃよ。お前の輸血で三日後だったかまた脈打つ心臓が生き返った。それからはその、巨女の血を使わせて貰った。成分を調べたらな、ビックリだった、亜衣音、沙霧、澪霧の三人の血が混じっておったんじゃ。」


「お爺さま、すみません。本当に父の仕業だと思うと心がはち切れそうで、」

「藍ちゃんには関係ないよ。気にするなとは言わぬがどうしようもないじゃろ。」

「はい、お爺さま。」


「藍ちゃん。いいのよ、これからも私のお友達でいてね。」

「うん、いいのかな、私、亜衣音ちゃんの敵の娘だよ?」

「いいわよ、気にしていないわ。だって藍はアッシーくんだもの。」

「わ~、酷い、ヒドいよ亜衣音ちゃん、」


「亜衣音~、俺の娘にしては心が冷たいぞ。」

「フン、どうせ橋の下に捨てられた娘です。あ、拾われた娘です。」

「おい穣。橋だったかい?」

「いいえ、厩舎でした。もう壱万円札と同じですね。」


「わ~ヒドい、酷い、ひどいよ二人して私をからかうんだね。」


 一万円紙幣には面白い事がある。現在のE号券を含め、C号券とD号券の三種類があるのだとか。ではAとBとは何だろうか。ま、それは置いておいて、私が初めて見た時は何時の時だっただろう。私の方がほんの少し誕生は早かった。でもでも十年もの間見ていなかったりしてね。親父は出稼ぎで居ないし、そうなると月給袋なんていうモノは家に存在しない訳で……、親父が帰る頃は十歳くらいだったか。


 給与の袋に詰めるのは千札が好まれていたんだな、聖徳太子はスカンって!!



 皆はクスクスと笑うし、ひかるの事が発表されて緊張していたよね。私を上手にダシに使って、それがヒドいとは思うのだが、みんなの緊張をほぐしたお爺ちゃん。ま~許すとしましょうかね。


 それからお爺ちゃん。本当に泣きそうなくらいの顔でね、私の右足の事を話してくれたんだ。お父さんには無理だと思うくらいに悲惨な状況だった。


「お父さん、私の右足の事、……教えてよ。」

「あ、それはだな……、」

「亜衣音、ワシから話そう。穣にはちとキツいじゃろて。いいかい穣?」

「はい、お父さん。」


「実はじゃな。亜衣音は右膝に銃弾を受けて……ほぼ切れかかっていた。それで右足切断して脚はそのまま治療しておいた。それが今の脚じゃ。」


 ある事無い事をね滔々と述べるのよ参っちゃう。でも否定はしなかったわ。


「そんな、亜衣音ちゃん。今までよく我慢できたね。」

「そうだよ、とても痛かったよね。」

「うん、でも藍ちゃんが足を付けてくれたから嬉しい。今はそれだけでいいんだ。感謝してます。」

「そうだね、亜衣音ちゃん。」

「う……わ~ん……、」x9


 と、私以外の女の子が泣き出す。海斗くんはなんとか踏ん張っている様子。流石は男の子かな。麻美ママは後ろ向いているからきっと泣いているね。


 私はお爺ちゃんの説明が悪いと思った、可愛い女たちを泣かせるなんて許せないよ。


「お爺ちゃんさ、もっとオブラートに包んだ言い方は出来ないの?」

「いや~ワシは元気だから、今まで薬なんか飲んだ事もなくてな。」


 昔の薬は粉薬だったら専用の匙で掬ってオブラートに包んで飲んでいた。これがオブラートに包むという語源だ。私の祖母は序でに梅干しをほぐして包んで飲んでもいたな。他にはお菓子の包み紙代わりにもなっていたし、医者に掛かれば専用の紙に包まれてもいた。硫酸紙と言うんだっけ、裏側がつるつるとした紙だよ。あれ? 表かな。古い人だけは理解出来るよね。


「フン、バカジジイ……。」

「これは手厳しいのう~。」


「私、訊くのが怖かった。だから私の足と大地は仲良く火葬されたものだと、考えるようにしてたんだよ、それをなによ。……私の足も在るのね。」

「あぁ在るとも。専用の培養液に包まれて元気にしている。カエルの実験でな、」

「あああああ、その先は聞きたくない。電極を差して実験なんてしてないよね。」

「……、」

「へ~……してたんだ。そうなんだね、お爺ちゃん。」

「申し訳ない。無事に亜衣音の脚に戻してやりたくてな。」

「え”……私の足が戻るの?」

「多分、出来る。必ずや戻してみせる。もう莫大な資金を入れたんだ。今更出来ないとは、ワシが言わせんよ。」


「おい親父、それ、本当かよ。」

「言ったじゃろ、忘れたか。」

「いや覚えている。あれだけめちゃくちゃにされた足だったぜ。」


「お父さん……もう~ジジィとおんなじよ。」

「あ、すまん、ごめんちゃい。」


 私は泣き出すも、口では笑顔を作っていたらしいのよね、大地。その大地も時を同じくしてね、私からの輸血待ち手術待ちだって聞かされたのよね。嬉しいよ大地も一緒になって整形手術を受けられるんだよね。(醜男が修正して直るのかな? あ~物扱いにしているよね、私。)


「あぁ、もちろんだとも。」

「ひかるちゃんに会わせて、お礼を言わないといけないよ。」


「一応訊くが、才賀ひかる君は静かに眠っている感じにしか見えない。こくなようだが、顔を見るには忍びないかもしれない。」

「お爺ちゃん。どういう事なの?」

「一目瞭然と言いたいが、本当の心穏やかに眠っているとしか表現が出来ない。怖いというよりも、寧ろ……忘れられないというか、……なんだ、」


「うん、それでいいよ。ひかるちゃんに会わせて。」

「大地くんも呼ぶか、亜衣音。」

「出来るならお願いよ、お爺ちゃん。」

「おお、いいとも!」




*)才賀ひかるとの再会


 私は大地が生きていてとても嬉しいよ。先日に空港で急襲を受けたが、それでも楽しいとしか表現できないんだ。またいきなり抱きつかれるのかな。


「お爺ちゃんさ、大地は鎖で……まさかよね。」

「あれは~もう手に負えない程に凶暴化しておる。ほら、麻美さんだったら理解できるかの~。」

「そうですね、幾らかは出来ます。でも色々なケースもあるでしょうから一概には言えませんが、愛情の欠乏症でしょうか。」


「あ!……あ~そういう事ですか、シーシー理解できたぞ亜衣音!」


「私がなによ、なんなのよ。お爺ちゃん、私を追い出す気なの?」

「大地くんを大人しくさせる方法だよ、今晩から大地は亜衣音に任せた!」

「任されました、お爺ちゃん。」

「大地くんを呼んできてくれないか。」

「イエ~ッ・サー!」

「お前……クビにされたいか!」

「呼んでまいります、長官。」


 この男性が口にした一言は、お爺ちゃんは今でも現役なのだろうか。隠れ長官だろうかね、大地。

(シーシーとは、I see it 理解したという意味です。お爺ちゃんの英語かぶれだと思ってね。)


「んも~最低よ!」

「ジャラジャラ……、」


 大地が本当に鎖を引きずってきたよ、やいジジィ……殺したろか!


「お嬢様、これ位にしていませんと直ぐに脱走されてしまうのです。先日だって鎖を切っていましたし……、」

「歯切れの悪い返事ですね。……大地。ウソよね。」

「いや本当だ。俺が亜衣音が来ると聞かされたら既に切れていたよ。」

「大地はキレていないよね?」

「いや、もう飢餓状態、途中で女を食らってきた。」

「え”……ウソ!」


「お嬢様。それは饅頭の事です。女の人を食べたではありませんが、売り子さんですね、……の饅頭を、が省略されています。」


 それを付け足しても意味不明ですけど……。


「大地、お腹が空いているの?」

「おう、もちろんさ。饅頭食いたい、大きいのが二つと二つここに在る。」

「何処に在るのよ……ヤ、夜まで待ちなさい。」

「ほほ~大地さま~……亜衣音ちゃんの胸と尻ですな!」

「ごら”藍!」

「ウキョ~!」


 私は片足になっているから藍を叩くことすら出来ないっ~の。藍は逃げもしないで更に私を挑発しているよ。


「委員長!……お願い。」

「いいわよ、日頃のお返しも込めていいわよね?」

「はい、……もち。」


「大地、抱っこ!」

「いいぜ、少しは重たくなったかな。」

「バカ!……好きよ、」

「キャッホー……。」x5


 う~と言いながら私は大地にお姫さま抱っこされて、顔を大地の胸に埋めるのだよ。


「大地くん、ひかるちゃんの処に行く。」

「……、」


 そこは暗い部屋だった。人は居ないので照明は消されているよ。これでは私、可愛そうだと直ぐに口に出していた。それからは照明が点されているし、笑い声も絶える事がない。美保ほが私に花束を抱かせてくれる。


「亜衣音ちゃん、ひかるにあげて……。」

「うん、花束をありがとう。」

「降りるか、」

「うん大地。前に降ろして私を立たせて頂戴。」


「ごめんなさい。み……な、出て行ってくれないかな、私独り……して。」

「うん、後で呼んでね。」

「……、大地も、」

「いいぜ。」


 それから皆が部屋から出て行く。ごめんね、先にひかるちゃんにお礼と謝りたいのよ。


 大地を狂奔させたひかる。巫女の血がさせた事だと聞かされたよ、ひかる。あんたは大地に好かれて、守られて良かったね、私にう~んとヤキモチを焼かせてくれたんだよ、バカチンひかるちゃん。


 私の運命に翻弄されて短い人生で終わらせた才賀ひかる。貴女には恩を返す事が出来なくなったね。こんなにも身体を細くしてまで私の大地の命を繋いでくれた事に感謝いたします。


「ありがとうございます。う~……、」


 それからひとしきり涙を流して泣いたよ、これが私から才賀ひかるへの葬送泣そうそうきょくのレクイエム、安らかに永眠して頂戴。


 本当に寝ているような笑顔。声を掛けて揺り起こしたら今にも眼を開きそうな錯覚に陥る。私はひかるの左手をとって祈るだけしか出来ない。


「ひかるちゃん……。」

「色々とヤキモチ焼いて意地悪したよね、ごめんなさい。」


 今にも起きて返事をしそうな感じに囚われる、これがお爺ちゃんが言った怖さなのだろうか。勘違い、錯覚……そういう事なんだね。ほっぺたも柔らかいよ。

胸も……。


 でも……生き返りそうな気がしてきたよ、ひかる。私は可愛い妹たちに囲まれて不思議な体験をしている。もし、ここでひかるを中心に置いて周りを巫女とその従者で囲んで願えば生き返ったりしないかな。


「やるだけやってみようか……な。」


 急に元気になった私は大きな声で皆を呼んだんだ。


「ねぇ、聞いて。お正月の夜に奇跡が起きたよね、あれと同じ事が出来ないか、やってみようかと思うんだ。ね、協力してよ。」

「あ、あれね、急に亜衣音ちゃんの家に召喚されたやつ、でも、六つ子が居ないからどうだろうね。」


「六芒星だよね、でもこじつけだったらどうよ、今度はさ、亜衣音 碧 翠 藍 美保 未来 智子 眞澄 珠子 夕霧 麻美ママ カムイコロさんの十二人だね。」


「そうよ、六人の倍だからいいかも、十二芒星だよ!」

(十二芒星の中心は、あの世とこの世をつなぐ通り道になとは知らなかった。)


「やってみようよ、誰かは従者では無いけれどもね。」

「なによ藍。文句があるなら表に出なさい。」

「い、委員長、お願い、巫女でなくてもいいよ、多分、気休めで終わるはずよ。」

「いいわよバカ藍。」


「いいかしら、なんでもいいから周りを囲んでひかるちゃんを呼んで頂戴。」

「オー!」x9

「ひかる~カム・バック~!!」x12


 八人目の従者が誕生した。ひかるちゃんが眼を開けた。それは奇跡を生んだのだった。死んで半年は経つのに未だに朽ちてはいない身体。それは死を意味するにはあまりにも不可解だったからだよ。


「ひかるちゃんが眼を開けたわ!」

「きゃ~ひかる~……。」

「おい、直ぐに輸血だ、緊急入院だ!」

「はい、お願いします。」

「血液パック、誰から始める。」

「え”……私たちですか?……輸血の血は……。」

「そうだろう、こんな鮮度のいい血は他にないぞ。アメリカ人の血には拒絶反応を起こすそうだ。」


「お願い、皆でひかるちゃんを助けて!」

「はい、教祖さま!」x9



 才賀ひかる、巫女の従者としてこの世に新たに生を受けた。それからは身体が元には戻らずに、痩せて可愛い女の子に変身したんだよ。


 こんな騒ぎで今日は終わったな、良かった。


 お父さんは急遽家に電話していたが、時差で寝ぼけたお母さんは信じなかったとさ。どうしてだろねお母さん。身寄りの無いひかるちゃんが私の家族になった。藍とおんなじだよね。身元の確認調査では全てがウソであって、出身さえも分らなかったという。(私は時差でボケてはいません、フン!)



 これでは行くところが無いよね。


 良くも悪くも皆の遺伝を貰ったひかるが誕生したよ。これから先は喧嘩ばかりが起きたりしてね、共存出来ないとなったらどうしようか。



 新しい命の誕生……だよね。


 ジジィの高笑いが聞こえてきそうな予感だよ、悪寒かも知れないかな?



「亜衣音、お前も入院な!」

「んな!」

「大地に襲われて肝抜かれるなよ。」


「亜衣音ちゃん、尻こだま……持ってるよね、」

「いや~~~ん・・・・・・撫でないで。」


 娘が産まれてきたが、「黄疸が酷くて、娘さんは入院させました。」と

看護婦さんに言われました。同じ病院なのにね。


 こんな事がありましたから、「おい、直ぐに輸血だ、緊急入院だ!」と

書いたのでした。意外と史実も混じった物語なのですよ? 可笑しいかな。

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