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人狼と少女 垣根の上を翔ぶ女 亜依音  作者: 冬忍 金銀花
第十章 エピローグ……新しい命の誕生……

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第138部 亜衣音改造計画……今そこにある未来……


 「私をロボットみたいに改造しないでよね。壊れちゃうから!」



 1971年7月21日


*)……今そこにある未来


 クラスメイトたちがそれぞれに帰っていき家は静かになった、はずよね。


「亜衣音、みんな家に帰ったかい。う~頭が痛い。」

「はい麻美お義母様。」

「もうお茶漬けしか残っていません。よろしいですよね。」

「あぁ文句ない。お味噌汁も頼む。」

「はい酔い覚ましですよね、作っておきました。美味しいですよ。」

「いい匂いだ。何を加えた!」

「何も入れておりません。お味噌を溶いただけです。」

「ありがとう、」

「良かったです(お咎めなしです)。」


 本当はインスタントの松茸の味……入れたんだ。だって藍が旅行気分で浮かれていてね、私一人で食卓に座っているんだもの。珠子も居るのよね、でも、あのゴスペル衣装についてカムイコロさんが教授しているらしいのよ。黒のクマ衣装を着せていなければいいかな。


「穣はどうした、居るのか。」

「いいえ、お爺ちゃんを自宅へ送っていきました。昨日はねお爺ちゃん、おでこに汗して家に来たんだよ。」

「いい運動になっただろう。」

「で、流れた汗はビールだって、可笑しな事を言ってました。」

「もうそんなには飲めないのだろうね。あれは……未だに現役だよ。」

「へ~桜子お婆さまはそんなに、お強いのですね。」

「ザルだよ、ぜ~んぶ流してやがる。勿体ない。」


 そんな、戻している訳ではないよね。今まで聞いたことはないから大丈夫だよね。


 でも……、


 その麻美お母義様が我が家で朝食とはどうしてだろうか。同じく明子さんも妹たちを連れてきているしね。



「お母さん、亜衣音ちゃんでは大変ですので私が朝食の用意をいたします。」

「明子、そうだね、お願いするよ。」


「はい亜衣音ちゃん、お母さんと一人ずつね。」


 私が綾香ちゃんで、麻美ママは彩香ちゃんだ。


 たちまち台所でいい香りが立ちこめてきた。北海道の田舎の匂いかな、私もなんだか懐かしくなってきたな。鮭の切り身に何やら特性のソースが掛けられていく。……黙れ! 私のお腹。


「明子さん。タルタルソースですね。美味しそうです!」

「亜衣音ちゃんも食べていいよ。これはとても懐かしく感じたよね。」

「グ~……あ、」

「亜衣音、腹芸が達者だね。まだ鳴らせるかい?」

「いやですよ麻美お義母様……綾香です。」


 私が小さい時に、自分の娘でも無いのに分け隔てなく育てて頂いた。この恩はこれから先でも返しきれないな。お母さんだって麻美お義母様にはとても気を遣っているのが、見ていて良く分る。友達だという桜子お婆さまは、今では形勢逆転らしいのだ。ホント、ワイルドで馬熊鹿イエティと例えると分るかもしれない。



「亜衣音、しれ~っと俺を馬鹿にしてないか!」

「ブルブルウ……とんでもありませんわ、お義母様……。」

「お前、クロだったか、鳴き声にそっくりだね。あれは元気にしているよな。」

「はい、専属でホロお婆さまが面倒みてありまして、それ、」

「それならばいい。大事にしてくれよ。だって俺の命の恩人なのだからさ。」

「それならば手元に置いておくとか、」

「バカ言え! お前が育てたようなものだろうが。」

「はい、誕生日のお祝いに頂いた……二代目でした!」

「あ……恩馬は親の方だったな。」

「私もそうなんです。何度となく助けて貰いました。ですが、この足ですから落とされるばかりで今では疎遠になっています。」


「ま、無理もないさ。お前だって生きるのに精一杯なのだし。」


「えぇ、そう言って頂けると私も嬉しく思います、あ……ママ……、」

「亜衣音、泣くな。」

「これ、朝ご飯が美味しいだけです。」


 綾香の顔にポロポロとご飯を零していて、綾香の口に入れば食べるかな。


「亜衣音ちゃん、それ……涙だよね?」

「はい、明子さん。もう泣きません。」



 こんな私が、悲壮なくらいに普通の子供とかけ離れた性格をしていた私が、こうやって生きているのは麻美ママのお陰なんだ。桜子お婆さまと麻美ママの関係が、その私を生かしてくれたのかもしれないな。


「亜衣音、ご飯がしょっぱくなる。」

「はい、ごめんなさい。昔を思い出したら、つい涙が零れてきて……。」


「亜衣音の未来もそこにあるのだから、二人で元気にやるのだよ。」

「はい、ママ。ありがとうございます。」


 私は重要な一言を聞き逃していた……。私にも未来があるんだ、そうお母様から聞かされたらなおのこと涙が溢れてきたよ、大地。それは……二人と言う言葉を。


 明子姉さんは無言でご飯食べている。私と麻美ママの会話を黙って聞いていてくれるだけでも嬉しく思える。それに私が右手を動かす度に彩香ちゃんが両手を伸ばしてくるから、抱っこして食事とか難しいよ。私が元気なうちに大地の子を作っておけば良かったかな。だったら高校中退か留年は確定だけれどもね。


 赤ちゃん……うん、可愛い!



「本当だったら、今は私の胸には娘が居ても良かったかな。そう思う事もあるんだよ。」

「そうだね、大地くんと二人で育てるなんて無理だとは言わない。でもね、高校中退だけは止めておきなさい。」

「うん、もうそれも叶わない。私……十七歳でお母さんになるのも、夢みたいでいいかなって思ってる。」


「随分と大地くんとHして、どうして子供が出来なかったのかね~。これも巫女の運命だとは考えたくはないよ。」

「大地……力が強くて頼もしかった……。会いたい。」

「そうだね、……。」


 この子、私がご飯を食べているのが分るんだね。ママのおっぱいを見つめてウガウガと言ってるよ。


 明子お姉さまは母乳派なんだ。だからたくさんご飯食べてうんとお乳を作って妹たちを育てて貰わないとね。そんな明子さんにも春が来たらいいな!


「亜衣音ちゃん、暫く二人と会えなくなるからさ、お願い。」

「う~どうして独身の私がお乳が出るのよ。世界の七不思議だよね。」

「私だって霧の娘二人に乳をやって育てたよ。どうしてかは神さまが~とは思えないがね。」

「それだけ巫女が数奇な運命なのよ。私、生きていてもいいんだよね。」



「そうさぁ、お前が親よりも先に死んだら容赦しないよ。」


 桜子お婆さま現る。立ち聞きしていないと言葉が出ないような事を言いながらの登場だよ。なんとかは遅れてやってくる。Hの後の生理……遅れてくるから、皆は大変だよね?


「お~亜衣音、ワシらの轍は踏むなよ。」

「あ、桜子お婆さま。淋しくなりましたか?」

「ばか、んな訳あるか!」


「なぁ麻美。ワシらもアメリカに行きたくなったが、無理かな。」

「そうですね、まだ半年ですよね。やはり長旅には出さない方がいいですよ。大病で今すぐにアメリカの最先端技術で手術が必要なのでしたら別でしょうが。ここは私に任せて下さい。」

「麻美、孫……可愛いよ、お前、面倒みたらどうだい。」

「北海道の田舎に連れて帰るぞ。序でに明子もな!」

「あ、ダメ、それだけは勘弁してよね。」


「桜子お義母様、お世話になりました。」

「うぎゃ~……親子でワシを苛めおってからに……、」

「アハハ……なに、それ、可笑しいよ!」


「泣いたカラスがもうワロタ……。」

「あ、ホントだ。私、笑っていたね。」


 一人淋しく居る私に気を遣って頂いた、かな? お母さんが居ないのはお父さんに付いて行ったんだね。するとま~た澪お姉さまが子守なんだ。


「沙霧はカッコウだね、ホント子供の面倒をみはしないよ。」

「麻美ママ、それはダメよ、取り消して……、」

「あ……亜衣音さん、ごめんなさい。もう言いません。」

「うん、お母さんだって一生懸命なんだからね。これからまた双子だろうし。」


「、。・@、?。、・、。?」


「ワシも双子を二つも育てた。大変だったな。」

「何を言うか、私だって亜衣音を含めて四人じゃて。」

馬熊鹿イエティが何を言うか、お前の娘と孫と追加でさらに三人の七人になった。」


「桜子お母様、お世話になりました。」

「うぎゃ~……親子でワシを苛めおってからに……、」

「アハハ……なに、それ、可笑しいよ! さっきも笑ったな。」


「亜衣音、とにかくお前は未来があるのだからね。めげてはいけないよ。」

「はい、麻美ママ。」

「甘ちゃんだね~。沙霧も嬉しいだろうよ。」

「沙霧お姉さまだよ、歳は幾つも離れてはいないのも。」


「おうおう、俺だけが年老いていくのか、淋しいの~。」

「はい麻美ママ、」


 麻美ママはホロお婆さまのように長生きするのだろうと感じた。これって巫女の感よね、大地。本当に男勝りの女性だ。



「おう……早く来いよ、待っているぜ。」

「大地、まだまだ死ねないよ。天国で待っていてね。」



 今そこにある私の未来。誰にも奪わせないよ。これからも私、強くなるんだ、妹たちを守る為にもさ、強くなりたい。その逆だったらどうしよう。



「おう強くなれや!」

「なんなのよ、大地の声が聞こえるよ。何処にいるのかな、天国だよね。」


 私に大地の声が頭に届くように聞こえる。もう……成仏してよね、バカ大地。


 麻美ママの怒号が耳には入らない。少しからかっただけだからね、マ~マ?




 そこに珠子とカムイコロさんが部屋に入ってきて、


「亜衣音、見てやってくれ!」

「は~いカムイコロさん。なにが…………、」

「どう……かな、少しH過ぎないかな。」

「う、う、う、綺麗よ、珠子。アメリカデビューしたらいいかも。」

「え~……私、カモにされちゃうの?」


 珠子は純粋でウブなのだが、どうしてこんな過激なファッションが出来るのかが私には理解出来ない。これぞ、コンテンポラリーな生物なのかと感想を述べてみる。


「亜衣音ちゃんも着替えよう?」

「ギャボ!」

「亜衣音ちゃんもきっと可愛いわよ?」

「無理、まずはその白くて大きいおっぱいに負けているよ。そんなに惜しげもなく出せる勇気が出せるとは、いい度胸してるよね。」


「女は度胸よ! これで男はイチコロよね。」

「う~ん、違うと思うよ。逆に男から遊ばれてポイされるかしら。」

「純情派ビッチは嫌いだし、猫被れない。」


「タマちゃん、女は愛嬌だよ?」


 カムイコロさんが作らせたゴスペルの衣装、珠子が縫えるとは、それだけ女子力が高いとは信じられない。きっと古~~い家系に生まれたのかもと勘ぐってみた。


「亜衣音、お前には出来ない和服も縫えるらしい。今度、花嫁衣装を縫ってもらえ。きっと斬新で裾なんか、ぶっちぎりされているだろうさ。」


 想像よ想像。和服の裾を切ってミニスカート仕立てって、こんなのを着たら人間がぶっ飛んだと思われるよ。私だったら恥ずかしくて、右前を左前にして棺桶に入りたいわよ。


「亜衣音ちゃん、花嫁衣装の真っ白……左前合わせに作ってあげる!」

「ギャボ、ギャボ、ギャボ!」


「亜衣音ちゃん、右足が生えたらミニスカートを作ってあげるよ、期待して待ってて。」

「そうだぜ、そんなダサいロングスカートなんて履くだけ損するよ。」

「亜衣音ちゃん、可愛いよね?」


「そ、そんなこと、あるよね、そうよね、うん、私にも作って!」



 も~私は「ブヒ!」と鳴くクロを思い出した。クロに黒豚と言ってバカにした私が、おだてられて木に登るなんてどうしてよ、ね~大地。


「お前がバカだからさ、決まっているだろう誰に聞いてもバカとしか返事は返ってこないぜ。」

「うぐぅ~……、」

「それこそ、左前……と言うんだろう?」

「バカ大地、アホ大地。」


 私にだけ聞こえる大地からの天の声。どうして聞こえるのよ、大地。


「亜衣音ちゃん、思い切って胸……出してみようか。」

「やよ、これは大地のおっぱいなんだから。」

「いいな……、私にも大地くんのような男の子が作れないかな?」

「ねねね・・・、城達也くんはどうかな、名前がカッコイイ。」

「あれは……いいかも!」


 ここで新しいつがいが出来たらいいな!? 藍ちゃんには誰がお似合いかな?


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