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人狼と少女 垣根の上を翔ぶ女 亜依音  作者: 冬忍 金銀花
第十章 エピローグ……新しい命の誕生……

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第128部 クロと雷神……馬術部の再始動……


                             1971年4月15日



*)午後の日差しと……クロと雷神


 私は徹さんにお願いして馬事公苑に連れていってもらった。懐かしいクロと雷神に会いにいったんだ。私が厩舎に近づく前から大声で鳴きだした二頭の馬。ホロお婆さまは直ぐに気がついたのだという。


 はやる心を抑えて慎重に歩く私だ。でも、直ぐに「うひゃ!」となるのは自明。


「ブヒヒ~ン!」

「ブルブルウ……」

「おうおうおう、クロや、雷神。ほれご主人様が来たぞえ。お前らには声が分るんだよな。可愛い声を出しよってからに、うひゃ~だとよ。」

「ブヒヒ~ン!」

「わざとだと、お前にもピ~ン! と来たかえ。」

「ブルブルウ……」



「あ、クロの声かしら!」

「亜衣音ちゃん、待っているようだよ。」

「あ、二人とも私のことが分るんだね。」

「そうともさ、雷神が寂しがっていたな~。俺では今も乗りこなすに苦労している。あの嬢ちゃんも連れて来いよ。」

「美保だね、そうよね、馬術部はもう復活できないな。学校が違うし、」

「ここは学校とは切り離されたぞ。今では爺さんが馬主になっていて、自由に使えるよ。だから最近は貧乏しているだろう?」


 そう言われたらお爺ちゃん。お寿司の金額を非常に気にしていたよね。へ~そう

なんだ。馬二頭の維持費って月にお幾らかしら。


「え”……そうなんだ、考えもしなかったな。」

「きっと寂しがる亜衣音ちゃんの為にだろうな。」

「ん~少し違うと思うよ。だって私のお爺ちゃんだよ? 腹黒いよね。」

「いったい、どんな?」

「後で怖いかもしれないね。競馬新聞……年間購読契約をしてるって言ってたな。」

「それがなんだい、俺には関係ないよ。」


 と、強気発言の徹さんなのだ。出鼻チ~ン! と、折られなければいいね!


「グシュン!……ブー・・・。チーン。」

「お兄ちゃん、もうハシタナイ。」

「いや~寒くて鼻水が垂れてきたな。」


 もう出鼻チ~ンだよ、汚~い。



 厩舎では、にこやかなホロお婆さまが出迎えてくれた。


「亜衣音、良く来たさ。」

「うん、いつもありがとう。お話だけではつまらないの出てきちゃったよ。……う~ん、元気いいね、クロ……雷神。」

「ブヒヒ~ン!」

「ブルブルウ……」


「クロ、乗せてくれるかな。」

「ブヒ!」

「クロ、ブタなんだ。」

「ブフィ!」

「そうね、黒豚じゃないよね。可笑しいね。」

「ブルブルウ……」

「ほらクロ、スカートに噛みつかないでよ、汚したら明日の服が無いのよ。」

「ブヒヒ~ン!」


 これは私に早く乗れという、クロの催促なんだよ。んも~、よくもクロが鼻水をつけてくれたな。


「ブルブルウ……」

「雷神、寂しいよね。今度新しいご主人様も連れてくる。待ってて!」

「ブルブル、」


 私は徹さんに向き直ってお願いした。


「スカートが乱れていいので徹さん、乗せて下さい。」

「あいよ、俺が先に乗って引き上げるかな。」

「そうですね、脚の力が全くないから、ホロお婆さまは重たいお尻をお願い。」

「ホ~……いいかえ、ワシで。」

「もちろんよ、乗れるかな。」

「おばぁちゃん……ス、スカートが捲れています!」

「わしゃ……知らん!」

「あ”……!」


 二人にお願いしてようやくクロの背中に乗った私。クロの首が温かいよ。ん~……徹さんに見られたよね右足。小さい声が確かに聞こえたよ。でも……家族だし、いいよね。




「徹さん、一緒に乗って下さい。私の脚ではクロを挟む事が出来ません。それに腰も浮かせられないから、割れてしまいます。」

「亜衣音ちゃん、他人行儀はもうよしてくれ。もう亜衣音ちゃんの兄ちゃんにしてくれないか。……少し過激発言だぞ。」

「お~~~~兄ちゃん?? 何が割れるのかな?」

「あぁ出来たらでいいよ。……言えるか!」


「うわ~澪お姉さまは何と言うのかしらね。きっと私の旦那を~~かな。」


「アハハ……そうかもしれないな。人一倍に独占欲が強いからね、困る時もあったりするぞ。」

「あはは~ん、あの赤い傘事件よね、喧嘩になって次ぎからは濡れて帰って来い! とかいう、」

「あれには困った。傘を貸したのが若い事務員さんだったからね。澪もあの女性を知ってるしさ。」

「博多美人だったよね。」

「いいや、京美人だよ。」

「へ~私の引っかけに乗ったらダメです。だからお姉さまが怒るのですよ。」

「そりゃ~ないよ、俺はどうすればいいのさ。」


「それはお姉さまを焼かせないように、私を近づけさせないのが一番です。これでも私、熟れた独身女ですもの。」

「俺、降りてもいいかな。」

「いや、ダメです。私を守って下さいね。お兄ちゃん……?」


「いや、もういいよ。普通が一番かな。」

「直ぐに慣れるわ、お兄ちゃん。」


「ブルブルゥ。」と、身震いした徹さん。澪お姉さまの視線はありませんよ……? もう遅い時間になった。夕日なんかとっくに沈んでいるよね。


 新しい黒川家の愛車に乗る徹さん。あれでは若い女が放っておかないはず。徹さんも前途多難なのね。だってさ、スポーツカーだよね、澪お姉さま。


「お兄さん、一等賞になったんだね。」

「雷神が凄かっただけさ。で、お爺ちゃんには内緒で出場したから賞金はね、」

「うんうん、口止め料は無料でいいわよ。」

「そうだね、そうしてくれると助かるよ。」

「お爺ちゃんが知らないなんて、あり得るの?」

「いいや、今もアメリカさ、殆ど帰ってはこないらしいよ。それでも昨日帰国しても直ぐに出て行くとさ。今晩は来ると思うぞ、顔見せに。」

「家に夕食を食べに来るとか?」

「だろう、家族のみんなには食事に行くぞ、と言って……きっとな。」

「アハハ……可笑しい。」


「徹、ただよりも高い物はないそうだよ。いいんかい?」


 ブルブルゥ……。と、身震いした徹さん。


「なんだ、残念。またクロと雷神に会わせて下さい。」

「自動車で送ったる。自転車で行かせたら責任問題だよ。」

「あ、あれね、もう乗りません。藍に漕がせます。」

「うひゃ~、、、藍ちゃんは喜ぶよな。」

「だったらいいな!」


 馬事公苑の事務所棟……京美人が見送っているよ。序でにハンカチを囓っているようだな。もう一人はさ、怖い顔を作っていたよ。あれでは「凶女!」だよね、お兄ちゃん。


「あ~……今日も見ているのか。」

「でも心配いりませんよ、見られていたのが私ですから。」

「それが一番、根が深いのだよ。でさ、あんなに自転車の練習したのにね。……美人にも飽きたんだ。」


「秋田美人もいるのですか!」

「飽きた……美人にも秋田……? いや居ないよ。三大美人に縁は無くてもいいよ。」


「お兄ちゃん、今日の会話、内緒にしておくね。」

「ありがと~~ぅ。」

「ワシはどうじゃろか、な~。」

「お婆ちゃんには、そこの処に……袖の下を忍ばせておきました。飲んで下さい。」

「ホ~ッホッホ、ワシは耳が遠いでの~。いい酒じゃわい。」


「徹さん、一言。女の敵は女ですよ。いいですか、忘れたらダメです。」

「意味は分るが感情が解らん…、いっちょん分らんばい。」



 私たち三人が帰宅した。


「澪~……。」

「只今~……。」x2


「亜衣音、ちょっと来なさい。」

「はい澪お姉さま……。」

「今日はどうしたのですか、徹さん一人で亜衣音ちゃんを守れませんよ。」

「ホロお婆さま……。」

「ばっちゃんは関係ありません。それで馬事公苑で何か起きたりは?」

「そうね~クロと雷神が元気だったわ。」


「あっそ、夜の夜中に徹さんの身体に訊いてみますね。」

「澪お姉さまの、H……!」


「このデコピンが~、」

「きゃ~、本当になんもありません。」


 ニコニコした徹さんの顔を見て、直ぐに女の予感を感じた澪お姉さま。これではお兄さまも、さぞや大変だろう。って、単に男がバカなだけかもしれない。


 そう言えば大地もよく笑っていたな、教室で可愛いお尻を見て笑うのも考えものかもしれない案件だよ。


 女ってね、愛する男の表情の変化はぜ~~ったいに……見逃さないんだよ。

知ってた?


 馬事公苑に届いた第三種郵便物。この馬事公苑には無料の地方紙が毎回送られてくる。主には競馬開催の記事だけだが、これは問題だと、ホロお婆さまがね?


「亜衣音ちゃん、徹さんを呼んできてくれないか。」

「は~い、お婆ちゃん。なにか忠告でも……?」

「じゃかましい、小娘が、はよう呼んでこんか!」

「うひゃ、」


「はい、ホロお婆ちゃん。」

「徹さん、偉い事をしましたね~。」

「え~……なんでしょうか。」

「ほれ、……この新聞。私が持ってきてやったぞ。」

「お兄ちゃん……雷神の記事だね?」

「んな訳ないでしょう。記事には出させないと、理事長に言わせたんだぜ?」

「甘いね~……ジジイに手抜きは無い。別の地方紙も遅れて届いているのさ。な~~~亜衣音や?」


 これはうそである。そのような事実は一切ありません。でも徹さんは簡単に信じてしまった。ウブである、澪お姉さまの好みでもある。


「うん、そうなんだよね、お兄ちゃん。」

「う~~寒気がしてきた。その、お兄ちゃんとは言わないでくれ。」

「亜衣音さ、これを『有効に!』使ってもいいぞ。」

「はい、お婆ちゃん。ありがとう……。」


「なんだい、亜衣音ちゃん、……どうした、それ……不気味だからさ、笑わなくてもいいんだぞ!」


「さ、ここに競馬界の彗星現る……雷神号……! の掲載新聞だよ。これ、とても高いよね、スポーツカー並に高いよ……ね!」

「う~~、俺、脅迫されているのか!」


 今回の懸賞で直ぐにカッコイイスポーツカーが買える訳がない。だったら過去にもあるんだね、お兄ちゃん。


「うん、私の……ね、アッシーくんになって貰いたいだけだよ。これならばお兄ちゃんの括弧いい車を取り上げる必要も要らないよ。」

「(いい)……古いだじゃれだよ……普通にカッコイイ! とは言わないのね。」


「俺、もうじき……地方遠征なんだ。」

「うぐぅ~……、」


「徹さん。車……置いていくんだろう?」

「はい、ご自由にお使い下さい。……トホホ・・・。」


 でも、アッシーくん居なくなるって、どうしよう。


「よ~し、代案があるわ!!」



*)クロと雷神……馬術部の再始動……


 夕食が済んで私は両親に三つ指を床につけて、お願いした。


「お父さん、お母さん……。心配かけてすみませんでした。」

「おい……亜衣音、どうした。」

「そうよ亜衣音。」

「はい、両親にお願いがあります。また馬事公苑でクロに乗りたいのです。それで今度からは馬事公苑まで送っては頂けませんでしょうか。」


 両親は瞬時にお互いの視線を交わしていた。一種のテレパシーなのかもしれないわ。でも、そこで中断を余儀なくさせられた。双子が来たのだ。


「こんばんは~、」

「お邪魔いたしま~す。」

「穣~……、」


「あ、は~い、……お母さん。」

「いらっしゃい、おや三人なのですね。」

「はい今晩、お世話になります。」

「親父はどうした、全然足の裏させ見せないが。」

「ありゃ~……回送運航フェリーフライトだよ。またニューヨークに行った。」

「家に寄りつかないのは、心にやましいことがあるのかな。」

「穣、そう考えんでもいい。だから来たくてもこれないんだよ。」


 ……回送運航フェリーフライト。お爺ちゃんは軍用機をバスのように回送する飛行機に乗るが常なのだ。どうも貸し切り状態が好きらしい。お酒を飲んで酔うのが目的なのかな、それとも旅費を浮かせて懐に入れているとか。それでは公金横領だよ、先に政治家になることを勧めたい。


「来年が大変な事業が行われるとは、よく言うよね、なんだい。」

「Out of secrecy だそうだ、」


「お婆ちゃん、よくそんな英語を言えるね。」

「あ~……それは秘密だよ。来年の四月にはね、ど偉い現金が動くらしいよ。」


 藍ちゃんは夕食の後片付け中! もっとお婆ちゃんから話しを聞き出そう思ったけれども、双子が話しかけてくるよの、もう聞けないよ。幾らの現金かな。


 日本がアメリカに支払ったのが五億ドル超……、それ以上に日本の円も動いているんだ。三百二十億円おきなわかいとりだいきん……。あ、一ドル=三百五円だから、五億ドルの方が高額だよね。これだけの円が船で運ばれたんだよ、これで判るよね? あと一年と五日の先だ。


 韓国には逆でインフラ整備はただでやって、追い金も払っていたよね。この世にお金が無いのは、地方の学校がボロいのもこの所為なんだ。



「亜衣音ちゃん、頭が変になったの? なに考えているのよ。」

「あ、何でもないわ。お金の、チェンジ、プリーズをね。」


「亜衣音ちゃん、大丈夫?」x2


「うん、平気。で、どうしたのよ。」

「お爺ちゃんがね、外で夕食を食べるからと約束してくれたんだよ、」

「はいはい、最後まで言わなくていいわ。藍のお手伝いをお願いね。」


 親が親なら子も子だ。回りくどい言い方がね、そっくりだよお父さん! それに感化された双子が出来つつあるのだ。お爺ちゃん夫妻の養子になった立花の双子は、そうよね、もう家族とおんなじだよね。



 父の視線が私の胸に突き刺さる。ホンと! 可愛くないわ。


 家の中から若い女の子の声が響く。途端に明るくなる家庭だった。そう言えば今の家庭が暗くなったのは、あ~……私の所為なんだね。もう両親さえもにこやかになっているよ。


「亜衣音ちゃんの意地悪。もう夕食は済んでいるではありませんか!」

「私、お手伝いをお願いしただけだよ。」

「んもう~それが意地悪と言うのです!」


 藍が洗ったお茶碗を拭き上げて飯台に並べていく双子。


「お父さんの笑い声も、久しぶりよね。お婆ちゃん。」

「あぁそうだね、あれも心が小さいからね。」

「そうかな~……。」

「小さい時からのウジウジは今でも直ってもいない。ほんと、見ていて腹がたつ。ほら、ついさっきだって亜衣音を睨んでいただろう?」

「あ~ホント、それでね、つい可愛くない! と思ったんだ。」


「ワシから見れば、お互い様に見えるがの~。」


「え……? 何か言いました?」x2


「うんにゃ、な~んも言うとりゃせんわい。息が合っていいのぅ~。」


 父と私が同じ事を言うなんて、奇跡に近いよね、お父さん!


「お父さん! ま~たお酒を飲むのですか?」

「お袋と飲みたくなっただけだ、悪いか!」

「そうですね、親孝行でしょうか?」


「亜衣音、他人行儀過ぎないか?」

「?……、ベ~だ!」


「亜衣音ちゃん、また食べる? この焼き鳥美味しそうだよ。」

「わ~お前らには無い、勿体ない。」


「なんだ、焼き鳥狙いなのか。」


 敵は私たちだけでは無いのだ。ホロお婆さまが火鉢でタレ焼きの皮を焼きだしたから、さ~大変。敵機来襲……。


「穣さん、呼びましたか?」

「あ、桜子さん……まで!」

「ホ~ッホッホ、ワシは焼き鳥を温めているだけじゃ。」

「今晩は智治が居ないのよね。寂しいのよね、明子さん。」

「はい!」


 智治お爺ちゃんが居ないので、お酒を飲みに来た桜子お婆さま。久しぶりに家族が揃ったという感じがしたな。



 酔っ払いが話し上戸になっていくのが分る。主語や目的語が省略されていくのだよ、お父さん!


 遅れて咲いた校庭の桜並木。今度の土曜日に出し物があるという父の言葉。


「亜衣音、今度の土曜日だがお茶を飲みに来ないか。」

「何処に行けばいいのよ。」

「あれ~お前は知らないのか、桜花祭だよ。校内の掲示板に貼ってあったぞ。」

「うん、」

「なんだ知ってるじゃないか。」

「……知らない。」


「亜衣音ちゃん、ほら、掲示板に貼ってあったポスターだよ、一緒に見たよね。」

「藍、そうだったかな。」

「亜衣音ちゃん、一緒になって見ました、ほら、茶道部の顧問に沙霧先生が就任したって、ね?」

「あ、思い出した。あの紅白の幕を張って、……野点って言うのかな。」

「そうだよ、俺も呼ばれているからな、行かなくてはならない。」


 そう言えば我が高校の伝統で、カンバイ会というものが存在しているとは聞いた。カンバイ会とはなんだろうか? と考えても思い浮かばないので諦めた記憶がよみがえってきた。


「お父さん、カンバイ会が行われたのだよね?」

「あ、あれはな、俺らの騒動で立ち消えになったよ。責任を感じて沙霧が茶道部の顧問になったんだ。どうせ一年間だし。」

「お母さん、そのカンバイ会とはなによ。バザーで物品を完売する会とか?」

「あら、や~ね~、亜衣音、もう一度三年生をしないといけないね、観梅会と漢字では書くのよ。この子、感受性も欠いているのね。」


「書くも、欠くも、よくも私をバカにして、怒る。」

「あ~やっぱりだわ。藍ちゃんは先に卒業して頂戴ね。」

「はい、お母様。」x3

「双子もかい、」

「勿論です、亜衣音さま。」x2


 学校と病院、いったいどちらに在籍した日が多いのか。お母さんは日記にでも書いていたのかな。もう優等生だった私は、今では留年の宣告が出る程にね、成績が落ちたの。でもね、少しも恥ずかしいとは考えていないよ。


 大地が居たら間違いなく、バカ・アホ呼ばわりだよ。うぐぅ~……。大地は間違いなく言うに決まってる。


「亜衣音、大学受験。落ちるぞ!」

「べ、勉強しているわよ。農大でいいわ! それも智治お爺ちゃんの推薦でね。」


 智治お爺ちゃんは農大の農機具をボランティアで直しまくっている。つい先日も五十年前のアメリカから輸入されたトラクターを修理してしまった。それからがもう~大変なんだよ。時々ね、北海道へ農機具の修理に呼ばれているんだよ。


 代金受領の代わりにね、私を入学させるのよ、裏取引よね。


「寒いからよく止まるんだよ。」


 智治お爺ちゃん、それっておかしくないかな。積雪で農作業とかはお休みでしょう? と質問したら、


「今のうちに直したいのだよ。使わない時にこそ、メンテナンスが重要なんだ。」

「へ~そうなんだ。少しも知らなかったわ。」


 多分、故障して放置された農機具を修理させられているんだね、お爺ちゃん。それも小出しで……。


 大地がいたら言うよね、「亜衣音、それが裏口入学だ。」ってね。でも勉強出来ないから、ボンクラーになってしまたんだ。




 ……次回、「四つの生……」


 昨日、正座してこれを書いていたらまたしても右足首を痛めてしまう。

以前に正座すると右足首が、ポキッと音がして伸びていたのが伸びなく

なってしまい、筋を引っ張ったようだ。またしても全治七日間。。。


 仕事が出来ない。夜は眠れ無いほどに痛むので、私と同じ扱いにした亜衣音。

薬、ロキソニンが効くまで痛くて痛くて、寝返りも出来やしない。


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