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人狼と少女 垣根の上を翔ぶ女 亜依音  作者: 冬忍 金銀花
第九章 私の……巫女の力が無くなる日

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第118部 大地の夜明け……大地に一言


*)大地……


 私が亀万で一杯やっている頃だ、大地はひかるとデートしていたという。私がいくら大地をとっちめても白状しなかった。



 翌朝……事件が起きた。


「大地、今朝はインスタントラーメンでいいの?」

「あぁ、これな、ひかるから聞いたんだ。お前の分も作るから待っていろ。」

「うん、ありがとう。でもひかるの推薦とは気にいらんばい。」


「おい亜衣音、お前も変になっちまったのか!」

「@なによお父さん。」

「あっと間違えた……、何でも無い。」


 大地に目をやると牛乳を鍋に入れて、絶賛温め中!! で、それにインスタントラーメンを放り込んでいる。


「ぎゃ、大地、それはなによ。」

「もち、栄養満点のラーメンさ。いいだろう。お前にはカップ麺な!」


「お、お父さん……。」

「亜衣音、すまん。俺にはお前を助ける事が出来ない。あの世で待っていろ!」

「い、い~~やよ、まだ死ぬには早いもん。大地が狂ったのよね?」

「そう思いたいが、あれは未来人が宿ったとしか考えられんよ、ひかるは未来人なのかもしれないぞ。」


「どうしてなのよ、お父さん!」

「あのカップ麺は、……九月からの発売だ……からら!」

「お父さん、気は大丈夫かしら。九月はまだだよね、ららら……。」

「だからららららさ、判るだろう?」

「うん、判った。」


 世紀の発明のカップ麺は、もうすぐ発売になる。開発研究の人は、日に日に何度も試食していて、ウンザリしなかったのかな?


 翌朝は大地……餃子を三十個も食べていた。


「これが一番……栄養バランスがいいんだ。」


 子供にニンニクを与えても消化されずに、ウン*と一緒に出てくる。この世のお母様……子供にニンニクは不要ですよ! 無駄でございます。父上にこそ出しませう、喜んで働くこと間違いなし? ですね!


 その翌日には、あんパン!! ロールケーキにぼた餅……。兎に角甘い物を食べる習性が出来ていた。私に作る卵焼きにも大量の水飴が流され、さも嬉しそうに作る大地の顔を見ていたら何も言えなくなった。


「大地、いつも御弁当をありがとう。」

「あ、これね、ひかるに食べて貰うんだよ。亜衣音には菓子パンだよ!」

「うぎゃ~、、、。」


 私の頭のネジが飛んで地平線を越えている。あれだと四キロメートル以上は飛んだ事だろう。


 これが現代の五歳児に与える朝食らしい。オゾマシイ……。ひかるがあんなに異常に大きな体格になったのも頷けるというものだ。味噌汁だって大地はプイっと横向いて私に差し出すのだから。今の食パンは異常に加糖されて食感を高めてある。糖分控えめにされたい方は七十円の食パンにするべきだ。


 こんな食パンが好みだと言う。大地、頭に糖分を使うならいいよ?


「ねぇ大地。ひかるちゃんはお味噌汁は嫌いなのかな。」

「あぁそうなんだ、変な匂いだするから絶対に食べないと言っていた。」

「で、大地もまねているのね?」

「気持ちを知りたくて、な。」

「でも判らないよね、田舎っぺは味噌大好きだからさ。」

「俺も東京生まれで東京育ちなんだぜ、味噌とか知らないよ。」


 何処まででもバカを貫く大地か……!


 朝の食事に時間を掛けずにスープにお湯を掛けるのがはやりらしい。これって宣伝が悪いのよね、なにもインスタントが悪いのではないよね? この後に大地が恐ろしい事言い出した。



「だってそうだろう、赤ん坊の時からインスタントだろうが?……違うとは言わせないぞ。」

「私、お乳で育ったわよね、お母さん……。」

「亜衣音~……ゴメンね、粉ミルクなのよね。」

「ウソ!」

「あ、そうだわ。」

「そうよねお母さん……。」

「たまには、牛さんの乳をそのまま与えていたわね、麻美が……。」

「ギャボ……、お母さん……嫌いよ!」


「ほら亜衣音、日本人は赤ん坊からインスタントで育っているんだ、文句あっか!!」

「いいえ、大地さま、何も言うことはございません。」

「カッカッカ……、」


「お父さん!……助けてよ。」

「俺は山羊だった。亜衣音の方がまだマシのようだ、すまん。」


「もう……こんな世界は終わればいいのよ、週末はいつかしら。」

「明日は土曜日だから、半ドンだな。」


 週末とはこの世の終わりのことだが、脳天気な大地は土日が週末らしい。日曜日も週末というのが、世の中なのだから。


「明日からの週末のお天気ですが、生憎と傘予報となっております。」


「亜衣音、日本はな、月火水木金金なんだ。だから日曜日が週末なんだよ。」

「それはお父さんの時代よね、時代錯誤もいいところよ、日曜日は最初の曜日だよね。」


「キリストさんだけさ。ここは日本だぜ。」

「バカ大地、アホ大地、嫌いよ。」

「いいぜ……亜衣音の匂いがするひかると銀座を闊歩してくるさ。お前は居なくてもいいよ。」


 ……大地、それ、どういう意味かしら、私の匂いがひかるちゃんからするの? 勿論両親もカムイコロさんも澪お姉さまたちさえも、絶句してしまった。


「大地……。まさか、ひかるに私の血が輸血されているの……?」


 巫女の血で人狼になった大地。私の、巫女の血の匂いが他人とを区別しているのね。私の血の力が大地を狂わせるのね?


「お母さん……大地ってお母さんを好きなのよね。」

「う~ん、そうみたい。そう言えば娘の面倒も亜衣音の五倍は見てくれるのもそういう意味があるのかも知れないわね。お爺ちゃんに相談だよ。」


 朝の台所に立つ母の横で、嬉々として私の御弁当を作る大地。


 お母さんの横が好きだなんて思いもしなかったわ、大地。


 卵焼きは母からの手ほどきだが、今では目的が違ってきている。二重の味付けは私を想っての大地の発案だよね!


 お母さんは一度だってあんな美味しい卵焼きは作ったことなんてないモン。


 夜は夜で私を求めてくる大地。いつもと変わらないよね、私にぞっこんだよね大地。でも胸をよぎる不安でいっぱいだよ、大地、正気に戻ってよ!



 カムイコロさんがお父さんを居間から連れ出していく。私はカムちゃんへ目で訊ねるも軽く右手を出してここに居ろ、と合図して答える。内容は分るから。

ま、いいか。


「おい穣。」

「なんだいカムちゃん。」

「沙霧も血を抜かれていたよな。きっとそのひかるには亜衣音と沙霧の血が輸血されたのではないかな。でないと、あの異常なひかるへの執着は理解出来ないだろう。」

「実験台にされて、今はその効果を確認中ってか、恐ろしい……。」

「亜衣音を元の高校に戻せ、それが一番早くて他の女たちは転校を認めるな。」


「あ……ぁ、そうしようか、今日にも校長へ話して了承させるよ。」

「お前の親父にもな。ただ岩野夕霧……巫女かも知れないからさ、あいつも転校出来ないかな。」

「やってみるよ、石川海斗も含めてね。」




*)置き去りにされる?……元クラスメイトたち


「大地くん、お願いがあるのだが聞いてはくれないか。」

「お義父さん、なんでしょうか。」

「亜衣音だがな、身の危険を避けたいから今日は学校を休ませる。だから大地くんには亜衣音を守ってくれないか。」

「はい、お義父さん。でもカムイコロさんを護衛にすればよろしいのではないでしょうか。俺は学校へ行きたいですね。」

「そうか、やはりそう来るか。いや大地くんには休んで貰う。それと、また元の高校へ転校して貰う。」

「そ、それは……イヤです。」

「でも学費を出すのはこの私だ。強制的でも転校して貰う。」

「でしたら俺、この家を出てバイトします。学校は辞めません。」


「そうか、では今日までは学校へ連れて行く。明日は無いぞ。」

「……。」

「亜衣音、そういうことだ。今日は休め。」

「はいお父さん。……ねぇ大地もお休みしよう?」

「ヤダよ、べ~~~!!」


「カチーン!」ときた私。大地を殴ろうと飛びかかるも、軽々と私をいなして外に飛び出していく。」

「んもう~……まるで野良猫だわ。」

「困ったな。何処まででも自覚が無いので俺も手の施しができん。」

「だよね……ごめんなさいお父さん!」

「あぁいいよ、あれでも俺の可愛い息子だ。俺も教育者の端くれになったからさ、どうにかするよ。」

「うん、お願いね。」


 大地は後部座席で寝転んでいて高校へは片道二十分程度で学校に着く。


「大地くん、右手が手持ち無沙汰かな。」

「はいお義父さん。でも直ぐにひかるに会えますのでこの時間も楽しみなのですよ。」

「……もう学校に着いているかな……。」


「こりゃ重傷だな。*かに付ける薬が欲しいとは、このことかな。」



 一限目は自習になった。節操のない大地は……本当に自由で羨ましいだのと言われている。今ではクラスの全員から「あいつはバカか!」と、言われても気にしていない。だが、当のひかるだけは鬱陶しいのかな? と考えている節も無きにしも非ずか。面と向かって嫌がる風ではないのだから、「モテ期。」を謳歌したいのだろう。


「ひかるちゃんが今まで男の子から相手にされていないから、のぼせているだけなのよ。」

「そうね、大地くんは割とハンサムだし体格も大きいよね、ひかるちゃんにも引けは取らないもの。」

「でも……いいな、あんなに強烈にアプローチされるのならば、私にもモテ期が来ないかな。」

「無理無理、あんたにはぜ~ったいに……無理だからね。」

「なによ、それ!……喧嘩振ってんの?」

「はいはい、口喧嘩だけで終わらせなさい。」

「ふん、なにさ!……アホ!……バカ委員長!」

「ふふ~ん、いい度胸してるわね、私は口だけでは終わらない性格を……知っているわよね?」

「……はい、委員長!」

「……さまは、付けてくれないの?」

「……おいおい、席につけ、先生が来た。」



 …………カツカツカツ……カツカツ……廊下を歩くハイヒールの靴音が響く……。


「あ~やっぱりこうなるのね。亜衣音が言うとおりだわ、困ったクラスだわ、どうしようかしら!」


 教室の入り口でため息を漏らす助教死。。。


「女教師よ! バカにしてるのかしら! このPCは、」


「はいは~い、皆、静かに、少し遅れましたがこれから授業を始めます。お隣のクラスから苦情がでました。だから自習は取り止めます。」


「せんせ~い、どうされたんですか~。」


「(く~……、バカ大地、)白川くん、何か言いたいのでしょうが、我慢しなさい。そうね、今日はロシア語の勉強しましょうか。」

「いきなりには無理です。」

「でしたら英語にいたします。少し苦手ですが皆さんよりも上手だとは思いますから。」

「それも無理です。国語にして下さい。」


 この大地、明後日の方向を向いているらしい。この私のこめかみがピクピクするのは何故かしら? 聴き耳を立てている私だ。



「いくら優しい先生でも生徒からの指示は受け付けません。」

「先生らしくない先生。大地くんを苛めないで下さい。」

「あら才賀さん、妙に大地くんの肩を持つのね。どうしてかしら? それに先生らしくはないとは、どういう意味かしら、ね?」

「……亡き母の……いいえ、すみませんでした。」

「あら……私は才賀さんのお母様に似ているのかしら?」

「いいえ……その香水が……同じですから、つい……。」


 私のお母さんは香水とかつけないよ、子育て中だもの、妹たちの鼻が曲がるでしょうが。とは、私の持論だ、だからお母さんは今まで化粧っけのない? スッピンが多いものだ。


「私、そんなにお化粧の匂いがきつかったんですね、ごめんなさい。少し控えます。」

「……。」


 その一言でひかるは黙り込む。顔に似合わない繊細な性格なのだろうか。こう言ったらひかるには失礼かもしれないな。「恋をした乙女……?」


「コンコンコ・・・。」

「誰? 入っていいわよ。」

「すみません、亜衣音です。」

「あら、お休みしよう? どうしたのよ。」

「いいえ、あれが心配なりましたので、出てきました。」

「そう、……あれねぇ、早く席に着きなさい。」



 私はひかるの横を通り大地の横で止まる。そうして、


「大地、右足を出して、」

「なんだよ……イテ~!!!! 俺の足を踏んだ!」

「朝の挨拶よ、有り難く思いなさい。」

「バカ亜衣音。」


「二人とも、先生の前でいい度胸してるわね。バケツを持ちたいのかしら?」


 そう言って母は左手の親指を立てて廊下の方に、クイクイと振っている。対する大地ときたら、


「先生、生徒には授業を受ける権利があります。でしたら廊下でも授業があるのでしょうか!」

「そ、そうね、先生から生徒の権利を取り上げるのはいけませんよね、でしたら後ろに立っていなさい。」


 大地、どうしたのよ。今までの大地はこんなじゃなかったわよね。ハチャメチャになった大地。もう元には戻らないのだろうか、どうしたらいいのよ。



「コンコンコ・・・。」

「誰? 入っていいわよ。」

「すみません、私です、杉田創です。」

「どうされました?」

「二人の事が正式に決まりました。」

「そうでしょうね、お世話をお掛けしました。」


 それから母に代わって杉田先生が教壇に立った。一呼吸、二呼吸……。


「いきなりですまんが、白川の二人、この転校は中止に決まった。また元の高校へ戻って貰う。それと資産家から援助打ち切りでさっぽろ雪祭りの……旅行が立ち消えになった。改めてすまん、許してくれ。だが旅館には多額の 金を払っているが戻ってこないらしい。お前らが往復の汽車賃が出せるならば修学旅行は許可すると、校長が言っている。どうするお前ら。」


 校長が言っているとは、杉田先生の独断によるウソなのだ。本当は、この先生が行きたいのだよね、創くん……赤豚先生。私があの先生に付けたあだ名だ。この学校へ来て、大いに太ったという。色白だが……赤豚先生なのだ。お給与がいいのですよね??


「はい、行きま~す。」x32

「中止でいいです、家には……、」

「そうか、そういう生徒も居るだろう。ここの授業料はべらぼ~だからな。」

「そういう先生の給料が高いからでしょうが。」

「おい遠藤よ、いい度胸してるな~。俺の懐事情は知ってだろう?」

「高い車に乗ってあります……。」

「あ、あれか、道に落ちていたから貰っただけだ。気になるか。」

「いいえ、あれは父の車でした……。」

「バカ言ってるな~……。」

「はい、バカですから。」


 教壇から下りて母は立っている。その母に向かってキツい一言で美保が訊ねてきた。答えたのは杉田先生だが。


「沙霧先生、私たちも元に戻るのでしょうか。」

「あ、あ~それな。お前らはこのままだ。卒業まで居てもらう。」

「イヤですよ、私たちも亜衣音ちゃんと一緒に戻ります。」


 未来や美保がしきりに苦情を言っている。藍は何も言わない。あれもこれもきっと父の所為だと気づいているからだ。ゴメンね、藍ちゃん。


「修学旅行へ行きたいだろう、このまま在校しておけ。旅費くらいは出せるだろう?」

「それとこれは違います、旅行へは大阪に行きましたから。北海道にはもちろん行きたいですが、亜衣音ちゃんと別れたくありません。」


 一限目のチャイムが鳴っても誰も立ち上がらない。議論白熱……、とうとう母も教壇に上ってきた。それは修学旅行を諦めたくはない連中が多く、意見を言うからだった。


 クラスの中央で左右に分けるようにして、それぞれの生徒の意見を聞いては打ち消しに奔走する先生たちだ。 

 お母さん、これでは仲のいい先生の二人に見えるよ?


「杉田先生、修学旅行が終わって元の高校へ戻る事は出来ませんか?」

「……立花……美保。」

「お金ならば父に言いまして出させます。」

「おう、嬉しいね、この高校への寄付か?」

「ち、違います、旅行費用です。からかわないでください。」

「いや、すまん。ちと言い過ぎた(、、、)。」

「だから杉田先生と呼ばれているのですね?」

「う……、違うぞ、俺の名付けの親が悪いんだ。断じて俺の所為ではないぞ。」


「先生、夜行列車で往復ですよ。飛行機は……落ちます。」

「あぁ、あれな、俺も運悪く乗るとこだったぜ。雪で滑ってコケて入院したからこうやって生きている。」

「先生、それって冒涜です……。私たちの友達も犠牲になりました。」


 どうもあの二人の会話は、1966年2月4日の夜の羽田沖の事故を指している。美保は半分泣き出してしまった。それほどに悲惨だったという。


「勿論だとも、夜行列車で往復も予約を入れたままになっている。俺だってもう乗りたいとは思わない。」

「杉田先生、それは終わって下さい。」


 母が仲裁に入ったのだった。後ろからは判らないが、他にも心当たりの生徒が居るようだ。



 私には意見する事は出来ない、だって全部大地が悪いのよね。だから私は必死になって大地の口を両手で押さえ込んでいるのよね、う~疲れる……。



 席をス~っと立って壇上へ……岩野夕霧だ。もの静かな容姿に圧倒された杉田先生はその場から後ずさりしていた。異様な感じに気圧けおされたのだろうか。後ろで見ていたら良く判るのだ。


「みんな、良く聞いて。私にも転校の打診があったわ。石川海斗くんもなの。 私と石川くんは転校を受け入れます。ですが、こんな仕打ちには断固反対いたします。全員で北海道へ修学旅行へ行きたい人!」

「は~い、」x34


 私と大地の二人と言い出しっぺの岩野夕霧以外の全員が、大きな声で賛成と声を荒げる。


「創先生、沙霧先生も、これが私が転校を受ける条件ですわ。」

「岩野、よく判った。俺は了承したよ。校長には俺が説得する。」

「いいえ杉田先生、私が……校長を説得いたします。」


 お母さん……それって魔女の微笑みよね、元巫女の意地でお父さんにも納得させるつもりなのね。


 それから直ぐに岩野夕霧が母に向かって一言を言ったようだった。母は軽く微笑む。そう言えば岩野さんに転校のお話をしたのは誰だろか、母なのかな? 今晩は忙しくなりそうだわ。


 元のクラスメイトたちも転校さてと、言ったのだ。こんな心配をするなんてもう、巫女だと言えるよね。




 私は耐えきれずに大地の口から手を離した。大人しく口を封じられている大地ではないのだ。大地は両手を後ろに回して……私の前後を責め立てている。だから、


「いや~ん!!」



 と、つい大声を出してしまう。クラスからも方々から細い目つきで見られて、声も……小声で両隣で囁きあっている。


「え”!」

「へ~……。」

「だよね、」

「やる~!」

「……。」


 うつむいて赤くなるひかるちゃんが、五秒も持たなかった、教室から飛び出して走り去る。


「いや~・・・、」

「ひかる!」

                            「@イテ!」  

          

 当然に後を追う大地に私は上靴を投げつける。


「あっと、まともに頭に当ったわ! これで大地とひかるちゃんが別れてくれるのならばいいのだけれども。」


 三限目になって二人が紅潮した面持ちで教室に戻ってきた。


「ごめんな……、」

「うきゃ~……バカ大地、この浮気者め~~~~!!」



 それからというものの……、


 シカトする私に大地ときたら無関心を装う。少しはひかるちゃんを追う回数は減ったようだが、四六時中にひかるへ向ける大地の秋波……。ウルトラマン以上に熱い熱光線を放っていた。ひかるちゃんがだんだんと痩せていくのが見てとれるようになってきた。もう北海道への修学旅行が目前なのだ。


 ひかるの制服が小さくなって新調されたので、クラスじゅうが驚いているわ。


「もう離婚かしら、お母さん……続きはどうしよう。」
















「そうね、ここで終わりなさい。」

「ギャバ!」


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