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人狼と少女 垣根の上を翔ぶ女 亜依音  作者: 冬忍 金銀花
第九章 私の……巫女の力が無くなる日

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第115部 朝から波乱の気配が……転校初日……


 1971年1月8日


*)今朝からも……騒動……


 昨日は大地をしばいたせいか、夜中に大地から反撃を受けた。やっぱり男の子の力には敵わない。お陰でやや寝不足気味だよ、大地。


 私は母譲りの負けん気が強いのだろうか、昨日に母から譲られたスカートの丈直しに挑戦していて、周りからは「もう諦めて澪姉ちゃんにやってもらえ!」と、大いに声援を頂いた。


「や、これ、自分で直したいのよ。ホットイテ!!」

「ほらほら、そこ……波縫いが乱れているわよ……。ホツレテいくわ……。」

「う~、うるさ~~~い!! 余計に縫い目が長くなるじゃないのよ、」

「お前、自分の部屋で縫い物をしたらいいだろう。」

「う……うん、そうする。」


 なんだ、今朝の寝不足は夜遅くまで夜なべをしていたんだ。いつもと同じようにろくな勉強もしない私に大地は一晩中付き合ってくれていた。


「大地、そんな沢山の漫画本……いったい何処から仕入れてきたのよ。」

「裏の誠くんから借りてきた。あいつ、もの凄く蓄えているんだよな。」

「あ~ほんと、そうよね。いつも縁側で本読んでいたね。」

「だろう……?」

「ウソよ、この寒い冬に縁側だなんて、凍えそうよ。」

「ウギュ、」


 それ以来無口になってしまった大地は、「えへへ!」と、下卑た笑い声をこの私に捧げてくれるのだから、途中で眠気覚ましに殴ってやったわよ。


 でも誠くんは、他人に見せびらかす性格なのだろうか、本当に寒くても日の当る縁側で読んでいる事が多いのだ。横にはいつも数冊の漫画本が積んであり、カラーの挿絵を切り取り収集してもいる。私の家は男と言えば父やお爺ちゃんばかりだから、漫画本なんか在りはしない。私は少女漫画は読まないよ、大地。



 ようやく出来上がった制服、着てみて・・・そのまま寝落ちしたみたい。下がスッスッス……だったな? やはり? だよね、大地。


 私のベッドからそしらぬ振りで起きていく大地に、私は目覚まし時計を投げつけるのだが、何時もの時計置き場にはぬいぐるみが置いてあった。……だから飛んでいったのはゴジラのぬいぐるみだったな。数年前からゴジラが流行っていて、大地も好きなようだ。



「起こしてやったんだから、感謝しろよな。」

「パ**返しなさいよ!」

「し~らない!」



 お母さん……慣れない仕事に行く準備で大変な様子だ。いや違うな、仕事に行く慣れない準備というべきか。


「亜衣音、私の寝癖を直してちょうだい。」

「薬缶のお湯を掛ければいいのよね。」

「そこのタオルに? だよ、澄ましておとろしい事を言うのだね。」

「はいはい、頭に載せておくから自分でやってよね、私だってお化粧したいもん。」


「んもう~この子は……。」

「良く出来た娘ですよ、もう自分でお化粧が出来るのよ。」


 澪お姉さまにしこたま鍛えられた女の武器、これで大地もイチコロだったわよね?……大地。


「バカか、あの頃はお前、スッピンだっぞ。そばかすが随分と他の女の子よりも多かったよな。」


「ば~か、大地の意地悪!」

「あ~大地くん、寝癖を直して!」

「はい、愛娘に代わりまして息子がお手伝いいたします。」


 朝のご飯のおかず、大地に一品が増えていたな、グッジョブ!!


 その日から毎朝の食事だが、澪お姉さまが準備して徹さんも同じ食卓で食べる事が続いている。妹たちが四人も揃えばもう戦場さながらだ。これがお昼も続く澪お姉さまは、とても大変なのだ。


「私のお弁当……誰が作るのよ。」

「自分で作りなさい。沢庵と梅干しに生卵で十分でしょう?」


 冷えたご飯に生卵を掛けて食べる私って、可愛くない。断固、大地に作って貰うんだから! 大地の作る卵焼きは二度焼きの二層なのよ。内と外では味が違ってて、とても美味しいのよね、もう癖になっちゃったな。


 たまに入る小粒の梅干しが……ロシアンルーレットなのよ。辛子が入らないだけでもありがたや~!


「押せば分かる梅干しの在処……今日は美保ホの口に押し込んじゃおかな!?」


 今日は大梅の梅干しの種だった、それも今朝大地が食べていたやつだよ美保ホ。大地、今度からはピーナッツでいいよ。


 翌日の卵焼きは……芯に細切りの沢庵が入っていた。味見だ、と言いながら一口食べた大地が大いに気に入ったようす。度々新香入りの卵焼きが御弁当に登場したのだから。



 今日も無事に済んだと思った矢先に、男子の数人から囲まれて無理矢理に体育館の裏に案内された。そこには包帯を巻いた三人の男子生徒が待っていた。


「亜衣音……昨日の雪辱晴らさせてもらう。俺と付き合え!」

「やだ……べ~~!!」


 もうお母さん、初日からナンパされてたのだね、あの男の子は照れてサングラスをしていたのか? 外国で過ごしていた男らは、日本の常識は通じないのかな、


「なぁ~、俺と付き合ってくれよ、な?」


「ど~しようかな~?」

「そうかい、それでいいよ、この際だ、俺に決めろ。」

「違うよ、あんたをどうしようかと、考えていたのよ。猫パンチでしばくとかいいんじゃない?」

「おい、逃げるぞ!!」


 可愛い男の子たちだった。でも変だよ、優男相手に制服が半分になるとかあり得ないよね、やっぱお母さんは襲われてたんだ。


 体育館の角から視線を感じるも、無視して帰宅する。


「みんな、何してるの?」

「亜衣音ちゃん、のんきにしてるのね。貴女を待っていたんだよ。」

「うん、ちょっとナンパされていただけよ、で、なんで?」

「車が……車が出ないのよ、誤算だったわ~。……って、ナンパ??」


 お父さんだってお母さんだってまだ仕事があるのよね。これならば部活を始めてみようかな、そうして皆で帰るのよ。馬、居ないし……、無理か!


「亜衣音ちゃん、暢気でいいね。車は一台だげだよね? で、誰だったの?」

「あ~……だよね~……。うだつの上がらない優男だよ。視認外!」

「それって、目にも入らない? という意味かな。」

「私は大地一筋よ、それだけだよ。」

「きゃ~!」x?



 私たちには苦い過去がある。だから集団下校あるのみ。唯一は欣二郎さんが会社の車で美保を迎えにくるが、


「俺もさ~、そんなに暇じゃないよ。毎日は無理だ。」


 と言うのだ。困ったね。遅い帰宅となった。




*)特別編成された……クラス……


 昨日の帰宅が大いに遅れた。これは単に両親を含めた職員会議が長引いたことに起因している。その内容は、クラス編成だったと聞いた。


 新クラスに纏める人員は杉田先生の独断と偏見によるもの、その意味と他の先生方を説得する時間が費やされた。クラスの最優秀を引き抜かれる担任の先生が一番に反対していた。ま~「俺の評価が下がる~!」という事だろうか。これらの先生たちは、国家公務員の人を引き抜いてきた弊害かな。


 杉田先生が急に居なくなったのは、この国際文化大学高校に転勤して巫女を探す事だったはず。でも、見つからない……で、導き出されたのが、恋の鞘当て!?



 杉田先生の独断で巫女に見合うだけの優秀な男を見繕って、私と美保以外の巫女に男を充てる事だった。


 新しい巫女は見つからないが、だろうか? という目星は付けていたらしいのだが、困った事にさらに新しい巫女候補が登場したのだ。岩野夕霧……だった。それを隠す為なのか、転入生の全員をクラスに入れてしまう。それにつれての男の当て馬も追加された。合計で三十四名のクラス編成となった。


 が、その翌日には女子の二人が転校してきた。これぞまさしく帰国子女? という雰囲気が漂う二人の女。海外の生活が長かったのだろうか、それとも育った街が特殊だったのだろうか。兎に角、杉田先生による二人の紹介が何とも歯切れが悪いのだ。


 私はこの二人を一瞥しただけで背筋が凍る思いがした。大地は……このアホには何も感じないらしい。だが大地が特別に感じる女子が一人いたのだ。こちらは私も、何だかホンワか?? とした感じが漂っているような? 不思議な感じがしたものだ。それが、女とも言えないような……


 才賀ひかる……大柄な女の子。色黒で体格が女らしくない。


 この女の子なのだ。それからというもの、大地が熱を上げるが私にも、周りの友達にも判るほどにだ。どうして、こんな醜女ぶおんながいったい何処が良いのか疑問に思えた。……兎に角可愛くないのだ。脳みそも筋肉で出来ていると思う考え方や素振りにも、少しも女らしくはない。だが気になる女だ。


 大地はいつも小綺麗に身支度するような性格ではない、断じてない。ズボラと言うのが正解。だが、私という女房が出来たにもかかわらず、身ぎれいにしようとはしなかった。ただの性格破綻者かという私の認識は、これは私を弁護する為の考え方だが、思うに入院生活が長くてスッピンでいたのが悪かったかもとは思うが、ソバカスを可愛いという大地に騙されて、化粧を抜いたのが悪いのかもと思うようにしていた。


 そんなズボラの大地が身だしなみに注意を払うようになった。いったい誰に? あの醜女にだ。人狼になった大地は一回りも体格が大きくなったから、あの女にも釣り合うのだ……悔しい……。


 翌々日には、可愛い小柄の冴木まことが編入してきた。茶髪でショートの女の子で私と同じ……巫女。赤い袴に白い衣装……神社の跡継ぎらしいのだ。


 男の子が足りなくなった……。それから三日が過ぎた暖かい日……。




*)悪食……大地……


 あり得ない程に変化した大地、その大地が三人の女の子の尻を追う。これは所謂……スカートチェイサーという病気だ!


「う……大地、正気に戻って。……大地は病気だよね!」


 大地が病気だと思いたいのは、この可愛い奥さんの偽らない気持ち。そうだと考えないと私の気持ちが、葉茶蹴るのだ。自分は可愛い巫女!……だから私は真面まともで、悪いのは大地の方よ!


「亜衣音ちゃん、……頭……大丈夫なの? その葉茶蹴る? とはどういう意味かしらね、説明してくれる?」

「う~……美保、藍……。私、どうしたら良いのか判らないのよ、気が狂いそうだわ!」

「そうなんだね。この、葉茶蹴るが日本の最優秀造語賞を貰えたらいいね!」

「未来……いつもオタク満開だよ、そんな賞があったの?」

「うん出来たんだよ。私が独断と偏見による審査して賞をあげるの。これ今後の小説家になろう”で、流行るのよ。も~最高……!」


 自画自賛でうっとりとする未来であった。「バカなの……?」


 未来は私の反応に対してジト目で返してくる。……うん、可愛いいいい!! スカートチェイサー……アメリカの俳優さんが賜った言葉。車種名のフーガ? が加われば、天国と地獄が完成すると、常々思った事だ。ピンクパンサー以上に面白い戯曲の映画だったな~。


 逃げる悪党フーガを追う刑事チェイサーの息もつかせぬ名場面……。



「亜衣音ちゃん。もう大地くんったら、ひかるちゃんに秋波を送っているわよ。」

「いいのよ、放っておいてよ。帰ったらキツくお仕置きしてやるから。」

「亜衣音ちゃん、……もしかして、マゾなの?」


 マゾとは、「毛皮を着たヴィーナス」という作品に出てくる主人公……。作者自身がそうなのだろうか? そうと思わないとこんな映画は作れない。色んな小説においても作者自身の経験が物を言うのだろう。


「我が輩は……変態でR~。」だがしかし、ここで本領発揮とは出来ない。削除だけは免れたいのだから。


 それが大地なのだから……病気だよね!


 つい最近だよ、私と美保、藍の三人が集まって、屋上でお茶してたんだよ。そうしたら中庭を歩くひかるが見えたんだ。彼女、立ち止まって前髪を弄りだして微笑んでいたのよね。その彼女の視線の先には……憎き大地が城達也と話し込んでいたのよ。この城達也はクラスいちの美男子なんよね。だからね、ひかるもイッチョマエに男に弱いのかと、私も微笑んでいたわけ。でも、でもね実は大地に向かって微笑んでいる回数が達也よりも多かったんだよ。


 みんな、どう思う……?


「@脈ありだね!」

「@そうよ、脈ありよ!」

「なに、その@は!」

「あっと、しまった!……の略なの。気にしないで!」


 未来みくの頭は、あの二人の未来みらいを想像しているに違いない。もう暫く未来の顔を観察していれば大地の未来も判断でき……るよ、……何よ未来みく、頬を緩ませて。


「あ~私の大地が遠くへ行ってしまうわ!」

「亜衣音ちゃん、マゾで大地くんを労り・・・もとい、痛わりなよ。」

「うん、美保……ありがとう。今晩、泊まっていくでしょう?」

「そうね、お邪魔させてもらおうかしら!」


 ……もう私の大地が遠くへ行ってしまうわ!


 そんな大地を見ていたら、ららら……。今度は三浦珠子、珠子が渡り廊下を歩く姿に大地が反応して声を掛けている。いるのだ、気になる、とても……。笑う珠子に怖い顔を向けるひかる、それを知りながらより可愛い笑顔を返す大地は気持ち悪い。あんな笑顔の大地の何処がいいのやら珠子の気持ちを知りたい。


「珠子ちゃん、あれは姉の貫禄よね、亜衣音ちゃん……。」

「うぁ~……止めてよ美保。……藍ちゃん美保を止めてよ。」

「どうしよ~かな~、私もあおっちゃおう!!」


 火に油を差すような言葉が藍の口から零れてくる。いやいや違うな、油に沢山の火を注す藍だよ。差すをそのまま読んではダメですよ?



 この珠子は、ツンデレなのか、大地の気を引くのが上手い……。横を向いてわざと視線をずらす珠子。そんな珠子に見て貰いたい大地は必死になって……美辞麗句を並び立てている。少し国語の勉強をしていたと思っていたら、こんな処で役に立てるのが目的だったとは、私も随分と注意散漫だったわ。


「美保、缶コーヒーをお願い。」

「え~……だってあの三人の前に行けと言うのね。」

「そうよ、仲裁してきてよ、お願い。」

「缶コーヒーでいいのかしら?」

「うん、炭酸も面白いと思うわ。頭からオモイッキリ……ぶちまけて!」

「だったら頭から泡が出る炭酸で!」


 私は大地の頭を冷やす為に美保へお願いしたのだが、実際に美保は、


「うわ……このアマ何しやがる。」

「いや~、制服が、着替えがないわよ、美保? だったわよね、あんたには

 バケツでお返しよ!」

「きゃ~……助けて……ご主人様、お言いつけ通りにいたしました!」

「誰だい、そのご主人様とは!」



「我が教祖さま、亜衣音さまです。」


 そんな受け答えの最中にも美保は……あ~可愛そう……に!

LLLサイズの制服、交換なんて出来はしない。普通の制服の三倍は値が張るようなのだ。だから多少汚れていても着るしかない。でも、そこが不思議なのよ。


「この高校は、私服でいいのよね。」

「そうね、家が貧乏なのかもね。」


 藍はいいところを突いた発言をしているが、実は藍自身も丸ビなのだ。少し気になるな。LLLサイズの服は、巷では売っていない。この制服はお金になるので作っただけだ。他の制服よりも縦の縫い合わせが多い……。


 たまにソースの匂いがする、そのLLLサイズの制服。胸が大きいので机の上の御弁当が見えない……とかするのかな?


 身体のバランスをとる巨女の背中……肉は付いていないから背骨を後ろに反らす必要があるのよね。うんうん……少し可愛そうかも!


 私は屋上からニタニタと笑いながら見ていたら、ららら……。


「ゴチ~ン!!」

「ゴチになります……って、痛いだろうが~~!!」


 ひかるが缶コーヒーを私に投げてきたのだ。これが国道だったら逮捕されるぞ! 痴女のもつれ……痴情のもつれは逮捕される事もあるようだ。


「お前!!・・・俺をバカにしているのか!」

「コーヒー、ありがとう。丁度飲みたかったのよね。」

「う、う~、う、う~!!」


 屋上まで聞こえるひかりのうなり声。二射、三射の缶コーヒーを私に投げてきた。もう的外れに飛んでいくから……、


「もう、ご立腹かしら!」

「亜衣音ちゃん、もう暢気なのだから。あの巨女と喧嘩する気なの?」

「当たり前じゃん、大地を渡せないわよ。必要ならば巫女の力を使ってでも大地とひかるの縁を切ってやるわ。」


「お~……こわ! 私、藍は関係ないからね。」

「だったら早く逃げなさい。直ぐに怒り心頭で飛んでくるわ。」


 藍は可愛い顔をして、ルンルンと近くの女子のグループの輪に紛れ込むのだ。そうしてその場の四人を盾にしている、何とも抜け目のない女だろうか。


「ま~……真っ赤な女が出てきたわよ。」


 ひかるがドアを蹴破る勢いで屋上にやってきた。私を視認するとまっすぐに私を睨みつけて歩いてくる。その姿が厳つい。右足と右手を同時に出す歩き方なのだ。そのひかりに続く女たちの列が青ざめている。


 ナンバ歩行法と言われる歩き方は、江戸時代に歩いていた方法なのだよ、知ってたかな?……大地。あの大地も怒った時に歩く癖でもあるのだ。



「……っ、わ~戦車なみ!」

「お前が亜衣音か!」

「大地、助けなさい。」

「ひかるちゃん、やめろよ。タダでは済まないぞ!」

「う~るさい、黙れ……。」「ボフ……。」

「キャイ~ン!!」


 大地はひかるの一撃を受けて飛んで……逃げた。女の子に手を上げる大地ではないのだから。次は私かしら……。


「私の大地をよくもよくも、ぶったたいたな!」

「ふん! 虫けらよ。飛んで行ったわね。」

「だったら私がひかるを、ぶっ飛ばしてやるわ。」

「出来ない事は出来ない、黙って土下座してろや!……踵落とし!」

「ギャビ……、」


 私はひかるの白い物がある処が黒く見えたので、驚いて踵を真面まともに受けて伸されてしまった。方々で黄色い悲鳴が聞こえた……までで気を失った。


「バカめ、この教室は俺が締めてやる。」


 この時、一陣の強い風が吹き抜ける。女子のスカートが大きく跳ね上がるのを男たちは見逃さないのだ。


「ギャ~~~~、ぎゃ~~~、ギャ~~! 俺のスカートが、……下が~~~見られた~~!」


「ひかる……ノーパ*だぜ!」「でかい尻だぜ!」


 大きくて重いひかるのスカートが、特にめくれていた。


「亜衣音ちゃん、……性格がひねくれすぎよね!」

「そうね、この風は間違いなく亜衣音ちゃんよね。」

「凄いな~、あんな一瞬でひかるちゃんの弱点を見抜いていたとは!」

「未来、クマ!」

「ふん、藍は赤だったわね。」

「美保ホ、今日も欽次郎さんとHの予定かしら?」

「イヤ~ん!」


 未来や藍、美保だけがこの深層にたどり着いていた。この事を保健室で目覚めて聞かされたが、


「ううん、私じゃないわよ。でも誰かしら、巫女が居たのね。」

「え~、亜衣音ちゃんじゃなかったんだ!」

「そうよ、私は一撃で倒されたのよ。違うに決まってるじゃん。」

「そうなんだ、だったらこの学校に巫女が居る事は確定したね。」

「美保、探して!」

「イヤだよ、亜衣音ちゃんの仕事でしょう?」

「う~~……藍、」

「ダ~メ、私の仕事じゃないモン。」


「貴女たち、大地くんの治療が済んだから……笑ってあげて!」


 母から包帯をグルグルと巻かれた大地、


「大地、透明人間になったのかしら。」

「あ、そうだ、『俺は透明人間!』は今月で最終回よね。」

「シコベエは元に戻れるかしら!」


「お母さん、大地をけなすような事は言わないでよ。私を助けたんだから笑えない。」


 私と大地以外は皆が大笑い、ふざけ過ぎではありませんかね?


 俺は透明人間!……は、とある事情で全員が最終回を見られない。一月三十一日の日曜日が最終回なのよね、……俺は知らない。


 ……1971年1月31日、ドラマではないが、記念すべき出来事も待っている。午後4時04分02秒に、全世界か注目した瞬間だ。


 でも私以外でひかるちゃんがノーパ*だと瞬時に見抜いたのが誰か、私の後ろに居た女子が誰なのか、、、判らない、誰も覚えていないのだから。この騒ぎでひかるちゃんがクラスを締める事が出来なくなってしまう。しばらくは男子生徒を直視出来ない、いや、睨む頻度が多くなっているのは間違いない。

 

 ひかるちゃんだって、あの騒ぎは私が起こしたのだと思ったのか、その後は私にちょっかいを出して来ない。が、大地は相変わらずスカートチェイサーに嵌まりだしていた。


 体育時間がブルマ姿の女子、当時は普通なのだが今は何処かでアブノーマルだという。ひかるちゃんがそのブルマを欠かすことがなかった、らしい。対、大地用かしら?


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