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人狼と少女 垣根の上を翔ぶ女 亜依音  作者: 冬忍 金銀花
第九章 私の……巫女の力が無くなる日

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第113部 朝から波乱の気配が……転校初日……


 1971年1月7日


*)朝から騒動……


「今晩だけだからね、二日も大地を放っていたら、あいつ、オオカミに変身するのよね。」

「うらや……ましいです、今晩……、」

「ダメよ、大地は貸してあげないからね、夜這いをしたら許さないんだから。」


「はい、明日が楽しみです。」


 夜這いを仕掛けたのは大地の方だった。夜中に一騒動が起きる。



 私の最愛なる大地が、よりにもよって私に夜這いをかけたつもりが、碧の胸に飛び込んでしまった。勿論、碧は驚いて暴れるも……直ぐに大地だと気づいて? 自分の胸を押し当てて大地を気絶させてしまったらしい。


 どうも可笑しいのでしっかりと大地を問い詰めると、思わぬ解答が出てきた。


「ち、違う、断じて違う。俺はお前を、暗闇を推して探したらそこの女に躓いてそのまま拉致されてしまったんだ。」

「へ~、大地は翠の所為にしたいんだ。」

「ばか!……碧だ、翠は俺がこ~か…ん…に食いついてきただけだ。」

「んまぁ……大地、よくも私以外の女にまた開いたのね!?」

「ち、違う、断じて違う!」

「そう、でも私のお部屋がこれではね~、信じる事なんて到底出来ないわよ。」

「う~……亜衣音ちゃん、」

「泣き落としも聞いてはあげない。でも、まぁどうして窓がバラバラになって飛んでいったのかな。」


 私は双子の発言を許していないが、思わず上の一言が出てきた。


 これは四者四様……葉っぱのように飛んで無くなった私の部屋の窓に思う処は四つの解釈なのだろう。誰もこの大きな騒ぎになった本質には気づいていない。



 私が台所へ降りていったら澪お姉さまが朝食の準備をしていた。あ、お母さんは澪お姉さまに朝の仕事を押しつけてさ、自分は綺麗どこのお化粧なのね!


「お姉さま……いつもありがとうございます。」


「ねぇ亜衣音ちゃん、大地君は起きて来ないのだけれども、いったいどうしたのかしらねぇ~。」


(これは夜中の騒動を知ってて質問してやがるな……女妖怪アイヌカイセイめ!)


「あ、……大地は夢見が悪かったようなのよね、だからまだ私のお布団でお休みさせているわ。(殴って強制的にだけれどもね。)」

「そうなんだ、でも、お庭に窓の障子……落ちて壊れていたわね。」

「あ~それね、大地が夜中に忍び込んで来たときに壊して入って来たんだよ、深く詮索しないで欲しいな。それにさ、立花の双子も寝ていたからね。」


 未だに白川と呼べない、立花の双子。私としては別に気にもなっていないのだと思う。感心なさ過ぎよ。


 澪お姉さまの寝室の前まで窓の障子が飛んでいた。当然に大きな物音で起こされたに違いなかった。いの一番に庭へ飛び出したのは勿論、カムイコロさんだが、障子が飛んできた方向を確認しただけで自室へ引き上げたそうだ。


 庭に在るひと坪のカムイコロさんのお部屋……ポチの家と看板が在るのは愛嬌かな~? そんな事を言うと反論の大きな声が聞こえてきそう……。


「バカ言え!……ただの物置だろうが……。」


 朝から一悶着を起こしていたら玄関先に黒塗りの自家用車が止まった。この黒ビカリの車は高級な車。あの成金の親父の車だ、すると聞こえる声はただひとつ。


「亜衣音ちゃん、おはよう~!」

「あ、美保ホおはよう。で、どうして家に来たのよ。」

「うん、今日から新学期だからさ、亜衣音ちゃんを迎えに来たんだ、一緒に行くのよね。」

「え~……だって学校違うし……あ、私と大地はね、国際文化大学高校へ転校するんだ。美保たちとは暫くお別れだよ。」

「へ~亜衣音ちゃん、私たちを置いて転校するんだね、許されるわけはないよね。 私たちも転校に付き合うに決まっています。もう、お父さんも金一封を献金していますのよ、オホホ……。」


 と、笑って顔の前で左手を振って、右手はしっかりと白い歯を隠している。へん、てやんで~……バカは笑ってろ!


 資産家は恐ろしい、自力で何でもやる必要の庶民とは大きくかけ離れているのだ、全てが金で済ませるという。


「ま、私のように巫女の魔法で解決するよりも、遙かにましだわね!」

「そうよね、私、温厚派ですわ……。」


 親の金が動いたのを、なんで娘が自慢するのだろうか。美保自身で稼いだ金でもないよね……自慢する処ではないよね。それにしても美保、よくもまぁ~ご両親を納得させられたものだわ、私は大いに美保を尊敬するわ。欽ちゃんとの結婚。


「うん、両親は私に甘いのよ。後を継ぐと言ったら喜んでいたわ。」

「へ~そうなんだ、高校卒業したらお父さんと仕事するんだね。」

「ブルブルルル……、巫女の仕事をするに決まってるじゃんか、ね~女社長?」

「わ、私?……私が社長なの?」

「だって亜衣音ちゃんの元で働くのですのもね、お給与もちゃんと頂きます。払えないとは言わせません。」


「う~……まずは学校……行こうね!?」


 立花の双子や美保に付き合っていたら着替えもおろそかになって、これでは学校へは行けやしない。お母さんの化粧部屋で着替えている双子は大人しいので、逆に気になりだしてしまう。そう、母の悪い癖がまた発動しそうで怖い。私の制服は母に奪われてしまっていた。




「あんたたち、着替えが遅すぎではありませんか?」

「え~、だって二人のブラが見つからないのですもの、これでは大きな胸がはち切れて他人様からイヤらしい目つきで見られてしまいます。」

「だって、お風呂上がりは着ていたのよね?」

「はい……多分に……そうですが、夜中に無くなったよなのよ。」


「そう……か、大地の鉢金の中だね、今取り戻してくるから、」

「はい、お姉さま……尊敬します。」x2


 大地が握っていたのは私のブラだけで、では双子のブラは何処に……。ま~いいか、ここにあるブラを二人に貸しておこうか。



「さ、お姉さま……一緒に登校ですわよ!」X2


 この二人の制服……新品よね、それも国際文化大学高校の制服だよ~……。胸の赤いリボンがやけに前に出て見えるのは気のせいか!



 国際文化大学高校・・・楽しみだな!


「翠~、これでは胸が寒いよ~、」

「碧、仕方ないでしょうが、お姉さまの着物ブラは小さくて合わないのですものね。」

「そうね、お姉さま……が、作りおっぱいだとは知りませんでした。」


 だが、この双子の会話には無理があるのだが、ま、いいか、二人の自尊心を傷つけるよりはいいかな。だって二人に貸したのは、お母さん……のブラだよ。


 それも一番小さいの……大地が喜ぶ大きさなんだな?



「亜衣音……行くぞ!」

「は~い、お父さん!」


「おい、亜衣音、旦那はどうする。」

「カムイコロさんが担いで……お願い!」

「しゃ~ないか、車で頂いて……、」

「や、やっぱり私が起こして運ぶ……。」

「へん、ば~か! 最初かそうしろってんだ。」


 父のセドリックと、お爺ちゃんのクラウン。それに美保の黒塗りのベンツ?? この三台に分乗して高校へ、いざ!



「亜衣音、ほら、あそこ!……モアイの彫像だぜ!」

「へ~、ホント、ソックリだわ。よくもま~学校も許可したわね。」


 校門のモアイ像の植木を過ぎて学校の玄関先に車を止めた。そこには……あの懐かしい先生が立っていたのだ。私、何だか嬉しくなったな。


「よう……亜衣音。今では子分が大勢らしいな。」

「はじめ先生……生きてらしたんですね、杉田創先生。」

「おぉ、嬉しいね、俺の名前を忘れないでいたのかい。」

「先生、それは私の母です、間違わないで下さい。」

「いや、だってブレザーだぜ、母親だろうが? って、こっちが亜衣音か!」

「ふふふ……、真に受けて、可笑しい。」

「ま~た俺は引っかかったのか?」

「はい、また……ですよ。」


 私とお父さんとお爺ちゃん、それにカムイコロさんが来賓の席に着いて、お母さんが私の制服を着て、美保と双子と一緒になって転校生の挨拶に回されていた。大地はまだ本調子ではないらしい。転校生挨拶には来ていない。


「亜衣音、沙霧もまだまだ若いな。」

「お父さん!……気がついていたのですね。」

「当たり前だろうが、娘と女房を間違える父親は居ないよ。」

「へ~そうかな、一度は間違えたくせに……。」

「あ……いや、あれは、驚いただけで、その、お前が沙霧の服を着たからだ、」

「いいのよお父さん! 愛してる!」

「ばか!」


 私は父と同居し始めた時に、母のパジャマ姿で台所に立った時があった。私の後ろ姿を見て涙したお父さん……そこには亡き母の姿を見たという、あの事だ。


「ぅわ~……お父さん! 泣いてる……。」

「お前が悪い、」


 死に別れた筈の父のお嫁さんが戻ってきて、今では何もなかったような生活が幸せなんだろうね。


 あの温泉の女の人と結婚しなくて良かったね! 旅行のお土産だと貰った湯飲みは少し大きかったよ。きっとあの女の人に渡したくて買った湯飲みだよね?


「お父さん!……目つきが怖いよ。」

「亜衣音、お前の頭の中はお花畑か! お前の妄想が悪いのだ。」

「へへ~んだ、」

「இஇஇ……。」 


「もういい、ここで締めろ。」

「はい、幸せなお父さん!」


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