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人狼と少女 垣根の上を翔ぶ女 亜依音  作者: 冬忍 金銀花
第九章 私の……巫女の力が無くなる日

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第112部 女たちだけで……団らん……よ!


 1971年1月6日



*)双子の姉妹はいつまででも双子だ。体型も世につれ同じなのだ!



「へ~お母さんが二着目に着ていた、ヒラヒラの洋服だよね。お母さん……姉妹においては随分と意地悪なんだね、澪お姉さまの体格に似合ってないよね、これ、お母さんが狙っていたんだね?」


 澪お姉さまは少し太ったのか、邪魔なものは腰を振って横にずらすという芸を身につけている。飯台でも椅子でも、果ては徹さんでも……腰を使って撥ね除けるのだった。ヒラヒラの洋服とは、別な意味でも値札がヒラヒラしていたな。


「これが大人の社会なのか……お~~~イヤだ! 値札付いてるし!」

「あら、ヤダ……!」


「お母さんも澪お姉さまも、同じ体型に見えるよね。大地、そう思わない?」



 お母さんと澪お姉さまは姉妹……なのだが、初めて着る服によってか、まるで別人のように感じてしまった。今までが姉妹で服を回していたからだよね?……この貧乏人が!?


「あら亜衣音、着古した服を姉妹で着て何が悪いのよ。」

「うん、だってどうかした拍子にさ、どっちがお母さん……なのか、解らなくなるんだよ。だからさ、大地なんか声を掛ける事がないでしょう?」


「あら大地くん、そうなの?」

「は……い、いつも呼ばれるまでどちらがお義母さんなのか解らなくて、俺から声を掛ける事が出来ません。間違ったらどうしようかと、先に考えてしまってどうしてもの時は亜衣音に頼んでいます。」


「澪!……ちょちっと!」

「なによ沙霧。」

「今日からあんたも大地くんの母親になりなさい。男の子が居ると母も綺麗になるらしいわよ!」

「へ~そうなんだ、今度誘惑しちゃおうかな!」

「ダ~メ~! 澪お姉さまも飲み過ぎです。妹たちにもアルコール分を含ませて飲ませる気ですか!」

「うふふ・・・。亜衣音ちゃんも焼き餅を焼くんだ、……か~わい!!」


「バコ~ン!!」

「痛いだろが、なにしやがる。」

「大地が悪いのよ、他の女に声を掛けないで!」

「ひで~な~、そんな事出来る分けないだろうが、それに、あの双子……熱湯でゆで上がってきたぞ。」


「あ!……そうだった。碧と翠を風呂に沈めていたんだったわ。ホント! 蟹みたいに真っ赤だわ。」


 お爺ちゃんが湯を沸かせておけ”と言うのが悪い。湯の温度とはどれくらいから言うのだろうね、大地。


「ショウコウさんの教団よりもマシですわ、お姉さま……。」x2


 この双子、いったい何処の教団で修行してきたのだろね、胡座をかいて宙に浮くという修行だったら笑える。宗教とは酷いもので、かのローマ帝国もキリスト教を受け入れて東西に分裂し、やがては消滅していく。ローマ帝国の文化は全てを切り捨てるというのだから、当時の教会の威厳は恐ろしいもののようだ。



「ほらほら、冷たい水を持ってきたわ、飲んで、飲んで……。」


 私は湯上がり冷たい水をコップに二つを用意して、立花の双子に差し出した。


「お姉さま……ありがとうございます。」x2


 そう言って私からコップを受け取った二人からは、身体の熱が伝わって来ないのはなぜだろう。頬はあんなに朱いというのに。


「お姉さま……お酒ではないですか!」x2

「どうして……?」

「お風呂に浮かせて頂いてきましたが、まだ飲み足りません。」

「あんたたちは~……しばいてやろか!」

「え~、お酒をしばく……の間違いですよね?」


「亜衣音、負けたようね。」

「う~お母さん……、この二人にお酒を飲ませてもいいの?」

「大丈夫よ、親がお爺ちゃんですもの、寛大ですわ。」


「へ~……大地、風呂行くわよ!」

「イヤだよ、俺になにされるか、解ったもんじゃない。」


 ここで澪お姉さまが助け船……なの?


「亜衣音ちゃん、妹たちを全員お風呂にお願いね!」

「ギャビ……!」

「おんぎゃ~、」X6

「ほら、全員ち~ママとお風呂に入りたいそいうだよ。」

「大地……行くわよ、もうヤケクソよ!」


 大地が中間にたって妹の受け渡しをして、私が洗い子役。六人も居ればゆうに小一時間では済まない、私の方が茹で蛸になってしまう。これでは堪らないので、


「大地、碧と翠の双子を連れて来なさい、序でにヒン剥いておいで!」

「ラジャー!!」


 直ぐに双子は悲鳴と共に風呂場に放り込まれてきた。可愛そうな大地は顔面に多数の爪痕が……。(牝にひんという読み方がありました。「引ん剝く」よりもいいかもしれないと思い書いてみました。)


 家の風呂は、女の六人は入れなかった……。湯冷めした女の子の三人は風邪を引いてしまう。私は卵酒を作って飲む……三人前も作ってしまうが。


「明日は転校初日で入学式も兼ねているのよね!」

「お姉さま……だけ、ずるいです!」X2


 ずるいと言われて双子にも卵酒を飲ませる。だが、二人はイヤな顔はしないものの、その後の会話が微妙にずれていたのは、私だけだった。


 若い女たちは男の宴会には向かない。酒を飲む訳ではないのだ、つまらない。食べるものを食べたらもう、おさらばでいいわよね。そういう事を双子に話したら、


「私たちもお姉さまと一緒に寝ます!」

「いいわ、でもお布団は大地の分しかないわよ。」

「いいですよ、二人で仲良く眠ります。」


 そう言いながら立花のもう白川に変わったかな。双子はそれぞれが学生カバンを持って私の部屋にやって来たのだ。制服は母のお化粧部屋に掛けているという。


 母があたりめを持って部屋に遊びに来た。何か裏があるはずのなだが、最後まで読み取れなかった。


 この時は姉妹で服を交換していたらしい。事実は澪お姉さまだったとは……。そうよね、お母さんがあたりめを持って来るはずないわよね。


「これね、あたりめをバターで炒めたのよ、とても美味しいのよ!」

「これって、徹さんの好物ですよ~。」

「へ~、徹さんも、案外楽ちんなんですね。亜衣音ちゃん良く知ってたね。」


 母は私にちゃんを付けて呼ばないのだが、服ですっかり騙されていた。あ、私にご機嫌とりするときはちゃん付けで呼ぶこともあったかも。


「明日は新しい学校だから、もう休みなさい。」


 と言って部屋を出る母なのだが……、私は未だに騙されている。こんなのは初めてだよ。


「そうね、家から高校へ行く方がいいわよね。」

「はい、お姉さま……ご一緒させて頂きます。」


「今晩だけだからね、二日も大地を放っていたら、あいつ、オオカミに変身するのよね。」

「うらや……ましいです、今晩……、」

「ダメよ、大地は貸してあげないからね、夜這いをしたら許さないんだから。」


「はい、明日が楽しみです。」


 夜這いを仕掛けたのは大地の方だった。夜中に一騒動が起きる。



 翌朝……。


「さ、お姉さま……一緒に登校ですわよ!」X2

「え”””……!」


 狸ジジイだけあって、最後まで秘密にされた双子の転校。笑うジジイの笑顔の裏に隠された秘密……が、まだ幾つもあったのだ。



 国際文化大学高校・・・楽しみだな!



「お母さん、あたりめのバター炒め、美味しかったよ。」

「え……? 何の事かしら?」

「え……? 何だろうね。」


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