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人狼と少女 垣根の上を翔ぶ女 亜依音  作者: 冬忍 金銀花
第九章 私の……巫女の力が無くなる日

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第107部 美保と……闖入者たち


 1971年1月4日


*)禅問答の禅とは……せんが濁音になったもの?



 酔いも未だに覚めない男とは、お父さんと美保のお父さん。それに徹さん。智治お爺ちゃんは自宅で就寝中なので蚊帳の外だった。誰も起こしには行かずに、起きてきて「腹減った ♡」と言っては驚いていた。若い娘にか!


 私を庭から引きずってお座敷に上げてくれたお父さん! も~酷~い!


「なんだこれは、亜衣音が菩薩になったようだ。」

「穣さん、後でお仕置きですよ。亜衣音を仏様に祭り上げないで下さい。」

「だって、以前博多で差し押さえた仏像なにみ重くてさ。」

「坊主を絞めたのかしら?」

「いいや、あそこの神主が鳥居を抵当に銀行から借金していてな、国税としては仏像しか残っていなかっただけだ。」


 ま、お父さんの話は実際にガサ入れもしていたというから、本当に違いない。でも、国税云々・・・からは、嘘だろう。神主はサイドビジネスで脱税かな。


 私と大地、欽次郎さんはお座敷に運ばれたのだが、三人とも両手を引っ張られてようやく運ばれた程に重かった。


 問題は召喚された若い娘だ、薄着で全員がパジャマ姿だから。庭に落ちてきた時点で泥まみれ、乙女としては許せる姿ではない。制服の上から見る胸の大きさとは全員が予想と違っていたという、大地の感想……。もちろん、私が後で天誅を落としておいた。


 でも、さすがは元巫女のお母様だ、


「貴女たち、戸惑っているのは判るわ、私と同じよ。急に自宅から居なくなったのだもの、家族の方たちが心配なさるから、直ぐに電話して頂戴。」

「は~い、」x4

「あら、三人の返事が無かったわね。」

「翠です、刑務所に連絡しますか?」

「翠です、行くところがありませんので、今は橋の下にいます。」

「そ、そうよね、貴女たちが娘を虐めてくれた、張本人なのかしら?」

「違います、私の父です。ご迷惑をお掛けしまして、大変申し訳ございませんでした。」ペコ!


「貴女は藍ちゃんですよね、亜衣音は何も話してはくれませんでしたが、その~亜衣音が貴女を信用しています。私からは何も言いません。」

「はい、とてもありがたいお言葉を頂き、恐縮です。」


「で、娘と同じ双子のようですね。服が違うし顔もすすけていますし、亜衣音が起きるまで、お風呂に行きなさい。そこで反省してきてね。」

「はい、十分に反省はいたしております。そのう~警察には内緒にお願い出来ますでしょうか?」

「お爺さん……どうですか? 元警視総監殿!」

「いいとも、ワシが身請をしてやろう。どうだ、今日からワシらの娘になる気はないかな?」


 身請とはお爺ちゃんの言い方が悪い、養子にするという意味らしい。


「なります、直ぐになります。ご一緒しましょう!」

「お~ほっほっほ~、ほれ、このババアが許してはくれぬで、風呂には入れぬ。」

「ち、違います。世田谷のお役所です。」

「なんだ、残念。」

「爺さんやい?」「お爺さま!」「おい、爺さんやい、」「お義父さん!!」

「なんだい、全員で迫らないでくれないか。」


 澪お姉さまがお風呂の準備が出来た事を知らせてくれて、同時に私の服が電話連絡を終えた四人に着せられていた。どれもこれも私の「晴れ着!」なのだが。


 風呂から上がった三人には、お母さんの服と澪お姉さまの晴れ着が着せられていた。


「これから初詣にいきましょうか!」

「う~、こんなのあり得ないわ……。」


 と、戸惑う若い女の子たち。同時に顎をカチカチと震わせている美保の両親。


「こ、こんな事が、あり得ない。この家は何だ、どうしたのだ!」


 こちらの方が問題ありなのだ。「知らなければ良かったのにね、」と言った美保の言葉にカチ~ン! ときた美保のお父さん。無理矢理に昨日の祝言は取り消しだ~と言いながら、美保の手を握って玄関へ引きずる。


 これに対しては、……旦那はまだ失神中だから、


「穣さん、男でしょう!」


 意を決したお父さんは、難敵に挑むのであった。


「美保のお父さん、ここは冷静になって下さい。」

「なにが冷静にだ、怒るに決まっておろうが。」

「ですが美保さんは嫌がっておいでですよ?」

「美保は娘だ、もう嫁にはやらない。」


「そこをなんとか!」

「いいや、出来ない。今後は支援を取りやめる。」

「いやいや、社長!」

「おぉ、そうだ。美保は転校させるから、書類を作っておけ!」

「いやいや、大社長殿、あの件の約束が残っております。」

「あの件か、あ~れも反故にいたす。」

「あ~、保護して頂きありがとうございます。つきましては、新年度における学校の役割ですが、高校と大学での研究が御社に多大な貢献に実を結ぶかと考えておりますが、いかがでしょうか。」

「あ~あれな、そうだった、あの稲の品種改良が北海道を米の一大産地に変えてくれるという計画だよな。」

「はい、もう実験段階ですので北海道の農地視察も予定しておるのですよ。」

「もう今年なのか、う~ん……。」


 周りの一同が口を大きく開けてぽか~んとしている。お父さんは在らぬ方向から美保のお父さんの口を封じていた。


「ですからお嬢さまには、北海道の大学キャンパスででも、大いに勉学を積んで頂きたいのです。お願いします。」

「よし、判った。また出直す、……おい、帰るぞ。」

「美保はどうしますか、お父さん!」

「嫁に置いていく。な~に、あの・この事が出来なければ、此奴と狸ジジイの首を頂くまでだ。」

「この首でよろしければ……。」

「学長の首はワシとすげ替えてやる。」

「ご存分に……どうぞ。」

「分かった、確約だぞ?」

「よしなに……、チャンコ店へお酒と…銭…を持参いたします。奥様には別途にご用意致しておりまして、ご自宅の改装費は丸ごとお返しいたしますが?」

「まぁまぁ、うふふふですわ、あなた……?」


 何処かのニュースが巷で大きな話題として流れているが、本流がここに在ったとは読者さまもご存じ無かろうて!?



「穣さん、今晩、たくさん飲んでくださいね!?」

「沙霧~、これでいいのか!」

「はい、無事に家族を守れましたわ、きっと亜衣音が喜んでいますよ、天ご~いいえ、お座敷で!」


「え~、私がなんだって?」

「あら、起きたのですね、良かったわ!」

「で、この女たちは何?」

「え”~~~!!」x?


「亜衣音、クラスメイトだけれどもな?」

「ふ~ん、知らない。何処か出て行けば!」

「え”~~~!!」x?


「腹減った、まだ飯は出来ていないのか。」

「コアイ・マラルさま……?」

「そういう名前もあったな、亜衣音でいいぞ、下郎ども!」


 うわ~、私何を口にしているのだろう。まだ身体を乗っ取られたままなのよね。どうしよう……。


「あ、そうだった今思い出したぞ。巫女たち、わらわの下僕たち。直ぐに飯を持ってこぬか。」

「はい~、始祖さま……。」

「腹の虫が鳴いておる。」


 もう終わりにしようか、横道に逸れすぎよね。


「始祖さま、今一度お眠り下さい。」

「バッコ~ン!」x3



*)新しい七人の巫女たち……第一回巫女会議


「貴女たちは知らないから話しておくわ、斯く斯く云々なのよ、いい?」

「はい、お母様。良く分かりました。」


 もうこれでいいとは思わないのだが、お母様が辿ってきた巫女の歴史なんて今更述べる事は出来ない。


「あぁ、私の本が出来たら贈るわよ、その時は熟読してね!」


 もうあり得ないのだ。これが私の、沙霧ママなのか。おおらかで頼りがいはあるのだけれども、少しいい加減だよね?


「なに言ってるの、もう私は普通の主婦で女ですよ?」


 あ、そうだった。私が巫女のしがらみを解いたのだった。すると、怒れば角を出す母にも変化するのだろうか。


「お母様、この場では会議は出来ません。亜衣音ちゃんの部屋を借りてもいいですか?」

「はい、どうぞ。この後は昼食になりますが、用意出来ましたら呼びますわ。」

「はい、よろしくです。」


 この七人の巫女たちが私の部屋を自由に荒らしまくる。ベッドの下からは大地の本が数冊も……出た。


「いや~ん、亜衣音ちゃん。進んでる~ぅ。」

「こらこら、そんなH本は捨てましょうね。」


「ねぇねぇ、この本は日記だよ、亜衣音ちゃんとお母様の日記だよね。」

「いいから読んじゃえ!」


 そこには巫女としての苦悩が赤裸々に綴られていて、とてもではないが涙無しでは読めない文章ばかりだった。私の日記を読んで、お母さんの日記も読んで泣きじゃくる七人の巫女たち。


「この一冊目のお母様の日記。タイトルが「人狼と少女」これがホロお婆さまや智治お爺さまの秘密が書かれているわ。それに麻美さんの事とか。」

「う~、泣けます。こちらは『人狼・ツバイ』ですわ、沙霧さんと澪お姉さまの活躍がたんまりと。」


「あ、こっちは亜衣音ちゃんよ、『人狼と少女 垣根の上を翔ぶ女 亜依音』

 だよ、あの子、数段上をゆくおてんばだったのね。」


「いや~ん、そんなの読まないでよ~、お願いだよ~。」


 私は未だに目覚めていないのだから、今は幽体離脱中なのよ! 早く目覚めないといけない、これは大変な事になったわ。私の秘密がみんなに知られてしまったわ。もう生きていけない。


 七人の巫女たちのを上から俯瞰している私。


「穴があったら入りたい!」



 美保が代表のようにして言うのが、(天井の節穴へどうぞ!)


「ねぇ、みんな。この後は昼食だけれども、家族と顔を合わせるのが照れてしまいませんか?」

「はい、激しく同意。」

「さんせ~い、」

「私は何も言っていませんよ?」

「ほら、沙霧さんと澪お姉さまのように、マスクをしましょう。」

「は~い、異議な~し!」x6


 う~ん、みんな良く出来た弟子ですね、私の方がこそばゆいですよ!


「亜衣音お姉さまはどうしましょうか、もう元に戻れない時は……、」

「その時は……?」

「はい、この家から追い出します。」

「さんせ~い!」x7



 これが私の好きな巫女たちなのね、先が心もとないな~!


「貴女たち~、お昼ですよ~!」

「は~い、」x7

「第一回、巫女会議は終了いたしま~す!」



 でもね~、貴女たちには旦那様を見つけて頂くという、大仕事があります。忘れないでね~~!!


「ねぇ、最後の巫女って、誰だろうね。」

「八人目だよね、亜衣音ちゃん、誰を選ぶのかな~。」

「気長、気長に待ちます。だって巫女の命は長いのですもの。不老長寿の金の音お金が第一よ!」

「藍ちゃんには期待しているよ。将来は会社のオーナーになるのよね?」

「ま~だ内緒。亜衣音ちゃんには教えたらダメだよ。」


「亜衣音ちゃんの様子はどうかな。」

「うん、亜衣音ちゃんで遊ぼう!」


 という事に決まった。みんなが私の周りに集まり私を揺り動かしてくている。その弾みでお布団がズレて私の右足が見えていた。


「ククク……。」

「どうしたのよ、美保。」

「ケケケ・・・、」

「何よ、きもい! よ、美保。」

「だぁ~って、亜衣音ちゃんの足を見てよ、このXの採点の羅列よ!」

「え~何処、ドコ、どこ!」

「うわ~、ホント、数学の問題にバツの印が満載!!」

「亜衣音先輩、成績はとても良いと聞いていましたが、ウソだったんですね。」

「そのようね、これが部長の実力なんだね~。」


 昨晩の大地のイタズラが炸裂して、七人の巫女たちが知ることになった私の成績。そうして私の足の裏なのだが、大地の名前の横には赤文字で、100点の文字が見えていた。


「この足をお布団に仕舞うには勿体ないから、出しておこうか!」

「さんせ~い!」x6


 こうやって美保も大地の意地悪に加担した。



 この後は昼食なのだが、この七人の巫女たちは良く食べること。巫女となりて身体が丈夫になり強くもなっている。雑煮が無くなれば杉田家から食事が回されて、次は黒川家からもたくさんの餅が運ばれていて、ホロお婆さまでは焼き餅を焼く事も出来ない程の数だ。


 昨晩のお寿司の残りはカムイコロさんが食べる分だが、


「これは俺のだ、誰にもやらん!」

「もう、お姉さん。こんなに食べられませんよ、あとはお任せ下さい。」


 と、七人の巫女たちにたかられては手も足も出ない。



「沙霧さん、今晩からの食費はどうすんだい。」

「さぁ、どうしたものでしょうか。困りました……。」



 家の前に車が止まり呼び鈴が鳴らされた。


「お届け物です、」

「あらら、立花さんからですね、」

「はい、荷台の全部ですが……何処に下ろしますか?」

「そうね~、お庭までお願い!」


 会社の余り物の商品らしい……主に冷凍食品だ。


「白川さ~ん、冷凍庫をお届けに来ました。」

「も~、電気が足りていないのよ~~!!」


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