表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人狼と少女 垣根の上を翔ぶ女 亜依音  作者: 冬忍 金銀花
第九章 私の……巫女の力が無くなる日

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

104/417

第104部 私の巫女の力が無くなる日……その四



                             1971年1月1日


*)うぅ~……頭が痛い?……もう夕方?


 目覚める少し前に見た夢だ。以前にも見たような気がして目覚めた。


 六つ子からそのモヤッとした白いものが、段々と宙に舞い上がって人型になってきた。その姿は幼児の体型ではなくて、やや大きい成人と思われる女性の姿に出来上がる。そう……私と同じ年頃で見た事も無い女性たちの姿に見えてきた。


 私は……、


「貴女たちは……?」


「お姉さま……昨晩は今まで巫女の力を分け与えられたお礼です。無事に帰られたので安心いたしました。」

「そうだったんだね、私を助けてくれてありがとう。」


「私たちはお姉さまから多大な力を奪い過ぎたようで申し訳ありません。今回はお姉さまに命の危機を招いてしまいました。」

「いいわよ、これも巫女としての運命だと諦めているのよ。」


 それから私はなにを話したのか思い出せない。最後は、


「……では、未来でお会い致しましょう、お姉さま!」


 六体は幻影のように消えて見えなくなって、それから暫くして私も気を取り戻して目を覚ました。それからは二度と夢には出て来ないので忘れてしまう。


「お母さん……。」

「はい……なにかしら、」

「うん……、私はヒグマの娘に転生したのかな?」

「そうだよ亜衣音、俺の事が分かるのか!」

「だって、カムちゃんだよね。」

「ケッ、なんだ残念。」


 お母さんのお料理の匂いがしたので、つい口に出して呼んでいた。匂いの元を辿って台所に目をやると、いつもの割烹着を着ている母の姿が目に入る。


「お母さん……?」


 母の後ろ姿にしては、大きいお尻が目立ち、それになんだか背が高いと考えていたらカムイコロさんが教えてくれた。


「前の裸エプロンの美保だよ、今ではすっかり元気になっているよ。」

「美保ちゃん……そう、良かったわ。」

「あれでも帰ってきた夜中は大変だったんだぞ。『私、亜衣音の血で人狼の髭男にされた~』と、泣き騒いでいたんだぜ。」

「そうね、そうよね。私、美保が撃たれて気が動転していたもの。欣二郎さんと同じように私の血を輸血したのよね。」

「それはそれでいい事だったがよ、でもな、今日の昼からも大変だったよ。」

「えぇぇ??」

「『私、人狼になったのよ、髭が生えてきたのよ!』と、風呂に入れば叫んでいたのよね。」

「ふ~ん、ずいぶんと***が遅れていたのね。」

「いや、それだけではないんだ、風呂上がりの欣二郎に抱きついてさ、何とも! 奇々怪々な事を言い出して『私、欽ちゃんのお嫁さんになる。』と……さ。」

「で、ホロお婆さまはどうしたの?」

「婆さんは、泣いていたよ『欽次郎から離縁された~』とね。」


 すっかり六つ子たちから巫女の力を貰って元気になった私。もちろん直ぐに動ける事は出来なかったけれども、私の動力源が激しく文句を言い出した。


「うぐぅ~……、」


「亜衣音、口で言って誤魔化してもな、俺の耳はいいんだぜ、腹が減ったんだろよ、下からもなんかなし……聞こえるよ。」

「カムイコロさんの、バカ!」

「親父の座椅子を持ってくるから、起きたらどうだ。」

「はい、お願いします。序でに応接台の前がいいです。」


 今のお座敷で寝ているのは私と六つ子たちだ。台所とお座敷の間の部屋には食卓としての応接台が置かれてあり、その上にはお箸やお醤油、それにお皿などが置かれてある。お猪口もあるわね。でもね、中心には……おせちの重箱が在る。


「私の妹たち、ぐっすりだね。」

「あぁ、亜衣音が戻るまで泣き叫んでいたそうだ、お前を案じていたんだろう。」

「うん、六つ子に助けられた感じがするよ。」

「へ~ほんまかいな。」


 私は六つ子たちに視線を送り、嬉しくなって微笑んだ。次にカムイコロさんに視線を送ると、


「大地はどうしたの?」

「……。」


 カムイコロさんが何だか言いにくそうにしている。


「なに?……どうしたのかしら?」


「いやね、美保の困った問題がもう一つあってな、……そのう美保はさ、お前の血を受けたせいか、大地にも色目を使うようになってね、欣二郎が居ない時は大地にすり寄るんだよ。それで今は、大地はお使いに出ている。」


「何処へ、お正月休みでお店はお休みだよね。……? まさか!」


「そのまさかだよ、もうじき敵機来襲だろうて。」


 予感が当たった。今はお父さんと一緒に車で空港へと、麻美さんと明さんを迎えに行っているのだという。


「そうだね、昨晩に苫小牧から電話があってな、事がバレたらしい。それで今朝一番の飛行機で来るからと言っていてな、」

「またお爺ちゃんの口が災いを起こしたのね。」

「……そうだ。またこの家も賑やかになるだろう。」


 事実は明子お姉さんがいたたまれなくて報告していた。こちらから連絡したというのが本当だ。きっと自分では何も出来ないからと、寂しい思いをされたものかと考えた。


「そっか、ご両親にも会いたいですよね、明子お姉さんも。」

「そうだな、俺も麻美には報告したい事もあるから、丁度いいよ、亜衣音にはその時に聞いてくれや。」

「はい、カムイコロさん。」


 カムイコロさんが私の前におせちの重箱を置いてくれた。その中身は、


「わ~、こんなにたくさんもの、北海道の味覚が詰まっているのね!」


 私の声を聞きつけた美保が温かいお雑煮を持ってきてくれた。


「お姉さん、温かいものから先にどうぞ!」

「美保、なによ、それ!」

「だって亜衣音ちゃんは私のお姉さんだもの、これからよろしくお願いします。」

「どうしてそうなるのよ。」

「二号さんでいいのよ、お姉さん。あ、でもここだけの話よ、欽ちゃんには内緒にしてよね。」

「うぐぅ~……、」


 すっかり性格まで変わってしまったのか、恐ろしい美保ができあがっていた。


「それもこれもお姉さんの、血のなす事ですわ!」


 美保の私への殺し文句が……私の良心の呵責をかき立ててくれる。


「美保、一生貴女を守ってあげますね?」

「はい、もちろんです!……お・ね・え・さ・ま!」


 即答である。これからの私に対しては美保が優位に立ち、だから私は下僕か、いや、これでは大地の方が下僕扱いにされるのかもしれない。美保は美保で先ほど家に電話して、『今日からここの嫁になりますと!』嫁入り宣言を両親へ申し込んだらしい。


 両親にはぐうの音も言わせない程だったとか。それは私らの家族にも同じであり特に杉田家には桜子お婆さまさえも、何も言わせなかったのだ。ホロお婆さまと欽次郎さんの結婚よりも良かったのだろう。イジケタ? ホロお婆さまは麻美さんと一緒になって、苫小牧へ帰るものと考えた私だった。


 だって若々しいホロお婆さまは、今ではすっかり背を丸めて火鉢の火をいじって黙り込んでいるのですのも。


 そんなホロお婆さまに声を掛けた美保は、恐ろしや~。


「お婆さま、お餅は焼けましたよね?」

「はいはい、亜衣音ちゃんに食わしてケロ!」


 美保はすでにホロお婆さまよりも上に立っていた。私?……私はもう巫女の力も空っぽになっているのよ。後は大地が私を守ってね。


 北海道の東海上で発達する低気圧が、台風なみまで気圧が下がる爆弾低気圧。そんな女が自宅に着いた。麻美お母さんから……家族総出で、ものすご~く怒られたのは言うまでもない。


 寝た子も起こす勢い……六つ子も目が覚める。それは私たちにとっての救世主になり得たのだ。差し詰めの鬼も泣く子には黙るしかない。一升瓶が床に転がり続けるのは「鬼ころし」という銘柄のお酒か!


 私は未だに二日酔いの頭痛で、お酒の臭いに鼻が曲がりそうになっていた。


「私、二階で先に休みます。」

「亜衣音ちゃん、でもお風呂が先ですよ。」


 私に風呂の用意をさせるあたり、お母さんも今回の事件については許していないのだと判断された。その夜は、母に抱かれて夢を見ていたのだが、私は大地から翌日に教えて貰うまで分からなかった。




 1971年1月2日


「大地、そうなの?」


 そう言ったら直ぐに涙が流れてきて、初夢が何処かに飛んでいった。そんな私に大地は、


六座頭ろくざとう。」と言ってくれた。随分と古い言葉を知っている大地だ。私としたら、


「せめて、三茄子に格上げして欲しいな?」


 そう言えば朝の私のパジャマ姿は乱れていなかったし、お母さんと一緒に寝た時の夢を見ていた気がした。


「いいもん、茄子よりもお母さんと一緒の夢が良いに決まっててよ、大地。」

「ば~か!」

「それで、大地は何処で寝たのかしら?」


 大地には答えられないらしい。「うきょ~!」と意味不明な言葉を発して、何処かへ飛んで逃げた。何故かご機嫌な美保もいた。酔い潰れた男たちと麻美さんと六つ子たちはお座敷で雑魚寝だろうか。カムイコロさんだけが一晩中お酒を絶やさずに寝ずの番だった。そのカムイコロさんが……いや、この先はもうよそう

か。



 一晩で幸せな家庭へと戻っていく。でも明日になれば、ならなければ分からないのが私の運命だ。


「次のニュースです、今日の未明に発見された加賀市沖の不審船と警察の双方で発砲が起きた模様です。詳しくは明日以降の続報待ちとなるよう……、」

「年始早々から穏やかではないね。」

「うん、そうだね。」


 ニュースで気が重くなった私にと、麻美さんが何やら持ってきたのが、

「亜衣音、ほら、阿寒湖のマリモが打ち上げられたから摘んできた。」


 綺麗な瓶に収められた緑のマリモが入っていた。可愛い!! 私は麻美さんに微笑んで……ニコリ!(ポチも!)


「ありがとうございます。麻美お母さん!」

「いいって、いいって。あいつ、タマナシなんだろう……?」

「お母様の意地悪。」

「ほんま、アカン子やな。これを食わせたら御利益があるで~!」


 そんな御利益は無いに決まっている。阿寒湖からの持ち去りは違法だから近くの池のマリモに違いないのだが、千歳空港のお土産だろう……。


「亜衣音、それは毛糸玉のスポンジさ!」

「カムちゃんまで私をからかうのね、酷~い!!」


 私と大地にはポチ袋は無かった。明子お姉さんにはあった模様……。それは当然だよね可愛い娘だもの。でも三枚とは、どういう意味かしら? 麻美さん!


 みなさんはこの、小説家になろうの書き込みに、Microsoft Edge を

使ってあるのだろうか。私は未だにInternet Explorerを使っております。


 Microsoft Edge は書き込み中に暴れてとても使いにくいものです。何か

方法があればいいのですが。今はもう機械音痴でして、ホームページが読めて

動画が見られて、後は小説家になろうの書き込みだけです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ