代償
栄はゆっくりと街の中を歩いて、自分の家に向かっている。辺りは暗く静かでブロッカーの金属音しか聞こえない。
「キ、キ、キ。」
「ん?あぁ、ごめんな、暗かったか?」
「キ、キ、キ、キ、キ。」
「でも、暗くもなるよ、泣きたくもなる。」
その後、栄は一言も話さずに家にまで歩いた。
そこには一人の女性がいた。
「やっほー。久しぶり。オジャマしてまーす。」
「アルファ、おまえ何してるんだよ。というか、どうやって入ったんだ?」
「高嶺がブロッカーの監視役でって私を入れたんだよ〜。」
「監視できてないじゃないか。」
「いやいや、いい子にしてたよ?珍しい個体もいるもんだねー。」
アルファは後ろから栄に抱きつく。栄は抵抗しない。
「それで?いつにする?」
「何が?」
「何がって、お礼、してくれるんでしょ?」
「お礼?」
「あれ?高嶺から聞いてない?監視する代わりに好きな事していいって言ってたよ?」
「いや、そんな、」
(あいつが?まさか、またいいように解釈したな、コイツ。)
「んふふー、今日でもいいよ。」
「今日は疲れたから、いやだ。」
「そう?」
(私たちは疲れないはずなんだけど、まぁ、いいか。)
「じゃあ、明日?」
「明日?…はぁ、分かったよ、本当に監視してくれてたなら、今すぐお礼するよ、だから、高嶺に電話させてくれ。」
「いいよ。」
アルファは栄を離した。栄は高嶺に電話する。そして、確認を取りすぐに電話を切った。
「はぁぁぁぁぁ、」
栄はしゃがみ込んだ。
「ね?ホントだったでしょ?」
「ん、分かったよ。もう好きにしてくれ。」
「やった!」
アルファは栄を抱え上げてベッドまで運んだ。
「あ、ヤル前に聞いていい?」
「何?」
「高嶺とヤッてきた?」
「いいや、ヤッてないよ。私は普通の人とはしないって決めてるから。」
「やったー!あ、ごめん。でも私はサイボーグになって、この時間が一番生きてて楽しいと思ってるよ。」
「悲しいこと言うなよ。」
「だって、ホントだから。」
アルファは栄の服を脱がし始める。
「でもさ、あーちゃん、なんで私たちにはこの感覚残ってるんだろう?」
「さぁな、上の奴らが考えていることなんて分からないな。」
「痛覚のみの遮断に半永久的エネルギー、疲労しない身体、疲れないのに使いすぎると身体が壊れるって変な話だよね。」
「反逆された時の用心だと思うけど。」
「なるほど。はい、脱がせた!」
栄は服を全て取られ裸体になる。
「でも、痛覚だけの遮断で得することって、ここを噛んでも痛くないってことだよね。」
「ん、まぁ、そう、だけど、」
「あーちゃん、エロいなぁ。もう、始まってるんだ。」
「は、恥ずかしいからそう言うこと言うのやめろ。」
「なんで?かわいいよ。」
アルファはそのまま栄を数時間に渡りいじめ抜いた。
「こんなにも、濡れたのか…」
(アルファのやつ、今日は一段と激しかったな、どうしたんだ?)
(あーちゃん、ホントに良かった。生きてて、あーちゃん、君が死んだら私はもう…あーちゃん、好き、大好き、あーちゃん。)
栄はアルファの潤いのある瞳を見て微笑みながらアルファを抱きしめた。
「アルファ、大丈夫。私はどこにも行かない。」
「ホント?じゃあ、付き合って?」
「あぁ、あぁ?えっ?どういうこと?えっ?待って?」
(待て待て待て、コイツ本気か?だとしたら、まずいな。)
「ダメなの?」
「あ、あうぅぅ。」
「あ、あうぅぅ。じゃ分からないよ。」
「だって、そんな、わ、私、そんなこと言われたの久しぶりで、プレイは君以外にも何回かやったことあるけど、それでも、そこまでで、えっと、その、」
「……言い訳はいらない、YESかNOかで答えて……」
「そ、そんな、きゅ、急すぎるだろ…」
「ダメなの?」
アルファの目はギラついている。
「考えさせて…」
「ダメ、答えて。」
「………なら、今はダメだ。」
「……分かった。」
アルファは飲み物を取りに別の部屋に出た。
(アルファのやつ、本気だったな…私のどこがいいんだろうか?)