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三犬と飼い主  作者: 洋梨
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天然系

「私その人知ってるよ。」

ベルマがゲームを持って戻ってきた。

「知ってる?なんでだ?」

「会ったことあるもん。変態スケベエロジジイだったよ。」

「佐伯と一緒だな。」

「失礼な!私はジジイじゃありません!お姉さんです!」

「怒るとこそこかよ。」

「ブロッカーが現れてから一年でサイボーグの改変に成功した逸材を一目見たいからって、会いにきたんだよ。あ、負けてる……」

「へー、それ以外は?」

「そうだなぁ…あとは知識に乏しいって印象かな?私結構気を遣って誰でも知ってるような研究現場の言葉を使ってたけど、横の人がいちいち通訳してたんだよ。」

「そうか、その通訳してた人ってのは?」

「んー、それがさ、仮面つけてて変声器つけてたし、怪しい人だったんだけど、誰かはちょっとね。」

(あの本間ってやつぽいけどなぁ…)

「まぁ、いいや。おい、佐伯、仕事してこい。」

「は?なんでよ?」

「もっと情報を得たい。」

「それなら自分で行きなさいよ。」

「私は部外者だろ。部外者が入ったらまずいだろうが。」

「えー、」

「あれ?佐伯さんは受付の人ですよね?いなくていいんですか?」

「ん?私は今日元々休みなの。今日は別の人よ。」

ベルマは栄の袖を引っ張る。

「ん?あぁ、受付は二人いてな、週ごとで交代してるんだよ。こいつらは一週間も働かないで金もらってるんだ。せこい、渡せ。」

「嫌よ。別に仕事してないわけじゃないもの。受付してないときは、きちんと事務の作業してます!確かにみんなに比べれば、10分の1くらいでかなーり楽だけど…」

佐伯は最後のセリフは聞こえないような声で言ってのけたが、栄は聞き逃さない。

「えー?なんだってー?」

栄はニコニコしている。

「だから、しごとしてる

「そのあとー?なんてー?」

(や、やば、)

「えっと………んー?私何か言ったかなー?」

「ほほう、とぼけるのかなー?」

「んー、なんのことかなー?」

「いい加減にしろよ、おまえ、私耳はいいんだぞ?」

栄は佐伯の頰をつねる。

「仕事はきちんとしてるから!してるの!」

「うーん、まぁ、そうだろうな。」

「もうなんなのよ。」

「おまえは頑張ってるよ。いつも見てた。ちょっといじってみただけだ。」

「だから…なんなのよ…」

「高嶺も、弘中も、三池たちも、この支部の人たちは頑張ってる。少なくとも私はそう思ってるよ。まぁ、この機関は潰すけどな。」

「だから…そんな、急には…」

(ほー、お義姉さんは天然系か…)

ベルマは部屋にあった椅子に座った。

「あ、ベルマ、ちょっと聞いていいか?」

「何?お姉ちゃんのこと?だったら、私は

「いや、そうじゃなくて、私の耳のこと。」

「耳?」

「そう、私元々耳は良かったんだけど、サイボーグになってからは、さらに良くなってる気がしてな、気になってたんだ。」

「あー、それはあれだよ。サイボーグに改造した時に副作用みたいなもの。」

「副作用?」

「うん、それね、人間のいわゆる五感、まぁ、他にも色々あるけど、その感覚がサイボーグになった際にある程度増幅されるんだよ。全体的に一律強化されるんだけど、その他にも新型にはあまりないけど、旧型にはよくピンポイントな感覚が増幅されているのが確認できるんだよ。」

「ほう?」

「……つまり、人間の持つ感覚がある程度一律強化されるけど、それ以外に旧型はある一つの感覚がかなり増強される。新型にはそれがない。」

「ねぇ、ベルマちゃん?その感覚増強は残しておいた方が良かったんじゃないの?」

「そういう考えもあったんだけど、ブロッカーに対抗する新しいサイボーグに副作用である感覚増強はいらないと判断したんだ。ブロッカーはまだ何もわかってないことが多いから、その増強された感覚のせいで負けるなんてことがあってはいけないから。でも、感覚を人間のままにしておくと、それはそれでサイボーグの身体についていけないから、一律強化の範囲では残してあるんだ。」

「へー、」

「あ、ねぇ、もう一ついい?」

「何ですか?」

佐伯はベルマをゆっくりと押し倒した。

「え?」

「あなたのここと同じように、私たちにこの感覚はいらなかったんじゃない?」

佐伯はベルマの敏感なところを触る。

「や、やめてください…ん、」

「いやよ。やめな

栄が佐伯を叩いた。

「人の家で何してんだ…」

「栄!今いいところなの!」

「この際相手はどうでもいいけど、人の家でするなよ。」

「はーい、じゃあ、ベルマちゃん持って帰っていい?」

ベルマは急いで栄の後ろに隠れた。

「だってさ、」

「むぅ…この際栄でもいいのよ?」

「ダ、ダメ!ダメだよ!お義姉さんが行くなら私が行く!お義姉さんはまだお姉ちゃんのものなの!!」

「ベルマ…大丈夫だよ。私はいかないから。」

「………うん。」

(二人して全く…別に忘れろなんて言ってないのに…)

「じゃあ、ベルマちゃんは今日も来てくれるの?」

「あ、う、」

「いかないってさ。ささっと帰れ、仕事行け。」

「それしか言えないの!?」

「あ、もうこんな時間、帰れ。」

「まだ9時にもなってないじゃないのよ!」

「あー、もう、お前何しに来たんだ。」

「遊びに来たって言ってるでしょ!!」

「さっきも聞いた!!」

「だから何回も言ってるじゃないの!!」

「ベー!」

「この……!」

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