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三犬と飼い主  作者: 洋梨
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変わり

栄が運転する車はスピードを出しながら、山の方へ向かっている。

「やっぱり高嶺の車はいいなぁ。私もこれ欲しいな。」

「キ、キ、キ、キ、キ。」

「こら、はしゃぐな。」

「キ、キ、キ。」

(こいつらがいる利点は、道中が賑やかな事くらいか。)

栄はブロッカーを討伐するという仕事上一人の時が多く実はかなり寂しい思いをしており心が冷たくなっていたが、ブロッカーたちのおかげで今は元に戻っている。そのことには本人は気がついていないが、その他大勢には周知の事実である。

「さぁ、ついたぞ。おまえら降りろ。」

「キ、キ、キ、キ、キ。」

「この言葉を理解しているってところも不思議な生き物だよな。」

「キ、キ、キ、キ、キ。」

栄たちがついたのは木々の生い茂る山の中であった。

「んー!はぁ、なんか時間の流れがゆっくりな気がする。」

栄は体が疲れないサイボーグとはいえ、体が壊れないようにストレッチ等は欠かしていない。

「この辺にいるんだよな。今日のお目当て。おまえらも気をつけろよ。共食いされても知らないからな。私も戦闘スタイルに移行しておかないとな。」

「キ、キ、キ。」

栄たちはしばらく山の中を歩くが何も気配を感じなかった。

(おかしい…こんなに探していないなんて。情報ではかなりの被害が出てるらしいけど、それらしいところは見当たらないし。)

「キ、キ、キ、キ、キ、キ、キ、キ、キ、キ、キ、キ、キ、キ、キ、。」

「ん?どうした?」

栄が後をついてくるブロッカーたちに近づいたその時に、別のブロッカーが空から落ちてきた。栄は間一髪躱すことに成功する。

(危なかった…)

「キ、キ、キ、キ、キ、キ、キ、キ、キ、キ、キ、キ、キ、キ、キ、キ、キ、キ、キ、キ、キ。」

ブロッカーたちは声を合わせている。

栄は不意をついて新しいブロッカーを持ち歩いている槍で突き刺そうとしたが、呆気なく避けられた。その上、ブロッカーは気にするそぶりも見せない。

「こいつ…馬鹿にしてるな。」

(でもどうする…正面からじゃ勝ち目はない。あいつらに手伝ってもらうか?いや、あいつらもブロッカーだから私を襲ってくる可能性もある。今までなかったからといって今回ないとは言い切れない。これまではあいつらが戦いに直接介入することはなかったからな。つまり、私は絶賛ピンチってことだ。)

「おい、おまえら。」

「キ、キ、キ、キ、キ。」

「キ、キ、キ。」

「ほら、エサだ。」

「キ、キ、キ、キ、キ。」

栄は持っていた数本のネジをブロッカーたちに向かって投げた。ブロッカーたちはすぐ様にネジに飛びつく。栄は新しいブロッカーに狙いを定めて隙を伺う。そのブロッカーがネジを掴む瞬間に栄は槍を捨て飛び出した。栄は図形の部分を捕まえることに成功する。ブロッカーは激しく飛び跳ねる。

「うっ、悪いな、さよならだ。」

栄は胸のポケットから短刀を出し、そのまま図形の場所に突き刺した。

ブロッカーの動きは止まり、体が溶け始める。

「これは…何度見ても……気分が良いものにはならないな。」

栄が安堵していると溶け始めた体が急激に一箇所に集まった。

「え、おい、まっ」

辺りは大きな音ともに炎に包まれた。栄はそれに巻き込まれる。

栄は深手を負ったが、幸いに命に別状はなかった。

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