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三犬と飼い主  作者: 洋梨
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味覚

「お義姉さん、おはよう……昨日はごめんね!私こんがらがって、あんなこと。」

「ベルマ、無理に明るくしなくていい。辛いなら私を頼ってよ。私も姉なんだ…アルファには負けるかもしれないけど、それでも頼ってほしい。」

「お義姉さん…じゃ、じゃあ、ご飯作ってほしいな、なんて…あはは、ごめんなさい……」

「ん?なんで謝るんだよ、いいよ。作ってあげる。アルファ一押しの私の腕をみるがいいわ。」

「あはは、お義姉さん、ありがとう。」

ベルマは栄の料理する姿を片時も目を離さずに見ていた。

(お姉ちゃんは、この姿が好きだったのかな?)

「はい、どうぞ。」

「わぁ!!親子丼だ!!」

「そ、そんなに好きなのか?アルファは味噌汁が好きだったけど…好みが分からないから無難にしてみた。」

「ん!?あ!!あはは!!」

ベルマは恥ずかしそうにしている。

「早く食べな。」

「うん、いただきます!」

ベルマはウキウキしながら食べ始めた。

「お義姉さん、これ、しょっぱいよ。分量間違えてない?」

「え?うそ?」

栄はベルマの親子丼をつまむ。

「ん?普通だな、美味しくできてると思うぞ?」

「え?」

「え?」

「もしかしてお義姉さん、味覚音痴?」

「いやそんなことはない。アルファは美味しそうに食べてたし、高嶺も、よし、高嶺に聞いてみよう。」

栄は高嶺にスピーカーで連絡を取る。

「あ、高嶺、おはよう。唐突で悪いんだけど、私の料理どう思う?」

「おはよう。どうって何?」

「美味しいとかまずいとか、」

「んー、そうかぁ、んー、正直言うと普通かな。特別不味くもうまくもない。強いて言うなら、少し塩気が強いな。」

「あ、そう……」

ベルマはくすくす笑っている。

「ああ、でも、アルファは美味しいって散々言ってたから、サイボーグと俺とでは違うのかもしれないよ。がっかりしないで。」

「励ましありがとうございます。それでは、さようなら。」

「あ、あか

ブツ

「ふ、ふふ、あはは、お義姉さん、あはは!!」

「笑いすぎなんだけど、」

「ごめん…でも、興味深いね。旧型は塩気強いものが美味しく感じるのかな?ミネラルはたしかに多いほうがいいけど、それはミネラルに限ったことじゃないし、お姉ちゃんとお義姉さん両方味覚音痴ってことかも?あはは!!」

「笑いすぎだって。」

「ごめんね、料理教えようか?」

「いや、いいよ。アルファとの思い出の味だし、残しておきたい。」

「そっか…でも、君の味覚で他のやつ食べても美味しいの?」

「うん、それは大丈夫。なんでも美味しい。」

「やっぱり、ただの味覚音痴なんじゃないかなぁ?」

「うん、本当にそっくりだなぁ…」

「何が?」

「こっちの話。」

「ふーん。」

「アルファ、間違った、ベルマ、今日どこか行くか?」

「ん?あはは、私とお姉ちゃんは似てるからね。よく双子だと間違われるよ。髪色以外お母さんもよく見分けつかないって言ってたし。」

「んー、似てるけど、目元とかが少し違うなぁ…見分けつかないことないんじゃないか?」

「比喩表現だよ。それくらい似てるってだけ。」

「あぁ、そういう。で?いくか?」

「んーん、ここにいる。どこにも行きたくない。」

「そうか?じゃあ、散歩にでも行こうか。」

「行かないって言わなかった?」

「私はおまえの言った通り、見張りは続けるよ。けど、おまえは一人にしておけないからな、気分転換がてらついて来い。」

「キ、キ、キ、キ、キ、キ、キ。」

「おまえらはいつも勝手についてくるだろう。」

(言ってること分かるのかな?)

「さぁ、行くか、ほら、ベルマ、おいで。」

「あ、うん。」

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