宝
栄の家
「グスッ……」
「キ、キ、キ。」
栄はネジを取り出しその辺に転がした。ブロッカー達は急いで吸収する。
(アルファ…私は…どうしたらいい?教えてよ…)
栄はそのまま朝を迎える。
(ん、朝か……何もしたくない……)
そのまま数日が過ぎた。
「ここかな?」
一人の女性が扉を鍵で開けた。
「うわっ…悲惨だなぁ。」
部屋の中は荒らされ、床には破片が散らばっている。
「キ、キ、キ、キ、キ、キ、キ、キ。」
「あぁ、君たちが噂の…」
女性はゆっくりと栄に近づく。
(この分だと数日間はエネルギー摂取をしてないね?全く……)
「ねぇ…生きてる?」
「………」
栄の目は虚。光は失われている。
「余程だよ…とにかく…」
女性は栄の口に飴玉を突っ込んだ。栄の口からそれが溢れる。
「ねぇ…アルファのために生きてあげなきゃ…アルファだって君に死んでほしくはないはずだよ。」
「だっ………て、もう………アルファは………」
「だからこそ、生きていかないといけないんだよ。」
「だって、だって、だって、だって…」
「だってじゃないよ…今の君を見たらアルファも安心できない…安心させてあげなきゃ…」
「私に何ができるんだよ…?私は守ってあげられなかった…今更何やったって遅いんだよ…」
「そんなことない…君がこの国を変えるんだ。」
「………国を変える?」
「そう、アルファが殺されたのもそこに理由がある。君は知らないだろうけど、私は知ってる。だか
栄は女性を押し倒した。栄も倒れた。女性は起き上がる栄を横目に見ている。
「教えて…教えてよ…なんで、なんでアルファが殺されたの?」
「無理。」
「教えてよ!!!!」
「今は教えられない。」
「なんで!!なんで!!」
栄は女性を殴ろうとする。女性はそれを止めた。
「君に教えたら、君はなりふり構わず攻撃を仕掛ける。今の君は私にだって止めることができるよ。それにまだ色々と準備不足…だから、今はその時じゃない。今はまだ耐えて…必ず復讐させてあげるから…」
「アルファが殺されたのは国のせいなの?それだけでいいから答えて…」
「そうだよ。けど、その理由はまだ言えない。だから耐えて生きなきゃ、復讐…したいでしょ?私もしたい…必ずこの国を潰す。だから、生きて…」
「分かった……けど、ケジメをつけたい……私は機関から抜ける……それでもいい?」
「いいよ……お義姉さん。」




