思い出
「………」
「しばらく謹慎だそうです。あいつは厄介ごとばかり起こすそうで、国もほとほと手を焼いていたらしいです。なので、謹慎なんですよ。普通にやってたら死刑ですよ。」
「………」
「はぁ…お願いですから、もうこれ以上はやめてください。それであなたが処罰されたらそれこそアルファが報われないですから。」
「………」
「キ、キ、キ。」
「うるさい、あっちいってろ…」
栄は自分の家に戻るとすぐに伏せて、ある風景を思い出している。
-----------------
「あーちゃん!!」
「アルファ?どうしたの?」
「今日さ、一緒に帰ろう?」
「ん?いいよ。そういえば、初めて一緒に帰るね。」
「うん。ずっと一緒に帰りたかったんだ。」
「そう?んー、まぁ、楽しそうではあるね。」
「うん!!」
「茜〜、部活行くー?」
「行かなーい、アルファと帰るー。」
「了解でーす。」
「え?だ、大丈夫?ごめんね…私のことはほっといていいよ?部活行かないと…」
「ん?ううん、私は別に部員じゃないから行かなくていいんだ。」
「?」
「私が行ってるのはお手伝いなんだよ。だから、別に断ってもいいかなって。」
「そ、そんな、そしたらあーちゃんの評判が…」
「あはは、アルファ、私もアルファと帰りたいと思ってたから、別にいいよ。一緒に帰ろう。」
「あーちゃん…えへへ、ありがとう。」
-----------------
「あーちゃん、これ美味しい!!」
「ふふ、」
「な、何?」
「ううん、なんでも。ほら、口ついてる。」
「ありがとう!」
-----------------
「あーちゃーん、眠ーい。」
「寝たら?」
「一緒がいいよー。」
「はぁ、しょうがないなぁ。」
-----------------
「あーちゃん。」
-----------------
「あーちゃん!!」
-----------------
「あーちゃん、大好き!!」
-----------------
「あーちゃん、結婚してくれますか?」
-----------------
「あーちゃん、ありがとう!!!」
-----------------
(なんでだよ、なんでアルファが殺されなきゃいけないんだよ……ごめんな、アルファ。)
栄は目閉じたまま静かに涙を流した。




