また会える
栄たちは家の前にいた。ブロッカーたちは部屋で待機している。
「じゃあね、あーちゃん。次会うときは結婚しようね。」
「………まぁ、考えとく。」
「うん。」
「俺も忘れないでよ?茜ちゃん。」
「うん。」
「あーちゃん、最後にお願い。」
「………はぁ、分かったよ。」
栄はアルファの前髪をあげ額にキスをする。
(おいおいおい、まるで恋人みたいなことするなぁ。俺本当にアルファに負けるかもしれない。)
「えへへ、嬉しい。」
「アルファ、ほら、私のやつ。」
栄は胸にしまっていた短刀を取り出した。
「私も。」
アルファも真似る。
二人はそれを互いに渡しあった。
「これは借り物だから、返さなきゃいけないね。」
「あぁ。」
「だから、お互い死なないように。」
「うん。」
「………じゃあ、もう行くね。」
「うん。またな。」
栄はアルファの背中を見ながら少しずつ、ため息が溢れる。
「刀の交換は毎回?」
「会うときは大概やってるよ。」
「そうなんだ。」
「あぁ、キスするのも毎回やってる。」
「は?毎回?え?それでまだ付き合ってないの?」
「なんだよ、悪いか?私はただのスキンシップの延長線のつもりだったんだけど、違ったみたいだな。」
「そりゃ、そうだよ。」
(でも、それが分かった上でしたってことは、満更でもない感じか?益々厳しいな。)
「そういう話を無しにしても私の中でアルファは特別なんだよ。」
「え?詳しく。」
「………嫌だ。とにかく、鍋まだ残ってるから食べて帰れ。」
「はーい。」




