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空色の約束  作者: 吉乃
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井出馨という男

しかし、高校に進むと微妙に違ってきた。

まず、俺は米倉さんが高校を卒業してしまったためそのグループとは疎遠になった。

そして同学年でもレールをうまく進めない奴らがポツリポツリと出てきた。

自然と、そいつらとつるむ様になった。

中学時代からヤンチャに過ごしてきた俺が何となくリーダー格になった。

中学からずっと同じ学校で過ごしてきたのに、仲良くなったのはごく最近だ。

屋上でタバコを吸い、コンビニでたむろって、街でナンパした。

他校の奴らともよくケンカした。

だけど私立の坊ちゃん校の為、ケンカなんかした事無い奴ばかりだった。

結局、ケンカしてるのは俺を含め3人ぐらい。後の奴らはただ突っ立てるだけ。

それでも良かった。今まで同級生の友達と呼べるような奴なんていなかった俺にとってケンカの強弱や度胸の有る無しなんて関係ない。

やりたい奴がやればそれでいいと思ってる。おかげで最初はボロボロにやられた。

俺はいつもみんなに

「弱くてゴメンな」

と謝っていた。

ただ、段々とケンカに加わる奴らが増えてきた。

最初は浮き足立っていた奴らも徐々に冷静に対処できるようになっていた。

一人一人が飛びぬけて強いわけではないが、連携してケンカするようになった。

そのうち負ける事がなくなってきた。

俺はこいつ等が好きだ。決して最初から強いわけでわなかったのに、必死で俺について来てくれた。


そんな中、俺は井出馨(いでかおる)と急激に仲良くなった。

馨といっても男だ。そいつはその名前のせいで、中学時代よくいじめられていた。

俺も名前が忍だったからその気持ちは良く分かる。

俺と同じく中学の時から米倉さんのグループにいたが、当時存在感は皆無だった。

俺は米倉さんが高校を卒業すると同時にそのグループを離れたが、馨はそのまま残っていた。

しかしそのうちそこでの居場所が無くなったのか、いつの間にか俺らのところにいた。

馨の親はそこそこ有名な建築家で家がめっちゃ広い。

かおるの部屋が自然と俺らの溜まり場になった。

変な奴だが気が合った。

仲間内で俺しか頼る相手がいなかったからなのか常に俺と共にいる。

みんなからデコボココンビと呼ばれる。

俺は身長169cm。馨は185cm。

他校の奴らとのケンカでは俺が啖呵を切り、馨が蹴散らす。

昔から馨は俺のやる事を常にマネていた。

最近では俺がメッシュを入れると馨もそうしたし、

シルバーアクセを買うとすかさず馨も購入した。

中学の時は、一時期俺がエアガンにはまると馨の部屋は改造エアガンでいっぱいになったし、

俺が先輩から原付を貰うと、馨も先輩から単車を買い、それを今でも手を加えて乗り続けている。

この間は、部屋でウインカーをハンダゴテで直していたし、

庭には積み替えたエンジンが転がっていた。

基本的に俺が最初に手を出し、馨がそれに輪をかけてハマるというのがいつものパターンだった。


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