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空色の約束  作者: 吉乃
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心の隙間にある思い

昨日の事が頭から離れない。

俺はのんきに何をしていたんだ。

俺は昨日からの真央の気持ちを全く考えていなかった。

どんな思いで俺に話したのか。俺はただ俺のことしか考えてなかった。

あいつが今どんな気持ちでいるのか、そう考えた時愕然とした。

俺はあいつの気持ちが分からない。

人を愛するという事がどんな気持ちなのか。

辛かった。俺には人を思いやる気持ちがこれっぽっちもないのではないか。

全ての人をただ何となく好きだった。

そして自ら歩み寄ることをめんどくさいと思っていた。

自分から受け入れてもらおうとする努力なんてしたことがなかった。

だから本気で受け入れてもらいたいと想い、

それが叶わなかった時の気持ちがどれだけの事なのか。

今の今まで考えれなかった。

人を好きになった経験がないことをこれほどやるせなく感じたのは生まれて初めてだった。

ふつふつと自分に対する怒りがこみ上げた。そして涙がでた。

渋谷の人並みが涙で滲んだ。

わかってやりたいのにわかってやれない。どうすればいいんだ。

今の自分にできることってなんだ。

早く真央を見つけ出してちゃんと話を聞くことからしかはじめられない。

そう思ったときには俺は馨に電話していた。

「おつかれ、今どんな状況?」

「おぉ、メールして悪かったな。今平気なん?って泣いてんのか?」

「…、大丈夫。…うん、もう別れた。そっちは?まだ連絡取れねーの?」

「まだだ。忍、あんま自分を追い込むな。お前だけのせいじゃねぇ。しかも気になる情報もある。」

「いや、俺がバカだった。今の今まであいつの気持ちが全然分かってなかった。」

そんなことを言った刹那、矢の様な言葉が俺の耳を貫いた。

「ふざけんな!自分を責めるのは後からでもできるだろ、いーから聞け!」

馨のこんな声を初めて聞いた。俺は少し冷静になれた。

「真央ちゃんの両親も心配してる。ストーカーの事もあるし。しかもさっき聞いた話だと昨日の夜、ヤン車っぽいバンに無理やり乗せられてるのを見たって情報もある。」

ストーカーと聞いてはっとなった。

「いいか、泣いてる場合じゃねーぞ。場合によっては一刻を争うかもしれねーんだ。しかもそんな時に限って、貞二は連絡つかねーし。忍はデートだし。俺もその情報が入る前はどっかで遊んでんじゃねって思って気合入れて探してなかったけど、さすがにヤバイと思う。こんな時頼れんのはお前しかいねーんだよ。しっかりしてくれ、マジで。」

まくし立てる馨の言葉を聞きながら、俺の中で冷たいものが走り抜ける。

それと同時に今自分がすべきことが明確になってゆく。

「とりあえず俺に心当たりがある。20分時間をくれ。また電話する。」

冷静さを取り戻した俺の言葉を聞き、馨は素直に電話を切った。

その瞬間から俺の頭は猛スピードで回転しだした。

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