表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/114

39話 只今アップデート中



 トンネルを抜けるとそこは元の森でした。

 強いて違うところを挙げるとすれば、目の前にデカイ銀色のナマズが死んでるってことカナー。


 はい。“濡れ銀”さんが死んでますね。

 抜けたというか、ぶち抜いたのはトンネルじゃなくてこのモンスターの体でした。

 精神攻撃っていうのか、精神世界にダイブして殴りに行ったんだけど、有効すぎるでしょう。

 まぁ、相応にMPもSPも使うみたいだし、からだを構成していた魔力も幾分散ってしまったみたいだけど。


 まぁ、ぶっちゃけると《ステータス》が下がってるってことだ。

 なんかね、体が重い。感覚的に分かるのんよ。

 体全部を魔力に変換して相手の意識にカチコミかけるとか超強いとか思ったけど、乱用は出来ないね、コレ。


 現在の《ステータス》はこんな感じ。





《ステータス》

名前:カサンドラ・ヴォルテッラ/管野 照彦

種族:ブラックスケルトン

Lv.21

HP:4580/4580

MP:2020/2020

SP:5300/5300

攻撃力:3950+790

防御力:2050

素早さ:5100


◇スキル

『不死属性』『魔力自在』『千思万考』『骨融合』『無手の天才』『足掻く』『中級鑑定』『言語理解』『覗き見』『王の威圧』『形態変化(New!)』

『呪術』『邪気』『練気』『剽悍無比』『勇猛無比』『激怒』

『幸運』『根性』『無茶』『堅牢』『物理抵抗(極大)』『魔法抵抗(大)』『HP自動回復(極大)』『念話』『指導者』

『闇魔法』『神獣の咆哮』『煉獄火炎』

『闇吸収』『火炎無効』『状態変化無効』『光耐性弱化』

『進化条件解放』




◇称号

【転生者】【重度修行中毒】【融合魔獣】【ユニークファイター】【教え導く者】【恐怖の体現者】【お客様はクレーマー】【王種殺し】【神獣喰らい】




〈 進化待機中です 〉




 あばばばばば。

 全ステータスが約1000落ちていますぅ!?

 これってゼロになったらどうなんの?

 いやそこまで使わないけどね!

 もしも《ステータス》が低い時にコレをまかり間違って発動していたら、即死だったな。

 スケルトンが骨を魔力に置き換えたモンスターだって知らなくて良かったぁ……。

 最初に赤角熊に追い詰められた時に、そのことを知っていたら多分百パーセント『形態変化』してたわ。

 師匠、ものを知っていなくてありがとう。おかげで生き延びられました!


 そして新しいスキルゲットォ!

 『形態変化』です。コンゴトモ ヨロシク。


 俺が体を魔力に変換したから取得したっぽいけど、普通はこのスキルを持ってるから『形態変化』出来るんじゃないの?

 卵が先か鶏が先か、みたいな話かもしれないけど。

 スキルがあるから実行できるのか、実行したからスキルとなったのか。

 うーむ、分からん。

 『形態変化』の取得は後者だったけども、魔法関連なんかはどうも前者みたいだしなぁ。

 それともやっぱり魔法関連も修行次第で取得出来るのかしらん?

 一応チャレンジしてみてはいるけど、未だ上手いこといってないんだよなぁ。


 水の中で瞑想してみたり、木のてっぺんで風に吹かれながらバランス取ってみたり、並べた焚き火の上を走ってみたり。


 結果は変動のない《ステータス》が物語っています。

 スキル取得どころかHPから素早さに至るまで小揺るぎもしないってどういうことよ!?

 こんな修行じゃヌル過ぎるってこと?


 深海に潜って水圧に耐え続けるとか、高山に登って雪男百人組手とかしなきゃあダメか?


 まぁそこは置いておこう。

 修行はいつだって挑戦だが、ただ突飛なだけで意味のない謎行為になってしまっては目も当てられない。

 修行の意味なんて自分で見つけるもんだけどね。

 その気になれば眼球が焼けるまで太陽を見続けるとか、死ぬまでゴマしか食べないとかでも悟りの為の道になるって漫画の神の偉大な漫画でも言ってたし。

 本人が意味がないと思ってしまえばそれでおしまいだけど。


 今は取り敢えず『形態変化』について詳しく知る時です。



『形態変化』

 体の形状を任意に変更出来るようになる。大きく変化する場合、深く自己を認識していないと元の形状に戻ることは困難。



 なるほどねぇ、つまりこの大幅なステータスダウンは上手く元の形状に戻ることが出来なかったことによるものって訳だね。

 これも要訓練ということだ。

 完璧にマスターした暁には、自由自在に体を液状に変えてバ〇オライダーごっことかも出来るって寸法ですな。

 リボ○ケインが欲しくなるね!

 俺って基本的に武器を使わないけど。

 それに代わる技を開発すればいいんだもんね!

 斬るタイプの技は既に“聖剣エクスカリバー”があるけどね!

 被ったっていいじゃない。異世界だもの。

 どうでいい話だけど、リボルケ○ンってなんだか栄養ドリンクみたいな名前だよね。


 あと、さらっとレベル上がってるわ。

 レベル21になってるわ。

 これって次の進化じゃない?

 うん、進化待機中の文字も出ているしね!


 いぃやっほぉおおうぅうう!

 キタ! 進化第二段階キタ! これでかつる!

 進化先が文字化けしているのが、ちょっと、いやかなり心配だけどね!

 まったく安心して進化先を選べない心折設計となっております。

 これで進化先どん詰まったら俺はベンダーさんに一発蹴りでも入れんことには収まらなくなるな。


 ふぅ、だけどこれも後々あとあと

 それよりも差し迫った問題がありますのよさ。

 

 それはいったい何でしょう?

 それは小さく柔らかいです。

 それは生きています。

 それは美醜の観点から見れば、かなり優れていると言えるでしょう。

 さぁ、その問題とは!?


 うん、現実逃避もそこそこにしたし、今腕の中にあるものを直視するとしますか。


 この全裸の幼女を、ね!


 お巡りさん違うんです。

 気が付いたらこうなっていたんです、私にも何が何だか……。

 誘拐とか陰謀とかチャチなもんじゃねぇ、もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……。


 見るからにモンスターな黒いスケルトンが、銀髪の全裸幼女を抱えているこの有り様を見よ。

 うん、討伐案件ですわ。待ったなしですわ。


 いや、まぁ、知らない子じゃないんだけどね。

 知っている外見よりも、幾らか幼くなっているようだから、ちょっと動転しただけなのよ。

 決して裸だからビビった訳じゃないんだからね!


 この子はアレだね。“濡れ銀”の少女だね。

 俺が付けた名前で呼ぶなら銀魚インユゥちゃんだ。

 インユゥちゃんは黒髪の少女で、銀髪幼女ではなかったはずなんだけど、どうゆうこと?


 しかし、その前に取り敢えずは服だね。

 幸い、そこの岩陰にまだカレオちゃんが隠れている。彼女に何か着るものを持ってきてもらおう。

 出来ればインユゥちゃんが目を覚ます前に。


 本当にもう、自分で背負込んだこととは言え、面倒なことが重なるぜ。


 カレオちゃんは俺のボディラングエージで――というよりもインユゥちゃんの状況を見て――理解してくれたらしく、村に向かって駆け戻って行った。

 あぁ、頼りになるわぁ。


 インユゥちゃんを木陰に寝かせ、千切ってきた何枚かの大きな葉で体を覆う。

 うむ、カレオちゃんが戻ってくるまではこれで良いだろう。

 今後の問題はヤディカちゃんの居場所を見つけることだな。


 俺の不用意な発言で傷付けてしまったヤディカちゃん。

 強さを認めて欲しかったのに、俺はいつまでも彼女のことを守るべき対象として見ていた。

 それが彼女にとってどれほど悔しかったか。

 俺は、この異世界で初めて出会った少女を大切にしたかっただけなんだ。

 誰よりも頑張り屋で、でもその頑張りをおくびにも出さず、辛いことは黙って耐え、自分じゃない誰かを思ってすぐに身を退こうとする、そんなヤディカちゃんを甘えさせてあげたかった。


 だけど、それだけじゃいけなかったんだよな。

 俺は自分のしたいことばかりで、ヤディカちゃんの気持ちに気付こうとしていなかった。

 だから、怒らせてしまった、傷付けてしまった。

 伝えなきゃいけないんだ。伝えて、それで、謝らなきゃあ。

 もうとっく君の強さは認めているんだって。

 それよりも自分のしたいことを優先して君の気持ちを無視してごめんなさい、って。


 ヤディカちゃんの居場所を『魔力感知』で探る。


 む!? すぐ傍に巨大な魔力反応が!?

 あぁ、なんだ“濡れ銀”の死体か。

 死体の魔力が大きすぎて『魔力感知』がハレーション起こしてるな。

 まったく、邪魔くさい。

 『骨融合』で骨だけでも処理して、残った皮や肉や内臓なんかは食ってしまおう。

 全部は食いきれないから、カメリーオ族の皆さんにお裾分けしても良い。

 エルカ族のお土産にもしたいから、いくつか梱包用の葉っぱも確保しておこう。

 あ、美味しい所はヤディカちゃんの為に取っておこう。

 古今東西、怒った女の子の機嫌を宥めるものは美味しい食べ物と相場が決まっているのだよ。

 魚の目玉の裏とかトロトロで美味しいよね。削いで集めておこう。

 出来ればスイーツが望ましいが、この島でスイーツとか不可能だからね。

 フルーツならあるけど、酸っぱさの際立つベリー系が主なんだよね。砂糖もないし。塩なら大量にあるんだけど。


 さて、では早速『骨融合』を致しますかね。

 実はちょっと期待しています。

 骨の一部を簒奪して吸収融合しただけでHPやらSPやら防御力やらがアホみたいに上昇したからね。

 丸ごと融合したらどんだけになるのやら。

 ふっふっふ、また強くなってしまうな……。








《ステータス》

名前:カサンドラ・ヴォルテッラ/管野 照彦

種族:ブラックスケルトン

Lv.21

HP:5680/5680

MP:3420/3420

SP:6300/6300

攻撃力:4950+990

防御力:3050

素早さ:7100


◇スキル

『不死属性』『魔力自在』『千思万考』『骨融合』『無手の天才』『足掻く』『中級鑑定』『言語理解』『覗き見』『王の威圧』『形態変化』

『呪術』『邪気』『練気』『剽悍無比』『勇猛無比』『激怒』

『幸運』『根性』『無茶』『堅牢』『物理抵抗(極大)』『魔法抵抗(大)』『HP自動回復(極大)』『念話』『指導者』

『闇魔法』『神獣の咆哮』『煉獄火炎』

『闇吸収』『火炎無効』『状態変化無効』『光耐性弱化』

『進化条件解放』




◇称号

【転生者】【重度修行中毒】【融合魔獣】【ユニークファイター】【教え導く者】【恐怖の体現者】【お客様はクレーマー】【王種殺し】【神獣喰らい】




〈 進化待機中です 〉




 おぉ?


 おおおおおお?


 変化してる、これ?

 プラス1000程度?

 いや、『形態変化』で失われた分が綺麗に補充されているだけか。

 これって、一回融合した相手の骨では大きな成長は見込めないってことなのかね。

 『形態変化』で喪失した《ステータス》が補充できたのは、失った分の魔力が“濡れ銀”の中に残存でもしていたのだろう。


 思い返してみれば、デカゴリラを討伐して『骨融合』で欠損した左腕を直した時、直後は《ステータス》の上昇があったけども、その後サルの骨を『骨融合』した際に一緒にもう一度ゴリラの骨も混ぜた時、ゴリラ分の上昇は無かったように思える。

 スキル修得もサルの分だけだったしなぁ。


 『骨融合』はモンスター一体につき一回だけ、と覚えておこう。


 結局、肉と皮だけになった“濡れ銀”が発する魔力で『魔力感知』がジャミングされてしまうので、ヤディカちゃんをこのまま探すというのは不可能だった。


 仕方がない、インユゥちゃんが起きて動けるようになったら、エルカ族の集落に戻ろう。

 ヤディカちゃんもきっと帰っているだろうし。

 まさか、一人で“濡れ銀”を探して森をさ迷ってるってことは無いよね……?

 いや、ヤディカちゃんは賢い子だ。そんなことはないと信じたい。



 で、進化はどうするかなぁ……?

 今すぐは出来ないんだけどさぁ、こういうのって、分かんなかったり決めなかったりしたまんま放置してると落ち着かないのよね。

 あぁもう、本当に文字化けさえ無ければ!

 進化先が二つあるってのは分かってるんだよ。でも今はその二つあるのが問題なんだ!

 いっそのこと一つしか無ければ悩まずにベンダーを殴りに行けたのに!


 だが、どちらにせよ決めねばなるまい。

 例え文字化けしており内容が分からなくても、勇気を持って決断しなければ物事は前に進まないのだ。


 一応、進化先を確認しておこう。




▼ ブラックスケルトン


→ ダークスケルトン

 ブラックスケルトンがレベル21に達することで進化可能。より闇魔法と陰業に特化しており、暗闇で発見することはまず不可能。不吉の象徴。



→ カーススケルトン

 ブラックスケルトンがレベル21に達し、呪術の使用回数が100回を超えることで進化可能。呪いに特化しており、様々な呪法を操る。不幸の象徴。



→ タタリ

 ブラックスケルトンがレベル21に達し、尚且つ特殊な称号を3つ以上保持していることで進化可能。

 詳細の一切が不明。唯一分かっていることは、関わってはいけないということである。





 おんやぁ?

 なぁにこれぇ?

 文字化け治ってるよ? 何が起こったの?


 ダークにカースは分かるぜ。

 暗黒の骸骨に呪いの骸骨ね。正当な進化先って感じだね。どちらも黒い骸骨ってイメージから外れていない。

 で、だね、最後のタタリってのは何ぞや?

 コイツだけ異彩を放っている。

 詳細一切不明? どういうことなの?

 何で急に日本語でカタカナ表記?

 異世界の管理者とやらのセンスを疑うわぁ。


 ん、待てよ。

 文字化けが治った……?

 進化先が分かったってことは、じ、じゃあ、その更なる進化先も分かる!?

 文字化けが治ったなら見れるはずだよね!?

 俺の、俺の最終進化を、究極のネタバレを!

 ハッハッハーッ! 俺は自分のネタバレでも構わずに覗いちまうケチな男なんだぜ!




『これ以上の進化先は只今アップデート中です

            次回の更新をお待ちください』




 ズコーーーーーッ!

 アホか! コケるわこんなん!

 マジでα版のゲームかなんかかよ!

 どっちにしろ分かんねぇんじゃねぇか! 

 この世界のシステムガバガバだな!

 デバッガーいなかったのか!?

 責任者、出てこォおい!!



 はぁ、はぁ、はぁ……。

 あぁもう、“濡れ銀”と戦った時よりも疲れる。

 もういいや、しばらく進化は忘れよう。

 カレオちゃんもそろそろ来るね。気配が近付いて来てるのが分かるわ。


 インユゥちゃんに服着せて、“濡れ銀”をさっさとお裾分けして帰ろう。

 うん、ちょっとゆっくりしたい気分だよ。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ