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38話 第二の必殺技


 目の前が開ける。

 魚の群れを突破したのだ。

 いったい何匹叩き落としたかな? 1000は下らないと思うんだけど。

 『千思万考』ワールドと違って、ここではMPもSPも消費してしまうし、回復もしない。

 だが、敵が雑魚ではなぁ!


 リーダー個体よ、貴様の敗因は一つ。たった一つのシンプルな答えだ。

 テメーは俺より弱すぎた。


 脳天に手刀を振り下ろす。

 あっさりと魚リーダーの頭は砕けた。

 これで一匹。リーダー個体はまだ何匹もいるが、殲滅は時間の問題だな。


 圧倒的な数で押し潰す戦術は悪くないが、ことスケルトンのようなアンデッドにそれは悪手だろう。

 アンデッドとは基本的に疲れを知らないからだ。

 相手が人間やその他動物であり、集中力や体力に限りがあるならば数を頼みに突貫するのも悪くないが、アンデッドは壊れるまで動くのを止めないぞ?

 まぁ、俺は意識が人間だから一概にはそうだとは言えないんだけど。


 『千思万考』ワールドの中で平気で一週間近く修行をする俺に、集中切れを期待するなよ?

 お前らが根絶やしになるまで延々と狩り続けてくれるわ!


 再度、リーダー個体を中心とした群れに突撃。

 『煉獄火炎』ブースターもここで実戦での使用感覚を掴んでおこう。

 どれだけ威力を絞ろうとも、『激怒』無しでは『煉獄火炎』は安定しない。

 現状、俺は『煉獄火炎』の為に無理に『激怒』を発動させ、そのデメリットを抑え込んでいる状況なのだ。

 それも精神世界だから出来る荒業なんだけどね。

 その内『煉獄火炎』単品で安定させてみせる。その為の訓練と行こうじゃないの。




「――――!」

「――――!!」

「――――」


 魚たちが口をぱくぱくとさせながら、声にならない悲鳴を上げている。

 せめて“濡れ銀”のように合体して巨大化すればまだ勝ち目はあったのかもしれないけどな。

 もう遅い。


 六本腕を回転させ、二つ目の魚群を食い破り、直ぐ様三つ目の魚群に肉薄。『煉獄火炎』ブースターの噴射炎でまるごとウェルダンに焼き上げる。

 うむ、醤油と大根おろしが欲しくなるな!


 四つ目から七つ目までの魚群は勢いのまま殴り抜けた。

 多くの魚が残ったが、リーダー個体だけは粉砕している。


 まだまだ魚共は残っている。

 大きな群れだけでも100以上。小さい群れまで入れれば、まぁ、数え切れないね。

 このままリーダー個体を狙って潰していってもいいんだが、時間がかかるな。


 精神世界が現実とあまり変わらない時間が流れているということは、カサンドラ師匠との修行の時に嫌というほど理解したし。

 『千思万考』のようなスキルを使わないでもしない限りは、今体感している時間がそのまま外の時間と考えて間違いないだろう。

 よし、ここは一つ、修行中のライダー技を試してみるとしようか。


 一撃にて多くの敵を倒す虐殺技。

 未だ習得に至らぬ未熟な俺だが、精神世界の中で想像力補正が働くならば、出来るはず!


 ……本当に今更なんだけど、想像力がそのまま力になる精神世界において、モンスターと言えど魚が人間に敵う訳が無いんだよな。

 この世界での戦いに引きずり込んだ時点で、俺の勝ちはほぼ決まっていた様なものだったのだ。

 極論、この精神世界全てを覆い尽くして燃え上がる太陽を呼び出したりも出来るわけで……。

 まぁ、相応に精神力や魔力を使うので、身の丈に合った想像しか実現できないんだけどね。


 俺は地面? に降り立ち、頭上の魚共に向かって、六本の腕で空間を掴むように構える。



 魚は群れのリーダー個体を殺されると、リーダーの生き残っている他の群と合流しようとする習性があるようだった。

 最初に俺を襲ったように、段々と群の規模を大きく成長させ、窺うようにこちらを狙っている。



 “濡れ銀”と魔力で同化している影響かね?

 なんとなくなんだけど、コイツらを一匹でも残しちゃあいけない気がするんだよ。

 多分、一匹でも残ったら魚共はその内また増える。

 それが分かる。

 そうすれば、今少女を助けることが出来ても、またいつか少女は“濡れ銀”となってしまうだろう。

 魚共が煽る空腹に内側から食い尽くされて。


 だから、雑な技は許されない。

 纏めて葬るならば、確実に。

 魂の欠片も残さない程、徹底的に。


 腕を大きく振る。

 そこに巨大な敵を掴んでいることをイメージして。

 振り回す。大きく円を描き、螺旋をなぞり、風を生み出しながら。



 これは、一番最初に改造された男の技を、十番目の戦士が模倣し取り込んだ技だ。

 俺は漫画でしか知らないけど。

 翼を持ち宙を舞う怪人たちを腕の動きで生み出した竜巻で拘束して渦の中心に集め、自身も竜巻に飛び込み回転力を上げて、孔を穿つように蹴り貫く。


 今の俺に必要な、“敵を拘束”し“一つの場所に集める”という条件を満たしたライダー技だ。


 俺の生み出した風は、その勢力を増し、暴力的に渦巻き、高く昇っていく

 正しく、竜巻。



「――――?」

「――――」

「――――!?」


 魚たちは自分達が風の渦に飲み込まれ始めているのを見て、ようやくその脅威に気付いたようだった。

 つくづく俺と相性の悪い奴等だな。

 いや、俺にとっては良いということだけど。


 万が一にも逃げ出すことの無いように、生み出した竜巻に『邪気』と『呪術』を加えて行動阻害効果を上げておく。

 おぉ、真っ黒な竜巻になった。

 厨二心がくすぐられるな!



「トォオ!」


 気分は既に完全にライダー。

 気合いを叫びに込めて、俺は竜巻に飛び込んだ。

 『煉獄火炎』ブースターが竜巻に絡め取られ、更に爆発力を増していく。

 黒い竜巻に炎が螺旋状にl疾はしり、より厨二心を喜ばせる外見に!

 足に魔力を集中。

 赤角熊をぶち抜いた時と同じドリルを形成。


 ライダーとスーパーロボットの合体浪漫技!

 黒い竜巻に赤い炎といえば、イメージは黒龍。つまりブラックドラゴン!

 えーっと、ではこの技の名前は『ブラックドラゴン・ギガドリルキック』?

 長い、くどい、言い切る前に蹴りが当たっちゃう。却下。

 ぬぅ、技名が決まらなければ放つことが出来んじゃないか!

 もうジャンプしちゃってるんですけどね!?


 回転がどんどん上がっていく、これ、狙いつけるのスゲーしんどい!

 あぁ! 一塊になった魚の群に当たっちゃう!

 なんか、なんか技名、しっくり来るヤツ、シンプルでいて力強く言い切れるような、最高の技名を!


 あぁヤバい当たる当たる当たる!

 えぇい、ならもうフィーリングで叫べ!

 必殺!


「炎殺! 黒龍脚!」


 銀色魚の群に俺の渾身の蹴りが炸裂した。

 と、同時に魚達を押さえ付け渦巻いていた火炎竜巻が群の内側へ収縮し、その圧力に耐えかねたように大爆発を起こした。

 その衝撃は俺も吹き飛ばす。


 骨が砕けるゥ!?

 これ自爆技かよぉ!?

 咄嗟に魔力義肢で防御するも、四本の腕はあっさり崩壊。

 俺は地面? に叩き付けられた。


 ……痛ぇ。


 受け身を取れたから良いものの、失敗してたら全身砕け散っていたな。

 今のが今回の戦闘で一番大きいダメージとか笑えないね。

 魔力義肢の多重展開と必殺技でMPもSPもカツカツだし、実は案外崖っぷちだったのね。

 俺って燃費悪いよなぁ。


 魚の群は跡形もなかった。

 鱗の一枚も残さず完全に爆破焼却処分できたようだ。

 ふぅ、良かった。

 ぶっつけ本番の大技だったが、上手く行ったみたいね。


 少し安心したので技名について一言。

 『炎殺黒龍脚』っておい、キックどこ行った?

 元の名前が跡形も残って無いじゃないの。

 いや、そもそもネーミングセンス(模)になってるんですけど。なんだか額に第三の目というか、邪眼が開眼しそう。


 ん? 今更か?


 まぁ、ヒーローの技名って何処と無く外れてる感じがするのも多いしね。それがもう魅力な訳だし。

 うん、俺のネーミングセンスだってセーフセーフ。

 むしろ王道ですよ。


 ふぅ。

 馬鹿やってないで扉を開けるか。


 銀色の魚が全て剥がれた扉は、小さくてぼろぼろだった。

 でも、きっと本当は可愛らしい模様なんかが付いた女の子らしい扉だったんだろうな。

 そっとノックをする。


「……」


 中からこっちを窺う気配はするけども、返事はない。

 警戒してるんだろうね。まぁ、当然だけど。


 そもそも此処は精神世界。

 通常、他人が入ることのできない不可侵領域であるはずなんだ。

 そこに勝手に寄生していたモンスター魚や、見た目完全に悪役な俺が居るわけです。

 信用できる筈がないね。


 仕方がない、頑張ってコミュニケーションを取ってみましょう。

 人と関わることについては、以前の俺の経験もカサンドラ師匠の知識も絶望的なまでに役に立たないが、なぁに男は度胸、なんでもやってみるもんさ。

 今の俺の骨格からだは女だけどな!

 カサンドラ師匠は一応女性にカテゴライズされるはずだからね! きっと、おそらく、メイビー。

 最近自信が無くなってきたけど、そうであったはず、だよね?


「そのままで良い。聞いてくれないか?」


 うぅむ、何を話せば出てきてくれるだろうか?

 流石に強引に踏み込む訳にもいかないしなぁ。

 取り敢えず、まずは自己紹介からだな。


「私はカサンドラ。故あってスケルトンの体だが元は人間だ。此処には君を助けに来たんだ」


 こんな真っ黒い骸骨がいきなり、もとは人間で君を助けに来ました、とか言っても訳が分からないと思うけどね。

 そもそも助けようと思ったのも半ば勢いだしなぁ。

 “濡れ銀”の体ぶち抜いて、少女の記憶にたまたま触れなければ、俺はこの子に気付くこともなく“濡れ銀”ごとこの子を殺していたんだよな。

 亜人や人間を助けてモンスターは殺すなんて、俺のエゴもいいところだけどね。

 神様でもない俺が、生き物の生き死にを勝手に決めて勝手に殺しているんだ。

 生殺与奪の権利を握って優越感に浸っているだけ、なのかもしれない。


 でも、俺は人間だ。

 体はスケルトンだし、今まででは考えられないスキルと《ステータス》を持っているけど、

 俺の意識はモンスターではなく人間に依っているんだ。

 だから、俺は俺のエゴで人間に肩入れする。

 悪いがモンスターには、そのための糧となってもらう。

 これが間違った考えならば、俺はいつか本物のモンスターとして誰かに討伐されるんだろうな。


 いや、済まない。今は君のことだな。思考がすぐに逸れてしまうのは俺の悪い癖なんよ。



「此処が君の心の中の世界、ということは分かるだろうか?」


 扉の向こうでもぞりと動く気配がした。

 お、脈ありかな?

 こっちに興味を持ってくれたかな?


 ていうか、俺ってばナチュラルに助けに来たとか言ってるけど、この子は此処に居ることに不都合を感じているんだろうか?

 心が折れて引きこもっている人を、無理やり部屋から引きずり出そうとしてるんじゃないのか、俺は。

 俺も引きこもっていたから、その優しいお節介がビックなお世話だってことは分かる。


 でも、この精神世界は、もう保たない。

 この世界を支えていたのはこの子じゃなくて“濡れ銀”という魚型モンスターの集合体だ。

 少女はその繋ぎになっていたに過ぎない。

 肉体に守られていない未熟な心だけでは、精神世界を維持することは出来ないのだ。

 助けに来た、というのは嘘じゃない。

 少女がこの先生きのこる為には、一度精神世界を脱し、肉体を取り戻さなければならない。

 元々の体は“濡れ銀”に同調してしまっているようだから、自分で再構築する必要があるだろうけど。

 まぁ、そこは普通の女の子には無理だ。俺がサポートしよう。

 幸い、魔力を捏ねて色々作るのには慣れているしね


 そのことを伝えると、動揺した気配が伝わってきた。

 やっぱり話は聞いてくれているみたいだ。


「死にたくないのならば其処から出てくる必要がある。私ならば君が生き残る手伝いが出来る。どうだろう、信じてくれないだろうか?」



 軋んだ音を起てて、扉がゆっくりと開いた。

 小さな女の子だ。

 勝ち気そうな三白眼に、長めの黒髪を両サイドでお団子のように纏め、そこから三つ編みがツインテール風に垂れている。

 服装は、彼女が最後に着ていた東風ドレスのようなものだ。何処と無く中華っぽい。

 年の頃は十代の半ば程か。

 “濡れ銀”の記憶を覗いたときに見えた時のまま成長していないんだな。


 ヤディカちゃんと同じ位か。

 ヤディカちゃんとカレオちゃん、それにこの“濡れ銀”の少女。

 同じような年代の女の子達揃ってきたな。

 この年代の女の子は不幸な目に遭うというジンクスでもあるのか?


 あ、俺を見てビクッとした。

 外見怖くてホントにゴメンね。

 これはもう俺にはどうしようもないんだ。


「……信じるって、何をだよ?」


 おぉ、乱暴な口調だね。

 あんまりこの島では見なかったタイプだよ。

 何を信じればいいかって?

 そりゃまぁ、この真っ黒い骸骨ですよ。これしか君の前にいないでしょうに。


「モンスターを信じろってのかよ?」


 嫌かもしれんが、堪えて欲しいね。

 でなけりゃあ助けられるもんも助けられんよ。

 いつかのヤディカちゃんの時みたいに強引に助けるってことも考えたけど、この子はそういうこと嫌がりそうだし。

 まぁ、本当に切羽詰まったら首根っこ引っ掴んで助け出すけども。


「嫌か?」

「嫌だね。それに、此所から出ていったらまた腹が空くじゃねぇか。アタシはもうあんな辛い空腹は懲り懲りなんだよ。此処に居れば、腹は減らねぇ」


 空腹、か。

 元の世界でもこの世界でも、俺は空腹に悩まされたことがないから、その辛さは共感出来ない。分かった振りをするのも違うしな。

 彼女にとって空腹の辛さは自分の生き死にの天秤に乗せられるくらい酷かったのだろう。

 俺に出来ることは、せめてその不安を軽減することくらいだ。

 後はあれだね、セールストークだね。


「腹は減らない。それもいいだろう。だが腹が満ちる喜びも無いのではないか?」

「……それが、なんだよ」

「私は此処に来る前に肉を食べたな。猪の肉だ。よく熟成していて実に美味だった」

「……っ!?」


 くくく、力尽くで通らぬなら兵糧攻め(精神)よ。

 腹が減ってモンスターに成るまでになった君が、この誘惑に耐えられるかね?


「付け合わせのキノコがまた良い仕事をしている。知っているか? ここの森に自生するキノコは肉厚で香り高い。猪肉独特のクセに負けず、だが殺し過ぎず、見事に調和するのだ」

「……ぐぅ」

「あぁ、忘れてはいけないのはスープだ。ここでは塩が不足しない。塩漬け肉と野菜の切れ端だけを煮込んだ簡単なものだが、それ故に素材の味が立つ」

「うぐぐ……」 

「だが一番はそれらを調理する人の手だろう。エルカ族は実に腕の良い料理人が揃っている。人であった時でもあれほど美味いものを食べたことは無かったな」

「……う~!」


 ふふ、かなりダメージは大きいようだな。

 ヨダレが滝のように流れているぞ? 腹が鳴っているじゃあないか、んん?

 だがこれで終わりではない。

 私の食事はこの後も待っているのだからね!


「あぁ、帰ってまたあのご馳走を賞味するのが楽しみだ」

「……ぅう、うがー!!」


 少女が扉を開け放ち、勢いよく俺に向かって飛び込んできたかと思うと、本職真っ青のヤクザキックを俺にぶちこんだ。

 ぐふ、いい蹴り持ってるじゃあないの。

 避けられたけどね!

 食い物の恨みを晴らしてあげるためにわざと蹴られてあげたんだからね!


「本当なんだろうな!? 本当に美味い食い物があるんだな!? 嘘だったらお前の体で出汁を取るからな!」

「勿論だ。スケルトン嘘吐かない」


 クックック。胃袋を掴んでしまえばこっちのものよ。

 冗談抜きでエルカ族の食事は美味しいしね。

 最近になって特にクオリティが上がったのよ。

 やっぱり生活に余裕ができてきたから、ただ栄養が取れれば何でも良いような食事から、嗜好品としての意味合いを付加出来るようになってきたんだね。

 この前なんかハンバーグっぽいのも作ってたしなぁ。

 個人的にはホルモンが美味かったよ。マルチョウって言うのかね。白米でカッ込みたくなる旨さでした。


 あぁ、米食いたい。

 日本人を米が食えない世界に送るとか虐待に近いものがあると思うよ、俺は。

 というか、この世界に来てから炭水化物摂ってない。

 ああああああ米食いたい!


「……分かった、アタシの負けだよ。此所から出る。連れていってくれ」

「あぁ。決して後悔はさせない。私の手を取ってくれ」

「こうか?」


 女の子と手を繋ぐことにも段々慣れてきたな、俺。

 これが成長ってヤツね……。

 フフフ、恥かしかった頃が、懐かしいくらいだぜ。


「では脱出する。無○の彼方へ、さぁ行くぞ!」

「は? 何?」


 ごめん、ノリで言ってるからいちいち突っ込まなくてもいいのよ。

 『煉獄火炎』ブースターで空へ飛び上がる。これはカッコつけて落ちてるだけじゃないぜ。一応、ちゃんと飛んでます。

 短時間だけだけどね。

 『剽悍無比』で跳ねてもいいんですが、多分この子は確実に酔うだろうしね。


 そういや、俺この子の名前知らないぞ?


「済まない。ここまで来ておいて今更だが。、改めて自己紹介をしよう。私の名前はカサンドラという。君は?」

「名前なんてとっくに忘れちまったよ。アタシ、すごく長い間あの部屋のなかに居たんだ」

「……自分の名を忘れる程、か」

「今まではそれで不便しなかったんだけど。これからはそうもいかないよな」


 そうだねぇ。ここは一つ、俺が名前を考えようか?

 そう提案してみる。

 嫌がるかと思ったんだけど、案外満更でも無いみたいだ。


 じゃあおねーさん頑張っちゃうわ!


 えーっとね、格好が少々エキゾチックテイストだから、名前もそれに合わせた方がいいよね。

 “濡れ銀”から生まれ直すと考えて、銀の魚を中華風に、インユゥ、とかどうでしょう?

 シルバーフィッシュとかに比べれば、マシではないかと思うんですが! 


「ふーん、不思議な響きの名前だな。でも、ま、悪くねぇよ」


 オーケー貰いました!

 やったぜスケルトン、俺のセンスは間違って無い!

 でもできれば誰かネーミングセンスを下さい。言い値で買いますから!


 そんな感じで、俺は壊れかけた“濡れ銀”の精神世界の壁をさっさとぶち破り、現界へと脱出を果たしたのだった。







お客様の中にネーミングセンスをお持ちの方はいらっしゃいませんか?

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