新メニュー!
「ヒロトさん!新しいメニューできました!!」
ヒロトの目の前に差し出されたのはパフェ。
「青色って涼しいかなって!ゼリーとか青くするのにかき氷のシロップつかったんです!アイスもソーダにしてみました!」
薄い青に染まったパフェは、きれいに輝いていた。
「…普通。」
ヒロトの感想は一言。けれど。
「これが作りたいなら、注文されたらお前が作れ。」
「いいんですか?!ありがとうございます!」
自分のメニューが採用され、飛び跳ねて喜ぶミナト。その笑顔を見たヒロトは、ふと亡くなった母親の姿を重ねた。
(あの時もっと強くとめてたなら…)
ヒロトの両親は事故で他界した。出かける直前はひどく雨がふり、視界も悪かった。急ぐ用事じゃないなら、今日は出かけないほうがいいんじゃ?ヒロトは2人を止めていた。しかし、
「大丈夫よ!すぐそこまでだから。ヒロトは店で留守番していて!まぁ、この雨じゃお客さんも来ないでしょうけど…」
そう笑いながら話す母親。そして出発するぞ、と声をかけた父親。2人の姿をみたのはそれが最後だった。
雨で視界が悪く、慣れない道でもあったせいか、単独事故を起こした。
なんであの時とめられなかったのか。2人は一体何のために出かけたのか…
「…さん…ヒロトさん…ヒロトさん!」
ミナトの声ではっとした。
「なにかありました?考え事してたみたいですけど…」
「いや、なんでもない。少しぼーっとしたたけだ。」
2人が亡くなり静かになったカフェにミナトが来たことで、確かに雰囲気が明るくなり、以前の姿を取り戻しつつあること、ミナトと話している間だけはそのことを忘れられた。だからこそ、思い出すと本当に意識がとんでしまった。
(しっかりしないとな…)
そうおもいながらヒロトは開店の準備をはじめた。