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何もない日常。

私の致死希望

作者: Hino

「こんないい日は死にたい。」

それが彼の最大の愛情表現。


怠惰~、の続編。

素晴らしい瞬間を永遠にしたい、そう思うのは素直な感情でしょう?

が、作者はこんな恋人は重くて嫌ですね。

「…あぁ、今日も死にてぇ」

ふぅ、と一つ息を吐きながら、平然と不穏なことを言ってのける目の前の男。


「はぁ……今日はどうしたの?」

毎度毎度のことに思わず溜め息も漏れる。


「今日はとても天気が良いだろ?」

「……死ぬのに良い日だって言いたいの?」

「さすがだな……その通りだ。」


=====


彼と出会ったのはもう3か月くらい前の話だ。

なんとなく甘いものが食べたくなった寒い冬の夜。

雪も散らついてて、本当は外に出るのも億劫だったんだよね。

でも、どうしてもホイップたっぷりのスイーツが食べたくて、コートにセーターを着込んで出掛けたんだ。


徒歩5分の近場のコンビニ、商品の入れ換えの時間だったのか一個も棚に並んで無いの。

仕方なく次に近いコンビニに向かってた最中の道、月が綺麗に光ってるなーって見上げたとき……その通りに面したマンションから飛び降りようとしていた男、それが彼だった。


いやもうホントびっくりしすぎて、真夜中ってのも忘れて大声で叫んだよね、危ない!!って。


=====


「……なんか出会ったときのこと思い出したら、ちょっと腹立ってきたんだけど。」

「あ?どんなだっけ?」

「飛び降りようとしてたやつ。」


んー、と唸りながらなんとか思い出そうとしている様子から察するに、彼は覚えていないらしい。


「……暇だから死のうって言ってた日よ。」

「あぁ、お前が下にいる人に当たったら危ないって助言してくれた日な。」


=====


結局コンビニに行くのはすっかり忘れて、自殺寸前を見たって驚きのまま家に帰った。


次の日、朝から暇を持て余してた私はなんとなく町に繰り出してた。

いつもだったら友達にメッセでも送って、買い物とかご飯に行くのに、一人で歩きたい気分に駆られて。


お腹も空いてきたお昼時、入ったレストランは休日の街中ということもあって、ほとんど満席に近い状態だった。

待つんだったら帰ろうかな、なんて思いつつ入ったら一人ってこともあって、すぐに案内された。


「……でさー……が……」

…で、すぐに案内された…のは良いんだけど……

学生グループの大声がうるさい!!

いや、店内の状況から言ったらむしろ静かに話してるくらいなんだけど、私には一際大きく聞こえた。

で、耐えきれなくてそっちを見た。


「あっ、飛び降りようとしてた男だ。」

ボソッと隣の人にも聞こえない、それくらい小さい声だったのにその男ーー彼は私の方を見た。


まずっ、聞かれた?

慌てて会計を済ませて出ようとした。

「わりっ、ちょっと知り合い見っけたからここで抜ける!」

そう後ろで言ってるのが聞こえた。




「なぁ、名前何て言うの?」

先程後にしたレストランを出てから、ずっと声をかけてくる彼は、近場で見たら、かなり整った顔をしていた。

……のは良いんだけど、ナンパに近い調子で声をかけてくるのは……正直邪魔くさかった。


=====


「佐藤太郎!!」

「え?」

「いや、話しかけてんのにボーッとしてっから…」


ちょっとふて腐った様子でいる彼はかなり子供だ。

でも……

「(そうだった、コイツのこんなところに落ちたんだっけ、私)……て、誰よ佐藤太郎って。」

「お前が俺に名乗った名前だろ?」

「あぁ、そう言えばそんなこともあったね…」


ナンパな調子にサッサと離れたくなった私が名乗った名前。

適当すぎて性別すらおかしいその名前、あのときのコイツは何故だか嬉しそうに反芻していて、呆れたんだよね……無性に可愛く見えた私自身に。


「ねぇ、好き?」

「死ぬほど好き」


まっ、私に殺されたがってる変態だけど、ね。

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