わたしとコウ ~プロローグ~
もう、なんにもいらない
ずっとのぞんでいたこと
かなったし
これいじょう、何も望んではならない
そうよ、私はここにいる
あなたとともに、生きている
「おまえんちの犬、おとなしいなぁ」
そこらへんのやつらと一緒にしないで頂戴よ
「だろ~?ほんとおりこうさんなんだ」
・・・あたりまえじゃない
「うちの猫なんてさー、どっからえさもらってんだか、ぶくぶく太る一方なんだよ。・・・ぽち、おいで~」
・・・汚らわしいわ
「ははは、逃げられてや~んの。しかもあいつぽちじゃないし、メスなんだけど。」
「犬だったらぽちだろ。おれんちのねこは、全部名前たまだぜ」
「どやって呼び分けんの」
「呼び分ける必要なんてないさ~、えさん時に集まってくれれば」
私と飼い主のコウは、前世恋人だった。運命の中で引き剥がされた私たち。「来世では・・・」と幸せを誓った。形はどうであれ、コウが覚えていないのだって、私は気にしない。だって私はあなたと平和に暮らせてるもの。
「おい、おまえ。そうそうおまえだよ。こっちだ、こっちおいで」
生まれ変わる前、神に呼ばれた。ふざけた神だった。
「おまえはな、次回犬になる予定になっとる。まあでも、かわいそうだから運命は好転する様取り計らってやろうな。さ、支度しといで」
・・・どうしてこんなこと覚えてるのか、わからない。
そして私は、ある家の飼い犬の仔として生まれ、コウの家に拾われ、今に至る。好転・・・ねぇ。粋なことするわ。
「ゴールデンはかわいいっていうけどさ、あの子その中でも美人だと思うぜ」
「だろ!?なんか輝いてたんだよなぁ」
「動物好きの俺からみても、あの子レベルは見たことない」
「ふふん、どもども」
私はあきれてコウの横に寝そべる。コウとこのガキは、話の火がついたらとまらない。それだけ仲良しなのも、気にくわない。
だからといって甘えないのが一流の女というもの。
何気なく撫ぜてくれるコウの手。それがあれば十分なのだ。