誕生日
中国では、旧暦も大事にします。旧暦のお正月である春節だったり。旧暦のお誕生日だったり。今回は、母親が旧暦の誕生日を迎えた成年、竜希のお話です。
『誕生日』
俺は竜希。日本生まれ日本育ちのチャイニーズである。
今朝、俺の母親は昨日が旧暦の誕生日だったことを知った(旧暦じゃない方の誕生日は来週)。どちらも大事な誕生日だ!とバイト後花束を買った(来週はケーキを予約済み)。でも、
「こんなにいっぱいあなたがくれたら、妹ちゃんが困るでしょ」
と母は言った。
もっと喜んでくれるかと思った。旧暦だって、旧暦じゃなくたって、誕生日は誕生日だ。祝わないわけがない。だけど、思った反応じゃなかった。俺はどんな顔をしていいかわからなくて、リビングからの去り際で
「良いだろ、別に」
と言って部屋に帰った。まぁ、勝手にプレゼントを用意して、勝手に反応を期待していた俺も俺だが。
俺はしばらく自室にこもって携帯をいじった。一階にある自室が寒すぎるので、温かいものが飲みたいと母親のいるリビングに行った。すると
「竜、このお花とお母さんの写真撮って。自撮りじゃ腕が足りなくて」
と、母親に携帯電話を渡された。
俺はちょっと、嬉しかった。