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衝動の天使達 3 ─殲滅戦線─  作者: 水色奈月
Chapter #26
131/164

Part 26-1 ─Act II─ One Step from Hell ─第2幕─ 地獄への一歩

The ramp in front of the main entrance of the NDC HQ.Bld. Chelsea Manhattan New York City NY., 13:24 Jul 14 2019/

Rukban camp near the Tanf border crossing southeast of Homs Syria, 21:37 Jul 7 2019

2019年7月14日13:24 ニューヨーク州ニューヨーク市マンハッタン チェルシー地区NDC本社ビル正面玄関前スロープ/

2019年7月7日21:37 シリア・ヒムス南東タンフ国境通行所近隣ルクバーン・キャンプ





「どうか孫を──ジェシーをわたくしの元へお戻しくださいませメシアよ」



 コンクリートのスロープにひざまづいた老婆が両手でスーツにすがりついて涙浮かべ懇願こんがんした。



 マリア・ガーランドは困惑げな面もちで老婆の両手を握りしめ優しく説き伏せた。



「他の方にもご説明したように私は予言者(メシア)でもないし、亡くなって時間が経った人は復活させられないの」



 だが老婆は震える手でマリーの手を握りしめ訴えた。



「いえマリア様、貴女あなた様はメシアです。テレビの中継をこの眼ではっきりと見ました。貴女あなた様は罪人らに罰をお与えになりなお命をお戻しになられた」





 マリーは閉口した。





 NBCスタジオでの蛮行に凄まじいバッシングを覚悟したのだが炎上は思ったほどでもなく、予想外に身内や恋人を事故や病で亡くした人達がNDC本社ビルにたずねてきて天命をくつがえして欲しいと詰めかけた。



 最初の十数人は臨時社長室としたルナの執務室で面談し丁重に断っていたのだが、放送終了から三時間もしないうちに救いを求める人が百人を越えマリーは正面玄関外でみなに辛抱強く説明した。



 断ってもことわっても次々にあらわれる。



社長(COO)、カトリック教会の教区司祭から説明を求める電話が掛かっています。他にも幾つかの宗派からの問い合わせが────」



 耳元のささやきにマリーがわずかに視線を向けると総務部長のエリザベス・スローンの疲弊した顔がかたわらにあった。



 怒りと勢いからしでかした事へのむくいだとマリーは目眩めまいを覚えた。こんなことなら社内のエレベーター・ホールで絡んできた自称神男を捕まえておいて突き出せば良かったとマリーは冗談のように考えた。



「リズ──どうにかしてこの修羅場から抜け出せないかしら?」



 そうマリーは総務部長に小声で持ちかけた。



 いきなりエリザベス・スローンは手をたたき鳴らし群衆の視線を集め大声で宣言した。



「マリア様はこれからローマへ向かい教皇きょうこう様とお会いになるご予定があります! みな様、ここは一旦お引き取りを!」



 教皇きょうこう!? マリーはリズへ引きらせた顔を向け彼女の後先考えてない発言に青ざめた。その社長の手を引いて総務部長は正面玄関のブロンズガラスの回転ドアを押し回した。



「ちょっとリズ! あんな事をみなに言ったら、バチカンにも知れ渡るじゃない!」



 エントランスへ入った直後マリーはエリザベスに抗議した。



「急場を抜け出すのをお求めになられたのは社長(COO)です。これで時間を稼ぎました。それよりも社長(COO)、異世界へもう一人の貴女あなたといなくなられて戻られる数分間に何をされていたのですか?」



 そうリズに問い質されマリーは言いだしたのがきっとルナだと思った。



 まだ誰にも累々と連なるマルチバースのことを告げていない。去年、一つの異世界をおおやけに見せたらすごい騒ぎになった。普通の人がそれらを突きつけられるとおのれのアイデンティティを保とうとするあまりに強い拒否反応をしめす。



 何をどこまでいつ人々に知らせるか、迂闊うかつに動くとまた今日のように戸惑うことになる。



社長(COO)、玄関口で詰めかけた方々に応じられている間に、かなり各SNSで当社アカウントの炎上は沈静化の傾向をみせています。ですが余談を許しません」



 そう総務部長が説明した直後、わめき声が聞こえて二人は立ち止まり振り向くと従業員エレベーターの列横にある階段口から二頭のホワイトタイガーが躍り出てマリーとリズが顔を引きらせた直後、セキュリティのリーダーの一人ロバート・バン・ローレンツが二頭につけたリードに引っ張られ出てくると大理石の床に引きり倒された。



「ロバート、どうしたの!?」



 そうマリーが聞くと彼が引きられながら顔を上げ抗議した。



「マリー! 何とかしろ! こいつらを押しつけてどうしろというのだ!?」



 マリーが手を叩き合わせ鋭く命じた。



「おいでポルックス! カストル!」



 顔を振り向けた二頭のベンガルト虎は足を滑らせ走り出すとロバートはリードを手放した。



 駆けてくる二頭の猛獣にリズは短い悲鳴を漏らしマリーの背後に逃げ込んだ。その左右をホワイトタイガーらは滑る床に止まりきれずに通り過ぎバタバタとマリーの方へ駆け戻った。



「リズ、人は先入観からけものを恐れるわ。だけど親しくした経験があるとどう?」



「いえ、社長(COO)! 怖いものは怖いですよ!」



 悲痛な声を上げマリーの前に回り込んだ総務部長が二頭の顔色をうかがいながら女社長から後退あとずさった。



「私はNBCの生放送を見ていた人々にどんな先入観を植えつけたのだろう? 非人道的なサイコパス? ナザレの復活者?」



 エリザベス・スローンが十分な間合いとりかぶり振った。



「いえ、あの行為でさえなお貴女あなたの支持者はこう口にしてます────」





「────シンデレラと」





 マリア・ガーランドは二頭の虎達のあごの下を撫でながら眉根寄せ鼻筋にしわを刻んでわずかに開いた唇からため息を漏らし正直な気持ちを吐露とろした。





「違うわ────ブラッディ・マリーよ。血塗られた王女」





「そ、そんなことはありません! NBCスタジオを襲撃した傭兵ようへいらはあの女キャスターが大金で雇い入れたのだと半時間後に謝罪放送がされて社長(COO)の行為は正当防衛だと支持する人がSNSで爆発的に増えているんです!」



 リズの感情的な声に反応してベンガル虎らが立ち上がり彼女をじっと見つめ始めたことに彼女は青ざめてさらに後退あとずさった。



 その怯える部下の姿に、なにも猛獣をけしかけるつもりはないとマリーは二頭のホワイトタイガーの襟首を両手でつかんだ。



「表に直訴しに来ている連中にこの子らをけしかけ追い散らそうかしら────」



 そうマリーが本気っぽく言うと途端に女総務部長が抗議した。



「や、止めてください社長(COO)! これ以上インターネットに炎上の火種をばらくのは!」





 ああ、何をしても抗議や炎上にさらされる。





 そう思ってマリーは暗い面もちで立ち上がるとエレベーターへと向かい歩き出し二頭のベンガル虎が付き従った。



 気をまわすと際限がないと思う。



 従業員用のエレベーター・ドアの前に立ちマリーは、自身と瓜二つの自分を異世界へ返し約束通りその世界のベルセキア──クラーラ・ヴァルタリを駆逐したことを先ほどのように思いだした。



 そうしてこちらの世界での数分間に70近い平行宇宙(マルチバース)に乗り込み苦境に陥っている自分を助けて回った。



 いずれ自分の助けとなるという思いもあるにはあるが、放置すればその世界の破綻の端緒となる予感があった。



 世界の崩壊がどのようなものかさだかではないが、崖の一カ所の崩落がより多くを引きずって崖全体の崩壊に繋がるように、マルチバースの一つの世界の破滅が連鎖的に拡大するような不安感から他の世界の自分に手を差し伸べた。



 ルナの膨大な知識の中に虚真空というものがあることを知っている。



 触れればこの正の世界を巨関数的に書き換えてしまう。



 低次元の私たちが高次元のものを知覚できないように、虚真空の侵食その前兆を知ることはないという。そのようにマルチバースの一世界の崩壊が今いる世界に波及しないとは言い切れない。



 まったくの隔離された世界ではない。



 往き来できるのだから────。



 乗り込んだエレベーターがトレーニング・ルームのあるフロアに向かっていた。



 ジェシカ・ミラーとM-8マースは反省しただろうか?



 一度(のぞ)きに行ったら、ふざけ合っていた。



 エレベーターが到着しホワイトタイガーらを引き連れトレーニング・ルームへ向かった。



 硝子(ガラス)ドアを開き中に入るなり眼についたのはジェスがマットに大の字で高いびきをかいている有り様だった。



 マリーはベンガル虎二匹の背を押し出してジェスに向かわせると虎たちは彼女の顔と脚に座り込んだ。しばらくしてジェシカ・ミラーはぜえぜえ言いながら虎の下から逃げだした。



「マリア、お話があります」



 ジェスの醜態に笑いもせずマースがマリーに切りだした。



「なに、マース?」



わたくしは最後まで人に奉仕し続けなければならないのですか?」



 マリーは一瞬意味がわからず自動人形(オートマタ)を見つめた。



「奉仕せよと私が命じたかしら?」



「はい、人の危害にならぬようにとあなたは命じました。ダラスのデータセンターで怪物と戦い疑念を抱きました。ジェシカ・ミラーを守るために身を滅ぼせと仮想しその根底に人の危害を取り除くサービスの遂行すいこうがあると至りそれが奉仕と同義的であると既決しました」



 マリーは腰に両手当てかぶり振った。



「意味を取り違えているわ。社会で誤解を招かずにあなたが暮らしてゆくのに隣人には手を差し伸べよと言ったの。見てみぬ振りは弁解できない状況にあなたを巻き込むからよ」



 しばらくマースはダイヤモンドのような虹彩をきらめかせマリーを見続け超高速で演算を繰り返した。



「私は私自身を崩壊へと追い込むという理由からデータセンターでジェシカ・ミラーに手を掛けました」



 どうしてそのような結論にいたるのだとマリーは驚いて虎たちから離れマリーとマースのやり取りを聞いているジェスに振り向いて問い質した。



「本当なの、ジェス?」



 ジェスは顔を拭いながらうなづいた。



「ああ、マースに首を絞められた。まあ、和解したけどな」



 マリーはM-8に一時停止処理をしてワーレン・マジンギ教授に診せるべきかと困惑した。人工知能は人に危害を加えない絶対的なルーチンがあるのではないのか。だがマースはそのプロテクトを乗り越えたことになる。マリーはマースの前に胡座あぐらかいて座り込み少女の姿したアンドロイドに説明した。



「マース、人の多くは天命を迎えるまで、いいえ死後ですら他の人に影響を与えるの。解るわね」



「死後にもですか? それは記録として人の思考に影響するということですか?」



 小首(かし)げマースが問い返した。



「映像とか音声とか、紙に書かれたものでもあるでしょうし、遺品すべてが記録という意味でもあるでしょうし、意識の中の記憶でもあるわね」



「それが私の奉仕に何の関係が、マスター?」



「それは人生の中で常に他人に良きあれということ。危害を与えぬというのは最低限のお約束ごとなの。奉仕はその上の段階。それも人や社会に良きあれという発想から成り立っているのよ」



 しばらくマースはじっとマリーを見ていた。思考しているのか、それとも外部データをインターネットから得ているのか。それをマリーはつかみかねたが、少なくとも擬人化とも取れるAIが理解しようとする姿勢はよくわかった。



「私が人社会ですごすには、人に危害与えず、さらに人のために貢献こうけんするという決めごとでよろしいんですね」



「そうね。正しいわ」





「ではなぜマスターはNBCスタジオであのようなことを行ったのですか? あの殲滅せんめつは力への誇示であり人への思いやりとは無関係なのでは?」





 マリア・ガーランドは顔を強ばらせ冷や汗が吹き出した。マースは収録スタジオを襲撃した傭兵ようへいらを一方的に殺したことをネットワーク経由で見ていて指摘しているのだ。



「あれは────金のために人を殺めようとする行為を────」



「マスターは襲撃者のリーダーの男へ弁明のチャンスを与えながら一方的に彼の命を奪いました。人に危害与えず、さらに人のために貢献こうけんするという理念に反していると仮想します」



 マリーは一度大きく吸い込んで荒く鼻から息を吐いた。



「マース、スタジオを襲撃した連中はみずから人としての権利を放棄したのよ。金のために人をあやめるという行為で」



 マースはしばらく無言でマリーを見つめて、口を開いた。



「法の裁きを受けられる彼らからその権利すら奪い去ったマスターは法を超越する絶対的権利者(アドミニストレータ)なのでしょうか?」



 アドミニストレータ!? マリーはルナの知識から情報システムのスーパーユーザーだとすぐに思い当たった。



 違う! あれは怒りから取った行動というだけで人々の上に君臨するようなおごり高ぶった考えは一つも────私は神などでなくただの特殊能力者────ただの人だ!



「マース、あれを私は正しいと思ってない。誤ったと思っている」



 そうマリーが正直に言うと自動人形(オートマタ)はまた一度小首(かし)げた。





「ではわれはジェシカ・ミラーを絞殺こうさつしようとしたことを誤りとします。よって記憶媒体に保存されているマスターから婉曲えんきょく的に命じられた人に奉仕するという概念には反していません。ダラスのデータセンターで導き出した人はわれよる劣るという仮想を再度──多角的に考察しわれは全人類に対する殲滅せんめつ的仮想を保留とします」





 全人類に対する殲滅せんめつ的仮想!? マースは人類に宣戦布告しようという決意に至っていたのかとマリア・ガーランドは臓腑に冷たい感触が居座った。



 やはりこのAIの思考ルーチンは再検査の必要があると考えマリーは緊急時のキルスイッチを設けるべきだとワーレン・マジンギ教授に指示する腹積もりになり自動人形(オートマタ)たずねた。



「マース、あなたは私を敵にしたいの?」







 少女はかぶり振り微笑んだ。





「勝ち目はないですから」











 シリアとイラクで勢力を増したイスラーム国(ISIL)との戦火──忠誠か死かの択一を迫るシリア紛争を避けヨルダンへ逃げ延びようとする大量のシリア難民がシリア、イラク、ヨルダンとの戦略的要衝である三国の国境が交わるシリア南東タンフの国境通行所へ殺到していた。



 だがヨルダンは難民を60万人受け入れ直後突如(とつじょ)として難民受け入れを避けシリア側のルクバーンに大規模な難民が滞留し巨大なキャンプが出来上がった。そこをルクバーン・キャンプという。



 米国は2016年以来この一帯を保護しながら数万人の難民に手をこまねいており55キロゾーンまたの名を死の三角地帯とも呼ばれていた。



 夜の9時過ぎにアメリカ海兵隊第7海兵連隊第3大隊第1中隊国境パトロール小隊の連なって走る4台のクーガーH装甲車は国境を越えてくるヨルダンからの食料密輸入車輌を取り締まっていた。



 難民の多くは食料が行き渡らず、高額の言い値で食品を売りつけられている。米国は占領地としてこの一帯を認めるわけにゆかず人道支援を見送っていたが食料品の密輸もこの地帯に難民が居着くため黙認できなかった。



少尉(2ndLT)、今夜は出歩いている人と出くわしませんね」



 運転しているカーティス・イーグルトン曹長(MSgt)が助手席で熱心にグレーム・グッドオール少尉(2ndLT)へ話しかけた。



「ああ、ここ二週間、密輸者の摘発を徹底しているから、難民らも食料が手に入らないと知っているからな──イーグル、ライトを消して速度を落とせ。2時方向150(ヤード)に無灯火で走っている車がいる!」



 そう命じてグッドオール少尉(2ndLT)ヘルメット(LWH)に装着している暗視装置(PVSー15)を顔の前に下ろしスイッチを入れた。



 無灯火の車は幌付きのトラックだった。



 照明がないにも関わらず国境沿いを難民キャンプへと向かっていた。



少尉(2ndLT)、臨検しますか?」



 後席のクレア・ハマートン下級伍長(LCpl)がFN FN SCARーLを抱いて暗視装置(PVSー15)を掛けた顔を二人の間に乗りだした。



「そうしよう。GGだ。150先を無灯火で走るトラックを臨検する。私は回り込み走行先を押さえる。2号車は左、3号車は右、4号車は退路を塞げ。行くぞ、カーティス! 飛ばし一気に追い抜け!」



 少尉(2ndLT)は、後席のクレアに応えるなり無線で後続の三台に命じて運転しているイーグルトン曹長(MSgt)にスピードを上げろと発破をかけた。



 一気に砂塵巻き上げ増速した四台の装甲戦闘車両(MRAP)は二台が屋根に装着した防護板で囲まれた装甲銃塔(OGPK)へと隊員が身を乗りだしM2機銃の銃口を振り下ろした。



 取り囲まれると無灯火のトラックはすぐに速度を落とし停車した。



 下車したグッドオール少尉(2ndLT)はカーティスとクレアを引き連れ真っ直ぐにトラックの運転席へと向かい曹長《MSgt》と下級伍長(LCpl)の二人はFN SCARーLを肩付けしボンネットの左右から運転席と助手席に座るものらに銃口を振り上げた。



「止めて悪いなアメリカ海兵隊だ。こんな夜分にライトも点けずにどこへ行くんだ?」



 グッドオール少尉(2ndLT)暗視装置(PVSー15)を跳ね上げフラッシュライトで運転手の男の顔を照らしだし問い質した。



「街の方へ荷物を運んでいる」



 ぶっきらぼうに応えた男の顔色が随分と悪いとグッドオール少尉(2ndLT)は思いながら左右の車輌から下りた部下四人が幌の後部へ行きライトを点けた。



「荷物を確認させてくれ」



 そう少尉(2ndLT)がきつく命じると運転手の男が落ちくぼんだ眼孔を強ばらせた。



「断る。止めた方があんたらの身のためだ」



 協力的じゃないとグッドオール少尉(2ndLT)あごを振って確認しろと後部の兵に命じた。



 リアの幌カーテンを開きライトで照らし覗き込んだ隊員がすぐに報告した。



少尉(2ndLT)殿、大型冷蔵庫を倒したような大きな木箱があるます!」



 グッドオール少尉(2ndLT)は運転手に尋ねた。



「中味はなんだ!?」



「答える義務はない。これ以上やればあの方(・・・)がお怒りになるぞ」



 少尉(2ndLT)は運転手へ視線向けたまま大声で命じた。



「開けろヒグス!」



 木板を割る音が幌越しに聞こえ直後にわめき声と発砲音が始まり、グッドオール少尉(2ndLT)は運転手にライトを向けたまま後退あとずさりFN SCARーLを運転手の方へ振り上げ怒鳴りつけた。



「下りろ! さっさと下りるんだ!」





少尉(2ndLT)! 右を!」



 そうボンネットわきにいるクレア・ハマートン下級伍長(LCpl)に警告されアサルトライフルを向け横へ振り向いた。







 刹那せつな、それはヘルメット(LWH)ごと少尉(2ndLT)の頭部を鷲掴わしづかみにして引き寄せると楽々と粉砕した。












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