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『ハツカネズミと人間』著:スタインベック――夢追う労働者の人間ドラマ
題名が気になって手に取り、そのまま本屋で購入しました。
大きな体を持つが頭があまり良くないレニーと、体は小さいが頭は切れるジョージによるドラマが淡々とした文体で展開されます。二人は品行方正な労働者とは程遠いものの、どこか憎めない人間らしさがあり、読み進めていくうちに親しみを持ちました。
ある目標――夢が二人の絆を支えています。夢があるから今を頑張れる、夢があるから毎日を楽しく生きれる――そんな人間を通して、作品の舞台がアメリカの農場であるにも関わらず、夢を追った青春時代に対する痛みと、現実への諦観、ある種の懐かしさを感じさせてくれます。
読み終えると、夕焼けを見たときのように哀愁感がじんわりと広がり、切ない気持ちになりました。
文庫本で百七十ページくらいの分量で、かなり読みやすかったです。
スタインベックの小説は『怒りの葡萄』も気になっており、いずれ読むつもりです。