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異世界ネコ転生! ゲーム世界に転生したら、ネコでしたが、くっそ強いロリ美少女のお供として、俺は生き抜くっ!  作者: MITT
第三章「クロネコの章 帝都動乱編」

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第二十一話「とあるS級冒険者」①

 見渡す限り薄暗い広間。

 所々に埋め込まれた光る鉱石、光石の照明がある程度で本当になにもない。


 しばらく広間を歩いていると、壁際の影が妙に濃いことに気づいた。


「……クロイノ卿だな? 「ゼフィランサス・ナイン」卿がお待ちだ……入れ」


 シュインって影から出てきたのは、やっぱり全身真っ黒の黒ナックル。


 さっきのと似てるけど、ちょっと違う。

 隻眼で細身の黒ナックルで、シミターと呼ばれる曲刀を二本腰から下げてる。


 おう、一日に二匹も覚醒黒ナックルに会うとはなぁ。

 

 この業界、まさか同類だらけ? 確かに、この影潜りって能力は隠密向けだしな。


 おまけに、「影縛り」に「影繰り」……俺が理解して使いこなせるだけでも恐ろしく強力な支援も出来る。

 更に「影化」? 他人を影に引き込む能力とか、便利すぎるぜ。


 でも、この分だと、対抗能力とかもありそうだな。

 俺もあんま調子に乗るの止めとこ。


 そいつが軽く壁に手を触れると、壁が消えて通路が出てくる。


 幻影魔術による隠し通路か。

 しかも普段は使ってないから、うっかり冒険者に見つけられても、何もないから、別に興味も引かないし、何の用途の部屋なのか解らない。


 確かになるほど、上手いこと考えたよな。


 けど、見張りのこいつ……すごく違和感ある。


 なんか気配が薄すぎるし、魔力だって並じゃない。

 それに目も真っ黒で、猫の目と違う……何なんだコイツ?


「お前、俺の同族か? なんか……。俺らナックルとは似て非なるものって気もするんだが……」


「その質問には答えられんな。さっさといけ、俺の役目はここの見張りだ。それ以上でもそれ以下でもない」


 うん、なんとも無愛想。


 けど、偉い人の直属護衛なんてそんなもんか。

 とりあえず、軽く手を振って、言うとおりにする。


 狭い通路を暫く進むと石の扉があった。

 

 スライド式の扉だから、押しても引いても開かない。


 ノックすると、入れという女の声がして、音もなく扉が開く。


 うわ、緊張するな! 就活の面接のときみてぇだっ!

 扉を開けると、三畳間くらいの狭っ苦しい部屋に長テーブルがひとつ。

 

 そして、正面と手前に丸椅子が置かれてる。


「……クロイノ卿、よくぞ来たな。さて……妾が何者かはすでに理解しておるな?」


「ああ、S級冒険者ゼフィランサス・ナイン卿だろ? まったく、酔狂な仮面してやがるな。いい趣味だって言っとくよ」


 赤いローブに目の細い髭面のオッサンみたいな仮面を被ってるめっちゃ怪しい奴だった。

 けど、その仮面に、俺は見覚えあった。


「ほぅ、この仮面気になるかの……。まぁ、奇妙な仮面だとは思うだろうがな……。妾にとっては、相応に意味があるのであるぞ」


「そうだな……なんなら、ガイ・フォークス仮面って、呼んでもいいか?」


 ここはちょっくら、カマでもかけてやる。

 俺の推測が当たってるなら、この方は多分……。


 俺の言葉に、一瞬あっけにとられたように固まると、続いておかしそうに笑い出す。


「ほっほっほ、いいのう……。サルガスが妙に執心のようじゃったが、その理由も解ったような気がするわ」


 ああ、誤魔化されたな。

 

 まぁ、いいや。


「そうかい? 俺はアイツのマブダチのつもりだし、ラジエルも俺が見てやらないと危なっかしいからな……。まぁ、どっちも俺に任せてもらって構わんぞ」


 俺がそう答えると、ガイ・フォークス仮面は楽しそうに笑う。


「ほほほっ! 言いよるなぁ……我が帝国の未来を担う妾の子供達を自分に任せろと言い切るとはな。うむ、良いぞ……実に気に入った。まぁ、今の妾は一介の冒険者であるからな。残念ながら、褒美を与えたりは出来んのじゃ」


「まぁ、褒美ならあの二人にそのうちまとめてもらうから、今は気にしなくていいぞ。っていうか、要件はそれくらいか? 要はこいつは面接ってとこなんだろ? 俺がラジエル……皇族の側近足り得るかってな」


「そうじゃのう……。なかなか、面白そうな奴と聞いたので、どんな奴なのか、直に会ってみたかった。要はそれだけじゃからの。うむ……合格であるぞ。引き続き、ラジエルの事を頼むぞ。それに、貴様の主……ユリア殿もなかなかの傑物のようじゃな。見てみるか? 謁見の間で早速一騒ぎ起こしとるようじゃぞ」


 ……懐から水晶玉みたいなのを取り出すと、そこには謁見の間の様子が写ってるんだが。


 なんか礼服姿のユリアちゃんが見知らぬ騎士に馬乗りになって、無表情で返り血を浴びながら、剣の鞘で顔面ボッコボコにしてると言う、割と衝撃映像が映ってる。

 

 なお、長兄と長女がその様子を唖然として見守ってる……。


 幕の向こう側の皇帝の影武者も、それを止めるでもなく興味深そうに見ている様子なんだが……。


 ……なんだこれ?

 

「……ちょっと目を離してたら、これかよっ!」


「ふははっ! これは傑作よのう……。簡単に状況を説明するとじゃな、ユリア嬢に一方的に殴られておるのは、第一皇太子ザカリテ配下の狩猟騎士マクファーソン卿。どうやらユリア嬢を侮辱するに飽きたらず、ミレニアム殿やラジエルを侮辱した事でユリア卿の逆鱗に触れたようでな。……一騎打ちを挑まれた結果、あっさりああなったらしいぞ。まったく、子供と侮って逆に一蹴されるとは情けない話であるのう……」


 おいおい、大の大人の現役狩猟騎士相手に、あっさりマウントとって、フルボッコって事かよっ!


 ユリアちゃん……どれだけ強いんだか。


 この様子からすると、オリスを仕留めた時みたいに、例の認識阻害で背後取って、軽くコカせてマウント……後は顔面フルボッコってとこか?


 ちなみに、剣は抜かず鞘に入れたまま、両腕で柄を握って、ゴスガスぶん殴ってる……。

 手加減……してるつもりなんだろうけど……相変わらず、やる事がエグいし、容赦ねぇ。


 君、どこぞの捨てがまり薩摩隼人みたいだぞ?


 しっかし、なんだこれ?

 仮にも狩猟騎士が、こんな一方的に為すすべなく、こうなるなんて……。


 けど、ユリアちゃんって何気に、ミレニアムちゃんと言うライバルにして友がいる関係で、対人戦……それも同格の魔法騎士や狩猟騎士相手の戦いに手慣れてるんだよな。

 

 実際、ミレニアムちゃんとやり合う時とかって、ユリアちゃん正面からじゃなくて、基本背後取ってから強襲ってやるからな。

 

 いかんせん、正面から挑んで、魔法騎士の防御を突破するのはなかなか厳しいんだ。


 ユリアちゃんなりに考えた結果。

 狩猟騎士や魔法騎士が相手の場合、とにかく相手の認識外から攻めるってのが最適ってなったらしい。


 防壁も結界も、全周防御なんてやってたら、無駄が多すぎる。


 攻撃ってのは基本的に点、もしくは線で来るからな。

 それを面で防ぐ防御ってのは、本来は効率が悪い。


 だからこそ、守る場合は一点集中で対応するのが基本なんだけど。

 相手を認識できないとなると、どこから来るか解らないという事になる。


 そうなると、一点集中では対応できなくなる。


 実際のところ、ミレニアムちゃんですら、ちゃんと警戒してても、超スピードと認識阻害であっさり背後に回られるみたいなんだよな。


 はっきり言って、それがユリアちゃんの強み。

 

 もっとも、ミレニアムちゃんも背後からの奇襲は想定のうちで、背後にトラップ魔法仕掛けてたり、先読みで振り返ってカウンター合わせたりするんだよな。


 あんな裏の裏の更に裏を読むみたいなハイレベルな攻防を日課みたいにやってるんだから、あんな若造狩猟騎士なんかじゃ、相手にもならんか。


 実際、ジジィも新参の若手狩猟騎士程度では、恐らく相手にならんと太鼓判押してたけど、本当だった。


 やがて、ラジエルちゃんがパチパチと拍手すると、ユリアちゃんも殴るのは止めて、静かに立ち上がり、軽く顔に付いた返り血をハンカチで拭う。


 そして、陛下の影武者に向かって、一礼の上で綺麗なカーテシーを決めると、影武者さんも思わずと言った様子で拍手を送ってる。


 更に、謁見の間に居並んでいた狩猟騎士達。

 それも年長古参連中がそれに続いて、拍手する。


 不承不承と行った様子で、他の若手や中堅連中も拍手を送ってる。


 すげぇな……ユリアちゃん、一瞬であの場を支配しちゃってるよ。

 なんと言うか……剣聖とか戦の申し子ってのは、ああ言うのを言うんだろうな。


 ……アレみて、皆思ったんだろうな。

 

 格が違うってな。

 

 まぁ、こうなると立場がないのは、けしかけた長兄だわな。

 すんげぇ、睨んでてギリギリと歯噛みしてるのが解るくらい。


 なにせ、今のはユリアちゃんの後ろ盾でもあるラジエル殿下と皇帝陛下が、余興として片付けたんだから、そう言うことで場は収まったって事なんだよなぁ……。

 

 本来だったら、その役目はけしかけた長男の役目だったんだが、それすらもラジエルに取られて、完全にいいとこなし。

 

 長女の方も、隣りにいた別の狩猟騎士が怒り心頭と言った様子で、剣を抜こうとしてるのを凄い目でユリアちゃんを睨みながら、手を上げて止めてる。

 

 案外、ボコられた奴のお友達だったりしたのかな?


 なお、ユリアちゃんはチラ見しただけで、終了。

 でも、なんかそいつ……ビクッとなって、剣を取り落してるし……。


 長女の方もなんかペタンと尻もち付いてる。

 ……一瞥しただけで、戦意刈り取りやがったのか……すげぇ。


 まぁ、あのリンド・シュバルツアーをして、心胆を寒からしめさせたユリアちゃんの殺気だからな。


 生きた心地がしなかったんだろうよ……解る。


 けど、ここで要らない手出しをして、長女の配下もあっさりボコられたらそれこそ立場がない。

 それに、古参連中がユリアちゃんの実力を認めた以上は、これ以上なにかやればやるほどドツボにはまる。


 実際、早速古参のジジィ共がユリアちゃんを囲んで、ワイのワイのやってるようで、グラハムのジジィが間に入って、なんか騒いでる。


 ボコられた狩猟騎士は、リアカーみたいなのを引いたナックル達がそそくさと回収していった。


 ……こんな所にいやがったよ! 回収業者っ!


 相手のマクなんちゃらは、なんかもう顔だけ念入りにボコボコにされて、酷いことになってたけど、ユリアちゃんに喧嘩売るとか馬鹿な真似したもんだよ。


 大方……ユリアちゃんを何もわかってない子供扱いして、馬鹿にして……。

 

 かばおうとしたラジエル達の事も小馬鹿にして、その上で、ユリアちゃんを軽く揉んでやるとか言って、叩きのめして、笑いものにするとかそんなシナリオだったんだろうな。


 まぁ、実際はユリアちゃん無双ってところで、軽く粉砕されてちゃ世話ないぜ。


 あちこち返り血だらけだったユリアちゃんもアマリリスが『清浄化』の魔法をかけて、即席クリーニング。


 ナイス、アマリリス。


 いつのまに、そんなの覚えたんだ?

 やるじゃん。


「かぁーっ! 我が主ながら、やってくれるなぁ……。つか、狩猟騎士って戦力的には同格だから、戦っても決着付かないんじゃないのかよ」


「まぁ、そこは実力差であろうな。しかし、体格差を物ともせず、狩猟騎士相手に一蹴とは恐れ入る……あれでも、マクファーソン卿は若手でもそれなりの実力者だったのだがな。しかし、なんとも面妖な体術を使うのじゃな……そちも見てみるか?」


 そう言うと、今度は水晶玉にユリアちゃんと狩猟騎士の戦いが映し出される。

 どうもビデオみたいに録画再生もできるっぽい。


 なんだこのアーティファクト?

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