第十四話「冒険者達再び」④
「ああ、そこはむしろ是非やらせて欲しい。まぁ、要らぬ損害を出さぬためにも、こちらも今、用意できる最高戦力を出す……具体的には、ギルド職員と精鋭冒険者チームだな。そちらが飛行船を出すなら、我々もギルド所有の飛行船を出すし、討伐戦に参加する冒険者たちの報酬はダンテ達も含めて、すべてこちらで持つつもりだ」
お、結構いい条件出してきたじゃん。
と言うか、お願いだからこっちにも手伝わせてって、そう言うことね。
まぁ、確かに考えてみりゃ、今後の事も考えると、ここでギルドが何もせずにおしまいでは、沽券に関わってくる話でもあるからな。
エミリーたんが必死に食らいついてきたのも、納得は出来なくもない。
「いいねっ! 後ろを気にせずにグラドドドスと戦えるのは、こっちとして気楽だ。そう言う事なら、それで行こう。となると、俺らの背中を守るメンツとしてはどんな感じだ?」
「そうだな……ギルド職員の部隊は俺が直率しよう。職員チームはエミリーを筆頭に、うちの調査員や裏方連中を使う。まぁ、どいつもこいつもそれなりに腕は立つからな。エミリーお前、副長くらいやれるか?」
「まぁ、否応はないですね。マスターこそ大丈夫ですか? そろそろ、いいお年ですし、さすがに衰えは隠せませんよね……後方で全体指揮でも取ってた方がよろしいのではないですか?」
「グラハムを見習って、そろそろ引退したいと思ってるんだがな。なかなかそうもいかんし、さすがに今回は見苦しいところを見せてしまったからな、少しは格好をつけねばなるまい……。すまんが、陣頭指揮をさせてもらうが、フォローを頼んでいいか?」
「……はいはい。そうやって、素直に頼めばいいんですよ。迷った時も一人で決めようとしないで、誰かに相談するなり、多数決で何となく決めるってのでいいんじゃないですか。無能呼ばわりもいい加減、返上しましょう」
「……ミレニアム殿にも同じことを言われたよ。まったくどいつもこいつも。とりあえず、職員チームの編成は任せたし、現場の運用もお前がやれ。冒険者連中はこないだA級に昇格させた「ゲッコー」と「独眼狼」「悠久の翼」を使う。ギルドシップは空港から三隻程回して、明日の朝イチに間に合わせておいてくれ」
「了解です……。そうですね。ここは我々も裏方だからなんて言ってられませんから。ギルドの総力を挙げて、ユリア様のバックアップを務めてみせねばなりませんね」
「その意気だ。おい……新A級の奴等、話は聞いてたな? せっかくだから、クロイノ殿に挨拶くらいしてやってくれ」
ギルマスがそう言うと、指名されたA級冒険者チームの代表が前に出る。
「……こいつらはクーデター騒ぎの時は、全員ちょっとばかり遠征しててな。A級をまとめて始末して、その後釜として、A級に昇格させたんだ。元々、B級上位の冒険者パーティーでもあったんだが。A級の奴等が昇格試験を受けないように圧力をかけていたから、渋々B級に留まっていただけで、実力的にはA級相当、いずれも申し分ない猛者共だと、俺が保証するぞ」
……微妙な保証だが、まぁいいか。
まずチーム「ゲッコー」
どうも忍者っぽいのがリーダーで、スカウト系チームらしい。
いきなり、イロモノが来たな。
「クロイノ殿、後背の憂いは、某達に任せるでござるよ!」
ござるって……なんともベタなやつだな。
覆面被ってるけど、むしろ割と三枚目って感じで、なんとも憎めそうもないヤツだった。
なお、全身真っ赤で忍ぶ気ゼロ……。
まぁ、後ろにピンクのクノイチとかいるから、別にいいんだけどさ。
「ニンジャ? シノビ? まさかアンタ、東方群島の出なのかい?」
「よくご存知でござるな。ですが、某東方出身でもなければ、行ったこともないのでござる。ですが、我が師匠は本場のシノビ! なんでまぁ、まずはその姿形から真似てみた次第なのでござる……。いつか、はるか遠く空の果て……東方を訪れる……それが某達の共通した夢なのでござるよ」
後ろに控えるお仲間……青、緑、茶色にピンクとカラフルな忍者軍団もウンウンって感じで頷いてる。
……こいつら、コスプレなのかよっ!
と言うか、むしろ戦隊モノみたいなカラーリングだな。
まぁ、どれも原色というよりも若干暗めだから、夜闇の中だと割と目立ちにくいと思うけど。
……ピンクはねーだろ! ピンクは。
一人だけ、紅一点ってのもお約束どおりながら、もう忍ぶ気なんてこれっぽっちもないらしい。
ちなみに、ハンターナイツの本編では、ニンジャやサムライって感じのNPCがパラパラといて、そいつらは東方群島って言う東の果ての空域に、こじんまりと集まってる群島からやって来た……みたいなこと言ってた。
一応、将来的にアップデートで、魔法騎士や神聖騎士同様に、ニンジャやサムライもプレイアブルキャラクターとして実装されるって話ではあったんだが。
やっぱり、予定は未定のままで、そもそも東方群島もそのうちマップ移動で行けそうな感じで、ワールドマップ上で自己主張してたんだが、結局未開放のまんま。
……うん、ハンターナイツもあれから、どうなったんだろうな。
サビ終……サービス終了のお知らせとかなってなきゃ良いんだけどな。
さすがに、それは寂しすぎるが、俺もこの世界に転生してもう4年……。
ハンターナイツも5年くらいやってた時点で、割と末期臭漂ってたから、サビ終ってても不思議じゃないか……。
でもまぁ、この世界にサビ終なんてないからなっ!
この俺様、クロイノさんは、この世界で死ぬまで、アツく楽しく生き伸びるぜ?
ちなみに、この世界での東方はどんな扱いかと言うとだな……。
お、クロイノ知識がヒットしたぜ? さすが、俺! 博識だぜ。
……三大国のいずれも定期便もなければ、正式な国交も無いらしい。
なんせ、くっそ遠いもんで、行き来する手段が殆どない。
帝国とタレリアは3000kmくらい、聖国とは2000km程度と飛行船を使えば、1-2日もあれば着く距離なんだが。
東方とは、軽く1万キロは離れてるらしい。
まぁ、クロイノが読んでた本には、帝国ータレリア間のおよそ4-5倍もの距離があるとか、記載されてたから、たぶんそんなものなんだろう。
東京、ニューヨーク間が約11000kmだから、それと同じ位には遠いってことか……確かに遠いな。
たまに、遠征船と呼ばれる超長距離航行を可能とする大型飛行船が向こうからやって来ては、東方製の珍しいものを売りつけたり、モノ好きな東方人達を降ろしていって、こっちの商品とかも色々仕入れていって、希望する者は一緒に便乗させていってくれるんだとか。
なんか、ナックルの一団を乗せていったこともあったようなんだが、向こう大丈夫なんだろうか?
俺らって、何気に悪意なき文化的侵略者みたいな一面があるから、おかしなことになってなきゃいいけどな。
いずれにせよ、お互い遠すぎて、敵対もなにもって感じながらも、チョットずつ交易やって、人や物のやり取りして、のんびりお互い仲良くやっていきましょうってのが、東方の方々の主張。
こっちほど、国の規模が大きくないってのもあるだろうけど。
そもそも、三大国側はそんな一万キロ単位を航行できるような超長距離飛行船は開発出来てないから、どうしょうもないというのもあってか、どの国も東方船が来ると、無碍に扱ったりせず、歓迎してるような感じ。
まぁ、喧嘩しないで、仲良くやれるに越したことはないからな……ニンジャチームの連中もそのうち東方に行けるといいね。
「そっか。東方への旅路、実現するといいな。信じていれば、夢は叶う……そんなもんだぜ?」
「嬉しいことを言ってくれるでござるなぁ……。この話を聞いて、笑うどころか、励まされるとは思わなかったでござるよ。よきかなよきかな! でござるよ! ああ、某の名は「グレン」……師匠によると東方では「赤き炎」を意味する名らしいですな! まさに、名は体を表す……でござろう?」
そう言って、両手に持った短剣をシャキーンと構えるグレン殿。
なるほど「紅蓮」ってか?
構えもサマになってるし、動きもなめらかかつ、ムダもない。
こうやって構えると、隙のひとつもない。
あ、でも誘ってるように、右足の下ががら空き?
足元へ吶喊するように、フェイントモーション……踏み込みだけで止めると、次の瞬間、なんだかサッカーボールのようにシュートされるようなイメージが湧いた。
……今の何?
ちらっと、目線を送ると、目があってニコッと笑みを浮かべられる。
あ、コイツ……普通に猛者だ。
今見えた幻覚みたいなのは、本気で仕掛けてたら、ああなってたって、イメージなんだろう。
今の様子からすると、一種のお遊び……デモンストレーション?
やるなぁ……。
見るからにイロモノだからって、舐めてかかっていいような奴じゃないな。
エター化阻止のため、清きブクマの一票でも!
評価でもいいですぜ?




