第一話
何もかもが嫌になった。
今の私には何もない。
友達も親からの愛も。
夕暮れ時、私三日月エリナは、学校の屋上から徐々に沈んでいく太陽をみていた。
「もうなにもかもどうでもいいや」
フェンスを乗り越え、地上をながめる。
ここから落ちたらもう私の体はめちゃくちゃになるんだな。
でもそんなことどうでもよかった。
私は勉強ができない。軽度の発達障害がある。
だから親は、私を育てるのに苦労した。はじめはあった愛情も、わたしの勉強のできなさと不器用さで、彼らは絶望し、私を見放した。
発達障害を理解しようとしたけど、理解できなかったのだ。
学校での私は、皆から馬鹿よばわりされ、バイキンあつかいされた。
やることなすこととろいどんなに頑張ってもみんなと同じになれない。
私は、それを小学校、中学校、高校と経験した。
今、私は高校2年。受験に向けて勉強を皆がやり始めた頃だ。
でも、私は集中ができない。大学も良い学校にはいけないだろう。
周りを見返すこともできない。
虚しいだけの人生だった。
だからせめてこの場所に自分のいた証を一時的でもいいから死という形で残そうと思う。
私は大きく深呼吸をした。その呼吸をかみしめるように。
「よし!」
再び地上に視線をもどす。
そして、片足をもちあげたときだった。
「やめなよ。死んだっていいことないよ。」