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94.最終決戦②



「このステータスは一体……」

 優夜は魔王のステータスを見て困惑し、固まっていた。

 何だレベル999って。ステータスも頭おかしいし。これを200年前の勇者は相手にしてたのか?てか、封印ってなんだよ。封印を解いたから魔王がいるんじゃないのか?どうなってんだよ……。……いや、今はその事よりどう戦うかを考えないと。多分、さっきから姿を消してるのはこの次元魔法だよな。……え、次元魔法とかチートじゃん。これ対処するのとか無理じゃね?……いや?でも攻撃する時は同じ次元に戻ってくるし、殺意とかそういうのはいつも感じるから俺は別に大丈夫か。うーん。やっぱこれって俺以外相手すんの無理か……。


「優夜様。魔王が姿を消しました。そろそろ戦闘の準備を」

 ティーネによって現実に戻された優夜は考えのまとまらないまま剣を構える。


『優夜。どうするのだ。あれを相手に出来るのは優夜と、ルウしかいないぞ』


「やっぱそうだよな……」

 ルウの神降ろしと、俺の神化を使えば多分勝てる。ただ、失敗すれば勝ち目はほとんどなくなる。ハイリスクハイリターンだ。


「優夜。まだ何もしていないだろ。失敗した後の事を考えるのは失敗した後でいい」

 はは……。確かにそれもそうだな。サザンガが言った言葉は無茶苦茶だけどその通りだ。リスクばかりを恐れてても何も終わらない。俺はこの戦争を終わらせるために、魔王を救うためにホーラから力を貸してもらったんだ。今使わないでいつ使うんだよ。


「よし。みんな、チャンスは一回だけだ。一回で全部終わらせる。手伝ってくれ」


「はい」

「分かった」

『うむ』

「ワン!」


「まず、俺とルウがそれぞれ神化と神降ろしを使う。その後は俺とルウで前衛をするから三人は援護をしてほしい。まあ、それだけだ。じゃあルウは俺と来てくれ。一緒に戦うぞ」

「ワンッ!」

 ルウは張り切った様子で優夜の後ろを付いて行く。


「じゃあ、開始だ」

 優夜が合図をすると、ルウは神降ろしを、他の者は優夜から距離を取って援護する態勢に入った。

 みんな準備は出来てるな。なら俺も早くしないと。


『神化発動』

 その瞬間、優夜は人間を辞めた。

 背中からは純白の羽が生え、髪は白金に染まり、頭上には金色に輝くリングが浮いている。そう……その姿はまるで天使のようだった。

 ……これが神化。いままで一回も使った事なかったけど取り敢えず成功して良かった。……特にこれといった変化は無いな。多分見た目が変わってるだろうけどそれ以外は何ともない。


「優夜。かっこいい!」

 隣で神降ろしを使い喋れるようになったルウが目を輝かせて見ている。


「ありがとな。……っと、あそこか」

 優夜はぽつりと呟くと、右側の空中に向かって剣を振り下ろした。すると、剣の振り下ろされた地面は深々と切り込まれ、左腕を失った魔王が姿を現す。


「ッ!?」

『「「!」」』

 その威力にティーネ達は驚愕し、魔王は焦りの表情を見せていた。


「何だ今のは……。くっ!私は負けぬ。負けぬぞ!」

 魔王はまた姿を消し、今度は優夜よりも先に攻撃を仕掛ける。


「っ……さっきよりも強い……!」

 優夜は多少押されながらも魔王の攻撃を剣で押し返す。


「なッ!?馬鹿な!人間にこれほどの力を持つ者がいるだと!?」

 確かネックレスを破壊すれば良いんだよな。なら、神化が終わる前に終わらせる。


「神聖魔法。唯一神の無限牢獄」

 優夜が魔法を使うと、格子状の檻が魔王を中に閉じ込める。

 これは神化の影響で強化された元神の監獄。これならリヴァイアサンでも一時間は閉じ込めていられそうだ。


「くそっ、クソッ!クソッ!!」

 魔王は檻を壊そうと必死に試みるが、檻はびくともせず魔王の体力だけが消費されていく。


「これで逃げられない。後はネックレスを壊すだけだ」

 魔王には当てずにネックレスだけを壊す。

 優夜はそう念じながら走っていき、檻の少し手前で止まると聖剣を振り下ろした。


 ピキッ!パリンッ!


 優夜は魔王には一切傷を付けずにネックレスだけを斬った。

 ネックレスを失った魔王は急に脱力し、その場に座り込んだ。


「終わった……のか?」


「ああ、そうだ。終わった。私は君に救われたんだ」

 優夜の問いには目の前に座り込んでいる魔王が答えた。


「そう……か。終わったのか」

 優夜はその事実を知ると、脱力したのか神化が解け、人間の姿をした優夜になる。


「ワフゥ」

 優夜が神化を解いたのを見たルウもまた神降ろしを解いた。


「やりましたね、優夜様」

「終わったか」

『……もう少し長くなるかと思ったが……いや、早く終わる事に越した事はないのだがな。もう少し接戦というか……』

 ティーネは優夜に労いの言葉をかけ、サザンガは安堵している。白は訳の分からない事を言ってる。


「魔王。まだ戦争は終わってない。貴方が一声掛ければ魔族達は戦う手を止める。侵攻が止まれば人間達もまた戦わない。さあ、早く立ってこの戦争を終わらせてくれ」


「ああ、そうする。だがな勇者よ。まだ戦争は終わってはいないぞ」

「え?」

 優夜は魔王の言葉に聞き返そうとしたが、魔族を止めるために飛んでいったため、聞く事は出来なかった。

 まだ戦争は終わってない……?どういう事だ?


「取り敢えずグレン達と――」

「何を勝手に行こうとしてるんですか~」

 合流しよう。そう言おうとしたが、空から降りてくる一人の女性によって俺の言葉はかき消された。


「なっ……ホーラ!?」

「ホーラさん……!?」

『何?あの方を二人は知っているのか……?』

 ホーラの登場に驚く優夜とティーネに対し、白はホーラを知っている事を不思議に思う。


「お久しぶりですね、ティーネさん。そして、優夜さんも。……あと、私の眷属『猫』『狼』も…あっ、今は白とルウ、でしたね」


『やはり貴方は……何故ここに?』

「ワン?」

 ホーラの正体に気付き白は頭を下げる。ルウはホーラの言葉が理解できていない様子。


「まあ、それは後で話すとして、優夜さん。神化、ちゃんと使いこなしてくれましたね」


「ああ。なんかあっさり終わってちょっと拍子抜けだけどな」


「では、約束通り返して下さい。優夜さんに力を分けているせいで毎日不便なんですよ~」


「そうだったのか。それはすまん」

 そうか。ホーラにも迷惑かけたんだな。


「まあ嘘なんですけど」


「おい!」

 今の俺の謝罪を返せ!


「でも、少し力を使いにくくなっているのは本当ですよ」


「分かったから。早く力を戻してくれ」

 俺は早くグレン達の所に行きたいんだ。早く終わらせてほしい。


「はーい。…………はい。これで終わりました」


「良し。これでグレン達のとこに行けるな」


「はい。ですが、後で優夜さんの宿にお邪魔しても良いですか?」


「ん?別に良いけど」

 ホーラって忙しんじゃなかったっけ?


「魔王の事も終わったのでまたこちらで過ごせるようになったんですよ。それと、話しておきたい事がありますので」


「そうか。分かった。ホーラなら場所も分かるだろうし。じゃあ俺はもう行く!」

 もうグレンが心配でしょうがない。確かグレン達は四天王を相手していたはずだ。ミルとエリスも心配だけどやっぱり一番はグレン達だ。

 優夜はグレン達の無事を祈り、走り去っていった。


「あっ、優夜様!待ってください!」

「おい、優夜!」

『はあ……手間のかかる主だ』

「ワン!?ワオォォン!」

 ティーネとサザンガとルウは優夜の跡を急いで追い、白はゆっくり歩いて向かった。


「……優夜さん。まだ大仕事が一つ残ってますからね」

 皆が居なくなった土地でホーラは呟いた。

【投稿予定】

9/30 95.グレンの剣

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