表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
95/141

92.【剛水】スイエン



 フリューネがノルティに止めを刺してから数分後。

 リンカとメルも無事もう一人の十魔族を倒していた。


「あちゃあ……。あれフリューネがやったの?」

「あら……」

 戦闘が終わりエリスの元へ駆けつけたリンカ達は、フリューネの魔法によってえぐられた大地を見て絶句していた。


「少し……やり過ぎてしまいましたわ」

 フリューネはてへっ、と舌を出す。


「少しと言えるものではないでしょう。あれは。十魔族を倒してくれた事には感謝しています。ですが、もう少し加減をして下さい。そのせいで今貴方は倒れているのですから」

 倒れているフリューネの頭を支えながら叱るエリス。


「はい……。これは私にも非がありますわ」


「まあまあ、十魔族は倒せたんだし。もうその事は終わりにしよ。ね、エリス」


「……まあ、みんな無事でいられましたし、今回は許しましょう。でも!次は心配かけないでくださいね?」


「ぜ、善処しますわ……」

 こうしてエリスの説教タイムはリンカの説得によって幕を閉じた。



 一方その頃、魔王の元へ向かっている優夜達は、新たな魔族と遭遇していた。


「お前が勇者か。俺は魔王様直属四天王、【剛水】スイエンだ。お前達の目的は魔王様だろう?なら行くと良い。その代わり、2、3人程俺の相手をしてもらうがな」


「ん?お前は止めないのか?」


「元よりお前達はそうするだろう。なら余計な手間を省いただけだ。……それで、行くのか、行かないのかどっちなんだ?」


「もちろん、行かせてもらう。……グレン、ミル、レフィア、ハル。頼んだぞ」


「任せとけ」

「分かったよ」

「承りました」

「勿論だ」

 ここに残る事に四人は反対せず、むしろ快諾した。


「決まったようだな。では勇者と裏切者は早く立ち去れ。いつまでも居られては戦闘の邪魔になる」


「そうみたいだな。ティーネ達行くぞ」


「ああ」

「分かりました」

『了解だ』

「ワン」

 優夜はグレン達に別れを言うとティーネ達を連れてその場から走り去る。

 グレン達の目から優夜達が見えなくなった頃、スイエンが動き出した。


「……これで戦えるな。では、魔王軍四天王スイエン。推して参る!」

 スイエンは騎士のように礼をすると、大剣を構えグレン達へ突進した。


「来るぞ!」

 グレンが警戒を呼び掛けると、ミルとレフィアは武器を構え、ハルは魔法を放つ準備をした。


「ぬんっ!」

 スイエンはグレンの目の前まで来ると大剣を振りかぶり、そのままグレンに振り下ろした。


「支援魔法。防御強化!」

 ハルはスイエンが大剣を振り下ろした瞬間グレンに支援魔法を使う。


「くっ!」

 防御力を強化されたグレンは長剣でスイエンの攻撃を防ぐが、若干押され気味の様子だ。


「グレン兄さんから離れて!」

「ッ!」

 ミルはスイエンの背後から短剣で首筋を狙うが、スイエンは攻撃を察知しグレンから離れたミルの攻撃を避ける。


「ありがとうミル」


「お礼は要らないよ兄さん。今はお礼よりあの人を倒す事に集中しよ」


「そうだな。……行くぞ、ミル!」


「うん!」

 ミルは大きく頷くと短剣を構え前傾姿勢で疾走する。


「スキル。分身」

 ミルは走りながらスキルを発動すると短剣は分身を開始し、六本まで分身するとそれ以降は一本も増えなくなった。


「良し、次は攻撃だね。スキル。斬波!」

 ミルが手に持っている短剣(本体)に魔力を込めると、他の短剣(分身体)にも魔力が渡る。

 そして、一定量魔力が溜まった時、その魔力は斬撃となってスイエンに放たれる。


「むっ!」

 スイエンは放たれた斬波を大剣で防ぐ。


「はあ!」

 スイエンが斬波を対処し終わると同時にレフィアが長剣で攻撃を仕掛ける。


「くっ!」

 スイエンは攻撃を避けようとするが、少し遅れレフィアの剣を肩に受ける。


「まだだ!」

 レフィアの攻撃の後にグレンが畳み掛ける。


「甘い!」

 だが、スイエンは大剣で防ぎ、更に反撃する。


「水属性魔法。ウォーターショット!」

 スイエンが腕を前に出すと、手の中心からグレンに向けて水の弾丸が放出される。


「なっ!?」

 突然の事で対処できなかったグレンは弾丸を諸に受け吹き飛ぶ。


「……魔法を使えたのか。誤算だな」

 腹部を抑えながら立ち上がったグレンはすぐに体勢を整える。


「兄さん大丈夫!?」

「グレンさん大丈夫ですか!?」


「ああ。平気だ。それより、警戒を強めろ。あいつは魔法も使える」


「うん、分かった!」

「はい!」


「……ふむ。流石は勇者の連れ。中々の腕だ。ならば俺も本気を出すとしよう」

 スイエンはそう言った後、グレン達には聞こえない程度で何かを唱えると、スイエンの体からもう一本の大剣が現れる。

 その大剣は漆黒の色をしていて、柄頭には瑠璃色の水晶が嵌め込まれていた。


「この剣は魔王様が俺に授けてくださった物だ。これを持った俺は先程とは一味違うぞ?」

 そう言うと、スイエンは二本に大剣を構えると、先程までよりも速い速度で突進する。


「くっ!?」

 攻撃を受けきれないと予測したグレンは左にずれてスイエンの攻撃を躱す。


「水属性魔法。ウォータープリズン」

 今度は魔法を使い、スイエンは自身とグレンを四つの水の壁で出来た檻に閉じ込める。


「これは……」


「避けられるのなら避けられぬようにしてしまえばいい。さあ、次は避けられぬぞ?」

 スイエンは一瞬邪悪な笑みを浮かべるともう一度突進する。


「ちっ!」

 避けられないと分かったグレンは覚悟を決めスイエンの突進を受ける。


「ふっ、貴様にこれが耐えられるものか!!」

 スイエンは勝ち誇った表情で二本の大剣を振り下ろす。



 グレン兄さん……大丈夫かな?

 水の壁にグレンが閉じ込められてから数分が経ち、ミルは壁を壊そうと魔法を放ちながらグレンを心配していた。


「早く壊さないと兄さんが!」

「ハル様!今すぐこれを壊せないですか!?」


「出来るには出来るが、この檻はかなり強固に出来ておる。準備に数分はかかるぞ」

 焦るミルとレフィアにハルは言う。


「そんな……」

「グレン兄さん一人じゃ危険だよ!私達もすぐに行かないと!」


「そうは言っても壊せない事にはどうしようもないぞ」


「くっ……」

 ミルはハルから口から告げられる現実に悔しそうに下唇を噛んだ。噛まれた唇からは赤い血が流れ、ミルの口の中には鉄の味が広がった。

 三人がグレンの安否を心配する中、水の壁が急に崩れ、中から一人の男が出てくる。


「あーくそ。左腕をやられたか。ま、左腕だけで四天王を倒せたなら得の方がでかいか」

 その男は左腕から大量の血を流しており、右腕では頭を焼き焦がしたスイエンを引きずっていた。


「グレン兄さん!」

「グレンさん!?」

「なんと……!」

 そう。水の壁から出てきたのは左腕を負傷したグレンだった。

 グレンの姿を見た三人は驚き、喜び、中には泣いている者もいた。


「おう。四天王倒してきたぞ。まあ、色々言いたい事あるだろうけど、とりあえず左腕治療してくれるか?」

 グレンは棒立ちになり固まっている三人にそう言った。

【投稿予定】

9/24 93.最終決戦

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ