表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/141

87.人魔戦争



「全員集まったか」

 冒険者達を見下ろすような形で高台に立つ、全身に頑丈な鎧を装備した強面の男は、ガッハの門に集まった冒険者達を見て頷く。

 男の背後には王国内のギルドマスターが背筋を伸ばして立っている。勿論、フェザードもエリーもだ。


「よく聞け勇敢な冒険者達よ!お前達には今から戦場に向かってもらう。ここ数年王国は戦争をしてこなかった。つまりここに集まっている者の内、半数は経験の無い者だろう。しかし!それでも勇気を持って集まってきてくれた者よ。私――シュラル王国冒険者ギルドグランドギルドマスター、クロード・シュネルガーの名に置いて敬意を表そう」

 この場所に集まったBランク以上の冒険者をまとめ、冒険者ギルド王国支部のギルドマスター達を従えるこの男こそ、シュネルガ―公爵家現公爵であり、王国内のギルドマスターを束ねるグランドギルドマスターである。

 うおお……この人凄いな。ステータス勝手に見させてもらったけど、スキルや魔法抜きなら俺と大して変わらないぞ。やべぇ……この人に逆らったら俺死ぬ。逆らわないけど。

 クロードが喋る中優夜は人のステータスを勝手に見て、そして勝手に感嘆していた。


「では今回の説明をしよう。まずお前達には二十の班に分かれてもらう。人班の人数は十人程度、それぞれの班を指揮するのは王国冒険者ギルド支部ギルドマスター達だ」

 シュネルガ―は後ろを振り向きフェザードやエリーに視線を送る。

 視線に気づいたフェザード達ギルドマスターは一礼する。


「班員は各自で決めてくれ。では始めろ!」

 シュネルガ―の合図と共に冒険者達はグループを作っていく。あっという間に一班、二班と出来ていき、やがて二十の班に分かれ終える。優夜達は一番早く班を作ったため一斑となった。


「ふむ……」

 シュネルガ―は班に分かれた冒険者達を見た後、少し悩む。


「良し……二斑、四班、五班、六班、十班、十二班。今挙げた班は騎士団と共に行動しろ。一班、三班、八班、十一班、十三班、十六班、十九班、二十班は各自で行動しろ。今呼ばれなかった残りの班は補給部隊として前線には出ず、ここで待機しろ」

 シュネルガ―は、たった今作られたばかりの二十もの班を少し見ただけで長所、短所を見抜きどう行動するかまで指示した。実際、補給部隊にされた九班の人達などは安堵したような表情をしていた。流石はグランドギルドマスターというだけはあり、人を見る目は特別優れているようだ。


「戦いはもうすぐ始まる。……お前達!必ず生きて戻ってこい!魔族を多く倒せなんてそんな事は言わん!生きろ!ただそのために戦え!……では解散!」

 シュネルガ―は最後に冒険者達に伝えると解散させた。


「あれがグランドギルドマスターか。迫力が凄いな」


「それは今日が戦争の日じゃからだ。あのじじいもいつもはもっと静かじゃぞ。……それだけ戦争は怖いのじゃ」

 シュネルガ―の立っていた位置を見て呆ける優夜にエリーが話しかける。


「……エリーさんも怖いんですか?」


「当り前じゃ。戦争が怖くない者などおらん。もしいたらそやつの精神はぶっ壊れておる」

 そうか……エリーさんも怖いのか。そりゃあそうだよな。戦争だもんな。たくさんの人が……死ぬんだもんな。


「良いか優夜。戦争が怖いのは当たり前じゃ。だが、戦争が怖いという理由で足を止めてはならぬ。戦場では誰もが苦しみながら戦っている。皆、恐怖を乗り越えて戦っているんじゃ。優夜にもそれが出来る。だから止まるな。お主がいれば早くこの戦争を終わらせる事ができる。早く終わらせて出来るだけ多くの人の命を守れ」

 人の命を守る……か。


「分かりました」


「……では、行くぞ。戦場へ」

 エリーの言葉に優夜達はもう一度気を引き締める。

 そして、優夜達はエリーの転移によって戦場へと送られた。



 転移した先には多くの武装した人がいた。武器は人それぞれで、片手剣、両手剣、戦斧、槍、弓矢など、様々な武器を装備していた。

 更に、武装した人達の後ろには、大量の武器、回復瓶に魔力回復瓶、シスターと思われる非武装の人達がいた。


「ん?何でシスターがいるんだ?」


「シスターになるには回復魔法が必須なんです。ですから兵を回復させるために集められたのでしょう」

 優夜の疑問にティーネが答える。


「なるほど。……てか、こんなたくさんの人が戦争に参加するのか」

 昨日ガッハで見た武器の数を優に越えてるぞ。一体何人いんだよこれ。


「ふむ……確かに多いな。私が聞かされていた人数を超えておる」

 待機している兵や冒険者を見ながらエリーは言う。

 ええ……まじかよ……。確か俺達が来た時には20000って言ってたよな。それより多いのか。やっぱり戦争だから、だよな。


「緊迫感が凄いな……」

「うん。みんな顔が強張ってる」

 グレンとミルは兵達の様子を見ながら話している。


「戦争かー。みんな生きて帰れると良いね。ねっ、メル?」

「そうですね。私にとってはリンカさえ生きていれば他の人間の事は正直どうでもいいです」

「えっと……みんなも生きてないとだめだよ……?」

 リンカとメルは会話がかみ合っていない様子。


「私はこの国の王女ですから、ここに集まっている人達を守る義務があります。何としても守り抜きます!」

「私は休んでいても良いですか?戦場にいてもあまり役に立てそうにないですし」

「駄目に決まっているでしょう……。それと、フリューネも修行をしたんですから役に立たないなんて事はあり得ません」

「……分かりましたよ、()()

「エリスって呼んでって言ったでしょう!?てか、今のは絶対にわざとですよね!?」

「はいはい、エリス様。戦争の前に怒っていては疲れてしまいますわよ?」

「誰のせいだと思ってるんですか……。それと!はいは一回!」

「は~い」

「もう!」

 エリスは相変わらずフリューネに振り回されている様子。


「ハル様。頑張りましょう!優夜さん達のためにも!」

「そうだな。優夜には世話になった。ここらで一つ借りを返しておくか」

 ハルとレフィアは戦争に対して、大した恐怖心は持っておらずやる気に満ちた表情で意気込んでいる。


『お前達は戦争をするという自覚があるのか……』

「わふ?ワン!」

 呆れる白にルウは元気よく返事をする。

 うん。今日もルウは元気だな。


「大丈夫だ白。俺達は勝つさ」


『何故そんな事が言える?』


「そりゃあ、こっちにはホーラ(神様)がついてるからな」

 優夜は自身に満ち溢れた顔で白に言った。

【投稿予定】

9/9 88.人魔戦争②

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ