表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
85/141

82.SSSランク冒険者



 エリーは転移スキルで王都の近くまで移動した。

 直で王都まで移動をしなかったのは不審がられない為と王都にいる人達を驚かせない為だ。


「はあ……憂鬱じゃ。なぜ優夜は毎回問題を持って来るんじゃ。少しはこちらの身にもなってくれ……」

 王都まで徒歩で向かっているエリーは優夜に対する愚痴を零しながら進んで行く。


「憂鬱ならばそれを渡して貰えると助かるのだが」


「っ!?」

 エリーはばっと背後を振り向く。

 するとそこには暗殺者のような格好をした男が立っていた。


「お主……まさかSSSランク冒険者〈神速〉か?」

 エリーは目の前の男に似ているSSSランク冒険者の一人を思い浮かべる。


「そのまさかだ」

 男はエリーの質問に肯定する。


「SSSランク冒険者が帝国に手を貸しているなどという話は聞いた事が無いのだが?」


「おいおい、それは違うぞ。俺達の計画に帝国が勝手に貸してきてるだけだ」

 男の隣に別の男が現れ、エリーの質問に答える。


「お主もSSSランク冒険者だな」

 此奴は確か〈剛力〉だった筈。まさかSSSランク冒険者二人と出会す事になるとはな。


「まあそうだな」


「帝国にいるSSSランク冒険者が私の元に来る。目的は魔鉱石の事か」


「分かってるじゃねえか。じゃあ渡してくれよ。遅くなるとあのお坊ちゃんがうるさいんでね」


「それは無理だな。そうなる事くらい分かっておるだろう」


「ああ、そうだな。だからお願いしたんだよ!」

「!」

 黒髪の男は地面を蹴りエリーの首元にナイフを刺そうとする。


「待て」

 青髪の男がそう言うとナイフが刺さるぎりぎりでピタリと止まる。

 速い……!動きが全く見えなかった。これがSSSランク冒険者の実力!


「もし殺して魔鉱石が王にでも渡るよう仕組んであったらどうする。慎重に動け」

 男の言葉にエリーは聞こえない程度に舌打ちをする。

 私が死ねばその男の言う通り優夜に魔鉱石が渡るよう仕組んである。


「……確かにそうだな」

 黒髪の男はナイフを仕舞い次の提案をする。


「なら、連れて行くか」


「ああ、それが最善だ」


「よし、じゃあ……って、いねえ!」

 黒髪の男が振り向くとそこにいた筈のエリーは姿を消していた。


「これは、転移か」

 青髪の男が冷静に判断する。


「いや、そんな冷静にいて良いのかよ!?このままだと不味いぞ!」


「魔鉱石からの信号を見てみろ」


「ん、王都からは遠ざかってるな。よし、追いかけるぞ」


「言われなくても分かっている」

 二人は少し会話をした後地面を蹴り、遥か上空に飛んでいった。

 二人が蹴った後の地面には直径五メートル程のクレーターが出来ていた。



 SSSランク冒険者二人に襲われたエリーは転移スキルで冒険者ギルドまで戻っていた。

「危なかった……」

 先程は私が死んでも魔鉱石が敵に回る事は無いから良い、そう考えていた。しかし、魔王軍の侵攻が近づいている今、私が死ぬ訳にはいかない。もし私が死ねば優夜に影響を与えてしまう。


「しかし問題が更に増えたな。帝国は今王国へ攻めようとしている。SSSランク冒険者までそれに力を貸している。そして魔鉱石の件。あれは帝国がモンスターを従える技術を手に入れた事になる。魔王軍に帝国。これから更に忙しくなるな……」

 エリーは頭を抱えてテーブルに突っ伏した。

 そして顔を上げると一つの疑問が浮かぶ。


「ん?そういえばあの二人はどうやって私の居場所を知ったんだ?……不味い。早く準備をしなくては!」

 エリーは少し考え込んだ後、冒険者ギルドを飛び出る。

 あの二人は魔鉱石からの信号によって居場所を掴んでいる。なら、こちらがそれを逆手に取ってしまえばいい。

 冒険者ギルドを出たエリーはそのまま街を出て、優夜が騎士団と合同訓練をした草原に来る。


「まずはここに魔鉱石を置き、その周りに魔法を仕掛ける」

 エリーは魔鉱石を地面に置いた後少し離れて詠唱を始める。


「"時と空間を司る者よ。我が魔力を喰らいて、選ばれしものを祝福せよ"転移付与(トランスファー)

 これは対象に転移を付与する事で、対象に触れた者を転移させるという魔法だ。そしてその効果は術者が解除するか、その魔法を破壊するしか解除する方法は無い。


「これでひとまずは安心じゃな。魔王軍の件が終わるまで大人しくしていてもらうぞ」

 エリーは魔法を掛けた魔鉱石を草原に残し、立ち去る。



「あそこだ」

 魔鉱石の信号を追いかけて来た二人の男は草原に降り立つ。


「これは……駄目だ」

 青髪の男は魔鉱石を凝視した後首を横に振る。


「ん?どういう意味だ」

 黒髪の男は魔鉱石を取ろうと伸ばす手を止めて聞く。


「これには何らかの魔法かスキルが付与されている。下手に手を出せばこっちが痛手を負う」


「げ、まじかよ。俺達じゃあ魔法とかは無理だからな。でもほっといたら不味くね?」


「いや、恐らくは大丈夫だ。王国は今魔王の対処に追われている筈。それまではこの魔法は解除しない筈だ」

 青髪の男はまるでエリーの思考を知っているかのように答える。


「……そうか。なら一旦帰るか。……あーあ。これ絶対怒られるぞ、あのお坊ちゃんに」

 黒髪の男は少々渋ったものの魔鉱石回収を断念し、草原から姿を消す。

 そして、黒髪の男が去ったすぐ後、青髪の男も草原から消える。

【投稿予定】

8/25 83.決戦前夜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ