69.優夜ピンチ?
……あの、でかいオークを鑑定したらこんな結果が出た。
種族 オークキング
レベル 210
スキル 筋力倍増(自身の攻撃力を1分間二倍にする。支配下のモンスターがいれば、そのモンスターの攻撃力も1.5倍にする) 統率強化(支配下のモンスターを強化する。支配下のモンスターがいれば発動可能) 回復力強化(傷が僅かに回復しやすくなる)
体力 18000/18000
攻撃力 20000
防御力 18000
俊敏 15000
弱点属性 火
おいおい、ツッコみどころありすぎだろ!筋力倍増。これでオークもめんどくなったな。それに回復力強化。ミノタウロスキングの超回復には劣るだろうけど、それでも十分に面倒だ。そして何より……
「ステータスがやべえよ」
攻撃力20000越えって、マジで何なん?こいつを相手にするのに俺のステータスじゃあ結構きつい。
……てかさあ、本音言っていい?帰りたい……。
優夜は目の前の集団を見ながら涙目になる。
でも、帰りたいって言って、はい分かりました。で帰してもらえないよな。先に殴ったの俺だし。
「はあ、誰か助けてくれる人いないかなあ」
優夜は助けを求めるがそう簡単に人は来ない。
優夜は王国の中でも上位の強さを持ち、現状メルルラには優夜に匹敵する実力者はグレン達しかいない。
「ブモオオオオオオオオ!」
自身の支配下のオークを殺されたオークキングは怒り狂うように叫ぶ。
「ん?そういえば……」
優夜は先程までの弱気はどこへ行ったのか、勝ち誇った顔で聖剣と魔錬剣を鞘から抜く。
「……そういえば俺、モンスターに与えるダメージは2倍で、逆にモンスターからのダメージは半減するんだった」
前にこのスキルホーラからもらったの忘れてた。
「こっから先は俺のターンだ。……なんてね」
「ブモッ!?」
オークたちは優夜の殺気を感じ取ったのか、怖気づき今にも逃げようとしている。
「さてと、依頼を始めるか」
優夜は手始めに固まってるオーク達に魔法を放つ。
「火属性魔法。『ファイアーボール』」
オーク目掛けて飛んで行った火球は一番前のオークに当たると、他のオーク達を道連れに燃えていく。
「ブモオオオオ!!」
優夜に先手を越されたオークキングはジェネラル、火球を免れたオーク達を引き連れて突進する。
「お、先にキングが来るんだ。でもそれはーー」
優夜は言葉を途切り、剣を構えるとオークキングが先程火球に焼かれた死体を横切った所で縮地を使う。
「悪手だぞ」
「!」
オークキングは横に現れた優夜に気づき距離を取ろうとする。
「もう遅い。知ってるか?俺の俊敏はお前の2倍だぞ?お前が動く間に、俺はお前の2倍動ける」
優夜はオークキングとの距離を更に詰め、跳躍すると、オークキングの胸の中心に聖剣を突き刺す。
「ブゴオオッ!?」
オークキングは直ちに聖剣を抜こうとする。
「おお、結構頭が回るんだな。けど、周りは見えてないみたいだ」
優夜はもう一方の剣を利き手に持ち替えると、胸の傷をえぐるように切り裂く。
「ブモオオオオッ!!」
オークキングは今日一番の悲鳴を上げると、体をのけ反らせそのまま後ろへ倒れる。
優夜はオークキングが倒れると同時に胸の剣を抜き、今度はオークジェネラルの前に移動する。
「!?」
「悪いが、依頼なんでな。相手が戦意喪失してても、やらなくちゃいけないんだ」
優夜はオークジェネラルに謝罪をしながら聖剣を突き刺すと、抵抗を許さないと言わんばかりに魔錬剣で切り裂く。
その一連の行動はとても綺麗に一片のミスもなく行われた。
「さて、まだやるか?俺の受けた依頼はお前らの討伐だが、逃げた奴まで殺す必要は無い。まあ、お前らがやるって言うなら、やるが?」
優夜は蛇のような目つきでオーク達を睨む。
「ブ、ブゴッ!」
すると、一体のオークが優夜に背を向けると、それに続くように他のオーク達も去っていく。
「……ふう。一時はどうなるかと思ったが、俺の記憶力が無かっただけで余裕だったな」
優夜は剣を鞘にしまい、オーク、ジェネラル、キングを回収するとメルルラに戻ろうと平原を去ろうとする。
「ブモモモオオオオオオオオッッ!!!」
「!!?」
優夜は鼓膜をぶち破る程大きな騒音に耳を押さえる。
しばらくして騒音が収まると、先程オーク達が去っていった方向から冒険者と思われる数人が走ってくるのが見えた。
「逃げろおおおおーーーーー!!オークエンペラーだ!早く逃げないと潰されるぞ!」
オークエンペラー。オークキングの上位種であり、その体格はオークキングの3倍と言われている。そして、オークエンペラーは国の指定討伐対象とされていて、その報酬は大金貨8枚とされている。勿論、それほどの金額が懸けられているのだから当然強さは別格で、冒険者ギルドの推定で、SSランク最上位、もしくはSSSランク最下位とされている。もし、討伐をするのだったら、騎士団を半数以上を動員するか、王国最強レベルの冒険者パーティでもなければ難しいだろう。
「で、あれがオークエンペラーか」
そして、優夜にはオークエンペラーを怒らせた理由が分かっていた。
「さっきのオーク逃がしたのが原因だよな。やっぱり倒しときゃ良かった。……まさかオークエンペラーを呼ぶとは……。オークエンペラーは一人だと無理だし、ほっとくとこのまま街の方に行っちゃうし……ん?」
優夜が頭を悩ませていると街の方から走ってくる二つの人影が見えた。
「優夜くんー!手伝いに来たよー!」
グレンとミルである。
二人は優夜の隣に来ると止まり、息を整える。
「グレンにミル。どうしたんだ?手伝いって……」
「あれ?優夜くん、依頼に書いてあったオークとオークジェネラルは?一体も見えないけど?」
ミルは平原を見渡し、首を傾げる。
ああ。二人はエリーさんの依頼の手伝いに来たのか。
「それならもう倒してるぞ」
優夜はオークの入っているカバンを叩く。
「ええ!もう倒したの!?もしかして私達いらなかった?」
「もしかしなくてもいらなかったな」
ミルにグレンがツッコむ。
「そんなー」
ミルは役に立てずがっくりとする。
「いや、丁度良い時に来てくれたよ。ミル、グレン」
「「?」」
「実は……」
優夜は今近づいているオークエンペラーについて話した。
「ええ!オークエンペラー!?それ、エリーさんに言わなくていいの?」
「それなら逃げた冒険者がやってるはずだから大丈夫。それよりも、力を貸してくれ。オークエンペラーを倒すにはグレンとミルの力が必要だ」
優夜は二人に頭を下げる。
「頭なんか下げるなよ、優夜。そんな事しなくても俺達は手伝うぞ」
「グレン……ありがとう」
「それに、オークエンペラーが街に行ったら困るのは私達も一緒だしね」
「はは、そうだな」
三人は笑い合い、そして、手を重ねる。
「じゃあ……行くぞ!」
「おー!」
「応」
三人はそれぞれ武器を持つと、オークエンペラーのいる方へ走り出す。
【投稿予定】
7/11 70.豚帝王討伐①




